とある愚者の転生記
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リリカルなのは編
第三話 俺と契約して使い魔になってよ
前書き
少し、話しが進みました
ついに、主人公の名前が明かされます。もう少し、不明にしていたかった。
主人公の名前を変更しました
さて、そんな修行の毎日を繰り返す小学二年生の夏休み。
ある日、森で猫を拾いました。
それは、その日の修行も一段落し、「絶」状態で休憩している時でした。
実は、夏休み明けには埼玉県から静岡県へと引っ越しが決まってます。父さんの栄転です。
父さんは宇宙開発の仕事に携わっていて、前世と同じならば、このまま順調に出世し、オレの高校入学を期に、母さんと一緒にアメリカに行ってしまうはずです。まぁ、今世ではどうなるかわかりませんが。
少なくとも、前世と同様二人とともにアメリカ行きはないと思います。
英語苦手だしね………。
前世でも同じ時期に静岡へ引っ越しましたが、おかげで夏休みの宿題がありません。
ただですね。なにやら引っ越し先が微妙に違うんです。
海鳴市と言うんだそうです。
前世では静岡市に引っ越したのですが、あの周辺で聞いたこともない名前です。
これも麻帆良のバタフライ効果でしょうか?
転生して早8年。ネギま!については既に思い出せるだけ思い出して書き出してありますが、完璧とは言い切れません。実際、マルチメディア化やスピンオフした作品もあったはずですが、マンガの記憶しかないですし。
ただ、「海鳴市」という名前に、なぁんか、引っかかるものがあるんですよね。
ネギま!は「麻帆良」と「京都」と「イギリス」と「魔法世界」ぐらいしか出てこなかった気がするんですが、「静岡」が出てきたことなんかあったっけ?
のどに刺さった小骨のように無性に気にかかります。
休憩も終わりそろそろ帰ろうかと考えていたときでした。
いきなり、目の前で輝く魔法陣が展開されます。
なんででしょう? 初めて見たのに魔法陣だってわかります。
これは、まさか魔法と初遭遇ですか?
なんだかわくわくしてきます。
すると魔法陣から1匹の猫が現れます。
ただ、衰弱していて今にも消えそうです。
というか、なんか透けてませんか、この猫。
「な~ぅ」と弱々しく鳴く猫を恐る恐る近づいて抱き上げます。
「フェイト………、プレシア………………」
なんと、消えかかっている猫が喋りました。いや、これは耳に聞こえたんじゃなく、頭に響いたのか?
魔法陣から出てきた猫なんで喋るのはおかしくないのかも知れませんが、透けてるのはまずい気がします。
とりあえず、なんとかしたいんだが、どうすればいいのかわかりません。
あーでもない、こーでもないと迷ったあげく、なにかの足しになればと少しずつ猫にオーラを分け与えてみます。
しばらく続けると透けていた部分も減っていき、存在感も増した気がします。
一度だけ、目を開けた猫が抱えていた指をなめましたが、すぐに眠ってしまったようです。
何となくホッとして猫を抱えて急いで家に帰りました。
「お母さん、猫拾った~。飼っていい~~?」
び、微妙に恥ずかしいです。前世も含めれば齢40を越えんとするのに、甘えた声で頼みごとをしなければならないとは。
えぇい、これも魔法の猫のためです。
「のび太、ちゃんと世話できるの?」
「大丈夫、ちゃんとする」
「ならいいか。母さんはいいから、お父さんが良いって言ったらね」
「わかった。父さんに聞いてみる」
とりあえず、母さんの許しは得たので、自分の部屋に連れ帰り、鍋にタオルを敷き詰め、寝ている猫をそっと置き、猫鍋を作ります。
かわいいなぁと思いつつ、にやにやと見つめてしまいました。
「のび太~。ご飯よ~」
なんと、気付いたらもう夕食の時間です。猫鍋は本当に時間を忘れます。
夕食の席で父さんに話すと「のび太が世話をするなら」と二つ返事で了解が取れました。引っ越し先も社宅でペット可らしいので、しっかりとしつけなさいと言われてしまいました。
一応、夕食後、両親が猫を見に来ましたが、猫鍋で寝ている猫を見るとかなり顔がゆるんでました。きっと、先程までの自分も同じように顔がゆるんでいたに違いありません。ちょっと反省です。
夜中、ベッドで寝ていると、
「う…。ぅう……。 ここは………」
頭の中に猫の声がイキナリ響くのは、なかなかシュールです。
「気づいた? 喋れるくらいにはなったみたいだけど、体は大丈夫?」
声をかけながら、タオルにくるまれた猫を覗きます。
猫のつぶらな瞳が俺を見つめてきますが、瞬間、目を鋭くして
「だ、誰です! そしてここはどこです? 私はプレシアとの契約を済ませて消えたはずです!」
とすごい剣幕です。
「えぇと、落ち着いて。俺は野比のび太。ここは俺の家。最後の質問はわからない。目の前に現れたにゃんこが消えそうだったので、何とか助けて連れてきた。」
「ぇ!? 無人世界に転移したはずなのに………。すみません、取り乱しました。助けてくれことには感謝します」
タオルにくるまれた猫がお辞儀するなんて、なんとも言えない光景だ。
「それで、消えそうだったのはなんでなの? 力になれるなら力になるよ」
きっと、この日初めて魔法な現象に遭遇し、俺は興奮してたんだと思う。そしてこの一言が、将来振り返ったとき、分岐点(ポイント・オブ・ノーリターン)だったんだ。
「そ、それは………。私はもう契約を済ませて消える身なんです………」
きっと沈痛な表情であろう猫、さすがにこの頃、表情は読めない。
「ごめん、契約言われてもわからないや。そこから説明して」
「そうですか。実は………」
ということで、詳しいことを猫から、否、名前は「リニス」と言われたので、リニスから聞きました。
使い魔契約、魔法、リンカーコア、デバイス、ミッドチルダ、エトセトラエトセトラ。
ちょっと、待った。最後三つ、明らかにおかしいよね?!
ここ、ネギま!の世界だよね!
「ええっと、つかぬことをお聞きしますが、リニスサン………」
「はい?」
小首をかしげる仕草もかわいいなぁ、もう。
「プレシア・テスタロッサ、フェイト、アリシア、アルフ、バルディッシュ、刻の庭園、ヒュードラ、なんてのに、聞き覚えありませんか?」
「えっ? 何を知っているんですか!」
起きあがったリニスが睨みつけてくるけど、猫の姿なので怖くはないし、逆に癒される。
「はぁ。やっぱりそうか………。ちょっと、時間をください。」
あれだよね。あんなキーワードで反応するってことは『魔法少女リリカルなのは』だよね。「海鳴市」って聞き覚えあるはずだよ!
8年経っても覚えてるとは逆にすごいよな、俺!
どうしてこうなった………。
時間をもらって考えたが、そもそもどうして転生したことすらわからないんだから、わかるはずもない。とりあえず、リニスについてどうにかしないと。
「ええっと、とにかくリニスさん。貴女はこれからどうしたいんですか?」
「私は…。 私にはまだやり残したことがあります。できることならそれを成し遂げたい」
真剣な表情?でリニスそう答えてくる。
そうだよな~。無印の原作どおりなら、フェイトやアルフ、プレシアに未練ありまくりだよな~。
まぁ、俺というイレギュラーに会ったのも縁だ。できる限りの手助けはしてやりたい。
そうすると、一番良いのは………。
「わかった。なら俺と契約して使い魔になってよ。契約内容は貴女が満足するまで成し遂げること」
「え、え??」
「まぁ、俺にリンカーコアがないとどうにもならんけど」
「なんで、私と契約を………。貴方と私は赤の他人なのに………」
「なんでと言われてもなぁ。一度助けた身としては、今更消えられても後味が悪いしねぇ。あぁ、魔法に興味があるっちゃぁ、あるし。」
とりあえず、転生して原作知識があるなんてことは言えないので、当たり障りの無いことを本音を交えて答えておく。
「で、契約のほうとかはどうよ?」
「………………わかりました。少し待ってください。リンカーコアの有無を調べますので」
まぁ、見ず知らずの人間に対する警戒と未練をはらす好機と半々ぐらいか。
少し葛藤した上で、リニスがごにょごにょと呪文を唱えると俺を中心に円形の中に正方形が回転する魔法陣が浮かび上がる。
「大丈夫です。Aランクのリンカーコアがあります。ただ………」
「ただ?」
「私を創ったプレシアはオーバーSランクの大魔導師です。Aランクの魔導師の魔力で私を維持しようとすると一個下がってBランクになってしまいます」
申し訳なさそうにリニスが言う。
うーん。あれだ。使い魔すら維持するのに困る程度しかない魔力か………。
否。ここは、リンカーコアがあることに感謝するべきだ。幸い、俺はまだ小学二年生、きっと魔力は伸びるはずだ………。
「いいよ。大丈夫だから、契約をしよう」
リニスはまだためらいがあるようだが、そこは押し切った。
契約するためだろう、鍋から床に綺麗に着地したリニスは、俺を真っ直ぐに見上げて最後に問いかける。
「本当にいいんですね」
俺は頬を掻いて、しゃがんでリニスと視線を合わせる。
「いいよ」
あっさり言いきった俺に半ばあきれたようだが、リニスがごにょごにょと呪文を唱えると、俺とリニスを中心に二つの魔法陣が浮かび上がる。
しばらくすると魔法陣が消え、俺の体内からオーラとは違う何かが抜けていく感じがする。どうやらリニスとの間に魔力のパスが繋がったみたいだ。同時に、自分じゃない誰かと何かが繋がっている感覚がわき起こる。
「うーん。なんか変な感じだ。この繋がっている感覚。まぁ、その内慣れるか」
なんか不思議な感覚だ。まぁそのうち慣れるよね、きっと。
「んじゃ、これからよろしく、リニス。とりあえず、もう遅いから詳しいことは明日、いやもう今日か、起きてからでいいかな?」
ちなみにもう零時を余裕でまわってます。小学二年生の身体ではあまり遅くまで起きていられません。というか、実際眠くてしょうがないです。
「わかりました、ノビタ」
「寝床はそこで大丈夫?」
「はい、大丈夫です。」
「そっか、じゃぁ、おやすみ」
「はい、おやすねなさい、ノビタ」
こうして、優秀な使い魔を得るとともに未知なる魔法の扉も開いた俺でした。
後書き
というわけで、舞台は海鳴市、『魔法少女リリカルなのは』の世界へ。
市の位置とかは、調べても出なかったのでねつ造です。
主人公の名前を変更したのは、念能力つながりとのび太のもつ能力故にです
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