魔法少女リリカルなのは 異世界からの訪問者
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無印編
1章
第五話 運命の出会いと再会 前編
前書き
この世界には幾万、幾億の人間が居る。
その中で人間たちは出会いと別れをくれ返していく。
出会いは良い事だけでなく、嫌な事もある…
別れには悲しい事だけではなく、嬉しいこともある
でも、出会いと別れはどこかで繋がってまた繰り返す。
これから始まるのは、そんな出会いと別れのお話。
魔法少女リリカルなのは 異世界からの訪問者 無印編、始まります。
~sid悟志~
「おはようございます、すずかお嬢様」
すずかお嬢様の専属執事として雇ってもらうことになった翌日、俺は朝5時に月村家に出勤、6時にお嬢様を起こすと寝も家眼も一瞬で覚めたご様子で固まった。
その後俺から目を背け「これって夢?でも昨日……」などとまだ頭が起きていないご様子だった。
その後この日はまだ俺は学校には転入手続きをしていないためすずかお嬢様を見送った。
その後ファリンとノエルに一時間ほどかけて執事としての仕事についてを教えられた。
俺の仕事ぶりを見ていたノエルに驚かれ、その光景を見さされたファリンは呆れノエルを叱るという無限ループでさらに一時間も使った始末である。
~数日後~
俺は学校への転入手続きも終え学校に登校できるようになった。
いつも通り朝に月村家に行き、ファリンと一緒に朝食の準備とその後すずかお嬢様をお越し家に帰る。という朝だった。今日は少しドタバタしたが明日からはもう少し楽が出来そうだ。ちなみに予想通りすずかお嬢様にはこのやり方について昨日案の定反対されたが何とか説得してしぶしぶ納得してもらえた。
そして俺は仕事とプライベートはきちんと分けるタイプだから、学校などではすずかとは主従関係ではなくあくまでも友人として接するつもりだ。
それから俺が通うことになった私立聖祥大学付属小学校は、私立だけあって登校はスクールバスですずかは俺より早くこのバスに乗っているので、強制的に横に座ることになった。
しばらくするとバスに金髪の少女が入ってきた。
「すずかおはよ~ってその隣の男子誰?見かけたこと無いんだけど…」
「あ、アリサちゃんおはよ~この人は私の友達で、今日からうちの学校に転校することになったの」
「へ~初めまして私はアリサ・バニングス。長いからアリサで良いわよろしくね」
アリサは自己紹介をして手を出した。俺はそれに応えるためアリサの手を握り返し自己紹介をした。
「俺は光瀬悟志、悟志で良いこちらこそよろしく」
その後はアリサとすずかと駄弁っていた。
しばらくするとまたバスが止まり入口から見覚えのある少女が入ってきた。
「アリサちゃん、すずかちゃん、おはようってなんで悟志君がここに居るの?!」
「おう、なのはおはよう。久しぶりだな、というかよく俺のこと覚えてたな」
そう言って俺はなのはに向かって手を振った。
「エッヘン、これでも私は友達になった人のことは忘れないんだよ」
「へ~そりゃあすげ~な、えらいえらい」
俺は冗談交じりでなのはの頭を撫でた。当の撫でられている本人は「にゃははは」と照れている様子、アリサはそんな俺たちの様子に困惑している。そしてすずかは何故か俺を睨み殺気に近い目線を感じた……
そして学校に着き朝のHRでクラスに紹介された。
「それじゃあ光瀬君、自己紹介をお願いします」
「はい。俺の名前は光瀬悟志と言います。趣味は体を動かすこと特技は家事全般です。これこれからよろしくお願いします」
自己紹介を終えるとクラスメイト達から拍手が送られた。
これが俺の長い人生で二度目の小学校生活だ。俺は様々な世界を渡り歩いて、元の体格だったころは高校生とか大学生とかはやったことがあるが、流石に小学生は無かった。
だからと言ってこの学校生活を謳歌しようとは思っていない。
けれでもプライベートと使命とは区別するつもりだ。
にしても月村家には大きな借りが出来たのかもしれない。
月村家には俺の偽造戸籍は通用しない。なのにそれを黙り俺を学校に入れた、それもすずかやなのはと同じクラスに…
やはり人間の…いいや月村家は性質上人間じゃないけど、奴らには大きな力があると実感する……
「それじゃあ、光瀬君には高町さんの隣が空いてるからそこについてくれる」
「分かりました」
先生の言葉に返事をし俺は席に着いた。
「悟志君、改めて高町なのはです。これからよろしく」
「ああ、光瀬悟志だ。こちらこそよろしく頼む」
俺はお互いにあらたまって自己紹介をし握手をした。何故かなのはの頬がほんのり赤い、なぜだろうか?すると、なぜか周りから目線を感じるのは何故だろうか……
◇――――――――――◇
そしてHRが終わり一時限目までの休み時間になった。
当然転校生である俺はクラスメイトの好奇心の程の良いカモになった。
「光瀬君ってどこから来たの?」
「前はどんな学校に通ってたの?」
などといっぺんに聞かれた。
俺は聖徳太子じゃあない!神様だけれども……
「ハイハイ、みんな悟志が困ってるでしょ。色々聞きたいのは分かるけど順番に聞きなさい、順番に」
そうやってアリサがみんなを仕切ってくれたで少し楽になった。
できれば質問攻めに合わなければもっと楽だが、それは言わないことにしよう。
こうしてこの質問攻めで休み時間が過ぎていったのは言うまでもない…
そして次の休み時間、俺はアリサに先ほどのお礼を言うことにした。
「アリサ、さっきは助かった。ありがとう」
「別にお礼なんていいわよ。これでも私はクラス委員長なんだから」
アリサは胸を張ってそう言った。
正直かなり意外だった。
だが確かにアリサみたいな人物が委員長なら、クラスも賑やかでいいかもしれないな。
そんなことを思っているとアリサが不思議そうな目でこちらを見ていた。
「な、なんだアリサ、俺の顔に何かついてるか?」
「いや、そういう訳じゃあないんだけど…あんたバスの中でなのはやすずかとやたらと仲良かったから何でかな〜と思ってね」
「ああ、そのことか。こっちに引っ越してきたときに色々あって高町家に一晩だけ泊めてもらったんだ。その時になのはと知り合ったんだ。そのあと、月村家に挨拶に行った時にすずかと知り合ったってわけさ」
そう言うとアリサは「ふーん」と興味が無いというよりは、俺がまだ何か隠しているのでないか、と疑っている感じで俺を見つめてきた。
「まあ良いわ。忍さんとなのはのお母さんの推薦でこの学校に来たらしいわね。でもあんたもこれから大変よ、なのはもすずかも男子からの人気が高いから」
「アリサちゃん!」
「そ、そんなことないよ」
なのはやすずかはアリサの発言を否定しながら顔を赤くしていた。
そういえば昔、人間だった時セイの奴と初めて登校した時色々カオスだったな〜
真奈が率いる全男子生徒との追いかけっこ、その男子生徒達を力で鎮圧しようとするセイ、それを鎮めようとする体育会系教師達…懐かしいなぁ〜
まああんな事は二度とごめんだが流石に小学校ではないだろう…たぶん…
「まあ、アリサの言うことも最もだが、そういうアリサも可愛いから人気があるだろう?」
「え、あう……//」
俺が思ったことをそのまま言うとアリサは一気に顔が真っ赤になった。
大丈夫か心配になり俺はアリサの側により額をくっつけた。
「「「なっ‼︎」」」
三人がというよりはクラス全体の空気が凍りつき、三人は口をパクパクとまるで鯉のように口を開けていた。
熱は36・8℃くらいか。微熱か、今日は家に帰ったらゆっくりするように言っ……
「な、何するのよ!」
「?何って熱を測っただけだがそれがどうかしたか?それから微熱があるぞ今日は家に帰ったら大人しくする事だな」
するとなのは達は固まりヒソヒソと話を始めた。
「ねぇ、悟志君って…」
「たぶん恭也さんと同じ天然なんだと思う…」
「いや、それ以上でしょ!」
よく聞こえないから俺は首を傾げて三人の会話が終わるのを唯々待っていた。
そしてこの休み時間は無事に終わった。
そして次の休み時間、一気にクラスの雰囲気が尋常でないものになった。
具体的に言うとクラスメイト(特に男子)の眼が血走り俺を見てきた。
「「「「「こ〜う〜せ〜‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎!」」」」」
男子達は幽霊のように目が虚ろで、だけど眼の奥には恨みというより、妬みを全員眼の奥に宿していた。
忘れるはずはない。これは、いいやこの光景は昔と同じ光景なのだから。
俺は走って教室を出ようとすると、男子たちが出入り口と廊下側の窓を囲んだ。
なので″外側″の窓から逃げることにした。
そしてそのまま他のクラスに言ったり、屋上に言ったりして難を逃れた。
それは一日中続いた。ちなみに昼休みは、俺の昼食を食い終わるのを待ってから鬼ごっこを始めてくれた。ありがたいが出来れば鬼ごっこ自体をしてくれない方が良かった……
帰りはなのはたちと一緒に帰ったため誰も襲ってはこなかった。
というか、全員一日中走り回ってたため完全にダウンしていた。
「それにしてもすごいね悟志君、みんな疲れてへとへとだったのに悟志君は大丈夫みたいだし」
「というか、なんで壁を登れるのよ!そっちの方が不思議よ」
「これでも鍛えてるからな」
俺がそう言うとすずかはクスクスと笑った。
「そうだね、この前だって二刀の恭也さんが手も足も出なかったもんね」
「「え‼」」
なのはとアリサはかなり驚いた。
まあ、なのはは実の兄が負けたと聞いたら普通に驚くよな。というかすずか、それは言わなくても良いのでは…
「それ本当なの悟志‼」
「まあな」
「そういえば、何日か前にお兄ちゃんが悔しそうに道場で木刀を振ってたのはそのせいだったのか~」
そんな話をしながら俺たちは帰った。
(誰か、助けて!)
歩いていると声が聞こえた。幼い男の様な声だ、近くに森になっている公園があるから、その内誰かが見つけるだろう。
そうやって俺は無視することを決め込むと、なのはにも聞こえたらしくキョロキョロしだした。
そして、何度かその声が聞こえると、なのははその公園に走り出した。
「ちょっとなのは、どこに行くのよ!」
「なのはちゃん?」
「悪い二人とも、少しここで待っててくれ。俺が行ってくるから」
俺はそう言って二人をその場に残しなのはを追った。
なのはに追いつくと、なのはは一匹の衰弱したフェレット?の様な動物を抱えていた。
「悟志君、この子…」
「大丈夫だ、外傷はあるが擦り傷程度だ。命に別条はなさそうだから、キチンとしたところで大人しくしていれば元気になる(だが、魔力の著しい低下による衰弱だからしばらくはまともに力は使えないだろうけどな)」
そう言うとなのはは「良かった~」と安堵の息をつき、俺たちはアリサたちの下へ戻った。
アリサとすずかがこのフェレットを見ると、知り合いの動物病院に行く話になりその病院に向かった。
何でもその病院は、月村家が大量に飼っている猫たちをよく診断してもらっているらしい。
病院に着くとフェレットを見つけた経緯を話し、診断してもらえることになった。
診断結果は先ほどの俺の診断と同じだった。
なのでフェレットは飼い主が見つかるまでは病院で預かることになった。
そして俺たちはそれぞれの家路を急いだのだった。
なのはたちと別れ俺はスーパーに寄ったりして帰って行った。
『それにしてもよかったんですかマスター?』
人気のない道でイグニが話しかけてきた。
「何がだ?」
「さっきのフェレット擬きですよ。あれはただの動物ではなく、念話の使える魔力を持った動物ですよ、あれは動物ではなく元は人間です。微量ではありましたが魔力がありました。絶対にあれは異世界の住人ですよ、そんな人物を放っておいて良いんですか?」
「解説どうもありがとう」
イグニは、今分かっているあのフェレットについて分かっている情報を、すべて説明してくれた。
「確かにあれは何か大きな問題を持ってるだろうし、なのはにも接触するだろう。だが、あの状態なら2、3日は眠ったままだろうからしばらくは様子見だな」
『分かりました、マスター』
それ以上イグニは何も言わなかった。
正直イグニがここまで大人しいのは驚いた。いつもなら一度喋りだしたらしばらくはバカみたいなことを言い出すが、それだけこれはやばい事なのかもしれない。俺にはそれを察するだけの力の安定が無かった……
俺は家に帰り、学校の制服を脱ぎ、私服に着替え月村家へと向かった。
月村家に着き更衣室で執事服に着替え、その後キッチンへと向かった。
キッチンにはメイド長のファリンが夕食の支度をなさっていた。
「メイド長手伝います。それで今夜のメニューは?」
「ありがとうございます悟志、今夜のメインは旬のキャベツでロールキャベツを、それからサラダにコンソメスープです」
「良いですね、ロールキャベツ。それでメイド長、ノエルさんは?」
「あの子は今お嬢様たちのお相手をしています。あの子がキッチンに立つと、どうなるかは貴方にも分かるでしょう」
メイド長はそう仰り、私は苦笑いしかできませんでした。
私は苦笑いしながら自宅から持ってきたパンを切り、コンソメスープ用の具材を切ってた。
メイド長は、私のパンを少々不思議そうな目でこちらを見つめられた。
「ど、どうかなさいましたかメイド長」
「いえ、ただそのパンはどうしたのかと思いまして」
「ああ、このパンですか。これは私が長年かけて作ったレシピで製造した自家製パンです。レシピは教えられませんが、味は保証します」
私がそう言うと、メイド長はクスリと微笑み「そうですか」とおっしゃった。
~sid忍~
しばらくすずかとお話ししていると、悟志君が夕食の用意が出来たと呼びに来てくれた。
今日の夕食はパンとサラダ、コンソメスープにメインのロールキャベツだ。私たちはそれを美味しく食べた。
「ファリンさん、今日のこのパンいつもと違いますね」
すずかがそう言ったので私も食べてみた。
実際かなり美味しい、外はカリッと中はふんわりとした食感でスープによく合う。
「はいすずかお嬢様、このパンは今日悟志が作ってきたパンで私も作り方は知りません」
「そうなの悟志君?それなら今度パンの焼き方を教えて」
「このパンはお教えできませんが、他ならお教え出来ますよすずかお嬢様」
「ほんと!それなら今度の休みの日に」
すずかは嬉しそうな顔をして喜んでいる。悟志君は柔らかい顔でだけど執事として受け答えている。
私としてはもうちょっと物腰が柔らかくなると思っていたけど、そう簡単にはいかないようだ。
でも、以前よりすずかが笑う回数が増えたようだし、この作戦は成功ということにしておこう。
~sid悟志~
忍お嬢様、すずかお嬢様がお食事を終えられて後片付けをしようとするとノエルさんに「もうくらいから子供は帰りなさい」などと個人的に非常に失礼な言われ方をしたが、上司の言うことには従わないといけないのでメイド長に許可をもらい、今日帰ることにいたしました。
こうしてわたくしの本日の業務は終了しました。
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