ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-5 触れあう手たち
Story5-3 新たなる力
第3者side
ミズキは目を覚ました。谷底で。
「えっと…………あたし、どうしてここにいるんだっけ?」
――え~と、確か…………
「うおーーい…………ミズキ~! 早くどいて~」
「あっ、ごめん!」
落ちるときに、シャオンは自分が下になるようにミズキを抱きかかえて落ちていったので、シャオンはミズキの下敷きになっていた。
HPもレッドゾーンに突入していた。
シャオンはハイポーションを口に加えて一気に飲み干した。
「結構高いところから落ちてきたみたいだな。
戻るの大変だし、どうしようかな……」
「私、迷惑かけてばっかだね…………」
「へ?」
「38層のあのときだって、今だって、私が足引っ張ってなかったら…………
ごめん……ごめんね…………」
自然と涙が出てくる。
「迷惑だなんて思ってないさ」
「え?」
「迷惑って思ってたら最初から一人で行ってる。
俺はお前が頼りになるから誘ってるんだ。
それに、俺は救える命を見捨てたりはしない。
救える命はどうやってでも救う。それが俺の信念だ」
「…………シャオン、ありがとう」
「まあ、気にするなっていうこと。
……どうやって戻ろうか。此処では転移結晶使えないみたいだし。
日も暮れてるしなぁ…………あそこの洞穴で一晩過ごす?」
「そうね。日が落ちるとエンカウントしやすくなるし」
シャオンたちは洞穴に向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
洞穴 内部
「ここ暖かいな」
「うん」
シャオンたちは洞穴の中で夜を過ごしていた。
「あ、晩飯作ろうか。料理スキル0だから期待は出来ないけどな」
「お願いしまっす!」
~15分後~
「ほい。スープ作ってみた」
「ありがとう。
…………とっても美味しい」
「よかった…………口に合わなかったらどうしようかって思った」
「何いってるの。シャオン優しいもん。料理に性格が出てる」
「お前がそんなこと言うなんて、なんか似合わないな」
「そりゃないよー!せっかく誉めてあげたのに」
「悪い悪い。冗談だって」
「もう…………
ん、ふわぁぁぁ…………なんか眠くなってきた…………」
「あらら…………」
「おやすみぃ~…………」
「あ、お前寝るなよ」
「Zzzzzz…………」
「…………絶対寝心地悪いだろうな」
シャオンは1つしかない寝袋にミズキをいれると、壁にもたれて寝た。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふああ…………よく寝た。
ん? 寝袋だ。シャオンが使わせてくれたんだ」
近くの壁で寝ているシャオンの寝顔を覗き込むミズキ。
「いつもは分かんなかったけど、シャオンって可愛い顔してるなぁ」
すると、ミズキの視線に気づいたのか起きるシャオン。
その瞬間バックステップで下がるミズキ。
「…………おはよう」
「お、おはよう」
「どしたの?顔赤いよ」
「何でもない」
「…………そっか」
「…………ああああああ!」
「どした?」
「あれ!」
ある方向を指差すミズキ。その先には金色に輝くインゴット。
「もしかしてさ、あれが探してたやつ?」
「きっとそうだよ!」
インゴットに近づくシャオン。
「名前は『サンライトインゴット』か」
「見つけたし、帰ろうよ!
あ、帰れないんだった」
「…………よくよく考えたら、ここって竜の巣だよな。
竜って夜行性だから……朝になったらここに帰ってくる。
つまり………………」
「…………え?」
グルァァァァァ!!!
シャオンの考え通り巣に帰ってきたドラゴン。
「やっぱ来たな。ミズキ、行くぜ。しっかり掴まってろよな」
そういうとミズキをお姫様だっこするシャオン。
「ふえぇぇっ……」
ミズキはいきなりだったので顔を赤くしている。
そんなミズキを気にせず壁を走るシャオン。
SEEDを発動させているのでとても速い。
竜は追跡してきているが、追い付くどころか離れていく。
そして、竜の追跡を振り切り崖の上まで登った。
「始めからこうすればよかった」
「シャオン!早く下ろしてっ!」
そう、シャオンはミズキをお姫様だっこしたままだ。
「あ、ごめん」
「もう…………
転移結晶でさっさと帰りましょ」
「そうだな。 転移、フライズ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
54層 フライズ 鍛冶屋STAR RAY
「早速作りましょ。数値の目標は?」
「こいつと同じぐらい」
そう言って取り出したのは、ソレニアスアーリー。
ゼロニティストライクをさらに強化した剣だ。
「分かった。さっさと済ませるから待ってて」
~1時間後~
「できたよ、その剣に負けないぐらいの強さになってるみたいね。
名前は……フェイトストライク……運命の一撃ね」
ミズキはシャオンに剣を渡した。その瞬間、シャオンの手にミズキの手が触れた。
ミズキはドキッとした。
それもそのはず、ミズキは今回の冒険でシャオンの優しさに触れ、恋心を抱いていたのだ。
「希望したとおりの剣だ。結構軽めで、鋭い剣だな」
「ところで、なんで剣が2本必要なの?」
「今から見せるさ。びっくりして腰抜かすなよ」
そういうとシャオンは右手に蒼色の剣ソレニアスアーリーを、左手に藍色の剣フェイトストライクを装備した。
そして、連二刀流スキル20連撃技〔エクスパート・ドライバー〕を放った。
「こういうことだ。他の人には秘密だぜ」
「うん」
「でさ、お金はいくら?」
「……お金はいらない」
「え?」
「代わりに私をあなたの専属スミスにしてほしいの」
「そりゃ構わないけどさ…………」
二人で話していると、フローラがやって来た。
「やっほー!ミズキ、元気だった?」
「うん。いろいろありまくりだったけど」
「へぇ~」
「今回は大変だったな~結構年取った気分」
「シャオン君、帰ったら聞かせてね!」
「嫌だ」
「ええ~! そんな~…………知りたいよ~」
ミズキはこの時悟った。
――シャオンの隣に私の居場所はない。私より…………
そう思うと涙が出てきた。
「フローラ!」
「何?」
「ちょっと来て」
「えっ?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ミズキは工房の一室にフローラを連れてきた。
「前、話してたフローラの好きな人、シャオンのことだったんだね」
「えへへ…………ばれた?」
頬を真っ赤に染めるフローラ。
その表情はミズキに心の痛みをもたらす。
「確かにシャオンはいい人だよ。誰からも好かれるタイプの人だね」
「うん」
「フローラの髪型が変わったのも、服装が変わったのも、全部彼のことが出始めたころだったよ」
「こっちもバレた?」
「うん、さっき分かった」
「で、剣は出来たの?」
「出来たよ。あとで、シャオンに見せてもらいなよ」
「うん、そうする」
「あ、フローラ。ちょっとシャオンの相手してて。
少しやることがあるから」
「あ、うん」
ミズキは外に駆け出していった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「シャオン、私はあんたのこと大好きなのに…………
私じゃ、あんたのそばにはいれない。
ぐすん…………どうすれば…………」
すると、後ろからシャオンの声がした。
「ミズキ…………」
「もう少し待ってて。もう少しでいつものミズキに戻れるのに…………
どうしてここが分かったの?」
「フローラに聞いたんだ。お前が落ち込んだときいつもここに来るって」
「そっか」
「誰かを守るっていう気持ち。あの事件がなかったら、ずっと中途半端だったかもしれない。そういう意味では、ミズキが死んだと思ったあの事件も大切なことだったんだよ」
「シャオン…………あんたは、優しすぎるよ…………」
「よく、言われるよ。でも、自分ではそんなこと思ったこともない。自分の心の感じたままに動いてる、たったそれだけ」
「シャオン」
「ん?」
「私、フローラは一人じゃ何もできない人だから…………ずっとそばにいてあげて」
「ああ。分かった。
それと…………ありがとな、この剣。大切にするよ。
クリアしたら、もう一回現実で会おう。そしたら、友達だな。
いや…………今、この一瞬から俺とミズキは友達だから」
「うんっ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「じゃあ、またな」
「ミズキ、また来るね!」
「今後も鍛冶屋STAR RAYをよろしくお願いしまーす!」
帰り道
「シャオン君、装備変えて雰囲気が変わったね」
「そうか?」
「うん。明るくなった感じがする」
「フローラに言ってもらえたら、なんか嬉しいな」
こうして『蒼の剣閃』改め『蒼藍の剣閃』の一歩目が踏み出された。
Story5-3 END
後書き
新しくシャオンが剣を手に入れました。
この剣がどうなるのか、そして連二刀流スキルはどうなるのか、
次回Story5-4からのラフコフ討伐編でお会いしましょー
じゃあ……
フローラ「次回も、私たちの冒険に!」
シャオン「ひとっ走り……付き合えよな♪」
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