仮面ライダー鎧武　信じた道

「また一緒になったよ」
「やはりそうか」
「ああ、この通りな」　
　ここでまた一人出て来た、その彼がだった。
　シドだった、その彼が出て来てだった。
　そしてだ、そのシニカルな笑みで言ったのだった。
「久し振りだな」
「まさかまた出て来るなんだ」
「俺達の戦いだとよくあるんだよ」
　この事態だけは予想出来なく驚愕する龍玄にだ、キマイラが横から言う。
「だからな」
「驚くにはですか」
「及ばないからな」
　こう言うのだ。
「というかこれ位で驚いてたらこれからもたないぜ」
「そうなんですね」
「ああ、そうだよ」
「そうですか」
　龍玄もビーストの言葉に少し落ち着いた、そしてあらためてだった。
　戦極とシドも見てだ、そのうえであらためて言った。
「貴方達は既に」
「うん、スサノオの方に」
「ついたからな」
　これが二人の返答だった。
「これからは君達をね」
「遠慮なく殺させてもらうぜ」
「嫌な顔をまた見たな」　
　グリドンは実際にかなり嫌悪感を出している。
「死んでくれて清々してたのに」
「生憎だな、生き返って」
　シドは態度だけは飄々としている。
「けれどな、生き返ってな」
「ただ生き返っただけじゃないな」
　山本のメイジが問うた。
「そうだな」
「そう、この通りね」
「ドライバーもロックシードもあるぜ」
　二人はそれぞれのシステムを出してみせてまた言った。
「私は仮面ライダーデュークになれるよ」
「俺は仮面ライダーシグルドにだ」
「それぞれ変身してね」
「戦ってやるさ」
「今のシグルドは俺なんだよ！」
　ペコが変身しているシグルドがシドを指差して言い返した。
「あんたなんかもうライダーでも何でもない！」
「おいおい、随分な言い方だな」
「当たり前だ！あんたは自分のことしか考えてないだろ！」
　シドの本性を完璧に指摘した言葉だった。
「そこの奴と一緒にな」
「それの何処が悪いんだ？」
　シドも自分自身で本性を見せた、彼のそれを。
「俺は頂点に立ちたい、誰にも指図されないだけの存在になりたいんだよ」
「そうか、それならな」
「御前は俺達がここで倒してやる！」
　ナックルも言う。
「覚悟しろ！」
「そこの性根が腐った科学者もな！」
「やれやれ、まあ私は唯一の仮面ライダーデュークだ」
　戦極はこのことは安心していた、それが顔にも出ている。
「このことには安心していいな」
「ああ、それは違うんだよな」
　ここで新たな声が来た。
「あんたもうもう一人の仮面ライダーデュークでしかないよ」
「その声は」
　龍玄がその声にまた驚いて言った。
「まさか」
「いや、有り得る」
　ここでこう言ったのはウィザードだった。
「あんたが言いたいことはわかっている」
「けれどあの人は」
「じゃああんたの目の前にいる連中は何だ」
　ウィザードはその戦極とシドを指差しつつ龍玄にまた言った。
「生き返っているな」
「そういえば」
「ああ、黒衣の青年に会ったんだったな」
「はい」
　このことはその通りだとだ、龍玄も答える。