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ドリトル先生と学園の動物達

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第四幕その六

「ここは」
「そっちの仕事も」
「うん、どうかしら」
「それはね」
 特に、と返す先生でした。
「そう言われてもね」
「考えないの?」
「僕は探偵はね」
 そっちの分野についてはというのです。
「あまり興味というか」
「というか?」
「うん、、向いていないと思っているし」
 それにというのです。
「柄じゃないかな」
「そう思っているからなんだ」
「うん、そっちのことはしないよ」
 探偵の様なことはというのです。
「今もこれからもね」
「そうなんだ」
「そういう考えだよ」
 穏やかにこう言う先生でした。
「僕に推理はね」
「柄じゃないんだ」
「うん、格好よくとかはね」
 ホームズみたいにとです、笑ってポリネシアに言うのでした。
「そういうのは僕には無理だよ」
「あら、外見の問題じゃないわよ」
 ダブダブは左の翼を上げて先生に言います。
「それは」
「というと?」
「ブラウン神父なんか先生みたいな外見だけれど」
「名探偵だっていうんだね」
「ネロ=ウルフなんか全是動かないじゃない」
 ずっとお部屋の中でビールばかり飲んでいます、美食家で助手の人をとにかくこき使っている暴君でもあります。
「ドーバー警部はもっと酷いわよ」
「あの人全然鋭くないしね」
 トートーも言います。
「先生よりずっと太っていて性格も悪くて」
「しかも怠け者でね」
 先生は性格は悪くないですし怠け者でもありません、むしろその逆です。
「そういう人でも探偵なんだよ」
「それを考えたらね」
「先生だってね」
「探偵になれるよ」
「あはは、名探偵じゃなくて迷探偵になるよ」
 また笑って応える先生でした。
「僕だとね」
「ううん、本当に探偵の方はなんだ」
「先生興味がないんだ」
「あくまで先生でいいんだ」
「そっちなんだ」
「そうだよ、僕は今のままでいいよ」
 充分満足しているというのです。
「このままでね」
「やれやれ、先生は欲がないね」
「先生のままでいいっていうんだから」
「名探偵にもなる気がないって」
「本当に欲がないよ」
 動物達はこのことはこれで終わらせるのでした、日笠さんとのこととは違って。それでトミーもでした。
 先生にです、西瓜について言うのでした。
「先生、西瓜はまだまだありますから」
「うん、だからだね」
「どんどん召し上がって下さい」
 笑顔でこう言うのでした。
「それもよく冷えていますので」
「冷えた西瓜は本当に最高だね」
「先生どんどん日本に親しんでいっていますね」
「物凄くね、馴染むんだよ」
先生にとって、というのです。
「だから自然にね」
「親しんでいくんですね」
「そうなんだ、それにね」
「それに?」
「この西瓜もね」
 ひと切れ綺麗に食べてからの言葉です。 
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