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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜

作者:カエサル
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追憶の惨劇と契り篇
  クリスマス特別編 聖夜の約束

 
前書き
やっとこの話を出すことができました。
色々と言いたいことはあると思いますが、読んでいただければ幸いです。 

 
 

「暑ィ……死ぬぞこれ……」

 陽光が緒河彩斗の身体へと容赦なく降り注ぐ。
 吸血鬼の天敵である陽光が“魔族特区”と呼ばれる絃神島はかなり強く差し込む。なぜこんな場所に絃神島を造ったのだろう。仮にも伝説の吸血鬼と第四真祖が住んでいるというのにだ。
 せめてもの救いはこの世界の吸血鬼たちは直射日光を受けただけで灰になり死んで行かないことだ。
 この世界の吸血鬼の体質がそうでなかっただけまだいい方ではあるが、辛いということに変わりなかった。

「もう少しだから頑張ってよ、ここで倒れてもボクの力じゃ彩斗君運べないんだから」

 隣を歩いていた逢崎友妃が彩斗の前かがみになった身体をシャッキと伸ばさせる。

「だいたい、なんで俺が買い出しに行かないといけないんだ。もう学校もなくなったんだし、寝かせてくれよ」

「ダメだよ。そんな生活ばっか送ってたら。それに今日はもっとだよ」

 友妃が彩斗の手を引っ張って目的地へと半ば連行していく。
 街は、華やかなイルミネーションに彩られていた。年中真夏の島である絃神島には、あまり縁のないイベントだと思っていたが、やはり行われるようだ。
 十二月に行われる大きなイベントの一つ。
 ───クリスマス。
 今日はそのクリスマス当日。そのためか街は波朧院フェスタには劣るがかなりの盛り上がりを見せていた。全身赤の衣装に身を包んで店のビラを配ること店員や、この衣装寒いだろと言わんばかりに露出度の高いコスプレをした女性たち。
 本来のクリスマスとは、イエス・キリストの誕生日を祝う祭りとどこかで聞いたことがあった。だが、子供の頃はサンタクロースにプレゼントをもらったりする良い日であった。
 今となっては、プレゼントなどくれる人もおらず、ここ最近は悲しい一人のクリスマスを送っていた記憶があった。
 最近それに慣れたせいで今年も一人で過ごそうと思っていたのだが、そうは行かなかった。
 凪沙プロデュースのクリスマスパーティーを行うということで彩斗の安眠は妨げられたのだった。それで終いには、パーティーの買い出しに行かされる羽目になったのだった。

「まったくよ……古城に行かせりゃいいじゃねぇかよ……古城が行くなら姫柊も行くだろ。それで俺の睡眠は妨害されなかっただろ」

「彩斗君って睡眠のことにだけはうるさいね」

 半ば呆れた口調の友妃だった。

「人間の三大欲求であるすい───ッ!」

「そのセリフは聞き飽きたから早く買い出しに行くの」

 彩斗の決まり文句を遮り、手をぐいっと引っ張って友妃は連行していく。
 華奢な体つきの友妃だが見かけ以上に力がある。さすが剣帝と呼ばれるだけのことはあるとなぜかここで感心してしまっている。
 そのまま連行されてたどり着いたのは、大型のデパートだった。

「ここなら頼まれたものも全部調達できそうだしね」

「なに頼まれたのか全然覚えてねぇけどな」

「大丈夫だよ。ボクがバッチリ覚えてるから」

 聞こえない程度に小さな舌打ちをする。それを理由に家に帰ってそのまま引きこもる作戦が台無しになった。

「ほら、不機嫌にならずに早く買い出しに済ませちゃお」

 友妃に背中を押されて店内に入店する。
 ガラス製の自動ドアがいつも通りの音を立てて開かれる。店内に入ると程よい冷房の風が彩斗の身体を包み込んだ。
 吸血鬼には直射日光がないだけでもかなり違う。さらに年中夏気候の絃神島の陽光は容赦が全くない。

「それで何買うんだ?」

 彩斗は気怠そうに頭を掻きながら訊く。

「主にはクリスマスパーティーで食べる食材の買い出しだね。あとはケーキとかかな」

 その言葉を聞いて嫌な予感が彩斗へとよぎった。
 恐る恐るその言葉を口にする。

「それを調理するのって凪沙だよな?」

「結構大人数だから凪沙ちゃんだけだと手が足りないから彩斗君にも手伝ってもらうって言ってたよ」

(やっぱ、そうなりますよね)

 これで今日の睡眠計画が崩れたことを告げる。最低でも凪沙のことだからクリスマスパーティーを十時くらいまでは行うであろう。そこから片付けやらを行えば、十一時くらいは軽く回るだろう。その日のうちに片付けを行わなかったとしても次の日に朝早くから起こされてやらされるであろう。
 その時点で彩斗の安眠は妨害されること間違いない。
 彩斗はあからさまにがっくしと肩を落とした。

「それで今日は誰が来るんだ?」

 だいたい想像はつくが一応訊いてみる。

「えーとー……古城君と凪沙ちゃん、浅葱ちゃんに矢瀬君、それに雪菜と夏音ちゃんかな?」

 それに彩斗と友妃を加えた八人。結構な人数なため料理もかなり作らなくてはならないだろう。さらに浅葱がいるならなおさらだ。
 スタイルがいい方の彼女だが、その見かけによらずの大食いなのだ。いつもこちらが見ているだけで腹がいっぱいになってしまうほどだ。
 そして毎回思うことが食ったものはどこに消えていくのだろうか。

「そういえば、彩斗君はプレゼントとか決めたの?」

「プレゼントってなんだよ?」

「そんなことだと思ったよ」

 友妃が呆れたというように手を頭に当てる。

「クリスマスパーティーって言ったらプレゼント交換するのが普通でしょ」

「俺は今まで一人クリスマスを送ってきたからクリスマスパーティーでプレゼント交換をするなんて初知りでございます」

 適当に返答して彩斗は食品売り場へと足を運ぶ。

「全く、ああ言えばこう言うんだから」

 呆れたため息をついて友妃は隣まで歩んでくる。
 店内には在り来たりなクリスマスのBGMが流れている。それを聞きながら二人は買い物をすませていくのだった。




「このぐらい買えばさすがに足りるだろ」

「いっぱい買ったからね」

 買い物を終えた彩斗と友妃の両手にはパンパンに膨れ上がったビニール袋を二個づつ持っている状態だった。ずっしりと腕にのしかかってくる重さにすぐにでも離してやりたいレベルだ。

「残るはケーキだね」

「そういえばそんなこと最初に言ってたな」

 さらに重くなった足でデパート内の二階に設けられたケーキ屋へと足を運んだ。
 店に入るや否や彩斗は男子には入りにくい独特な雰囲気が嫌になってくる。今は友妃と一緒にいるおかげでクリスマスにケーキを買いにきたカップルに見えなくもない。全く釣り合っていないカップルだけどな。
 そもそもケーキ屋など貧乏学生である彩斗には基本無縁の場所だ。ケーキはパーティーなどといった特別な日にしか食べないものだ。それに下手したら買うよりも作った方が安い。
 ショーケースの中には様々なケーキが並んでいる。そのどれもが四〇〇から六〇〇くらいの値段の札が置かれている。ワンホールともなると三千円くらいの値段はする。
 やはり貧乏学生が手軽に手を出せるような値段ではなかった。だが、今回は凪沙からの支援があるおかげでワンホールにも手が届くくらいには財布が潤っている。

「すみません。このホールのケーキください」

 友妃が指差し言うとパティシエと思われる格好をした二十代前半の女性が調理場から現れた。
 女性は友妃が指差したケーキを取り出して赤、緑、白の色で目立ついかにもクリスマスっぽい箱の中に入れていく。

「彼氏さんとクリスマスパーティーですか?」

 代金を支払う友妃に女性は見事なまでの営業スマイルを向けて訊いてくる。

「ち、違います。これは学校のみんなとのパーティー用ですし、彼氏じゃないですよ!」

 友妃はあからさまに頬を紅潮させている。
 そこまで全力で否定されるとさすがに傷つくな。
 彩斗は友妃の横まで移動し、ショーケースの中を指差す。

「あとこのケーキも追加でお願いします」

 女性は今だに笑顔を崩さずに彩斗が指差したケーキを取り出し、同じ箱の中へと入れようとする。

「すみません。別の箱に入れてもらえますか? あとロウソクをつけてください」

 少し疑問を持ったような表情を見せる女性だったが彩斗の要望通りにしてくれる。
 追加のケーキ分の代金を財布から取り出して清算をすませる。
 ありがとうございました、という声を背に彩斗と友妃は店を後にする。

「ねえ、彩斗君。さっき買ったケーキって誰の分なの?」

「あ、ああ……まぁ、俺が一人で食べるようだから気にするな」

 彩斗は少し力なく笑う。
 友妃はそれ以上訊いてくることはなかった。
 彼女もそのケーキがなんなのかわかっていたのかもしれない。それでも友妃は口にすることはしない。
 そんな居心地の悪い空気が流れる。沈黙する二人にはクリスマスを告げるBGMが流れていく。
 そんな空気に耐えかねた彩斗がようやく口を開いた。

「と、ところで友妃はどんなプレゼント用意したんだ?」

「ぼ、ボク? それはクリスマスパーティーまでのお楽しみだよ」

「まぁ、そうだとは思ったよ」

 彩斗は微笑を浮かべて重い買い出しのビニール袋を持ちながら帰路へと着いていく。

「彩斗君もちゃんとプレゼント用意してよね」

 そういえばすっかりそんな存在忘れていた。
 まぁ、家に着いてから古城あたりと一緒に考えればいいであろう。どうせアイツのことだから考えているわけもない。それどころかプレゼントのことを知らないということさえもありえる。

「まぁ、期待せずに待っててくれ」




 そうは言ってみたが本気でまずい状況になった。彩斗は人にプレゼントなど送ったことがない。そのためどの程度の値段の物をプレゼントすればいいのかさっぱりわからない。

「と、言うわけでどうする、古城?」

「そんなこと急に言われてもな」

 古城がドリンクバーのオレンジジュースを飲みながら気怠そうに呟く。
 午後のファミレス。陽射しが今だ容赦なく窓際のテーブルに降り注いでくる。エアコンはフルに活動しているようではあるが、店の奥地であるこの場所まで冷気が届かない。さらに窓から降り注ぐ陽射しが彩斗たちの席の温度を上昇させていくなんとも悪循環なことだ。
 なぜ彩斗と古城がこんな場所にいるのかというとそれは凪沙が原因である。今夜開催されるクリスマスパーティーはどうやら暁宅で行われるようで、それの準備のために古城はなぜか追い出されたらしい。彩斗はというとクリスマスプレゼントに関することだと夏音と友妃に部屋を追い出され行く場所がなくファミレスで時間を潰している有様だ。
 そうは言っても最低でもこのファミレスに何時間いなければいけないのだろうか。現在の時刻は、一時を少し回ったくらいだ。パーティーを行なう予定時刻は、目安で七時から八時の間らしい。
 そんな間にプレゼントを考えろというわけだ。

「それで本気でどうするよ。俺今日は金あんまねぇぞ」

「それは俺もだ」

 やはり貧乏学生二人にプレゼントを用意する金などなかった。
 彩斗はすっかりぬるくなってしまったカルピスをストローですする。

「二人とも金がねえなら俺と彩斗からってことで少しでも安くすませるしかないか」

「まぁ、それが妥当な案だな」

 そうは言っても二人の財布の中身は足しても全員分のプレゼントなど買えるほど金などない。矢瀬の分は抜きにするにしても五人分は用意しなければならないのだ。
 雪菜と友妃、夏音はどんな物をプレゼントしても多分、受け入れてくれるだろうが残りの二人は確実に文句を言うであろう。

「まだ時間自体はあるからじっくりと考えればいいだろ」

「そんなこと言ってるとすぐに時間なんて過ぎちまうぞ」

 気怠そうな二人は適当に案を次々と出してはいく。しかしその全てが金銭的な問題でことごとく潰れていく。
 もはや彩斗と古城は机の上に突っ伏して死にかけている始末だった。
 もう全ての案は尽きたのではないかと思った。しかしそれは不意に思いついた。
 もしかしたらアレが使えるかもしれない。いや、それ以外に方法がもう彩斗と古城にはない。

「古城、いい案が思いついた。でも、かなりバクチだ」

 死にかけていた古城は身体をムクッと起こす。彩斗は手招いて古城に耳打ちをする。
 そして先ほど思いついた案を小声で告げる。

「それはまずいんじゃないか?」

 古城はあからさまに顔を歪める。
 確かにこの作戦が雪菜や友妃にバレれば大変なことになるだろう。しかしこれ以外に方法は残されていない。

「どちらにせよこの作戦を成功させるためにはおまえの力が必要だ」

 古城は少しの時間考えてから渋々ながら首を縦に振った。
 その答えに彩斗は不敵な笑みで返す。

「それじゃあとりあえず、ニーナに連絡だな」

 彩斗はポケットに入ったスマホを取り出して徐に電話をかけたのだった。




 絃神島の夜は案外心地の良いものだ。真冬でも平均二十度を超える気温だが、夜ともなればかなり過ごしやすい気温にまで下がってくれる。そのおかげで冷房などもいらない程度には過ごしやすい。
 しかし現在の暁宅は冷房がフル稼働しておりむしろ寒いくらいだった。

「それじゃあ、みんな揃ったことだしクリスマスパーティー始めるよ!」

 テンションのかなり高い凪沙がグラスに高々と上げる。

「ほらほらみんなも上げて上げて」

 凪沙に指示されるままに七人がグラスを上げる。

「カンパーイ!!」

「「「カンパーイッ!!」」」

 数人のテンションの高い声とそのテンションに乗り切れない残りの人たち力ない声が響いた。
 時刻は結局のところ八時を少し過ぎたところでパーティーは始められることとなった。ちなみになぜ冷房がフル稼働なのかというと少しでもクリスマス気分になりたいという凪沙の言葉から設定温度が十九度といった真夏でもしないような室温になっている。
 ガラス製のリビングテーブルには、大皿に盛り付けられた料理が所狭しと並んでいる。その料理を囲むようにこちらも肩と肩が当たるくらいの距離で座る八人の中高生たちだ。
 それにしてもこの状況はいかがなものなのだろうか。古城の妹である暁凪沙がせっせと料理を小皿に分けている。姫柊雪菜はその手伝いをしており、叶瀬夏音は逢崎友妃と楽しそうに喋っている。藍羽浅葱は凪沙が持ってくれた料理を食べている。その女性陣の全員がサンタのコスプレをしているのだ。
 しかもその全員がミニスカサンタという男子にはたまらない衣装なんです。夏音に訊いてみたところどうやら凪沙が全部用意したようだ。

(……凪沙様ありがとうございます)

 正直な話これだけの美少女たちのサンタコスプレに囲まれてクリスマスパーティーを行えるというのはとてつもなく幸せなことなんだろう。こんなこと学校の男子に知られれば、謎の暁古城、緒河彩斗を呪う会がまた本格的に動き出すだろうな。
 そんな呪いをしたとしても吸血鬼を殺すことなんてできないけどね。

「いやー、それにしても幸せだな」

 気持ち悪いくらいに頬を緩ませた矢瀬基樹が料理を口に運びながら呟いた。

「まぁな。あと言いたいことはわかるがそれ以上は言わないほうがいいからな」

 一応彩斗は釘を打っておく。この男は話をややこしくする天才だからな。
 こんな矢瀬が第四真祖の本当の監視役なんて認めたくないものだな。彼はいつものようにヘッドホンを首にぶら下げており、監視の準備は満タンのようだ。
 そのまま料理を食べたり、くだらない話をしたりなどとしているうちに会もいよいよ終盤になってきた。

「それじゃあ、みんなお待ちかねのプレゼント交換の時間だよー」

 凪沙の掛け声でプレゼント交換の時間となった。その言葉を聞いた彩斗と古城は一瞬互いの顔色を伺う。

「どうしたの、彩斗君? 顔色あんまよくないけど」

「先輩も大丈夫ですか?」

 雪菜と友妃は瞬時に彩斗たちの顔色が悪いことに気づいた。さすがほぼ毎日と言っていいほど一緒にいるだけのことはある。

「ああ、なんでもないよな、古城」

「おう。大丈夫だ」

 さすがに彩斗と古城がやったことがバレればこの二人は黙っていないだろうからな。

「彩斗君も古城君も緊張してるの? それだったら最初は古城君に出してもらおうかな。変なもの出してきたら凪沙はいらないからね」

 いつもの早口な口調で彼女は言う。

「そんなに期待できるようなもんじゃないからな。あと金銭的な問題で俺と彩斗からのプレゼントになったからな」

 彩斗と古城は立ち上がって部屋の片隅に置いていた赤色の紙袋をそれぞれに渡していく。
 まず初めに開けたのは凪沙だった。

「うわぁ、綺麗。これネックレスでしょ。こんな高そうなのどうしたの?」

 凪沙は皆に見せるように取り出した。広げられたのは鳥の翼を交差させたような形状の金属がついたネックレスだ。

「い、いや案外安かったんだよな、古城」

「お、おう。数百円くらいだったからな」

 彩斗と古城はあからさまに顔を引きつらせる。
 真実など語れるわけもない。それを語れば間違いなくこのクリスマスパーティーが終わったら雪菜と友妃に説教を受けることになりだろう。
 二人もネックレスを取り出してまじまじと見ている。かなりネックレスを疑っているようだ。そこそこ複雑な形状のネックレスが数百円で買えるわけもない。それならばこれはどこから買ってきたのだろうか。
 正解は買ってきていないです。このネックレスは全て無料で作られております。原理はとっても簡単。まず、彩斗が十一番目の眷獣、“剛硬なる闘牛(ヘパイストス・バイソン)”の力で空気中から金属を生成していく。それを大錬金術士ニーナ・アデラードが形を作って出来上がった代物だった。しかし彩斗が眷獣を出せば、雪菜と友妃は探知してしまうだろう。そこで古城が従える四番目の眷獣、“甲殻の銀霧(ナトラ・シネレウス)”が霧に変えて魔力を少しでも隠したというわけです。

「ほんと綺麗ね。こんなの数百円で売ってるものなのね。どう、似合ってる?」

 浅葱は早速首にぶら下げている。基本的に派手目な格好をしている彼女にはよく似合っていると思う。

「まぁまぁじゃねぇか」

「なによ、その反応!」

 ムッとした表情で彩斗を睨みつける。

「ありがとうございました。お兄さん、彩斗さん」

 夏音は銀色のネックレスを両手に持って申し訳なさげに深く頭を下げている。
 そこまで感謝されるとタダで作ったこっちとしては胸が痛くなってくる。純粋な夏音に言われたからこそなおさらだった。

「お、おう」

 反応に困ったように古城が引きつった笑みを浮かべる。ひとまず凪沙と浅葱、夏音には普通のプレゼントということでおさまった。残る問題は、獅子王機関の二人だ。
 彼女らは特に勘が鋭い。その上、魔力の残滓をたどることくらいできてもおかしくはない。
 雪菜と友妃の顔色を伺いながら彩斗は料理を口に頬張る。

「ねえ、彩斗君。これって……」

「な、なに!? んぐっ───ッ!?」

 友妃に呼ばれて慌てたせいで声が裏返る。そして口の中に入れていたものが一気に食道ではなく気管へと押し寄せ、むせ返る。

「だ、大丈夫、彩斗君!?」

 友妃が慌てて彩斗の元まで駆け寄って背中をさすってくれる。そのおかげでなんとか落ち着いた。
 しかしどうしたものだろうか。先ほど何かを言いかけたということは、ネックレスの正体がわかってしまったと思うことが妥当だろう。ならばどのようにしてこの状況をかいくぐるかを考えなければならない。
 一瞬間のうちに無数の案が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す。
 ───どうするどうするどうする?

「本当に大丈夫、彩斗君?」

「ああ、多分大丈夫だ」

 まだ喉に違和感が残ってはいるがそんなことなど気にしているような余裕はなかった。
 彩斗の頭の中にはバレたらまずいという考えしか頭になかったのだ。
 すると友妃が大きなため息を吐いたと思うと、背中を摩りながら顔を耳元まで近づけてくる。

「別に怒ったりしてないから。彩斗君と古城君なりに考えてくれたんでしょ」

 その囁きに彩斗は驚きを隠せなかった。振り返るとそこには唇が触れ合うまで残り数センチくらいの距離に友妃の顔があった。
 思わぬ距離感に彩斗の頬は激しく紅潮していく。

「……素直に嬉しいよ。ありがとね」

 友妃も頬を赤く染めながらも微笑む。その笑顔は全てを虜にするほどに可憐だった。そのまま時が止まったように彩斗と友妃は見つめ合っていた。

「あんたたちはいつまで見つめあってんのよ」

 浅葱の冷ややかな声によって止まっていた時間が突然動き出した。

「べ、別に見つめあってねぇよ!」

 若干裏返った声で否定はする。
 なんか変な空気が流れたせいで雪菜もネックレスのことを問い詰める気にはなっていなようだ。

「てか、俺の分はないのかよ」

 矢瀬が料理を口に運びながら訊いてくる。
 その問いを待っていましたと言わんばかりの笑みを浮かべて古城と目で合図しあう。

「もちろんお前にも用意してあるぞ」

 古城がソファーの後ろに隠していた最後の一つの紙袋を矢瀬に渡す。

「俺の分だけないと思ったじゃねぇか。……ん? なんだこりゃ?」

 紙袋の中には入っていたのは、ネックレスの鎖の部分のみ。いわゆるチェーンだ。
 本来ならば矢瀬にも何かをあげようという話になったのだが、“剛硬なる闘牛(ヘパイストス・バイソン)”によって生成した金属がなくなってしまったせいで臨時的にニーナがそこらへんのものから鎖だけを作ったというわけだ。

「これは鎖だ」

「それは見りゃわかるわ!」

「まぁまぁ、落ち着いてさ。次は矢瀬っちお願いね」

 叫ぶ矢瀬をなだめながらも凪沙がクリスマスパーティーを進行させる。

「まあ、いいけどよ」

 渋々ながらも納得した矢瀬が立ち上がり、キッチンへと向かっていく。クリスマスプレゼントをキッチンに置いてきているのだろうか。そういえば矢瀬が古城の家に時に真っ先にキッチンに現れて冷蔵庫に何かを入れていた。つまり矢瀬のプレゼントは食べものということだ。
 キッチンから戻ってきた彼は大きめのビニール袋を持っていた。てっきりデザートの定番である白い箱でも持ってくるかと思ったが違ったようだ。

「ほい。俺からはこれだ」

 矢瀬は古城に持ってきたビニール袋を渡して元の位置に腰掛ける。

「おい、なんだこれ」

 古城が袋に手を突っ込んで中身をテーブルの上に置いた。それは透明なカップの中に薄い黄色の固体と生クリームがとぐろを巻いている。

「プリンだけど」

「それはわかってんだよ。なんでコンビニのプリンなんだ」

 やっぱりか。どうりで見たことがあると思った。
 彩斗たちが住んでいるマンションの近くのコンビニで売っているプリンだと一目見ただけでわかった。
 夏音と一緒に暮らすようになってからは、彼女が甘いものが好きということでよくコンビニに行ってデザート類を買っているからだった。

「こいつ、プレゼント忘れたからあんたの家にくる前に慌てて買ってきたのよ」

 呆れたように浅葱は答える。

「全くこれだから矢瀬っちわ」

 そんなことを言いながらも凪沙はしっかりとビニール袋を古城から受け取り全員の前へと配っていく。
 魔力を使って作り出した物をあげてる古城と彩斗には矢瀬のことを言えたような立場ではないがな。

「それじゃあ、次は友妃ちゃんと夏音(カノ)ちゃんお願いね」

 どうやら矢瀬のプレゼントにはあまり触れずに次に行くようだ。それが懸命な判断であろう。
 友妃と夏音が持ってきていた大きめの紙袋から赤いリボンで結ばれた小さな紙の箱を取り出す。どこかそれはバレンタインデーのチョコという感じがした。

「ど、どうぞ」

 夏音が頬を赤らめながら箱を手渡してくれる。

「あ、どうもです」

 彼女が照れているのにつられて彩斗まで照れてきてしまう。
 そしてここでまじまじと見た夏音のサンタの衣装の破壊力は半端なものではなかった。赤い衣装の襟元とスカートの裾にふわふわとした白いラインが入っている。その衣装がまた夏音の綺麗な銀色の髪に合うのなんの。
 そしてなんといっても恥じらう姿が可愛すぎる。今すぐ抱きしめたいほどだ。
 そんなことしたらこの場の全員になにを言われるかわからないし、彩斗自身も吸血衝動が抑えられないだろう。
 彩斗は手渡された箱のリボンを解き、開ける。その中身はクッキーだ。

「ボクと夏音ちゃんで作ったんだ」

 彩斗がいるとクリスマスプレゼント用に作っているクッキーがバレてしまうので部屋に立ち入れなかったというわけだ。それならば、友妃の家で作ればよかったのではないだろうか。

「手作りクッキーもらうのなんて初めてだから嬉しいな。それにとってもおいしいよ。ありがとうね、友妃ちゃん、夏音(カノ)ちゃん」

「ほんとおいしいわね」

 凪沙と浅葱は絶賛している。

「とってもおいしいですね、先輩」

「そうだな。手作りとは思えないぐらいだ」

 友妃はわからないが、夏音の料理の腕前は中学生の調理実習レベルではある。だが最近は彩斗と一緒に料理することが多くなり、その腕も結構上がってきている。
 彩斗も二人の手作りクッキーを口に運ぶ。その光景をじっと見ている友妃と夏音。

「うん、うまいな」

 その言葉を聞いて二人はほっと胸をなでおろす。
 こちらとしては夏音の料理の成長が見れて嬉しい限りです。

「それじゃあ、次はお待ちかねの凪沙と雪菜ちゃんと浅葱ちゃんからだよ」

 自分の番を待ちわびていたように異常なまでにテンションが上がっている。よほど自身があるのだろうか。
 凪沙たちは、隣の部屋へと移動し、数秒も経たぬうちに袋を手に持って戻ってきた。
 すると浅葱が彩斗が座っている後ろまで来たと思うと持っていた袋をこちらへと差し出してくる。

「俺にか?」

「ここまで来て他に誰に渡すっていうのよ」

「それならありがたくいただかせてもらうよ」

 手渡された袋の中に手を入れるとふわふわとした感触が伝わってくる。それを掴み上げて広げる。真っ赤な色をした約1.5メートルくらいの布状のものだ。

「なんだこれ? タオル?」

「失礼ね、マフラーよ!」

 絃神島は、年中夏気候なためマフラーなどといった防寒具は無縁だ。なのにそれをプレゼントで選んだということは、嫌がらせなのだろうか。

「なんでマフラーなんだ?」

 それはね、と友妃と夏音にプレゼントを渡している途中の凪沙が答える。

「絃神島っていつも暖かいからクリスマスって感じがしないから気分だけでもそれっぽくしようと思ったんだ。それにこれ全部凪沙たちの手作りなんだからね」

 毛糸からマフラーまでするのに要する時間がどのくらいかは知らないが結構かかるはずだ。多分、編み物をしたことがある凪沙が初心者の雪菜と浅葱に教えながらやったということはかなり時間がかかったことだろう。
 今一度、マフラーを見てみると所々ほつれており、浅葱が一生懸命作ったことが伝わってくる。
 早速もらったばかりのマフラーを首に巻きつける。冷房がかなり効いてはいるがさすがに暑い。

「別に無理につけなくてもいいわよ」

「いや、ありがたく使わせてもらうよ」

「そ、そう。……ありがとね」

 浅葱は頬を赤らめてうつむく。
 よほどサンタの格好が恥ずかしいのだろうか。
 するとここまで黙っていた男が口を開く。

「なぁ、凪沙ちゃん。俺の分は?」

 ちゃっかりと雪菜は古城に渡しているが、矢瀬には誰も渡していない。

「ゴメンね、矢瀬っち」

 凪沙が両手を合わせて申し訳なさそうに頭を下げる。

「実は矢瀬っちのマフラーだけ間に合わなかったの。だからこれで許して」

 そう言いながら凪沙は友妃たちに渡したものよりも一回り小さい袋を手渡した。

「ん? なんだこりゃ?」

 矢瀬が袋から取り出したのは、縦横が約10センチあるかどうかぐらいの正方形の布だった。

「一応はマフラーになるはずだったもの……かな」

 浅葱が頬を指で掻きながら苦笑いを浮かべている。

「まぁ、プレゼント交換はこんくらいにしてパーっと騒ごうぜ」

「いやいやよくねぇっつうの!!」

 そんな矢瀬の叫びもむなしくクリスマスパーティーは進んで行ったのだった。




 時刻は十二時を回る少し手前だった。
 部屋の明かりもつけず祭りの余韻にでも浸るように彩斗は一人リビングにあるソファーに深く腰掛ける。
 夏音は今頃寝てしまっていることだろう。元から彩斗違い規則正しい生活を送っている彼女からしてみれば遅く寝たほうではある。
 結局、クリスマスパーティーが終わったのは十一時を少し回ったくらいの時刻になってしまった。それほど大いに盛り上がったたのだが、さすがにこれ以上騒ぐと近隣の迷惑になるからとお開きになった。
 そこから風呂に入って眠りに着くまでにそう時間はかからない。

「……今年ももうすぐ終わるんだな」

 まだ今年が終わるまで六日ほどあるが、多分変わらない日常を送ることになるだろう。それに大晦日もあのメンバーのことだからただでは済まないだろう。それでもそんな日常がもはや普通になってしまっている。
 そのことを考え、彩斗は笑みを浮かべた。
 夜の窓ガラスが鏡のようになって笑みを浮かべた彩斗を映し出した。いつものように不器用な笑みだった。この笑い方だけは直らないみたいだ。
 その度にこの笑い方を指摘した少女の顔が頭にちらついてしまう。もう二年くらい経つというのにだ。

「……やっぱ忘れられねぇんだな」

「なにが忘れられないのだ?」

 後方からの声に彩斗は振り返る。そこには身長三十センチくらい人形の姿をした古の大錬金術士ニーナ・アデラードが小さな歩幅でゆっくりと歩いてくる。

「ニーナか……おまえも寝てたんじゃないのか?」

「帰ってきてからの(ヌシ)の様子が気になってな。夏音も心配しておったぞ」

 立ち上がった彩斗はニーナを手の上に乗せ、ソファーへと再び深く腰掛け、机の上に置く。

「悪いな、心配かけて。でも大丈夫だからさ」

「それが大丈夫な人の発言とは思わんがな。まあ、大方理由はわかるが……」

 そう言って彼女は机の上に置かれている物へと目を向けた。
 装飾も特にない白地の小皿の上に乗ったショートケーキ。それがあるだけなら夜遅くに一人でケーキを隠れて食べているだけだ。しかし今回は少し違って見えただろう。
 そのショートケーキには、一本の赤いロウソクが火を灯していたからだ。普通に考えて深夜一人で食べるケーキにロウソクなど灯す必要などない。この行為が意味することなど一目見ればわかることだ。

「これは別に気にするな。俺ももうすぐ寝るから先におまえは寝てろ」

「それを気にするなというのが無理があるわ。律儀にプレゼントまで用意しておるのに」

 ケーキの隣には小さな黒い箱が置いてあった。その中身はニーナは知っている。
 それもそのはずだ。彩斗がニーナに頼んで余分に作ってもらったものなのだから。

「……やっぱ隠せねぇか」

 口角をわずかに吊り上げて不器用に笑った。

「すまない。……今は一人にしてくれないか」

「…………」

 ニーナは無言のままだった。
 彼女が彩斗を心配してくれていることはわかる。だが、今は一人になりたい。
 この気持ちを誰かに話したところで意味など何もないだろう。ほとんどの悩みは人に話せば解決するかもしれない。だが、彩斗のことに関しては話が違うのだった。
 目の奥がじんわりと熱くなっていく。涙を堪えるためにうつむく。

「……彩斗さん」

 不意に聞こえてきた声に彩斗は目を見開く。
 なんでここにいるんだ。
 こんな姿を見せたくない。
 彼女の前では弱音は吐かないと決めたんだ。

「か、夏音……いや、違う」

 銀髪碧眼の小柄な少女。夏音だ。
 彩斗は必死で溢れ出そうになる涙を押さえ込む。

「どうしたんだよ。もう寝てたんじゃないのか?」

 いつものような口調で話そうとはするが、少し声が震えてしまう。

「いえ、彩斗さんのことが心配でした」

「別に心配することはないよ。ほら、もう遅いからさ」

 できるだけか夏音の顔を見ないようにうつむく。今、彼女の顔を見れば確実に彩斗は弱さを出してしまう。その前に彩斗の前からいなくなって欲しかった。
 そうすれば何も気にすることなく押さえ込んでいるものを出すことができる。

「あとついでにニーナも連れてってくれ、俺ももうすぐに寝るからさ」

「ですが……」

「明日はなんもないと思うから遅くまで寝てられると思うからな」

 夏音の言葉を遮って彩斗は言葉を続ける。彼女の優しさに頼ってはいけない。これは彩斗だけの問題だ。
 友妃も古城も雪菜も浅葱も、そして夏音も関係のない彩斗一人の問題だ。

「だからさ……だから……一人にし───」

 彩斗の言葉を遮って温かで優しい感触が包み込んだ。夏音が彩斗の体を後ろから包みこむ。

「……夏音」

「大丈夫です。そんなに抱え込まなくても大丈夫でした」

 優しい彼女の声が、言葉が彩斗を弱くしてしまう。覚悟が揺らいでしまう。
 必死に言葉を探す。しかし思いつくそのどれも口にすることができない。
 それがわかっているように夏音はさらに強く抱きしめてくる。

 ───やめてくれ。これ以上はもう……俺に優しくしないでくれ。

 彼女は優しく微笑んで耳元で囁いた。

「……わかってますから」

「なんでだよ……なんで……」

 どれだけの酷い言葉をいま彼女に浴びせようとも退くことはないであろう。それだけ夏音は彩斗以上に彩斗を理解しているのだ。

 ───今だけは……この優しさに甘えてもいいだろうか。それぐらいは許してくれるだろうか。

「ありがとな……夏音」

「私は彩斗さんの力に少しでも慣れて嬉しい、でした」

 まじかでみた彼女の笑顔はまるで天使のようだった。そんな笑顔を見ていると押さえ込んでいたものがこぼれ落ちていく。
 それを隠すように彩斗は彼女の胸に顔を埋めこむのだった。




「もう大丈夫だから、ありがとな」

「いえ、少し恥ずかしかったですが、彩斗さんが元気になってよかったです」

 ロウソクに照らされた夏音の顔はほのかに紅潮していた。
 あれから結局、十数分の間、彩斗と夏音は抱き合った状態のままだった。よく考えてみればとてもいけないことをしていた気がするがそれは今は置いておこう。

「さあ、イチャつきも終わったことじゃし、そろそろ寝るぞ、夏音」

 待ちくたびれたと言わんばかりにニーナが不機嫌そうに口を開いた。
 イチャついてねぇ、と言ってやりたいところだったが今回に限っては否定できない。
 夏音は無言で頬を赤らめているだけだった。彼女はテーブルに乗っていたニーナを抱きかかえ、寝室へと向かうために彩斗へと背を向ける。

「そうだ、夏音。これ」

 彩斗は立ち上がって机の上に置かれていた小さな黒い箱を渡す。

「これは?」

「まぁ、クリスマスプレゼントかな。夏音には色々と迷惑かけたしな」

 夏音は小さな箱を開けた。すると大きく目を見開く。確かに中身を見たら驚くのは当然なのかもしれないな。
 黒い箱の中身は、銀色に輝く指輪だった。

「あ、ありがとうございます」

 動揺しながらも夏音は受け取ってくれた。

「それではお先に失礼します」

「ああ、俺もすぐに行くからさ」

 彼女はこちらに一度礼をすると部屋の扉を閉めた。
 再び、最初の時のような静寂がリビングを包んだ。
 彩斗は同じようにソファーに深く腰掛けて、目の前に置かれたショートケーキを見た。長い間ロウソクに火をつけていたせいでかなり短くなっている。
 まだ全て乗り越えることはできないだろう。またくじけることもあると思う。だが、彩斗には支えてくれる人たちいる。
 それでも今日だけは、今日というこの日だけは少しだけ感傷に浸らせてくれ。
 ……彼女のことを決して忘れないようにだ。

「…………誕生日おめでとう」

 小さく呟いて目の前のロウソクを吹き消したのだった。 
 

 
後書き
今頃になってクリスマスの話で申し訳ありません。
この話を書き始めたのがクリスマスイブあたりで、そこから車校と大掃除などをしていたらこんな感じで遅くなってしまいました。さらに最初は、暁の帝国で出てきた未来メンバーの話にしようと思ったのですが、ちょっと過去と絡ませたいと思ったらこのような話になりました。

時間軸的には、原作の10巻と11巻の間の話になります。この期間は、凪沙は原作ではいないのですが、そこはつじつまを合わせていきます。

誤字脱字、意見、感想がありましたら感想などでお教えください。
また読んでいただければ幸いです。

遅くはなりましたが今年もよろしくお願いいたします。 
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