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新妹魔王の契約者~龍剣使いの神皇帝~

作者:黒鐡
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1巻
  新たな学園生活

配下が主を裏切れば、即座に呪いが発動する主従契約魔法ではあるが、一真が改良をしたお陰で呪いが発動するスイッチは一真自身が持つ事となり、一ヶ月後には解除可能のはずを一度すれば解除不可能にした。黒神眷属で言うなら、一度眷属にしたら一生主に尽くすという事だ。もし裏切ろうとしても黒の駒により、常に監視をされていて裏切ろうとした瞬間に抹殺されるという感じである。神との契りという感じなので、いくら魔族や未来の魔王でさえも一生一真に尽くすという事。

「この一週間は、転校手続きやら蒼い翼での仕事やらでとても忙しかったな」

「それはしょうがないですよ、お父さま。こちらでも蒼い翼は存在する限りは社長業をしないといけませんし、社長令嬢である私も明日からの学生生活に向けて色々な仕事を熟してきましたから」

「俺達は帰国子女という設定だからな、それに澪の呪い発動キーは俺自身の手にある」

配下は何も絶対服従を強いられる訳ではないので、理不尽な命令に従う必要性はない。眷属の王としても、主としての相応しい態度で配下に報いる事はない。鎌倉時代にあった将軍と武士の主従関係『ご恩と奉公』に近そうだ。ま、黒神眷属のようなルールなので、配下側である澪が後ろめたい態度や精神的な裏切りについては心眼により分かってしまう。呪いが発動すると印として澪の首輪のような痣が浮かぶが、この痣は基本的に主しか見えないようにした。本来の主従契約魔法は、信頼を高められて相手の居場所も把握可能な魔法。そうして何の問題もなく、夏休みが終わりを告げてから学校側からの制服や鞄が届けられて次の日に着るのだった。

「夏休みは終わったとしても、この暑さはどうかと思うぞ」

「問題はないでしょう。お兄様と私の制服は一見普通に制服ですが、防弾防刃をされていて更にエアコンスーツのためにどんなに極地でも暑さと寒さに適合してますから」

「更に言うなら、私と沙紀を再び護衛できる事については光栄に思います」

「護衛経験のある蒼太と沙紀が抜擢されたんだからな、学校側には伝えてある」

そう言いながら、俺と深雪の前に澪と万理亜がいて、俺らの後ろにいるのがスーツとサングラスをしている護衛者の蒼太と沙紀。今回は車無しなので、桜花は家でお留守番をして結衣は俺達が学校に行っている間は、万理亜と一緒に待機との感じだ。そういう風なので、周りにいる者達は俺達が噂の転校生なのだと知ったようだった。

「今回は澪様に護衛が四人も付きますからね、安心して下さい」

「一真と深雪姉さんは分かるけど、蒼太さんと沙紀さんがいると何だか不慣れになりそうだわ」

「しょうがないですよ、一真さんと深雪さんは父親が外国からの出張から一緒に帰ってきたという設定なのですから。しかもその企業が蒼い翼ですからね」

「蒼い翼・・・・噂に聞く大企業で世界中に支社を持っていて、下部会社や傘下には私達でも使っている物を売っているという噂」

そう言いながら、学校に辿り着いた事で同じ制服を着ている生徒達の波が塀の中に吸い込まれていくように見えているが、中々の学校だな。駒王学園や第一高校やIS学園とか通ったが、私立聖ヶ坂学園。ここが今日から俺と深雪が通う学校か、学生生活を思い出すかような感じだった。

「それじゃ澪様、私は結衣さんと近くで待機してますから」

「うん。よろしくね」

主従契約魔法は上手くやったが、処女を貰う事になるとは思わなかった澪だったがさすがに一週間経過しているし、神の僕になる対価だと説得した万理亜だったのでもう怒っていなかった。深雪が義姉で二人揃って妹が増えた感じである。

「では一真さんに深雪さん、澪様をお願いしますね。幸い護衛者もいるので大丈夫かと思いますが・・・・」

「分かってます、何かありましたら結衣に連絡を入れますので」

この辺を近くで待機だとか言っても結衣と万理亜だと親子だと間違われるが、当の万理亜は全然気にしていない様子で結衣と手を繋ぎながらぶらぶらするらしい。校内に入ると、登校時間のピークなのか廊下は生徒たちで一杯いた。一度澪と別れてから、俺達は職員室に向かう。入り口で今日から通う転入生だと伝えると、来客室用の隣室で少し待つように言われる。しばらく俺と深雪はソファで座っていて、蒼太と沙紀は俺らの後ろで立って待機していた。チャイムが何度か鳴った後に若い男性教諭とここの校長らしき人物が現れた。

「お待たせしました、織斑少将」

「おや、俺の事を知っているという事は記憶共有者なのか?」

「『その通りですよ、私は守という名を持つ者ですから』クラス担任の坂崎守です、これからよろしくな。織斑兄妹」

校長と守と言った者達は次元パトロール隊の者らしく、本来なら世界に行っている奴らだった。で、織斑が二人いるので俺は織斑で深雪は織斑さんと呼ばれる事だ。無駄に爽やかオーラ出しまくるが、俺らと護衛者を見てから話だした。職員会議後はすぐに朝のホームルームだったが、蒼い翼から来た者達を特別視されるようだと教室に向かいながら言ってた。

「しかし家庭の事情での転入はよくはありますが、織斑の場合は複雑すぎるな」

「それはしょうがない事かと、あとは普通に話しかけて結構。俺を普通の生徒と見ないと怪しまれる」

父親が外国からの出張帰りで訳有りの二人を保護したので、一緒に住みだしたという設定となっている。学校側もそれを承知していて、俺の事は生徒がいないところでは零社長で生徒がいるところでは普通に呼び捨てで構わないと言ってある。ま、ここの理事長をしているのは、蒼い翼関連の者だし問題を起こす訳にもいかないので俺達二人に護衛者が付く事となった。

「ここが俺と織斑兄妹の教室だ。新しい教室で不慣れにはなるがすぐに慣れるさ、成瀬もいるのだから。それとクラス委員長は真面目な奴だし、担任の俺だっている。何か問題が起きた時は蒼太さんと沙紀さんが何とかしてくれると思ってます。既に学校についてはスキャン済みだと知っているんで、それじゃ入るぞ」

兄妹とかは普通分かれるはずだが、学校側が気を利かせてくれたようだ。そう言って、担任の坂崎が教室の中に入って行きその後に一真と深雪も続く。蒼太と沙紀は教室の後ろから教室に入って行ったので雰囲気がカオスな状態となった。噂の転校生が来るという情報を仕入れていたのだろうけど、護衛も入る事になるというのはさすがに仕入れてなかった様子だった。黒板の前に立つと、クラス全員の顔を見渡せる事が出来ているが男子も女子もカッコイイ俺とまるでお嬢様のような深雪の容姿に魅入られていたようだった。教室中の視線が俺と深雪に集中されるが、男子も女子も落胆はしなかった。

『お兄様、澪と同じ窓際の列で一番前の女子はもしかして?』

『ああその通りだ、野中柚希だ。勇者の一族の一人で、俺がまだ勇者の里出身と偽りの記憶を紛れ込ませた分身体では幼馴染と言ったところだな。たぶん澪の監視者だろうな』

あれが分身体での情報があった幼馴染という事か、あちらは俺がまだ東城刃更だとは知らない様子であった。透き通る氷のような雰囲気を出し、澪とはタイプが違うが美少女のようだ。だけど黒髪でロングで大和撫子のような深雪の容姿には勝ったと俺は思っているけど、一番後ろで空いている席が俺と深雪の席のようだった。クラス委員長があいつならば俺らにも興味は持ってくれたかもしれない。

「さて、見ての通り外国からの転校生だ。・・・・父親が大企業である蒼い翼所属している者なので、必然的に織斑の護衛者が後ろにいるがあまり気にしない方がいいぞ。という事で織斑兄妹、自己紹介を」

「「はい」」

黒板に字を書く俺と深雪は書いた後にクラスメイトを見た。

「織斑一真です、元々生まれが日本なのですが外国だと飛び級をしていました。勉強やスポーツも得意なので、分からない科目があれば教える事も出来ますのでよろしくお願いします」

「織斑深雪です、お兄様と同じく日本生まれ日本育ちです。分からない事がありましたら気軽に話しかけられると兄も助かるのでよろしくお願いします」

二人とも自己紹介をした後に、二人でおじぎをしたのだった。俺には男女の視線があったが、深雪には特に男子の視線が強かった。歓迎のムードとなったので、それから質問タイムとなったが他愛のない事だらけだったので、少し緊張していたが最後に俺からの一言で後ろを向いた生徒たち。

「教室の後ろにいる護衛者は、必然的に俺と深雪の護衛者です。男性が蒼太、女性が沙紀。名前的にコードネームですが、俺達同様に気軽になってくれると助かります」

「織斑の言う通りだが、あまり変な事はするなよ?問題を起こした奴は蒼い翼から報復が出る程だと聞いている。ホームルームも終わったから、続きは始業式の後でな。織斑兄妹はそこの空席だから、野中、委員長のお前が織斑兄妹の面倒を見てやってくれ」

「・・・・はい」

幼馴染の美少女が返事をすると、静かに頷いた。全員廊下に整列しろと坂崎から指示が出て全員が席を立ち上がる。

「あ、あと織斑兄妹は、一番後ろにいてくれ。校長先生からこの学園にいる全生徒に紹介をしたいとの事らしい」

「「分かりました」」

そう言いながら、委員長とは話をしないで列に並んでから体育館へ向かった。澪は澪で視線をくれないが、一応一緒に暮らしているのは秘密なのでな。そんで体育館に辿り着くと先ほどいた校長先生に誘導されて行く俺達だった。しばらくしてから校長先生の話の後に例の転入生を紹介したいとの事で、俺ら二人は壇上に上がった瞬間に男女共に盛り上がった。

「えー、そう言う事ですので、我が学園に転入生を紹介したいと思います。なお、彼らの後ろにいるのは護衛者であり、兄妹の父親は蒼い翼所属をしています。なので何か問題を起こした生徒については私の権利よりも護衛者に権限があるので、あまり問題を起こさないでもらいたい。織斑一真君と織斑深雪さん、そして護衛者の蒼太さんと沙紀さん前へ」

前に行かされた後に簡単な自己紹介をしたのだったが、特に男子達の視線は深雪に注いでいた。なので忠告を俺と沙紀が言ったが、護衛者と俺ら兄妹は特例で拳銃や短剣と拘束道具と言った物を持ち歩いている。とりあえずハンドガンや短剣を見せるだけだったが、一気に注目を浴びていた。そんで教室に戻ってくると、授業が終わると同時に俺や深雪に興味を持って机には同級生で囲んでいた。

「どうやら注目の的になりましたな、一真様」

「その様子だ、ところで野中はどこに行ったんだか」

「・・・・私ならここ、織斑君と織斑さん、よろしくね」

「あ、ああ。よろしくな、あと委員長に知りたい情報を教えようか?例えば東城刃更についてだ」

小さな声で委員長だけにしか聞こえない声で言ったら、どこでその名前を知った?と言う感じだったので今日学校が終わったら、俺と付き合ってもらうがいいかな?と言ったら良いとの事だった。一瞬嬉しそうな感じであったが今どこにいるか何て里の連中は知らないだろうからな。そんで昼食となったので、深雪は早速友達になった女子達と一緒に弁当を食べていたので俺と蒼太も弁当を持っていたが、どこで食おうか迷っていた。

「よーっす。クラスの人気者になった転校生、学園中こんなになるとは俺も予想外だったぜ」

「えーと、確か滝川だったか」

「ん?何で俺の名前を知っているんだ」

俺らの名前は始業式で知ったが、クラスメイトの名前とかはあとで知ったが滝川についてはほとんど知らない状態だった。

「それなら坂崎先生にもらったこれさ」

俺はポケットから一枚の紙を取り出して見せた。それは担任の坂崎が、少しでも早くクラスメイトに馴染めるように用意してくれた座席表のコピーだ。

「へー、さすが坂崎。気が利いているな、つー訳で飯に行くが弁当を持っているようだがどこで食うんだ?」

「どこでもいいが、一緒に食うか。俺の事は織斑で構わんよ、妹と同じ名字だが問題はない」

そう言うと屋上に上がった滝川だったが、ここは立ち入り禁止じゃなかったかなと思った。そんで俺と蒼太の弁当を開けると、指輪の中にいる朱音達の手作りだと知ると手を合せて食べ始めた。そんで色々と情報収集をしたがどうやら澪と柚希は二大お姉様ならぬ二大お姫様だそうで、澪姫と柚希姫と呼ばれているそうだ。今の所は大丈夫だがいつ全男子の敵になるかもしれないので、情報漏洩だけは気にしないとな。

「へえー、澪と柚希はそう言う風に呼ばれているのか」

「ん?澪姫と柚希姫をその言い方だと知っているのか?ウチの学校だと特に人気が高くて熱狂的なファンが大勢いるぐらいだ」

「ここだけの話だが、澪は俺の義妹で柚希は幼馴染だ。男の嫉妬というのは知っているのでな、ここだけの話だ」

「なるほどねぇー、通りで護衛者や教師達が警戒している訳か。それを知った他のクラスや上級生を敵にしたくないと言う事かもしれねえな」

澪と柚希のファンがいるなら、今まで問題が出たのかと聞いてみるとほいほいと出てきた。抜け駆けする連中がいたとしても、他の連中が黙ってられないそうだし女子も人気高い事も知っているそうだし、下手に嫌がらせしたら男子の非難の的になる。今の状態だと澪は、学校内にはある程度人の目を集める状態があるという事か。もし敵が学校内に紛れ込むリスクは高そうだが、一学期を過ごしてこれたから今があるのだろう。

「夏休み前に抜け駆けしようとした二年の男子が、数人の三年にシメられたって話ならあるからなあ・・・・そういう意味じゃ、お前が一番危なさそうだが心配はないみたいだな」

「ああ、例えそうなったとしても生徒の家庭崩壊させるくらいの権限を持っているほどだ。学園が誇る美少女二人とフラグ持ちなのかは知らんが、もしかしたら深雪もそう呼ばれるのも遅くなさそうだな」

「こっちも色々と楽しくなりそうだし、明日には深雪姫って呼ばれるかもしれないな。これからもよろしくな」

俺は主人公ではないにしろ、今の生活を楽しまないといけない事で弁当を食べた俺らだったが、チャイムも鳴りそうだったので食べた後にソッコー教室に戻ったらギリギリセーフだった。沙紀からの定時連絡だと、既に深雪のファンクラブやらが出来たとかで明日からホントに深雪姫と呼ばれる事となりそうだと言っていた。あと俺もエリートな面を持っているのか女子からも、結構なファンクラブが出来たとかで俺と深雪は同時にため息を漏らしたのだった。 
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