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ドリトル先生と学園の動物達

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第三幕その四

 日笠さんが先生の前に来ました、そうして先生にこう言ってきました。
「あの、先生」
「あっ、日笠さん」
「そろそろお昼ですけれど」
 知的な微笑みと共に先生に言うのでした。
「お弁当は」
「はい、あります」
「そうですか」
「トミーが作ってくれてるんですよ」 
 左隣にいるトミーに顔を向けての言葉でした。
「そうなんですよ」
「そうですか、この人が」
「ですから」
「お昼はですね」
「大丈夫です」
 心配には及ばないというのです。
「お気遣いだけ受け取らせてもらいます」
「これから食堂にお誘いしようと思っていたのですが」
「動物園のですね」
「実はこの動物園の食堂は美味しいのです」
「そうなのですか」
「はい、これが中々」
 日笠さんはにこりと笑って先生にお話するのでした。
「特に丼ものが」
「丼がですか」
「他人丼が最高です」
「他人丼ですね」
「先生は他人丼は」
「はい、食べたことがあります」
 その丼もというのです。
「日本に来てからよく和食を食べていますが」
「他人丼も召し上がられたのですか」
「牛肉を卵でとじたものを御飯の上に乗せたものですね」
「はい、親子丼が鶏肉ではなく牛肉になったものです」
 それが他人丼だとです、日笠さんもお話するのでした。
「これがまたよくて」
「動物園の食堂では特に」
「そうです、実は私は元々丼ものが好きでして」
 ご自身のこともです、日笠さんは先生にお話するのでした。
「自分でもよく作ります」
「お料理もされるんですね」
「家ではいつも作っています」
 そうしているというのです。
「栄養バランスも考えて」
「そうなのですね、それでなのですが」
「それでとは」
「はい、今は作業服ですが」
 見ればそうでした、日笠さんはこれまで先生とお会いしてきた時のスーツではなく動物園の職員さん達が来ている作業服です、その作業服姿で先生の前に来たのです。
「診察に行っておられたのですね」
「そうです、その休憩にです」
「昼食をですね」
「お誘いしました、それと」
「それと?」
「私は仕事中は大抵は作業服です」
 この服を着てお仕事をしているというのですy。
「そうしています」
「左様ですか」
「そうです、それと」
「それと?」
「先生が昨日お話してくれたことですが」 
 日笠さんは今度はお仕事のことをお話するのでした。
「私は狼達を診てきましたが」
「彼等の歯からもですね」
「はい、お菓子の食べカスがありました」
「そうでしたか」
「ケーキやクレープといったものの」
 そうしたものの食べカスがというのです。
「ありました」
「そうですか」
「それで歯も抜きましたが」
 狼達のそれをです。
「その歯を調べてみようとです」
「考えておられるのですね」
「そこからも原因を調べてみようと思っています」
「それはいいですね、それでは」
「はい、その調査は私がします」
「僕も時間がありましたら」
 先生は日笠さんの言葉を受けてあらためて言うのでした。 
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