大陸の妖精
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大陸魔法
アルトの体全体を翠色の光が覆い、明るく光らせる
エーテリオンの魔力を吸収したアルトは未だかつてない程の凄まじい魔力を放出していた
エルザ「(なんだこの魔力は・・・いつもの〝アルディマ・ルテーム〟じゃないのか!?)」
ジェラール「(バカな・・・ありえん・・・本当にエーテリオンを吸収したのか!!?)」
アルト「ごばァ!!」
エルザ・ジェラール「「!!」」
突然、首元を押さえ苦しみ出すアルト
それを見たエルザは不安の表情を浮かべ、ジェラールは額に冷や汗をかきながらもニヤリと笑みを浮かべた
アルト「がっ・・・うがァ・・・!!」
エルザ「やはり無茶だアルト!エーテルナノには〝地〟以外の属性も融合されているんだぞ!!」
アルト「がふっ・・・ぐはァあ!!」
ジェラール「(大地の魔力を吸収する魔法か・・・〝地属性の魔力〟の代わりに〝強力な魔力〟そのものを吸い上げればパワーアップするとでも思ったか!?)」
血を吐きながら、片膝をついたアルトは苦悶の表情を浮かべる
身体が小刻みに震え、かなり苦しそうだ
エルザ「アルト!!」
ジェラール「(その短絡的な考えが自滅をもたらした)」
アルト「オ オ オ オ オ オ!!!!」
しかしその時 翠色の光がより一層強くなり、アルトは塔全体が震えるほど大きな雄たけびを上げる
ジェラール「(なに!!?)」
叫んだアルトは再び立ち上がり、ジェラールを睨みつける
ジェラール「(バカな・・・ありえん!! 魔力を取り込み、自身の力に変えるなど・・・!!)」
エルザ「(そういえば・・・シモンがあの時言っていた言葉・・・)」
『アルトレアに聖なる大地の力が宿る時、邪悪は呑まれ滅びゆく』
エルザ「(シモンはアルトの中に眠る力に気づいていたのか・・・!!)」
ジェラール「(この戦いの最中に習得したと言うのか!!?この感じはまさしく・・・大陸魔法の一つ、〝豊穣〟!!!!)」
驚愕の表情を隠せずにいるジェラール
アルトは目にも止まらぬ速さでジェラールを殴り飛ばす
アルト「お前がいるからエルザは涙を流すんだァァア!!!」
ジェラール「ぐはァ!!」
そのまま塔の地面にジェラールを叩きつけるアルト
その勢いは塔の地面を突き破り、魔力の漏洩と共にジェラールは地へと下がっていく
アルト「俺は約束したんだ!!」
そういったアルトは脳裏に優しい笑顔を浮かべるシモンを思い浮かべる
『アルトレア、エルザを頼む』
シモンと最後にかわした言葉がアルトの心に突き刺さる
アルト「シモンのために!!エルザのために!!俺がテメェをぶちのめすんだァァアア!!!」
ジェラール「ぐっ・・・こざかしい!!〝流星〟!!!」
ジェラールは輝かしい光をその身に纏い、アルトの拳から脱出した
ジェラール「この魔法にはついてこれまい!!!」
アルト「はァアアア!!!」
上に逃げるジェラールを見たアルトは両足に力を加え、自身にストップをかける
そして流星にも劣らぬ速さでジェラールの首筋に手を伸ばす
ジェラール「バカな!?この速さについてきた!!?」
驚くジェラールの首をつかみ上げるアルト
そしてもう片方の腕で、再び塔の下へと殴り飛ばす
ジェラール「ぐあァ!!」
アルト「まだだァアア!!」
凄まじいスピードで落ちていくジェラールの下へと周りこんだアルト
今度は塔の上に向かってジェラールの身体を蹴り上げた
ジェラール「(流星をも上回るスピードだと!?やはり今のアルトレアが使っているのは間違いなく大陸魔法!!)」
アルト「オ オ オ オ オ オ オ オ!!!」
蹴り飛ばされたジェラールは床を突き破り、再び塔の最上階へと到達した
それを追うようにアルトが最上階へと登り詰める
ジェラール「オレは負けられない!!!自由の国をつくるのだ!!!!」
吹き飛びながらも上手く体制を立て直すジェラール
ジェラール「痛みと恐怖の中でゼレフはオレにささやいた、真の自由がほしいかとつぶやいた!!そうさ・・・ゼレフはオレにしか感じる事ができない!!」
アルト「テメェだけは自由を語る資格はねェよ!!」
ジェラール「オレは選ばれし者だ!!!!オレがゼレフと共に真の自由国家をつくるのだ!!!!」
アルト「それは人の自由を奪って つくるもんなのかァァーっ!!!」
邪悪な笑みを浮かべるジェラールと怒りで青筋を浮かべるアルト
互いの闘気がぶつかり合い、大気が震える
ジェラール「世界を変えようとする意志だけが歴史を動かす事ができる!!貴様等にはなぜ それが分からんのだァ!!!!」
そう叫んだジェラールは空中に魔法陣を描く
エルザ「煉獄消滅!!!?塔ごと消滅させるつもりか!!!」
ジェラール「また8年・・いや・・次は5年で完成させてみせる・・・ゼレフ、待っていろ」
アルト「〝次〟などねぇー!!!!」
アルトはスピードを加速させ、ジェラールに近づく
ジェラール「!!!」
一方のジェラールは、煉獄消滅を放とうとした瞬間、エルザに斬られた傷が痛み、一瞬動きを止める
アルト「何が自由国家だ!!お前のくだらねェ夢物語のせいで涙を流す奴が何人いると思ってんだァアア!!」
ジェラール「くっ・・(傷が・・・!!)」
アルト「テメェは自由になんかなれねぇ!!!亡霊に縛られてる奴に自由なんかあるわけがねェ!!!」
輝かしい威光を放ちながら、アルトは拳を握りしめる
目を見開き、ジェラールに己の魔力全てを込めた全身全霊の攻撃を放とうとしている
ジェラールの瞳には絶世の光を纏うアルトがしっかりと映っていた
アルト「自分を解放しろォォ!!!!!ジェラァアァァアァァル!!!!!」
己の拳を振りおろし、ジェラールを塔の中心へと叩きつける
水晶の塔が粉々に砕け、蓄えられていた魔力と共に水晶が粉塵と共に散る
その光景は海の上にいるルーシィたちにもハッキリと見えた、美しい水晶の塔が大破し、爆発と共に轟音が響いていた
エルザ「(これが・・アルトの真の力・・・)」
塔の最下部まで落ちたジェラールを上から鋭い眼光で見下ろすアルト
エルザはその光景をただただ驚いて眺めていた
エルザ「(あのジェラールを倒した・・・私の・・・8年にわたる戦いは終わったんだ これで・・みんなに本当の自由が・・・)」
するとアルトは緊張の糸が切れたのか、翠色の光を失い、両膝を地面につける
エルザ「アルト!!!」
それを見兼ねたエルザは急いでアルトの元へ駆け寄り、アルトの身を抱きとめる
アルト「エルザ・・シモン・・俺は・・・勝ったぜ・・・!!」
エルザ「あぁ・・・お前はすごい奴だ、本当に」
アルトの無事を確かめるように、静かに抱きしめる力を強めた
しかし、突如、塔の損傷部分から大量の魔力が溢れる
魔力は外に放出され、夜空に何本もの光線を描いている
ルーシィたちは、その様子を海の上から見ていた
ジュビア「塔が・・・何アレ!!?」
グレイ「ま・・まさかエーテリオンが暴走しているのか!!?」
ルーシィ「暴走!!?」
グレイの言葉を聞いたルーシィは声を張り上げ驚く
ハッピー「元々、あれだけの大魔力を一か所に留めとく事自体が不安定なんだ」
ジュビア「行き場をなくした魔力の渦が・・・はじけて大爆発を起こす」
ウォーリー「ちょ・・・こんな所にいたらオレたちまで」
ショウ「中にいる姉さんたちは!!?」
ナツ「ア・・アルトは無事なのか!?・・・うぷっ」
グレイ「誰が助かるとか助からねえとか以前の話だ、オレたちを含めて・・・全滅だ」
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