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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-8 74層攻略
  Story8-9 決戦の代償

第3者side



第50層 アルケード・エギルの店



黒と蒼の二人は、朝からエギルの雑貨屋の二階にシケこんでいた。

片方は椅子にふんぞり返って脚を組み、店の不良倉庫なのだろう奇妙な風味のお茶を不機嫌に啜る。
もう片方は備え付けのベッドに仰向けに倒れている。


既にアインクラッド中が昨日の事件で持ちきりだ。

フロア攻略新しい街へのゲート開通だけでも十分な話題だが、今回はそれ以上の話題があった。


新聞曰く、『軍の大部隊を壊滅させた悪魔』 曰く 『それをたった2人で撃破した』曰く
『一撃必殺二刀流使いの50連撃、流星のごとき神速を越えた二刀流の300連撃』



尾ひれが付くにも程があるレベルだ。




なんと言っても通常では有り得ない限界の更に向こう側、50連撃だ。
通常の片手剣スキルの10倍程の連撃をしている……のだから。

そこに通常では目視できないほどの速さで放たれる技。
どう考えても話題になる。




「ったく、一体どうやって調べたのか」

キリトは、げんなりとしていた。

家には早朝から情報屋・剣士が押しかけてきて、脱出するのに転移結晶を使ってしまった。

「まーったくだ……」

シャオンも同じように朝から情報屋・剣士が押しかけてきて、脱出するのにSEEDを使ってしまった。

「こうなったら引越ししてやる…………どっかすげえ田舎フロアの絶対に見つからないような村に…………」

「心の底から同感だ」

そんな2人にエギルは、ニヤリと笑っていた。


そして、2人の前に立つと。

「まあ、そう言うな。一度くらいは有名人になってみるのもいいさ。いっその事2人で講演会でもやって見ちゃどうだ?2人もいるんだし実演もできんだろう?会場とチケットの手筈はオレが」

何やら自分達を使って卑しい商売を初めようとするこの黒人の商人を見て2人は。

「「するか!!!」」

その提案を一蹴した。

キリトは右手のカップを、シャオンはピックを左手で取り出してエギルの頭の左右へと撃ち放った。

身に染み付いた動作で投剣スキル〔シングルシュート〕が発動してしまい、猛烈な勢いがエギルを襲う。

ガキィィィン


更に投剣とカップが壁に激突したその時、大音響を撒き散らした。
壁自体は破壊不可能だから視界にImmorta Objectのシステムタグが浮かんだだけだった。

流石にキリトが投げた家具は破壊可能だから粉砕してしまった。


シャオンが投げた投剣は、エギルの首横3cm程の所に突き刺さっている。

襲われたエギルは、ぎょっとしていた。

「おわっ!!お前ら殺す気か!!」

大袈裟にわめく店主。

「よけいなこと言うからだ」

「てか……ああでもしなきゃ、大変だったんだよ」

「実際、俺たちもやばかったからな」



キリトの撃二刀流とシャオンの連二刀流、神速剣、SEED。
それらが1つでも欠けていたら?

被害はアレだけですまなかった。





そんな時だった。

「キリト君っ!!」


勢いよく開いた店の扉の前に人影があり、そして慌てた声が部屋に響き渡った。
その主は噂の目撃者でもあり、今現在キリトのパートナーでもあるアスナだった。




実は、エギルの店に来た本当の目的は、前日の攻略で手に入れた宝を山分けをしようとしていたのだ。


だが、時間を過ぎても2人は、さっぱり現れない。
此処にはシャオン、キリトと言う順番だったが、後2人は来なかった。
アスナがギルド本部へ休暇届けを出しに行ってると言う事は、キリトから聞いていた為、長引いているのだろうと判断した2人は一応先に到着したと言うフレンドメッセージを送った。

フローラはきっと寝坊だろう…………


だから、この場所にもう来ている事は知っているのだ。



キリトはアスナが来た事に内心喜んでいた。

アスナの後ろにいたフローラも部屋へと入ってきた。

「よっ、アスナ」

「フローラ、今日も寝坊したな」

「言わないでよ…………」

フローラを含めた3人はそれぞれ思った一言を言う。


だが、アスナの表情を見て色々と何か話そうとした言葉を飲み込んだ。

不安そうに眼を見開いており、両手を胸の前で固く握って二度三度唇を噛み締めた後

「ど、どうしよう……キリト君…………大変な事になっちゃった…………」

と、アスナは、泣き出しそうな声でそう言っていた。

「何かあったのか?」

キリトはゆっくりと立ち上がってそう聞いた。

「昨日、あれから、グランザムのギルド本部に言って、合った事を全部団長に報告したの。
それでギルドの活動をお休みしたい、って言って。その日は何も無くて戻ったの。…………でも」

アスナは息を呑んだ。

「団長が一時退団を認めるのには条件があるって……キリト君と立ち会いたいって…………」

「なっ…………」

キリトは、アスナの言葉に一瞬何を言っているのか理解できなかった。

「意味無いって一生懸命説得しようとしたけれど、どうしても聞いてくれなくて」

アスナは本当に落ち込んだ様子でそう言っていた。

「でも、珍しいな。あの男がそんな条件を出してくるなんて」

「同感だ」

脳裏に彼の姿を思い浮かべながら2人は呟いた。

「そうなのよ。団長は普段ギルド活動所か、フロア攻略の作戦とかも私達に一任して全然命令しないの。

でも、今回に限って何で……」

キリトは首を捻りつつもアスナを安心させる為

「ともかく、オレも一度グランザムまで行くよ。あの男に直談判してみる」

「ごめんね…………迷惑ばっかりかけちゃうね」

「何でもするさ。大事な…………」

言葉を捜して沈黙するキリトをアスナはじっと見つめる。

「……攻略パートナーの為だからな」

その返答に不満なのかアスナは唇を尖らせていた。


















キリトたちが行ってしまったあと

「…………」

フローラはシャオンの方を向いた。

ヒースクリフの元へ向かったのはキリトとアスナの2人だけ。

「行かなくて良かったのかなぁ」

「アスナとキリトに任せたら良いって思えたんだ。それにさ…………

今回はキリトが、愛しているアスナの為に行っている。俺は2人にしてあげたいって思ったのもある。



それに、あの2人なら何とかしてくれるさ」

「まっ、そうだねっ」
















Story8-9 END 
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