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子猫のトムのお話

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第四章

「実際に」
「やったことがなくても」
「大人になったら自分で獲らないといけないよね」
「お父さんみたいにね」
「だったらね」
 それなら、というのです。
「トムもね」
「今ここで」
「獲ってみたらどうかな」
 自分で、というのです。
「はじめてでもね」
「そうだね、大人になったら獲らないといけないから」
「それじゃあね」
「やってみるよ」
 トムはピーターの言葉に頷きました、そしてです。
 トムは右の前足を構えてでした、そのうえで。
 小魚に狙いを定めました、そしてでした。
 そのお魚に向けて前足を一閃させました、前足は湖の中をさっとかいて。
 小魚を獲って湖面に出しました、トムはその小魚を見てピーターに言いました。
「出来たね」76
「そうだね」
 ピーターもその小魚を見ながら答えます。
「確かにね」
「僕もやればできるんだね」
「しっかりとね」
「大人になれるかな、僕」
「このまましっかりしていくとなれるんじゃないかな」
 ピーターはトムにこうも答えました。
「そうしていったらね」
「しっかりって大事なんだね」
「そうだね、じゃあトムは今の」
「このお魚食べるよ」
 獲ったその小魚をです。
「そうするよ」
「是非ね」
「それじゃあ」
 トムはその小魚を食べました、そして食べ終えてからピーターに言いました。
「とても美味しかったよ」
「よかったね」
「これからは自分でお魚を獲って」
「そしてだよね」
「お魚以外にもね」
 猫が食べるものは他いもあります、その他にはです。
「鳥や鼠、虫もね」
「猫って虫も食べるよね」
「あっちもかりかりして美味しいんだ」
「虫美味しいんだ」
「僕達にとってはね」
「じゃあ虫も捕まえてね」
 そして、と言うピーターでした。
「食べればいいね」
「これからはね」
「勿論食べていいものだけだけれど」
「そっちも教えてもらってるよ」
「それじゃあね」
 ピーターはまたトムに言いました。
「そっちも頑張ろうね」
「お魚のことはお父さんとお母さんに言うよ」
 捕まえて食べたことをというのです。
「はじめて出来たってね」
「それはいいことだね」
「うん、僕もやれば出来て」
「しっかりすることもね」
「出来るんだね」
 このこともお話する二匹でした。
「このまま」
「それでお魚ってどんな味なの?」
 ピーターはトムにこのことも尋ねました。
「匂いは生臭いけれど」
「お魚の味?」
「うん、どんな味なのかな」
「そうだね、お肉とはまた違ってね」
「僕お肉も食べないから」
 兎であるピーターはです、そうしたものは食べません。それでお肉とは違うといってもわからないのです。
「わからないよ」
「そうだね、君お肉食べないからね」
「けれどお肉とはまた違うんだ」
「うん、違う味だよ」
「そうなんだね」
「匂いとかもね、けれど凄く美味しいから」
「トムも好きなんだね」
 ピーターもこのことはわかりました。
「そういうことだね」
「そうだよ、じゃあまた一尾獲ってみようかな」
 湖を見て言うトムでした、トムは何となくお母さんの言ったことがわかった気がしました。どうしてしっかりとしないといけないのかということを。


子猫のトムのお話   完


                            2014・8・15 
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