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恋のレッスン

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第三章

「高校生にも恋愛は必要です」
「えっ、そう来た!?」
「ここで高校生には早いとか言うと思ったのに」
 生徒達は奈央のその言葉にまず驚いた、奈央の性格を考えると高校生の恋愛は完全に否定すると思ったからだ。
 だが、だ。奈央はそれを必要と言う、それで彼等は驚いたのである。
「そこでそう言うなんて」
「嘘みたい」
「辻井先生なら全否定でしょ」
「恋愛なら大人になってからとは」
「ましてや浮気はご法度」
「不倫は淫行とか」
「そう来ると思ったのに」 
 しかしだ、奈央はこう言ったのである。
「恋愛は必要って」
「私達にも」
「それは何ていうか」
「凄い展開になったな」
「予想外の」
 こうひそひそと話す、しかも。
 奈央は生徒達にだ、こうも言った。
「接吻、そしてそれからも」
「えっ、それもかよ」
「いいのかよ」
「構いません」
 こう言うのだった。
「そしてです」
「そして?」
「そしてというと」
「愛の結晶を儲けることも」
 つまり子供を作ることもいうのだ。
「構いません」
「おいおい、そこまで言うのかよ」
「究極いったじゃない」
「それも簡単に」
「何でもないみたいに」
 皆このことの唖然となった、まさか奈央がここまで言うとは思わなかったからだ。
 教室の中は騒然となった、だがその彼等を。
 奈央はだ、ぴしゃりと言った。
「静かに」
「はい」
「わかりました」
 生徒達は奈央の言葉にすぐに静寂に戻った。やはりkの辺りは帝国海軍の様だ。
 そして奈央はだ、こうも言ったのだった。
「法律では男子は十八歳、女子は十六歳から結婚出来るので問題なしです」
「じゃあ俺十八になったら」
「私もう十七だから」
「僕も十八だよ」
「それじゃあ」
「結婚出来ます、結婚すれば愛し合うのは当然です」
 奈央はにこりともせず言った。
「そうした行為は誰も止められません。勿論私にもです」
 奈央にもというのだ、厳格極まる彼女でも。
「今では僧侶も妻帯が許され校則にも結婚は禁止されていないので」
「じゃあ恋愛は」
「いいのね」
「辻井先生からお許しが出たぞ!」
「やったわ!」
「しかし」
 だが彼等の喜びは早かった、ここで奈央は。
 やはり落ち着いた顔でだ、こう彼等に言った。
「それは一人に対してだけです」
「一人!?」
「一人っていうと」
「恋愛の相手は一人でなければなりません
 それは絶対に、という口調での言葉だった。
「そしてその相手とです」
「まさかそれって」
「ひょっとして」
「永遠に。相手が死ぬまで共にいなければなりません」
 こう言うのだった。 
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