ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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SAO編
Chapter-9 新婚生活
Story9-9 ストレス発散
第3者side
ダンジョンは石造りのため比較的歩きやすく道も今のところは一本道だ。
「うおおおおぉぉ」
「うりゃああぁぁ」
キリトは右手でエリュシデータ、左手でダークリパルサーを、
シャオンは右手でエターナリィアクセル、左手でスターライトクリエイターを振り回して現れる魔物の群れを蹴散らしている。
今まで休暇で戦いが久しぶりのため溜まっていた鬱憤を一気に晴らしている。
女性陣はどうやらガールズトークに花を咲かせているようだ。
ちなみに子供たちは2人で後ろからついてきている。
「な、なんだか、すみません、任せっぱなしで…………」
申し訳なさそうに首をすくめるユリエールに、アスナたちは苦笑した。
「いや、気にしないでください。いつもの事だし、あれはある意味病気ですから、やらせとけばいいんですよ」
「あはは」
そこでキリトたちが会話を聞きつけて戻ってきた。
「なんだよ〜、酷い言われようだな〜」
「病気はさすがにないだろ」
キリトとシャオンは口を尖らせながら言った。
が、娘のユイとレイの『パパかっこよかった!』の一言に気分を良くしてキリトとシャオンが『さぁーて、
もっとがんばるぞ!』とまた張り切っている。
ユリエールは右手を振ってマップを表示させると、シンカーの現在位置を示すフレンドマーカーの光点を示した。
このダンジョンのマップがないため、光点までの道は空白だが、もう全体の距離の7割程度は詰めている。
「シンカーの位置は、数日間動いてません。
多分安全エリアにいるんだと思います。
そこまで到達できれば、あとは結晶で離脱できますから。
すみません、もう少しだけお願いします」
ユリエールに頭を下げられ、キリトは慌てたように手を振った。
「い、いや、好きでやってるんだし、アイテムも出るし…………」
「何かいいもん出た?」
シャオンが興味を持ちキリトに尋ねた。
キリトが手早くウインドウを操作すると、その表面に、どちゃっという音を立てて赤黒い肉塊が出現した。
そのグロテスクな質感に、女性陣は顔を引きつらせる。
「な、ナニソレ?」
「カエルの肉だ!
ゲテモノほど旨いって言うからな。アスナ、あとで料理してくれよ」
「きゃあぁぁーー」
「お前物好きだなー」
アスナは見せられたカエルの肉を掴み捨ててしまった。
キリトが何かをどはどばとアイテムストレージから出したがアスナは相変わらずで全部捨ててしまった。
「あっ!あああぁぁぁ…………」
世にも情けない顔で悲痛な声を上げるキリトに、我慢できないとばかりにユリエールがお腹を抱えて、笑いを漏らす。
途端に子供たちが嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、
「お姉ちゃん、はじめて笑った!」
「笑ったーーー!」
叫んだ子供たちに、彼女も満面の笑みを浮かべた。
2人は周囲の心に敏感なのだろう。
シャオンはレイを抱き上げた。
それを見て情けない声を出していたキリトもユイを抱き上げた。
「先に進みましょう」
フローラの声に再び歩き出しさらに奥を目指すのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ダンジョンに入って暫くは水中生物型がほとんどだったモンスター群は、階下に行く毎にゾンビやゴーストといったアストラル系のモンスターに変化していた。
アスナとフローラは相変わらずそういったタイプのモンスターは苦手なようで終始顔を引きつらせていた。
男二人があまりにかっこよすぎたのか子供達がキリトとシャオンどっちが強いかで話してしまい、それぞれ自分の父親のほうが強いと言い出した。
「パパのほうがつよいです!」
「レイのパパのほうがつよい!」
フローラは困ったように2人をなだめようとしたが徒労に終わった。
おまけにキリトが『試してみるか?』と言い出してしまいなぜか勝負になってしまった。
子供たちをそれぞれに妻に預け、2人は走り出した。
「「パパがんばれ!」」
2人の声援が同時に聞こえ、
「負けないからな!」
「勝利を譲る気はないから、覚悟しとけよ」
2人はお互いにそういいモンスターの群れに飛び込んだ。
ここがいくら60層レベルと言えども、2人は安全マージンを30はとっているので1人でも苦労しない、いや自分の子どもにいいところを見せようとがんばるのでよりいつもより強さがましている。
そんな夫2人の光景を見ながら2人の妻は呆れていた。
「すみません、ユリエールさん」
「本当申し訳ないです」
アスナ、フローラに謝罪されユリエールはとんでもないと首を横に降った。
「おかげで順調にすすめてますし。なによりすごい強さですね。私ひとりじゃこんな…………」
「「あ、あははは」」
2人の妻は笑ってごまかすしかなかった。
いっぽうの男性陣は子どもにいいところを見せようと躍起になっていた。
キリトも普段は二刀はあまり使わないが、この時だけはシャオンに負けるわけにはいかないと全力だ。
シャオンはSEED Mode-Accelerationを発動させ、光のごとき速さで狩っていく。
しばらくして、アスナがマップでシンカーの位置近くまできたことを告げたのでそこで勝負終了。
結果は…………シャオンの勝ち。
「やった、さすがパパ!」
といってレイがシャオンに飛びこんだ。
シャオンもそれを抱きとめ頭を撫でてやっていた。
キリトに『今回は勝たせてもらった』と礼を言い、ユリエールの方を振り向いた。
すると少し先に、ついに暖かな光の洩れる通路が視界に入った。
「あっ、安全地帯よ!」
アスナが言うと同時に、索敵スキルで確認したシャオンとキリトも頷いた。
「奥にプレイヤーが1人いる」
「グリーンみたいね」
フローラの声とともにユリエールが叫んだ、
「シンカー!」
もう我慢できないと言うように、シンカーの名前を叫ぶユリエールが、金属鎧を鳴らして走り始めた。
その時、シャオンは何かの気配を感じた。
「だめだ!行くな!」
Story9-9 END
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