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ドリトル先生と学園の動物達

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第二幕その七

「どういう訳かわからないけれど」
「だから皆困ってるんだ」
「虫歯って大変だよ」
「痛いからね」
「いつも痛いからよく眠れないし」
「しかも食べることも辛くなるから」
 こうした事情があって、というのです。
「僕達先生にね」
「治してもらいたいんだ」
「それじゃあ治療もするからね」
 ちゃんとそれも忘れていない先生でした。
「麻酔もあるから安心してね」
「うん、じゃあ頼むよ」
「お願いするよ」
 こうしてでした、先生は鰐達の歯の治療もするのでした。そうしてその検診と治療が終わってからでした。
 先生はイリエワニのコーナーを後にして他の鰐達のところも回りました、歯のある爬虫類は全て診ました。
 それが終わってからです、先生は日笠さんにお話しました。
「やはり不自然ですね」
「虫歯の動物がですね」
「多過ぎますね」
 こうお話するのでした。
「どうにも」
「そうですね、それで手が足りなくて」
 先生をお呼びしたこともお話する日笠さんでした。
「お願いしましたし」
「そうですね」
「とにかくです」
 あらためて言う日笠さんでした。
「最近妙に多くて」
「困ったことに」
「原因も調べていますが」
「そうそう、鰐達の歯を診ますと」
「虫歯についてですね」
「お口の中、歯のところに残っていた食べカスが」
 それがです、どういったものだったかというのです。
「おかしかったです」
「と、いいますと」
「鰐は肉食ですね」
 このことからお話する先生でした。
「そうですね」
「はい、ですから餌も肉です」
「そうですね、しかしなのです」
 その食べカスの中にというのです。
「おかしなものがありまして」
「おかしいとは」
「お菓子がありました」
「お菓子、ですか」
「そうです、それもかなり甘い」
 只のお菓子ではなく、というのです。
「日本にはない様なお菓子です」
「八条動物園では動物達に餌をやらない様にとです」
「お願いしていますね」
「はい、餌は充分にありますし」
 それにと言う日笠さんでした。
「そうしたものを食べますと」
「今回の様なことがありますね」
「糖分は歯にとってよくありません」
 このことは動物でも同じです。
「ですから」
「そうですね、しかし」
「それでもなのですね」
「お菓子が残っていました」
「そうでしたか」
「これまでこのことはわからなかったのでしょうか」
「いえ、餌をやらないで欲しいとお願いしているのですが」
 見れば動物園の中には餌をあげないで下さいと書かれている立て看板があちこちにあります、それも日本語だけでなく英語や中国語、スペイン語等で書かれています。
「しかし」
「それでもですね」
「やはりマナーを守らない人はいます」
 どうしてもとです、困ったお顔で言う日笠さんでした。
「それでどうしても虫歯もあり今回もその報告がありましたが」
「それでもですね」
「はい、日本にはない様な」
「そこまで甘いお菓子ですか」
「日本のお菓子の甘さは確かに甘いですが」
 それでもというのです。
「国によってはそれよりも遥かに甘いお菓子があるのです」
「そういえばそうですね」
 日笠さんも先生のお話にはっと気付いて答えました。 
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