真似と開閉と世界旅行
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幕引き〜
前書き
ようやくアビス編終了だ〜・・・ではどうぞ。
シンクを退け、俺達は遂に最深部に到着した。
「・・・!」
一瞬闇が疼いた。・・・この先に、強い力がある。
「力を・・・感じる」
「ああ。俺にもわかる。ヴァン師匠が・・・いる。この先に進めば後戻りは出来ないんだろうな」
「後戻りする必要はありませんよ。ヴァンを倒して終わりにしましょう」
「簡単に言うなよ・・・」
ジェイドの言葉にルークは呆れるが・・・
「難しい話ではありませんよ。あちらは星の記憶が定められた未来であることを信じ、それを消そうとしている」
「・・・そして俺達はそれを・・・未来は変えられると信じている」
黒羽の言葉にジェイドが頷く。
「もう、話し合いでは解決しませんね」
撫子の言葉にティアが返す。
「そうね。兄さんはローレライを取り込んでいる。ローレライが消滅すれば、世界は第七音素補充のためにバランスを崩してしまうわ。ルーク、私達はそれを止めるために来た。以前とは違うわ」
「俺達はヴァンのやることを理解して、その上で認められないと思っている。・・・だろ?」
知也がライフルを背負い直して笑う。
「そうだよ。何もかも消してやり直すなんて無責任だもん。本当は預言を守って滅びるなら、それを受け入れるのが人間の責任なんだと思う。・・・でも私達は、途中でそれを回避するために努力しようって気づいたんだから」
「・・・だから最後までそれを貫き通して生きる。俺達は俺達の道を進む」
「私、ずっと思っていましたの。アッシュがキムラスカに戻ってきて、ルークと二人でお父様を支えてくださればいいのに・・・と」
ナタリアは胸の前で手を組む。
「でも私は間違っていたのですね。あなたとアッシュにはそれぞれの生きる道があった。それを私が無効となった約束で縛り付けていたのですわ。・・・ルーク、あなたはあなたですものね。ですから、あなたはあなたの思うままに生きてください」
「・・・お前はまだ自分の足で歩き始めたばかりだ。しかも背中には数え切れない命を背負っている。喰らった命の分、生き続けなきゃ嘘だよな」
ガイの言葉にルークは目を閉じる。
「・・・そうだな。俺、たった七年の間に血塗れになっちまったもんな」
ルークに俺が声をかける。
「・・・そうだな。けど、だからこそ生きて生きて生き抜いて。恨み、憎しみ、悲しみ、怒り・・・全部受け入れていかなきゃならないんだよ。・・・俺もお前の荷物を背負ってやりたい・・・けど」
ルークが首を振る。
「・・・いや、俺にはサキだけじゃない。沢山の仲間がいる。・・・みんなで歩けば、どんな荷物も苦にならない」
「ルーク・・・よし、行こうぜ!この世界の未来を作るために!」
「ああ!」
『決戦ッスね・・・!』
「なんだ?緊張してんのか?」
『そ、そんなことないッス!』
「・・・お前が緊張してても、俺はお前を振るう。・・・応えてくれるな?リパル」
『・・・もちろんッス!!』
俺達は階段を駆け上がる。そして景色が開き・・・そこにヴァンが正座をして待ち構えていた。
「大したものだな。本来ならここに辿り着いているのはアッシュだった」
ルークはローレライの剣を握る。
「アッシュもいる。俺に力を化してくれた」
「ローレライの剣か・・・見事だ。お前は被験者を越え、真の人間となった訳だ」
ヴァンは立ち上がり、歩み寄ってくる。
「おまえは全ての屍を踏み越えてきた。さあ、私と共に来い、ルーク。星の記憶を消滅させ、ユリアが残した消滅預言を覆すのだ」
「お断りします」
「ほう、何故だ」
「やっとわかったんです。俺は何をしたかったのか」
ルークはヴァンを見据える。
「俺はあなたに認めて欲しかった。レプリカではなく、人間として」
「そうだ。そしてお前は人間になった」
「・・・でもそれじゃ、駄目なんだ。あなたは言いましたね。『何かの為に生まれなければ生きられないのか?』と。誰かの為に生きている訳じゃない。いや、生きることに意味なんてないんだ。死を予感して、俺は生きたいと思った。そのことを俺はしっている。ただそれだけでよかったんだ。だから俺にはもうーーーあなたは必要ない。俺はここにいる。こうして生きているんだ。あなたが俺を認めようと認めまいと」
ヴァンが振り返り、笑いだす。
「・・・フ・・・フフ・・・なるほど賢しい知恵をつけたな」
「兄さん!人は変われるわ。ルークと同じように・・・もう一度考え直して!」
ティアはヴァンに訴え続ける。
「兄さんの言うように星の記憶は存在するのかもしれない。けどそれは絶対なの?ルークがここにいるのは星の記憶に定められたからじゃない。彼が選んだからだわ。未来を選ぶのは・・・人よ」
「それもまた絶対ではない。選んでいるのではなく、選ばされているのかもしれないぞ」
「ならお前も、星の記憶を消すのを“選ばされている”のかもしれないぜ」
ガイの言葉にヴァンが笑う。
「少なくとも預言を知らなければ、自分の意思で未来を作ったことになる」
「それは詭弁だな、綾瀬黒羽。どうやって預言を知らずに済むと言う?人がいる限り預言は消えない」
「だから被験者で一度預言を終わらせ、レプリカで新しい世界を作る・・・」
「それではホドを見殺しにした人たちと変わりませんわ。だからアッシュもあなたを否定したのです」
撫子の言葉をナタリアが繋げる。
「結局、あんたも個人の憎しみで動いてた訳か」
「・・・そうだな。しかし手段は選んではいられぬのだ。星の記憶という絶対的な道を破壊するためにはな」
知也にそう返したヴァンに・・・ジェイドは自身の眼鏡を指で回しながら言う。
「あなたのような賢明な方が不思議なものですね。人も星もいずれは消滅する。星の記憶があろうとなかろうと、それだけは決まっているのです。あなたの言う絶対的な道があったとして、それでも、消滅に至る道は人に選択権が与えられているのだと思いますよ」
「あなたらしい考え方だ、死霊使い。そう、いずれ全ての命は消滅する。早いか遅いかの差だ。だが星の記憶はそれを早くに設定している。私はあなたのように、早くに滅びることを良しとはしない」
「でも総長は被験者を星の記憶以上に早く滅ぼそうとしています。総長は預言を憎みすぎて、誰よりも預言に縛られているんです!」
「フ・・・或いはそうかもしれぬな。私も、いや私もお前達も預言という得体の知れない未来に縛られている」
「・・・だが、少なくとも俺はこの世界に・・・星の記憶には存在していない」
「確かに・・・だが、サキ・オスローという人間はこの世界に詠まれていた。そしてお前は今、預言通りに死を迎えるのだ」
ルークがローレライの宝珠を取り出す。
「俺達は未来が選べると信じている」
「私は未来が定められていると知っている。・・・やはり・・・互いに相容れぬようだな」
ヴァンが剣を引き抜く。
「剣を抜け。まとめて相手をしてやろう」
「ヴァン・・・覚悟!!」
ルークが宝珠と剣を融合させ、ローレライの鍵を作り出す。
「リパル、いいな!」
『覚悟は決まったッス!』
方天画戟を振り回し、構える。
「デヤァァァ!」
横薙ぎに方天画戟を払う。
ガキャアン!
「中々いい一撃だ」
それをヴァンは容易く受け止める。
「ガイ!」
「ああ!」
「アニスちゃんも!」
四人で囲み、攻撃するが・・・
「甘い!守護氷槍陣!!」
『うわぁぁぁ!?』
ヴァンの広範囲攻撃に吹き飛ばされ、陣形が崩れる。
「操影術!・・・行きますよ黒羽さん!」
「頼む!」
影が黒羽を掴み、勢いをつけて黒羽を投げ飛ばす。
「カートリッジロード!・・・おおおお!」
刃に雷を纏わせ、ヴァンに突撃する。・・・ヴァンはそれを弾き飛ばそうとするが、雷がヴァンの足止めをする。
「そこ!」
黒羽が刀を突きだした瞬間、ヴァンはニヤリと笑う。
「その音素を利用させてもらおう。襲爪雷斬!」
ズバババッ!
「ぐあああ!」
黒羽がそのまま吹き飛ばされる。
「狙い撃つぜ!」
『スナイパー!サイクロン!』
「さあ、行きますよ。プリズムソード!」
後方からの支援をヴァンはかわしている。
「チッ、すばしっこい・・・」
俺は舌打ちをしながら、空間から・・・ジゼルから受け取った銃を取り出す。
「・・・リパル、剣!」
『了解ッス!』
空間にハンドアックスを射出し、左に剣、右に銃を持つ。
「エンブレススター!」
ナタリアが広範囲に矢を射ち、ヴァンはそれを回避しようと体制を変える。
「・・・今だ!タイトバレット!」
乱射した弾がヴァンに当たる。
「ぬ・・・!」
「ティア!」
「ーーーー♪」
ティアが譜歌を詠おうとした瞬間・・・
「・・・ぬおおおおお!」
ヴァンがローレライの力を少量発動し、衝撃波でティアを怯ませる。
「・・・譜歌か。確かにその旋律はローレライを目覚めさせる。だがお前は、譜歌に込められた本当の願いを知らない。私には・・・効かぬぞ」
「いいえ・・・兄さん。・・・私にはわかるの。ユリアがこの譜歌に込めた想いがわかるような気がするのよ」
「・・・それが真実なら見事詠いきってみせよ、メシュティアリカ!」
ヴァンが剣を構え直す。
「体制を立て直させるか!」
「そうだよ!」
黒羽とアニスが突っ込む。
「・・・やはり子供か」
ヴァンが笑う。・・・不味い!
「二人とも!」
「危ないです!
撫子が二人の前に立ち、影を使おうとするが・・・
「滅びよ!星皇蒼破陣!!」
ドガァァァンッ!!
「きゃああ!?」
展開が間に合わず、防ぎきれずに撫子を含め三人が倒れ、動かなくなる。
「アニス!黒羽!撫子!」
「よそ見をしている暇があるのか?」
「・・・ッ!」
ヴァンが踏み込んでくる。
「そうは行くか!」
ガイが間に割って入り、ヴァンの一撃を受け止める。
「・・・この一撃を止めるとはな」
「俺も何時までもあんたにお守りされる訳にはいかないんでね」
ヴァンはガイに手を当てる。
「だが、一歩届かなかったな。烈破掌!」
ズン!
「がは・・・」
ガイが壁に叩きつけられる。
「ガイ・・・!」
「こちら私がなんとか致しますわ!」
「・・・頼むぜ!」
ナタリアにガイ達を頼む。
「ティア!もう一度頼む!」
「ええ!」
ティアの譜歌で力を高めたルークがヴァンに切りかかり・・・腕の装甲を破壊する。
「・・・やはり・・・強くなったな」
「ヴァン・・・」
「私が・・・ここまで追い詰められるとは・・・結局、この疎ましい力を解放せねばならぬようだな」
「・・・来る!」
ヴァンの姿が一変する。
「とうとうその力を使ってきましたか。・・・それでも勝つのは私ですが・・・!」
「く、負けませんことよ。私の矢であなたを奈落の底へ追い落として見せますわ!」
「へっ、撃ちがいがあるぜ。弾切れなんか気にしてられないな!」
「ジゼルを、アリエッタを・・・そして詠を利用していた奴に負ける訳にいくかよ!!」
『その通りッス!オイラと咲さんのコンビは無敵ッスよ!』
「心強い仲間がいるな」
「そうです。みんなはこんな俺をずっと助けてくれた・・・みんなの為にも負けられない!いや、俺という存在にかけて負けない!」
「兄さんがローレライの力を使うとき、隙ができる。それをわかっていて使わざる状況に追い込んでいるのはルークよ。兄さんがずっと認めようとしなかったルークなのよ!ルークは・・・いいえ。私達は負けないわ!」
「・・・確かに、私にこの力を使わせたことは褒めてやろう。だが、それもここまで」
ヴァンが更に力を溜める。
「さらばだ・・・ルーク!」
「Aモード・・・解放!」
俺は闇を高め、姿を変える。
「ハァァァァ!」
カキキキン!
ダダン!
ガッ!
ヴァンと高速で斬りあい、銃を撃つが、ヴァンはそれをことごとく回避していく。
「ぬん!」
「っ!?」
ガキキン!
それどころかどんどんと俺が押されていく。・・・これがローレライの力・・・!
「だったら・・・ウオオォォォ!!」
闇を一気に解放する。
「ダークネスバインド!」
ヴァンはそれに合わせ、力を解放する。
「ローレライの力・・・受けてみよ!エンシェント・レクイエム!!!」
ガガガガッ!
力と力のぶつかり合いは・・・ローレライの力が圧倒的だった。
「がぁぁっ!?」
力に呑まれ、地面を転がる。
「ぐ、く・・・なんて、力だ・・・」
「サキ!しっかりしなさい!」
「大丈夫だっつの・・・くっ・・・」
何とかAモードは解除せずに済んだか・・・
「・・・」
俺は銃を見る。
「みんな・・・力を貸してくれ・・・!」
俺はジェイドから使うなと言われていた・・・譜術を使用する。
「(アリエッタ・・・!)これで・・・イービルライト!」
闇の光線がヴァンに当たる。
「なに!?」
「まだだ!」
ジゼル・・・頼む!
「プリズムバレット!オオォォォォォ!」
続いて光の光線。俺は銃を空間に投げ入れ、ユキアネサを取り出す。
「(詠・・・一緒に、行こう!)・・・ラスト!魔神・・・煉獄殺!!」
ズバァァン!!
完全に力を出しきった一撃。Aモードが解除されながらも、俺はヴァンを見る。
「フ・・・ハハハ・・・今のは危うかったな・・・!」
ダメージは負っているが・・・足りない!
「大した意味も無かったな。・・・死ね!」
ここまでか・・・その時、ジェイドの声が聞こえた。
「ーーーいいえ、充分意味はありました」
「・・・なんだと!?」
見るとヴァンを囲むように、ナタリアが回復させたみんなが力を溜めていた。
「時間稼ぎとしては合格です」
「離れろ、サキ!」
「・・・!」
力を振り絞り、その場から飛び退く。
「天光満る所に我はあり、黄泉の門開く所に汝あり。・・・いでよ神の雷!これで終わりです!インディグネイション!!!」
ズガァァァン!
「続けていくよ!十六夜転舞!とっどめ~!!」
ジェイドとアニスの一撃でヴァンが仰け反る。
「ぬ、ぐ・・・」
「神速の斬り、見切れるか!閃覇瞬連刃!」
「譜の欠片よ・・・我が意思に従い、敵を撃て!ノーブルロアー!!」
更にガイの連続斬りとナタリアの音素による射撃がヴァンの体力を削る。
「カートリッジロード!・・・撫子、やれ!」
「・・・はい!」
撫子が影を伸ばし、それに黒羽が雷をプラスする。
バチチチ!
「・・・!」
影がヴァンを捉え、雷がヴァンを翻弄する。
「知也さん!」
『アサルト!ヒート!マキシマムドライブ!』
「準備はいいぜ・・・トリガーアサルトエクスプローション!!」
ゴガァァン!!
「・・・今なら!ーーーーー♪」
ティアが再び譜歌を詠い始め、ルークが走る。
「ウオォォ!これでも・・・喰らえぇぇぇ!!」
ルークの超振動がヴァンを呑み込んだかに見えたが・・・
「舐めるなぁ!!」
「なっ・・・」
ヴァンが驚異的な底力でルークを吹き飛ばす。
「メシュティアリカ!覚悟!」
「ーーー♪・・・!」
「詠うのを止めてんじゃねえ!」
ガキィン!
ヴァンの一撃を防いだのは・・・アッシュだ。
「アッシュ!無事でしたのね!」
ナタリアが嬉しそうに声をかける。
「アッシュ・・・」
「ルーク!手間取ってんじゃねぇ!・・・俺の力を使え!」
ルークとアッシュがローレライの鍵を握り締める。・・・すると二人の体が輝き出し・・・
「まさか・・・第二超振動か!?」
「行くぞ、アッシュ!」
「ドジるなよ、ルーク!」
ローレライの鍵に力が集まる。
「響け!」
「集え!」
「「すべてを滅する刃と化せ!!」」
その剣を・・・振り下ろした。
「「ロスト・フォン・ドライブ!!!」」
「馬鹿な・・・この、私が・・・」
ヴァンが膝をつく。
「・・・ヴァン師匠!」
「来るな!・・・この期に及んで、まだ私を師と呼ぶか・・・愚か者が・・・」
ヴァンの体が光に包まれる。
「許せよ・・・我が同士達・・・よ・・・」
そして・・・無数の光となって消えた。
「・・・ルーク、ローレライの鍵を」
「え・・・?」
俺は立ち上がり、ルークに近づく。
「ローレライは俺が解放する。だからお前達は脱出を・・・」
解放されかかっているローレライの影響で、既に辺りが崩れ始めていた。
「なに馬鹿なこと言ってやがる。ローレライは俺かルークじゃねえと・・・」
「生憎、俺の能力は綻びがあれば充分でね。・・・どのみち、限界だしな」
その言葉を聞いて、ルークは俯きながらローレライの鍵を渡してくる。
「・・・」
「咲さん・・・」
「ありがとな、三人共。・・・なんとか詠を助け出せることが出来た」
「いや、それは咲自身の力だと思う。俺らは少し協力しただけだ」
「・・・でも、ありがとう」
「ま、次はもっと大物を撃たせてもらうかな・・・っと!?」
その時、外史メンバーの足元にスキマが開き、落ちていく。・・・紫か?
「サキ」
「ん・・・」
ジェイドが手を差し出してくる。・・・それが握手を求めていると理解して、俺も手を差し出してジェイドの手を握る。
「きちんと帰ってきて下さい」
「ジェイド・・・」
「こんどはゆっくりと呑みたいですからね。・・・それと、健闘を祈りますよ」
「・・・ありがとな、ジェイド。・・・なんだかんだ世話になった」
「・・・こちらもです」
ジェイドが離れた時、頭に衝撃が走った。
「いって!?」
見るとガイが笑いながら拳を握っていた。
「ったく、何すんだよ」
「今のは友人に対して隠し事してた罰だ」
「隠し事って・・・」
「次帰ってきたらその根性叩き直してやるよ。だから・・・このまま消えるのは許さないからな」
「・・・気付いてたのか?」
「当たり前だ。・・・いいな?絶対に帰ってこいよ」
「・・・ああ」
次に来たのは・・・アニスだ。
「私もね。なんとなくおかしいなって思っていたんだ」
「・・・アニス」
アニスは俺から離れ、笑顔を作る。
「アリエッタのことは任せてよ。だからサキは安心して行ってね」
「・・・ああ、アリエッタにごめんって言ってくれるか?あと、また必ず来る・・・とも」
「うん・・・必ずだよ」
「サキ」
「ナタリア・・・」
「必ずまた戻ってきて下さい」
「・・・」
「私はまだ一人では至らない部分があります。ルークやガイ、それにアッシュやあなたに支えて貰えたなら私は何処までも頑張れますわ」
「・・・必ず、帰ってくる。その時は使用人として・・・かな?」
「いいえ、仲間として・・・ですわ」
「・・・わかった」
ティアがやって来る。
「サキ・・・教官には・・・」
「必ず帰ってくるってことだけ・・・あ、いや」
「?」
「もう一度ちゃんとお互いの誕生日を祝おうって言っておいてくれるか?あと、いい加減嫁の貰い手探せともな」
「くす・・・ええ、わかったわ」
「サキ、俺はずっと待ってるからな!必ず、必ず何時までも・・・」
「・・・サンキュな。アッシュもルークともめんなよ」
「ふん、大きなお世話だ・・・」
「じゃあ・・・行くよ」
俺はローレライの鍵を振り下ろす。
「・・・開け」
俺の視界は光に包まれた・・・
『・・・まさか預言を覆すだけではなく、ルークとアッシュでもないお前が私を解放するとは・・・』
「・・・アンタがローレライか・・・悪いな。シナリオ通りに行かなくて」
『だが・・・これも一つの未来か・・・さらばだ』
ローレライの光が遠ざかっていく。
「(さて、と・・・)」
リパルの声も聞こえないしな・・・
「・・・あ・・・」
体が軽くなる感覚。音素乖離が目前だ。このまま消えるのか、それともギリギリで世界がイレギュラーに気づくか・・・
『・・・いいえ、どちらでもないわ・・・』
「・・・え?」
紫の声が聞こえた瞬間、俺の意識は途絶えた・・・
後書き
ルーク
「お疲れ」
サキ
「ああ・・・長かったな」
ガイ
「まあ、途中色々あったからな」
ナタリア
「ですが、無事に物語を終わらせることができてよかったですわ」
アニス
「もう、まだだよナタリア」
ティア
「ええ、まだサキ達の物語は続くわ」
ジェイド
「私達は裏方で楽しむとしましょうか」
サキ
「・・・気楽なことで・・・ま、いいや」
詠
「どうせ無茶するだろうし・・・ボクも手伝うわよ」
ジゼル
「弟を頼むぞ、エイ」
アリエッタ
「・・・気をつけてね、サキ」
サキ
「ああ。また必ず会おうな・・・それじゃ、最後は全員で・・・せーっの!」
全員
「今までありがとうございました!これからもよろしくお願いします!!」
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