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ドリトル先生と学園の動物達

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第一幕その三

「困るかも知れないね」
「そうなるんだね」
「うん、その場合はね」
 ここでこう言った先生でした。
「及ばずながら僕もね」
「いいの?大学のお仕事があるよ」
「それでもだよ、時間を見付けてね」
 そうして、というのです。
「協力させてもらうよ」
「そこが先生だね」
「僕らしいっていうんだね」
「うん、困っている人や動物を見たら放っておけない」
「そこが僕らしいんだね」
「とてもね、じゃあその時はね」
「頑張らせてもらうよ」
 透明な屑の中に餡子が入っている水まんじゅうを食べながらです、先生は王子に対して答えるのでした。
「是非ね」
「そうなることはですね」
「可能性は何時でもあるからね」
 先生は微笑んでトミーにも答えます。
「だからね」
「心構えはしておくんですね」
「何でも心構えをしておくとね」
「いざという時にですね」
「うん、動けるからね」
 それもすぐにです。
「いいんだよ」
「そういうことになるんですね」
「そうだよ、だからだよ」
「いつも心構えはしておくことですね」
「そうしておいたらいいんだよ」
「そういえば先生のこれまでの旅は」
 トミーだけでなく王子も一緒に行ったことがあります、勿論動物達もです。
「何時何があるかわかりませんでしたね」
「だからね、僕はいつも何があってもいい様にね」
「想定はされてるんですね」
「少しだけれどね」
 微笑んでこうも言うのでした。
「何しろ僕はのんびりしているからね」
「少しですか」
「そうだよ、少しだよ」
 少しだけ心構えをしているというのです。
「後はのんびりしているよ」
「つまり余裕を持っているんですね」
「あはは、そう言うと随分いいよね」
「先生は穏やかですからね」
「いやいや、のどかなだけだよ」
 自分ではこう言う先生でした。
「僕の場合はね」
「そうですか」
「そうだよ、余裕があるとかじゃないよ」
 こう謙遜して言うのでした。
「僕の場合はね」
「そうなるんですか」
「そうだよ、そんなことはないよ」
 笑ってトミーにお話します。
「大層なものではね」
「ここでこう言うのも先生だけれど」
 王子はその先生を見て微笑んでいます、そのうえでのお言葉です。
「持ち味だよね」
「僕のだね」
「うん、いい持ち味だよ」
 こう先生に言うのでした。
「とてもね」
「そうだね、先生はこうした人だからだよね」
 トミーもその王子に応えます。
「皆に好かれるんだよね」
「そして頼みごとに来るんだよ」
「そうなんだね」
「それで後はね」
 王子は笑って言いました。 
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