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イカチィ顔のリア充ライフ

作者:Y.L
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第一章

 
前書き
今回も、お読みいただきありがとうございます。
前回に続く第一章を書かせていただきました。
今後もよろしくお願いします。 

 
「お客様、注文はお決まりでしょうか?」
「このビーフステーキとライスください。吉川君は?」
 やっべまだ名前聞けてねーじゃん。
「えっと、この若鶏のグリルとライス―あと、ドリンクバー2つで。いるよな? ドリンクバー」
「あ、うん!ありがと!」
 笑った顔はすごくかわいかった。もしこんな彼女いたら最高なのに…。
「ご注文承りました。ドリンクバーはあちらのほうからご自由にどうぞ」
「なぁ―そういえば名前聞いてなかったけどなんていうんだ?」
「あ、名乗るのを遅れてごめんなさい。山田華って名前です。華ってよんでね」
 華って名前らしい。華は笑顔で答えた。
「改めてよろしくな」
 華は笑顔で頷いた。その日俺たちは日が沈むまでいろんなことを語った。
 次の日の学校。
「よっしかーわくーん!」
 すっごいはしゃいでこっちに走ってきた。なんだかんだいって昨日、結構仲良くなったわけだ。
「やけにテンション高いな。なにかあったのか?」
「今日は早帰りですよ!早く家に帰れるんですよ!」
 そういえばそうだった。先生たちが会議かなんかで早帰りだ。
「ああ、そうだったな。んで、それがどうしたんだ?」
「どうしたんだって、頭大丈夫ですか? 早く帰れるのにうれしくないわけないじゃないですか!」
 と、華はものすごくうれしそうに言った。
「別に帰ってもゲームしてるだけだし、そこまで楽しみなことはないかな」
 彼女は目を輝かせて聞いてきた。
「じゃあ、ひまなんですね?」
「ま、まぁ。暇っちゃ暇だな」
「こないだの、ファミレス行きましょっか」
 こんなかわいい子に誘われて断る理由もない。何で俺なんかにかまってくれるんだろう。一人ぼっちだった俺に何で話しかけてきてくれたんだろう。そんなことを考えてるうちにファミレスについた。
 華は、今日は何にしよっかなーと呟きながら華はメニューを睨んでいた。
「吉川君はなにをたべるの?」
「俺はいつも通りの若鶏のグリルかな」
「それ好きだね。肉ばっかり食べてちゃだめだよ?」
「うるせっ。うまければいいんだよ」
 なんか心配してくれてるみたいで内心うれしかった。
「お客様、注文はお決まりでしょうか?」
「チーズグラタンとシェフサラダとドリンクバーください!」
 本当に食べるのが大好きなのか、華ははしゃぎながら言った。
「俺は、若鶏のグリルとライスとドリンクバーで。あ、あとこのウマウマチキンください」
 どんな名前だよ。ウマウマチキンとか。ネーミングセンス無さ過ぎだろ。言うのが恥ずかしいわ。
「吉川君すごいね。」
「え、なにが?」
「私それ前から食べたかったけど名前言うの恥ずかしくてなかなか注文できなかったんだよ」
 こいつもか。やっぱり恥ずかしいもんなんだ。
「俺も恥ずかしいよ…」
 ちょっと間があいたから聞いてみた。
「なぁ、何で俺なんかと話したりしてくれるんだ? 前までいつも一人ぼっちだったし、変な噂たってたし。俺といるだけで変な目で見られるだろ? なのに何で?」
 華は遠い昔を見る目で言った。
「吉川君は昔の私に似てるから、重ねちゃうんだよ。私も一人ぼっちだったから」
 その言葉を華から聴くのは意外だった。
「でも華、スタイルいいし、美人だし性格もわるくないじゃん」
 華は一瞬照れて、冷静になり、いった。
「昔はこんな人じゃなかったんだ」
 俺はその言葉の意味をいまいち理解できなかった。どういうことだ?
「昔は一人で捻くれて、喧嘩売ってくる人たち片っ端から倒したの。私は幸せってものをしらなかったんだ。私は弟がいて、弟の笑顔を見ることはあまり無かった。ある日、弟は事故にあったの。そのとき数十年ぶりに家族が家族らしく病室に集まった。そこから私たちはだんだん昔みたいに笑いあう家族になった。その時弟が言ったんだ。『今の姉ちゃんのほうが昔よりずっと好きだっ』て。私は泣いちゃったよ。その日から変わろうと決心したの。それでこんな遠いとこまで引っ越してきたんだ―」
 そして華は最後に笑みを浮かべていった。
「長々といやな話聞かせてこめんね」
 意外だった。予想もしなかった。こんな人が昔ヤンキーだったなんて。でも変わろうとしたのはすごいと思う。
「人の人生に歴史ありだな―いや、俺こそいやなこと聞いて悪かったよ」
「いえいえ、いつかは話すことにしてましたのでちょうどいいです」
 そんなこんなでこの日も遅くまでレストランにいた。
 帰ると妹の吉川優奈、中学2年14歳。がニヤニヤしながら近寄ってくる。
「お兄ちゃん彼女でもできちゃったー? 優奈じゃ物足りなかったかー」
 いきなりどうしたんだこいつ。と、さめた目で見てると。
「今日見ちゃったんだー。お兄ちゃんがすごい美人さんと二人でファミレスにいるの」
 あー、面倒なことになった。
「あれはただの友達だ。あんな人と付き合えるわけ無いだろ」
「そうだね、お兄ちゃんみたいな人が、モデルみたいな人と付き合えるわけないよね」
 自分で言い出したことだが、異常に腹立たしい。
「みたいな人ってなんだよ。イケメンじゃなくて悪かったな」
「お兄ちゃんも、十分イケメンだよっ―どう? キュンってきた?」
「妹にキュンキュンするわけがないだろ。」
「それいっちゃだめだよー」
 妹は悲しそうに言いながらさっていった。
 俺は4人家族。でも父と母は仕事の都合で家にいないことが多い。だから普段は、俺と優奈の二人暮らしみたいなもんだ。これがいいことなのか悪いことなのかは、自分でもよくわからない。
 今日は祝日、学校もない。一日暇だ。こんなときに華がいたら…なんて考えてしまうようになっていた。
 やることも無く暇だったから、ゲームをすることにした。自分で言うのもあれだが、FPSは得意だ。所属してるクランはそこまで強くはないが、大会でもトップ50にはいつも入る。
 一人でゲームをしていたらクランの人がオンラインになった。クランは全員で5人の小規模なクランだ。
■イマカズ「よぉ、優じゃん!久しぶり!」
■優「カズじゃん。久しぶりだな。」
 クランの中でも強いほうのイマカズだ。初めてしゃべったときは思わず、どんな名前だよ―って声を漏らした。
■イマカズ「一対一やろーぜ!」
■優「いーよ。何にする?」
■イマカズ「もちろんスナイパー戦だろ」
 スナイパー戦は得意だ。俺はまだ、カズに1敗もしたことが無い。
■イマカズ「今度こそ勝つからな!お前が最近インしない間に俺めちゃくちゃ練習したからな」
■優「上等だwwかかってこいww」
 最近流行のWhite Ops 2 通称WO2だ。このゲームは”ファーストパーソン・シューティングゲーム”の略つまりFPSだ。FPSとは、シューティングゲームの一種で、主人公本人の視点でゲーム内の敵を撃つゲームだ。
■イマカズ「お前ほんとつえーな。一勝どころかキルすら難しいわ」
■優「なめるなwこれでも世界トップ50だぞw」
■イマカズ「そういや、そうだったな。あまり強くないクラン入ってるから忘れとったわw」
■「てか、俺の学校珍しくてよ、今頃実力テストなんだー。マジありえなくね?」
 おい、こいつなんていった?ありえない。俺の学校も今度実力テストがある…でもそんなわけのわからん偶然ある分けないよな―と自分を説得する。そんなはずがないと思い一応いってみる。
■優「おぉ、お前もか。俺もなんだよな」
■イマカズ「マジか?!お前なんていう高校だ?まさか俺と同じだったりして―ちなみに俺は桜ヶ丘高等学校ってとこだ!」
 うそ…だろ。その”まさか”じゃねーかよ。
■優「お、俺も桜高だぞ…」
■イマカズ「もしかして、優って吉川優?」
■優「ああ、そうだ」
■イマカズ「なんだ、今まですっげー怖いやつかと思ってたけど、全然ちげーじゃん!」
「はぁ」
 安心からだろうかため息がでた。このまま避けられることだけはいやだったから。
■優「何だよそれ。まぁ避けられないだけ安心したよ」
■イマカズ「ほかのやつらも全員桜高の人だぞ!」
 え、マジかよ…それはきついわ。俺ってわかったらほかのやつらクランから出て行きそうな予感がした。
■優「それ、やばくないか? みんなクラン出てくぞ」
■イマカズ「そんなことないよ!!みんな長年の仲間だろ!」
 まぁ、確かにこの面子でWO2やってるのは、発売日から2年近くたつ。
■優「それなら、いいんだけどよ…」
■イマカズ「まぁ、俺そろそろ落ちるからまたなっ!学校で話しかけるわ!」
 そういってカズは、ログアウトしていった。まさかこんな長年一緒にゲームしてたやつが、身近にいるとは想像もしなかった。
 月曜日、俺はカズが誰なのかどんな顔なのかって考え事ばかりしていたときに、後ろから声が聞こえた。
「優!」
 振り向いても誰もいない。どういうことだ?確かに声は聞こえたはずだが…
「ここだよ!ここ!」
 下を見ると異常に身長がちっちゃい男子がいた。
「もしかしてイマカズか?」
「そう!俺がイマカズ。今井一輝だ!」
 マジかよ。言葉づかいからして、そこらへんのチャラチャラした、イケメンかと思っていた。でもちびのめがねだったとは。
「え、まじか」
 俺は笑いを堪えきれなかった。さすがにこれは笑ってしまう。
「なんだよ!馬鹿にしてんのか?」
 笑顔で言ってきた。
「正直チャラ男のイケメンかと、思ってたわ」
「うるっせーな。伸びないのはしょうがねーだろ」
 そんなこんなで俺は友達がもう一人増えたのだった。 
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