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もう年下でも

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第八章

 スーも考え込んだ、友人達はその彼女にさらに言った。
「じゃあいいわね」
「相手が年下とかじゃなくて」
「どういった人かよ」
「そこを見てね」
「どうするか考えるのよ」
「ううん、そうしたらいいのかしら」
 スーが眉を顰めさせて友人達の言葉を受けて考えこんだ。それはこの時だけでなくだ。
 数日続いた、その間店ではいつも彼と一緒だった。すると。 
 本当に自然にだ、彼を意識してだった。そのうえで。
 彼の視線も感じた、それは少しずつ強くなっていた。その視線を感じると自分もだった。
 彼を見る、そうしたことが続いて。
 ある日だ、スーは店に二人だけの時にだ、ペドロに問うた。
「ねえ、聞きたいことがあるけれど」
「はい、何でしょうか」
「ペドロ君って付き合ってる人はいるのかしら」
「いないですけれど」
「そう、いないのね」
 まずはこう返したのだった。
「そうなのね」
「はい、それで」
「そこからは言わなくていいから」
 言いたいことがわかっているからだ。
「だからね」
「そうですか」
「わかってるから、それに」
「それに?」
「少しずつだけれど」
 この言葉を前置きしてからの言葉だった。
「私も。ペドロ君が気になってきてるから」
「だからですか」
「もうね、いいのよ」
 この言葉を出す為に自分だけの決心をした、そして。
 その決心を以てだ、彼に言った。
「年上でも年下でもね」
「それじゃあ」
「まだ先だけれど」
 結婚、それはだ。
「けれど今はね」
「今は、ですか」
「一緒にいましょう。そこからはじめよう」
 微笑んでペドロに言ったのだった。
「そうしましょう」
「それじゃあ」
「そう、お部屋は空いてるから」
「お部屋って」
「決まってるでしょ、お家のお部屋の」
 スーの家であるこの店のというのだ。
「お父さんとお母さんには私から言っておくから」
「本当にいいんですよね」
「商売は信頼が基本でしょ」
 だから嘘を言うことはというのだ。
「だから私もなのよ」
「わかりました、じゃあ引越しの用意します」
「早いうちにね。それでね」
「これからはですね」
「住み込みで働いてもらって」
 そして、というのだ。
「このお店のことも私のこともこれまで以上に知ってもらうわよ」
 スーは顔を赤らめさせ微笑んでペドロに言った。そのうえで彼と共に店で働くのだった。これからのことも考えながら。


もう年下でも   完


                       2014・10・30 
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