ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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ALO編 Running through in Alfheim
Chapter-13 仲間との絆
Story13-2 回廊を突っ走れ
シャオンside
数分の飛行のあと、俺たちは洞窟の入り口まで辿り着いた。
ほぼ垂直に切り立った一枚岩の中央に巨人の鑿で穿たれたような四角い穴が開いている。
幅も高さも俺たちの3、4倍はありそうな大きさで、入り口の周囲には端から見れば不気味であろう怪物の彫刻で飾られていた。
上部の中央には一際大きな悪魔の首が突き出しており、侵入者を睥睨している。
「ここは?」
「ルグルー回廊。
ルグルーっていうのは鉱山都市の名前」
中は冷んやりと涼しく、奥へ進むに連れて外から差し込む光も薄れていく。
周囲を暗闇が覆い始めると、マリンが魔法で灯りをともしていた。
「ありゃ? 灯りを灯す魔法って確か風魔法だよな?」
「うん。そうだよ」
「なんで覚えてんの?」
「私、一応全種類の魔法スキル取ってるから」
「すげーな、お前」
「そこまで熟練度高くないし、武器スキルは一つしか取ってないんだけどね」
そんなのほほんとした会話をしているうちに、何時の間にか、入り口の光は見えなくなっていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
少し経ち、俺はリファレンスマニュアルを読みながら歩いていた。
「魔法を覚えるコツはね、スペル全体を機械的に暗記しようとするんじゃなくて、それぞれの『力の言葉』の意味を覚えて、それを魔法の効果と関連付けるように暗記するんだよ」
「まるで英単語だな…………まぁ、昔から英語はめちゃくちゃ強かったからなんとかなるだろ」
「言っとくけど、上級スペルなんて20ワードくらいあるよ」
「前言撤回。俺……魔法は初期だけでいいよ…………」
「まぁ、そんなこと言わずに」
マリンによると…………この先には広大な地底湖に架かる橋があって、それを渡った先に地底鉱山都市ルグルーがある。
因みに、ルグルーはノーム領の首都の大地下要塞ほどではないが、良質の鉱石が多く、商人や鍛冶屋プレイヤーが多く暮らしている…………これは父さんが集めてくれたデータだ。
歩くこと更に数分が経ち、いよいよ地底湖が間近に迫りつつあった。
突然、ポケットからレイがひょこっと顔を出す。
「パパ、接近する反応があります」
「モンスターか?」
「いや……プレイヤーです。14人くらいです」
「なんで……?」
マリンの絶句する声が聞こえた。
何となく嫌な感じがしたのだろう。マリンは、俺の方に向き直った。
「ちょっと嫌な予感がする。隠れてやり過ごそう」
「って言っても……どこに……」
長い一本道の途中で、幅は広いが身を隠せるような枝道の類はない。
「ま、私に任せて」
マリンが俺を手近な窪みに引っ張り込むと体を密着させ、左手を上げてスペルを詠唱する。
すぐに緑色に輝く空気の渦が足許から巻き起こり、体を包み込んだ。
「あと2分ほどで視界に入ります」
レイの言葉から緊迫した数秒が過ぎて行き、やがて、俺の耳にザッザッという足音が微かに届き始めた。
その響きの中に、重い金属の響きが混じっている。
その音とは関係なく、僅かに響く飛行音。
「あれは……何だ?」
「何?まだ見えないでしょ?」
「プレイヤーは見えていない。あれはモンスターか? 赤い、ちっちゃいコウモリ……」
洞窟の暗闇の中に、小さな赤いコウモリが飛翔し、こちらに近づいている。
「……くっ」
マリンがそれを確認したらしく、小さな罵り声を上げて窪みから道の真ん中に転がり出た。
自動的に隠蔽魔法が解除される。
「お、おい、どうしたんだよ」
「あれは、高位魔法のトレーシング・サーチャー! 潰さないと!!」
マリンが風魔法で迎撃する。
コウモリは避けようしたが、すでに遅く、パタっと音を立てて消滅した。
「街まで一気に走るよ!」
「え……また隠れるのは駄目なのか?」
「トレーサーを潰したのは敵にももうばれてる。この辺に来たら山ほどサーチャーを出すだろうから、とても隠れきれないよ。
それに……さっきのは火属性の使い魔。それがどういうことか、頭のいいセイ兄なら分かるよね」
「……サラマンダーか」
「今接近してるパーティーもサラマンダーの集団と見て、間違いないね。
多分、そこそこレベルの高そうな集団狙って装備とか巻き上げて資金にしてる連中だわ」
そのやり取りの間にも、ガシャガシャと金属音が混じった足音が大きくなっていく。
「なら急ぐぞ!」
俺たちは走り出した。
Story13-2 END
後書き
マリンのまさかの能力構成……魔法使い一極型のビルドです。
はい。コラボ編の後始めてのシャオンです。
シャオン「ここから少しキリトたちと時間軸ずれていくから気をつけてくれよ」
てなわけでまだまだ続くALO編。
マリン「次回も、私たちの冒険に!」
シャオン「ひとっ走り……付き合えよな♪」
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