Bistro sin〜秘密の食堂へいらっしゃいませ〜
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ビストロと咎人.4
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「えーっと、平泉さん…なんで俺を…」
賢太郎が言いかけた時、平泉はまたニコリと笑った。
「フィーリング。大切だとは思いませんか?私かなり、フィーリングを重視するんですよ。」
「は、はぁ…」
それ以上の会話は続かなかった。
正直、働ければどこでもいいと思ってる賢太郎は断る台詞も見つけられず、
平泉 八郎と言う男に付いて行くことにした。
あまりに怪しければ、逆に通報してやればいい。
寧ろ何も知らされずに連れて行かれるんだから、何かあったらこっちは被害者だ。
そんな事を思いながら、平泉に付いていく。
何度か角を曲がりながら、街の外れの方に歩いて来ている。
ある角を曲がって平泉が振り返った。
「山田 賢太郎さん、今日からあなたはここで働いて貰います。」
そこは廃れた住宅街のような場所で、まともな職場があるようには思えない。
いよいよ、賢太郎は悪い予感が当たったのではないか?
と心構えをした。
平泉は更に数歩進んで、賢太郎を手招いた。
恐る恐る賢太郎は近寄る。
平泉が指をさした。その先に賢太郎が目を向ける。
そこは古い住宅のようなテラスの建物で、入り口の扉が少し階段を降りた先に構えていた。
入り口に看板があり『Bistro sin』と書いてあった。
「ビス…ト‥ロ?」
「そう、ここはビストロシン。ようこそ山田 賢太郎さん。」
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