ジャパネスク
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第一章
ジャパネスク
キャサリン=ディソンはアメリカから、王l紅梅は中国からそれぞれ日本の八条大学に日本文化を研究する為に留学してきている。もっと言えばキャサリンはロサンゼルスから、紅梅は寧波からそれぞれ来日してきている。
その二人についてだ、友人達は言う。
「二人共研究熱心で」
「しかも真面目で」
「日本と正面から向かい合っていて」
「日本語にも堪能で」
二人共というのだ。
「いい研究者よね」
「本当にね」
「あれなら将来もね」
「かなりいい研究者になれるわ」
「そうよね」
こう二人について話すのだった、実際に二人はかなりいい研究者だった。
キャサリンは奇麗な赤がかったブロンドの髪にグレーの瞳を持っている。鼻はコーカロイドらしい高さに唇は小さく紅だ。顔の彫は深く背は一七〇近い。
紅梅はキャサリンと同じだけの背丈で黒髪を長く伸ばしていて後ろで束ねている。すらりとしたスタイルで目は切れ長の黒いものだ。細面の流麗な顔をしている。
二人はよく一緒にいてそれであれこれと話をしている。
それはこの時も同じでだ、キャサリンから紅梅に言った。
「私この前奈良に行ったけれど」
「よかったでしょ」
キャサリンの流麗な日本語にだ、紅梅も流麗な日本語で返した。
「あそこも」
「ええ、奈良時代の日本ね」
「その頃の日本もいいのよ」
「そうね、京都は平安時代で」
「奈良はその時代よ」
まさに奈良時代だというのだ。
「その時代の日本も凄くいい研究対象なのよ」
「そうよね、ただ」
「ただ?」
「いや、一つ思うことは」
ここでキャサリンが言うことはというと。
「日本文化を研究していくとね」
「どうだっていうの?」
「うん、何か色々あり過ぎるわよね」
「それ我が国もだけれどね」
紅梅はここで自分の国のことも話に出した。
「その時代によってそれぞれの文化があるのよ」
「そういうことね」
「そう、だから平安と奈良でなのよ」
「それぞれ違うのね」
「あと地域もあるから」
こちらのこともというのだ。
「関西と関東で」
「そうそう、関東は関東でね」
「文化があるわよね」
「独特のね」
「関西は京都に大阪、神戸に奈良」
「そういう場所で」
「関東や江戸つまり東京に横浜、鎌倉ね」
関東の地域も挙げられていく。
「それぞれあるわね」
「だからね」
「そのことも頭に入れて」
「日本文化は勉強しないとね」
「本当にね」
二人でこうした話をしてだ、そうしてだった。
キャサリンと紅梅はそれぞれ日本文化について研究していった。それは最初は奈良時代や平安時代の文化だった。
しかしそれが江戸時代や明治時代になりだ、遂に。
現代の日本文化についてもだった、研究が進められていった。その中で。
キャサリンは紅梅と共に大学の図書館でその現代日本文化の資料を読みつつだ、自分と同じく現代日本文化の資料を読んでいる紅梅にこう言った。
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