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剣の世界で拳を振るう

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シグルドという男

翌日の午後1時。
俺達はリーファの案内により、俺達は世界樹を目指している。
のんびりと飛行しつつも、襲いかかって来たモンスターは確実に潰す。
そんな流れの途中で後ろから「リーファ!」という声がした。
ああ、この場面は…と、後ろを振り返れば挑発のシルフプレイヤー。
後ろには男が3人くらいいる。

「あ、シグルド」

「貴様!パーティを抜ける気なのか?」

シグルドと呼ばれたプレイヤーは前口上も無しにいきなり怒鳴った。
こうも挨拶もなしにいきなり本題に入るあたり、社会人の大半はこう言う輩で占められているようだと痛感する。

「あー、まぁね。
貯金も大分貯まったし、ちょっとゆっくりしようと思って」

「勝手だな。残りのメンバーに迷惑掛かるとおもわないのか!?」

「ちょっ…勝手って…」

つまり、リーファは元々こいつらのパーティで幹部的な立ち位置だったわけだ。
だけどリーファの独断で抜けられてご立腹な分けか。
たが、コイツはそれだけじゃないみたいだけど。

「あー、俺達急いでるんだけど」

「ウンディーネは黙っていろ」

俺の腰折りに間髪入れずにいい放つシグルド。

「いや俺ウンディーネって名前じゃないし。
人のこと種族で呼ぶんじゃねぇよ。もしここにウンディーネが100人いたらお前どーするつもりだよ」

「なっ…!」

「お前みたいな奴が居るから、世界の何処かで番号呼びされる子供が出来るんだよ。
つーかあれか?リーファの容姿がとてもいいから、侍らせておく女の子が減る~見たいな事の言い回し?」

「貴様…黙っていればいい気に…」

「黙るの意味を辞書で調べてこいよ。
序でにMMOのあり方もな」

俺の言葉にシグルドの後ろ3人が首をかしげる。

「あぁ、分からないからやってるんだよな。
MMOってのは…まぁこれだけに限った話じゃないが、ゲームってのは人に強制される物じゃねんだよ。
基本自由に行動できる、現実とは違った場所なんだよ。
まぁ、コミュニケーション作法はあるだろうがな」

「何が言いたい!はっきり言え!」

「分からないのか?
お前がやっている行動は、自分のために人を巻き込んで迷惑を掛けるゲーマーにとってあるまじき行為なんだよ。
それとも何か?自分を中心に世界が回っています見たいな痛い人か?」

「貴様ぁ…」

「じゃ、行こうか。
なるべく明日には到着しておきたい」

俺は言うだけ言ってリーファ達に向き直る。
何故か二人は微妙な顔をしているが気にはせず、背中を押して立ち去ろうとすり。

「待て貴様ぁ!もう生かしてはおけん!」

そう言って剣を抜くシグルド。
こうなれば後は楽になる。

「やるなら来いよ。後腐れ無く、セーブポイントに送り出してやらぁ」

俺は構えをとる。
その瞬間に昨日手に入れた手甲が出現し、装着される。

「は、はは!はははははは!
まさかまだこのALOに格闘武器を使う奴が居たとはな!
まさにユニークプレイヤーか!はははは!」

俺の構えを見たとたんに笑い出すシグルド。

「じゃあな」

俺は一気に間合いを積めてシグルドの顔面を拳で撃ち抜いた。
殴られたシグルドは頭無くして体だけとなり、緑の炎に様変わりした。

「き、貴様!卑怯だぞ!」

後ろにいた三人のうちの一人がそういった。

「何言ってやがる。
PK推奨なこのゲームで、おまけに俺が構えている前で高笑い。
倒してくれって言っているような物だろ」

俺はやれやれと肩をすくめ、キリト達の元へと戻る。

「お、覚えてろよウンディーネ!お前の顔は覚えたぞ!」

そう言って逃げ去っていく3人。

「流石、SAO最強だな」

「は?何だそれ?」

キリトが言った言葉に俺は反応して聞き返した。

「どのプレイヤーよりもレベルが高く、どのプレイヤーよりも強い。
拳一振りで敵を蹴散らすSAO最強プレイヤーだって言われてるぜ?」

「………アルゴか」

「正解」

ふざけた二つ名だけじゃなく、色々と脚色したデマ流しやがって…アルゴ…。
次にあったらあのフード取り上げて素顔晒してやるからな!

「と、とにかく、急ごうよ。
あの洞窟を抜ければ直ぐだからさ」

そう言ってリーファが指差した洞窟は岩重に隠れて見えずらくされているようだった。

「じゃあ、休憩がてらローテアウトしよっか」

「ローテ……何?」

「ローテアウト。ローテーションでログアウトして、代わり番こに護衛するって事だ。
こう言った領から離れた場所だと、アバターは消えないから次にログインしたときにいつの間にか死んでました~なんてざらにある」

「なるほど…詳しいんだな…」

「SAOは別だが、殆どのゲームではこの言い回しが使われてるんだ。
まぁ、ソロばっかやってた奴には無縁の話だが」

「ぐ……そ、それで、誰から行くんだ?」

「俺は落ちる必要ないからお前ら兄妹で行ってこいよ。
それまで待っててやるから」

「あ、じゃあよろしくねケンさん」

「すまん。じゃあまた後で」

そう言ってログアウトしたキリトとリーファ。
残されたアバターは眠るようにぐったりとして動かなくなった。

「……さて、とぉ!」

俺は近くにあった石ころを拾い上げ、とある方向へとぶん投げた。
そして何かに当たったのか、「ギャウ!」と言う悲鳴が聞こえて、ポリゴンの粒が見えた。

「ど、どうしたんですか!」

いきなりのことにユイがキリトのポケットから出てくる。

「何か変なのが飛んでたからな。
石を投げて潰しただけだ」

「そ、そうなんですか…」

言わずもがな偵察コウモリの事だ。
多分あの状況なら近場のモンスターに刈られたとでも思うだろうな。







「お待たせ~」

「悪かったな」

しばらくすると、二人が体を起こして立ち上がった。

「じゃ、行きますか」

「おう!」

俺達は洞窟の中へと入っていった。
その中では、原作のように走ることもなく、橋の元までたどり着いたことを記しておく。 
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