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アバタもエクボ

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第七章


第七章

「あの娘はさ」
「どうなんだろうな」
「悪い気はしていないわよ」
「それは間違いないわ」
 女の子達はこのことを確かに言うのだった。
「だって彼性格悪くないし」
「むしろいい方よね」
「温厚だし前向きだしね」
 普段の性格はいいのだった。
「意地悪とかしないし親切だしね」
「ただのろけてばかりなだけで」
「ルックスもこんなのだし」
 あらためて丈を見る。その顔は決して悪くはない。むしろいい方である。
「成績も普通だし」
「おまけによ。どうなのよ」
「どうって?」
「どうなんだよ」
 男組は今の女の子の一人の言葉に突っ込みを入れた。
「それだけじゃわからねえよ」
「何かあるのか」
「あのね。あんた達一人の女の子にここまで思われたら悪い気しないでしょ」
「こんなに一途に」
 女の子達はその話をするのだった。
「そうでしょ?やっぱり」
「確かにストーカーっぽいけれど」
「まあそれはな」
「そうだよな」
「やっぱりな」
 自分達に当てはめて考えればその通りだった。
「ここまで一途な女の子がいてくれたらな」
「嬉しいな」
「そうだよな」
「そうでしょ?だからね」
「理佐も悪い気はしてないわよ」
 そうだというのである。
「これは間違いないわ」
「ちょっとしたきっかけがあればもうそれで」
「二人はって訳ね」
「そうなるんだな」
「ええ、間違いないわ」
 言い出した彼女はこう断言したのだった。
「それはね」
「じゃあくっつけてみる?」
「そうするか?」
 話は自然とそういう流れになった。
「とりあえずこいつはそれで滅茶苦茶喜ぶだろうしな」
「それこそ天国に行ったみたいにな」
「その光景が目に浮かぶ様だな」
 男組はこんなことを言うのだった。ビールに酩酊状態になっている彼を見ながら。
「まあその時どれだけのろけるのも見たいし」
「それで理佐もどうするか」
「それもね」
 女組は彼女について言う。
「だからまんざらじゃないのよ」
「もう本当にきっかけだけでね」
「なれるから」
「よし、じゃあな」
「くっつけるか」
「何としてもな」
 話はそれで決まったのだった。そのうえでまたこうした話になるのだった。
「一応美男美女のカップルか?」
「そうじゃないの?」
「美男の方の中身はともかく」
 醒めた目になって丈を見ながらの話だった。彼等にしろその濃厚な黒ビールをしこたま飲んでいるのだが彼等は酔っていなかった。
 その醒めた目で。彼等は話すのであった。
 
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