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新妹魔王の契約者~龍剣使いの神皇帝~

作者:黒鐡
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1巻
  整理後に宴×一真の策略と黒幕の正体

保健室の空気は独特で、柔らかくて心地の良い校内で最も落ち着く雰囲気。ベッドで横になっていた澪の傍でいつしか深雪は椅子で寝ていた。目覚めた時は、既に陽が落ちていて夜になっていたが沙紀は目覚めた深雪に飲み物を買ってきてくれていたようだった。

「お休みだったので、私も少し睡眠を取っていました。これからの事については一真様に伺っていますので、お飲物を買ってきておきました」

「そうですか、ありがとう・・・・では有難くもらいます」

今の時刻は八時で、澪を見ればまだ熟睡中だったのでまだ起こさないでいた。一真は柚希と作業を終えた後になると坂崎先生が出前を取ってくれたので、偶然まだ残っていた滝川と食べていたところらしい。それに長谷川先生は、職員室に話を通してくれているようだがあれから先生がこちらの様子を見に来ていないとするとまだ校内にいても問題なさそうだ。

「と言う事で、まだ遅くなりそうなんでな。もう少しになったら送迎車で一緒に迎えに来てくれるか?」

『分かりました、結衣さんにこの事を言った後に車を用意させておきます』

そう言った後に、俺は滝川と一緒に購買の方に寄ったのだった。結構な量だったので、大食いのグレンデルやドライグに任せろと言われて食べていたが飲み込んだ後にドライグ達がいるリビング兼ダイニングルームに送られた事、何とかなった。ドライグがいるのは、俺の中なので最早一部と言って良い程だ。なので、指輪の中で生活している朱音達もドライグ達がいる所に乱入しては一緒に食べていたらしいな。

「自動販売機があって助かるが、あの量はどんだけだと思ったが滝川がいて助かったわ」

「いいって事よ、坂崎もいたがさすがにあの量はたまんねえぜぇー。胃薬くれよ、一真っち」

柚希の手伝いは無言となって案外終わったが、学校外にいる雑魚悪魔達が漂っていたのでそれを倒しまくった後に再び学校内に戻ったら坂崎先生がある程度事情を知っているので、出前を取ってくれたまでは問題はなかった。問題は量で遠慮なく頼んだらあの量だったが、偶然通りかかった滝川がいたのでちょっとした宴みたいになった。そんで自前の胃薬を渡してから、飲み物を買ってから飲んでいた俺と滝川だった。

「全く遠慮なく頼んだらあの量だったぜ、雷々軒恐るべしだ」

「まあな、でもまあ俺一人だったら持ち帰りだったかもしれない。ありがとな」

「それで?成瀬の方は大丈夫なのか、確か妹さんが運んで行ったろ?」

「その事なら問題ありません、先程通信にて連絡を入れたところですから」

蒼太が通信機で通信をしたら、まだ保健室にいるらしい。それと蒼太は護衛者なので、食べる事は俺が代わり身となったけどな。いつ襲われる時に腹が一杯で動けねえって場面になったら護衛者の意味がないからな。あとあれから柚希を見ていないが、どこに行ったんだか。

「さてと、そろそろ俺は深雪がいるところにでも・・・・」

戻るかと言おうとした時に周囲が常闇に覆われた感じとなり、自動販売機の電気が消えた。

「・・・・うおっ?何だ、停電か?」

困惑の声をする滝川の隣で蒼太はというと、さっきまで穏やかな顔ではなく鋭い顔をしていた。まあ俺はいつでも来いみたいな感じでいたが、微かに灯る非常灯が闇の中に浮かび上がる十個の影を俺らに見せた。その中には、明らかに人とは違う獣のようなシルエットもあったが完全に魔族だな。さっきまでのははぐれ悪魔だったが、こいつらは襲う方の魔族。

「な、何だよコイツら・・・・」

敵は俺らや一般人にも見えるようにしているからか、滝川が呆然を思わせる声を発したので俺は思わず滝川に手刀で気絶させた。敵は一般人にも見えるようにしてあるから、深雪や沙紀はともかく澪でも見える敵だ。俺は空間から出した剣を取り出してから、蒼太はハンドガンを持った。ハンドガンには持ち主が思った弾丸を装填する事で、対人から対魔族用の弾丸に切り替えてから薬莢は自然消滅するから便利な物だ。

「蒼太、俺らのコンビネーションを試す時が来たようだな」

「そうですね、一真様は剣で葬って下さい。私もフォロー致します」

そう言ってから、俺と蒼太の周辺に魔族が群がるが剣のオーラで一瞬にして塵となってから走り出す俺。一閃で終わらしてから後ろががら空きだと思わせてから、蒼太の銃での狙撃。音はサイレンサーで無音だから問題ないが、今頃深雪達も気付いたら柚希が保健室に来る事も知っている。コイツらの目的は時間稼ぎだろうな、そうしてから蒼太は銃を俺へと持たせてから伸縮警棒にメモリを入れた事で簡易型聖剣となった事で次々と斬りつけて行く。

「やっぱり俺はこうでなきゃな、行くぞ蒼太!」

「了解!」

そう言い放つと同時に、前に向かっては聖剣と聖なるオーラ入りの弾丸で消滅する魔族達だった。俺らが戦闘を開始した頃、深雪達は既に保健室にはいなかった。彼女達がいるのは、校内で最も空に近いところである屋上だ。青白い月光の下で、深雪達は一人の少女と対峙していた。クラスメイトにして、澪を監視する勇者の一族である野中柚希。

「それで話とは何でしょうか?」

夜の保健室で目を覚ました澪は、沙紀から渡された飲み物を飲んでいたら保健室の扉を開けて中に入ってきたのは、お兄様ではなく野中さんでした。私はお兄様が分身体を放った後から知った幼馴染。

『・・・・貴女に話がある』

いつもよりも冷たい表情で告げてきた柚希の後に付いて来て、深雪、沙紀、澪は屋上に辿り着いた。ホントは澪だけの用事のはずだが、澪の姉は深雪なので付いて来た事。深雪が発した問いかけに、柚希は静かにはっきりとした声が響いた。

「一真から聞いているはず・・・・私が、この学校に居る理由を」

「ええ知ってますわ、あなたが何者でお兄様とどういう関係かを。だがそれはあくまで分身体を放ったお兄様の策であり、私とお兄様の出生場所はここではありません。あなたと出会ったお兄様は分身体であり里の住人には偽りの記憶を植え付けた事についても、まあ事実だけを言うなら迅さんだけは勇者の里出身ではありますがね」

先代魔王の力を受け継いだ澪とそれを守護する女神雪音である深雪、対峙するのは勇者の一族である柚希。本来なら、自分達は互いに宿敵というべき関係にある。魔族の宿敵は神族である事、一真達が転校してくるまでは互いにその事へを避けてきた。現魔王への敵討ちを目標とする澪にとっては、柚希と衝突して勇者の一族まで敵に回すのは得策ではないと思っていたし、柚希にとっては監視対象である澪に対し、己の任務である監視役という立場を貫いていたからだろう。

「で?私の妹である澪の事情を知っているなら、どうしたいと考えていますか?」

本題に入れと自然的にそう告げた深雪に対して柚希はこちらを真っ直ぐに見据えていた。

「深雪さんには関係ない事・・・・一真から離れて。貴女と居ると一真が苦しむ事になる・・・・だから一真から離れて」

「可笑しな事を言うのですね、私とお兄様は血が繋がる兄妹で義妹である澪を守るのは当然の事です。お兄様の事を理解してないのは貴女では?」

そう言うと澪も何となく知っているが、柚希にとって一真は単なる幼馴染ではなくそれ以上の感情を抱いている存在なんだと。でもそれは一真の策であり、分身体と過ごしたので今更そう言われてもはいそうですかと言うはずもない深雪姉さんだった。

「・・・・本来ならここで戦う訳じゃないけど、理解している事をここで証明させる」

キンと甲高い音と共に、衝撃波が深雪達を襲ったが障壁によって守られた。この障壁は深雪が張ったのではない、いつの間にかいたラードゥンが屋上にいたからである。ラードゥンは澪の前に立つとそのまま手をかかげてから、防御結界を作った。

「これである程度戦闘を行っても建物にダメージはありません、一真様もここに来られますから」

「ありがとうラードゥン」

深雪は魔法を使おうとしていると、正面にいる柚希は具現化した刀を手に、緑色のオーラを発しながら柚希を見据える。

「言う事を聞かなければ力ずくですか?だったらこちらも容赦は致しません・・・・」

勇者の一族を敵に回しても問題はないが、相手がやる気ならこちらも戦うしかないと思った深雪はエレメンツの一つである風を使って竜巻を作りだし柚希へと向かう。

「・・・・・・・・・・」

白い剣閃が幾筋か煌めき、風が斬り裂かれた。それを見た深雪はまずは手加減で放ったので、心の中でこの子は出来る方だと思った。と同時に澪はもし相手をしていたら相性の悪い相手だと見た。勇者の一族だけであるが、戦闘における強さを示す指標・・・・この世界では大まかに「(パワー)」「速さ(スピード)」「(スキル)」「魔力(マナ)」の四つに分類されると言う。

要するにゲームのステータスだと思えばいいと言う事だと、澪は一真や万理亜から教わった。理想は万能タイプでこれに値するのが一真と深雪だけで、あとはそれぞれの能力に合った力を伸ばす事だと。万理亜はパワー、澪は魔法がそれに当たり、各系統内でそれぞれに能力に適した戦闘スタイルを選択していた。万理亜であれば怪力を活かした「肉弾格闘士(ハード・ストライカー)」澪なら中遠距離から強力な攻撃魔法を放つ「上位魔法士(ハイ・ウィザード)」と言う風に、柚希は技タイプなのだと。近接ではパワータイプに、遠距離からは魔力に劣るが応用力が最も高く、あらゆるレンジで戦える系統だ。柚希は澪よりも実戦経験豊富かもしれないが、それよりも人生の先輩とも言われる深雪は修羅場をいくつも潜ってきた戦闘を楽しむかのような感じである。一真みたいに半分戦闘狂ではないにせよ、今澪が動く事は必要ない。澪を守るのは目の前にいる義姉である深雪だからだ。

「なるほど、ですが貴女程度で私を倒せると本当にお思いですか?それともお兄様の優しさを利用しようと考えているでしょうが、貴女はどうなんですか?お兄様の意思を無視したこの状況をどうご説明すると言うのですか」

「!私は・・・・」

思わず表情を硬くした柚希に更に追い打ちをかけるように言う。

「もう一度言いますが、私はお兄様の背中を預かる者です。貴女は最もお兄様の事を知っていると思いですが、それは単に策略にハマったとでも言いますよ」

「一真の事をちゃんと知っているのはこの私、あの時の事件も知らない貴女など分かりはしないはず・・・・」

「それはどういう事なの?」

「そういえば澪は知らなかったようなので、この場で話しますか。本当は貴女はこう言いたかったはずです、お兄様は昔のように戦えない・・・・本当は剣を持つだけ酷と仰るつもりだったのでしょう『なぜ私の考えた事を貴女が口にできる?』そりゃ私はあなたとは違いますからね、お兄様曰く心眼で見たのをそのまま言ってみただけです」

それから五年前に起きた事件をここで語った深雪、五年前の事件で当時刃更が放った技が暴走し勇者の資格を失い父と共に里を追放された事を。だが、それはあくまで一真の策略で出生が勇者の里で剣の腕も里の中では逸材だったと言う事も。そして技の暴走で、刃更と一緒にいた柚希以外の人間が消滅した事も全部言ったのだった。そして澪と万理亜が出会う前までは東城刃更と父親の迅と一緒に住んでいたが、本体である織斑一真と合流した事で東城刃更は織斑一真の記憶媒体となり消えて、東城迅は一真の同居人という設定にした事。

「やっぱりここにいたか、それとラードゥンご苦労さん」

走ってきたのか、少し息は乱れていたがそれは剣を振っていたためであり、疲労は一切していない。一真は、深雪達を見た後に柚希の手にある刀を見て顔を鋭くさせたのだった。蒼太は深雪側と合流させた。

「どういう事だ柚希・・・・澪はまだ監視対象の筈なんだが。それなのに監視役のお前が、なぜ霊刀を抜いている?深雪は手加減していたようだし、さっきまで何を話していたのかは何となく理解している。・・・・それよりお前も聞いていたようだな?」

「おやおや、こちらの気配を察するとはさすがと言いたいところだ」

笑みを含んだ声が、屋上より上から声が発した。一真は見るが、自分達がいる屋上から離れた場所に静かに佇む存在がいた。最も闇に隠れていたからなのか、澪と柚希以外の者達は察知していた。白の仮面に黒のタキシード姿、人の姿をしているがオーラは禍々しい負だったけど。さっきまで葬った魔族よりも、腕利きの魔族だ。コイツが今回の黒幕だと思うが、どういう使い手までは分からないから戦ってみないと分からないが勇者の一族なら、A級タイプの実力とでも言おうか。澪は準S級ランクと認定されているが、あくまで先代魔王の力を秘めている可能性があるのだ、里の基準なら柚希は特B級で俺と深雪は特SSS級だと思うけど一度計測したらエラーだった。なので、コイツ程度に負ける訳がない俺と深雪だが、柚希は敵わない相手だろうな。

「無造作に立っている割には隙はないな、貴様は先ほどまでの会話を聞いていたようだな。で、どうだった?」

「随分と興味深い話が聞けたよ。前におかしな邪魔が入ったとは思ったが、まさか勇者の一族に追放者が出ていたとは思わなかった。大戦の英雄であるジン・トージョーとその息子だとはね。偽りの記憶を植え付けるとの事だけど、君達は何者かな?異世界から来たとかファンタジーな事かと思うが、君達のオーラを見るにそれが事実だと言うのもね」

楽しむように白仮面が言うが、俺は空間から出す剣を取り出してから切っ先を相手に向けた。魔剣ブリュンヒルドではない事に柚希は、再度思ったが魔剣ブリュンヒルドはどこにいったんだという顔をしていた。

「この間の公園もお前らの仕業か」

「ああそうさ、でもさすがにその後出現した門には驚きだよ。あの門から出てきた魔物を倒すばかりか、門ごと閉じちゃうのだから。少し前から君達には眼を付けていたが、てっきり一般人だとばかり思っていたけど謎の剣を持つ能力者に・・・・しかも先代魔王の遺児の味方までするんだから。しかも中々良い腕と強さを持っている。どうやら先ほどやった連中を瞬殺して来た様子だね」

「ああ・・・・あんな連中を俺らに差し向ける何て思わなかったぜ。雑魚ほどな連中なのだからせめて一閃だけで倒れないでくれと心の中で頼んだけど、雑魚中の雑魚のようだったな」

白仮面と一真との会話を聞いた深雪と沙紀は、さすがと言いたいが澪は今までやってきたのを全て雑魚だと言う。あとは五年前の話を深雪の口から語ったが、それについては俺の完全な策だと言う事をな。あとは最近になって色々と倒してきた甲斐があったと言う事だ。

「はぐれ悪魔や先ほどの雑魚もそうだが、どうやらお前を倒せば何とかなりそうだなっ!」

そう言うと一瞬で白仮面のところに行き剣を白仮面に斬りつけるが、何らかの不可視の力で弾かれたので俺は後方へ吹き飛ばされずに着地をした。こいつはなかなかの強者だが、ここでやると学校が倒壊するかもしれない。

「・・・・一真」

駆け寄ってきた柚希に俺は頷くが、まだ俺の本気を出していないので実力は一部しか見せていない事も。里だとA級だと思うが、今の防ぎ方で何となくどういう使い手なのかを理解した。万能タイプの一真なので、相手がどういうタイプの者なのか判別は出来る。ま、こちらには障壁があるので相手が攻撃してきた影が不意打ちで澪を狙うが障壁で守られてから蒼太の持つ疑似聖剣で真っ二つだ。

「お前が言うセリフを俺が言うのもあれだが、澪の中に眠る先代魔王ウィルベルトの力・・・・例え未覚醒でも力の波動は漏れ出し、その力に惹かれてくる低級はぐれ悪魔が寄ってくる。悪魔が人間に危害を及ばせれば澪の存在が原因とでも言いたいのだろう。そうなれば当然里の連中は澪を監視から消滅対象へ切り替える」

「ほう・・・・君は相手の思考を読む力を持つようだが何者だ?まあ消滅対象を庇えば、君はこの世界の裏切り者となる。勇者や魔族であっても見逃せない状況と見る。だからそこの彼女は、君に彼から手を引くように言おうとした。そうならない為にそこの兄妹やお付のサキュバスが、この数日間街中に潜むはぐれ悪魔を刈っていた。しかも彼の仲間だけでね」

「説明ありがとう白仮面野郎、だがな澪の力を渡すような真似はしない事だ」

澪の背後から影が出現したが障壁により守られてから、一真が持つ剣で一刀両断してから白仮面に向かうが不可視な力で弾かれながらであったが、時には敵障壁ごと真っ二つにして見せたので、同じ剣を持つ柚希でさえ今の障壁を真っ二つにする事は相当な技術が必要だ。それから一真が柚希に目線だけで、行動をしたので柚希は霊刀を抜き放ち虚空へと降り下ろした。今のでダメージ喰らったかなと思ったら、轟音と共に衝撃波が生まれ、一直線に白仮面に襲い掛かる。

「へぇ・・・・威力は中々だね。おっと」

あっさりと横へと跳んで回避しようとしたが、それを読んでいた一真が着地点からの剣捌きで斬り裂いたはずが白仮面は宙へと回避するのだった。

「ちっ、ここでは何かと不便だ。おい白仮面野郎、一旦引くとしようか。ここでは俺の本気を出せないのでね、そうだな三日後に外れにある森で決着をつけようか」

「いいだろう。君の考え通りここでは何かと不便だ、その方が戦いやすいし上策。では三日後の夜にお待ちしているよ、剣術使いの者よ」

そう言いながら闇に消えた事で、ラードゥンに障壁を解除してから俺達は帰るぞと言ってからそのまま帰った。決戦に向けてのサシでの勝負という事だが、まだ俺の本気を見せていないのでそれを見せるための決闘だと澪と万理亜に言ったのだった。ま、恐らくその場所には柚希もいるだろうし、俺らの本気を出せる場所とも言えるからな。 
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