明日の日記
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プロローグ (視点シフト)
とりあえず 1-(前)
前書き
ここからしばらくは、物語を違う視点で見ていきます
ストーリーのみをお楽しみの方は
すっとばしていただいても構いません
タイトルの後に(前)か(後)をつけてあります
これは時系列でその話の以前か以後かを示したものです
「 またのお越しをお待ちしてますー・・・ 」
店員から見送られ、一人の女性が店から出てくる
その手には紙袋がひとつ
中に入っているのは、とあるゲームのブースターパックである
「 そろそろきてくれますかねぇ~
☆☆☆☆☆のレアカードさん、お願いしますよ~? 」
のほほーんとしているこの女性が歩いているのは商業区の中央通り
しかし、行きかう人々の姿は少ない
立ち並ぶのは日本風の長屋から西洋風の商店まで様々で
統一感の無い不思議な街並みをしている。
街と言っても、その広さは100m四方の正方形に収まってしまうほどの大きさで
地面とは繋がっておらず、空中をぷかぷかと浮いている
そもそも、どこの上空なのかどうかなど問題ではない
・・・ここが「 神界 」
この商業区のようにいくつかの小島によって構成されている小さい世界であり、
そこに住まうのもただの人間ではない。
そもそも人間ではない者もいるが・・・
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「 きた! きましたよ~!! 」
椅子の上でガッツポーズを決めているのは、さっきの女性である
目の前の机には、開封されたブースターパックが山積みになっている
どうやら、お目当ての一枚が手に入ったらしい
「 早速使ってみますか 」
そう言って、目の前の何も無い空間を人差し指で2回タップする
そうすると、うす紫色の半透明なメニュー画面が表示された
その中から「 編成 」を選択
画面には現在稼働中のコマが表示された状態になった
同時に稼動できる上限数は4つまでだが、今は2つしか稼動していない
その空ている3つ目のスロットに手に入ったコマを設置する
そしてまたメニュー画面に戻り「 施策 」→「 視点共有 」→「 対象選択 」
までを開き、さっき手に入れたコマを選択
すぐに視界がぼやけ、体の感覚が遠ざかる
今まで聞こえていた音が聞こえなくなり、別の音が聞こえてきた
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・・・10分後・・・
「 はぁ・・・・ 」
深いため息をつきながら、意識が戻ってきた女性は目の前の机に突っ伏した
「 あんなに能力を連発して、何考えてるんでしょうかねぇ~ 」
原因は先ほど引き当てたコマの後先考えない生き方だ
あんなふうに代償を考えず、簡単に使っていいものではないはずなのに
何を考えているのだろうか
「 どうかしたか? 」
後ろから話しかけてきたのは、見た目よりずっと若い兄だった
「 いえ、何でもありませんよ。 お兄様 」
「 先ほど見かけたときは、何やらたいそう喜んでおったではないか
何かいいことがあったのではなかったのか?
・・・そうさな、例えば稀少な何かが手に入ったとか・・・ 」
「 うふふ。もったいぶるつもりはありませんわ
そのうち、お目にかける機会もございましょう 」
「 そうだな! ではその時を楽しみにしておくとしようか! ワハハハ!! 」
笑いながら去っていく兄を見送り、もう一発深いため息をつく
なぜならコマの寿命があと少しになっていたからだ
見せると言った手前、死なせるわけにはいかない
・・・が、こちらから行動を強制することはできない
となると、残る方法は・・・
「 降りるしかないですかねぇ 」
ゲーム盤上にプレイヤーが降りるのは、基本的には推奨されていない
それは、盤上ならプレイヤーに直接攻撃が可能になるからである
このゲームの勝敗条件は
1、コマの全滅
2、プレイヤーの降参
3、プレイ続行不可能な状態になったとき
基本的にはこの3つだ
そして、プレイヤーの直接攻撃によってプレイヤーが死亡した場合
即座にルール「3」が適用される
つまり基本的には、プレイヤーは神界から動かないのである。 しかし・・・
「 最近、退屈だったんですよね~ 」
女性は盤上へと繋がる階段へ歩き始めた
その足取りには一切の迷いが無い
ただ、暇だったから
それだけの理由だったのだが・・・・
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階段へ向かうその姿を、誰かが物陰から見ていた
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