フリージング 新訳
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第5話 Pandora Mode 3
前書き
あけましておめでとうございます!
新年一発目は、乗りに乗ってるフリージングです!この前、dailyランキングで3位になってました。
なんかのバグかと思った……
何はともあれどうぞ‼︎
「ま、さか……貴方もパンドラモードを使えるというの⁉︎」
ガネッサ先輩は、怯えきり俺を束縛していた鎖を解く。いや、恐怖によって解かされたと言う方が正しいだろう。
サテライザー先輩の手には、先ほどまで手にしていた、ノヴァブラッドは存在せず、そのブレードは、右腕に連結されていた。
そして、
斬ッッッッッ‼︎‼︎
「ガッハァッ!‼︎」
一撃で、ガネッサ先輩のボルトウェポンを破壊し、勝敗を決した。
たった、一撃でだ。
「すげぇ………」
ゾクリときた。その強さに、戦いに、姿に。そして何より、戦いたいと思ってしまった。
ぼんやりと先輩の無双っぷりに見惚れていると、先輩はまだ闘おうと歩みを進める。
「っ、おいサテライザー先輩!それ以上は……」
止めに入ろうと立ち上がるが、すぐに倒れこむ。脚に力が入らないのだ。
あるのは、太ももに走る痛みだけだ。
「先輩、やめ……」
その時だ。サテライザー先輩の首元に、二振りの刃が突きつけられた。
「そこまでだ。二年生。」
ポニーテールの女性が、小剣を突きつけながら。
「これ以上は、独房行きだぞ。」
ショートカットのもう一人の女性が、薙刀を突きつけて言った。
その威圧感は、俺やガネッサ先輩。そして、サテライザー先輩とは比べ物にならないほどの重圧を放っていた。
その威圧感に負けたわけではなかろうが、サテライザー先輩は、パンドラモードを解く。
ふと、見てみると、先ほどまでズタボロにされていた制服もとい、ロングドレスが綺麗に復元されていた。
文明の利器ってすげえ。
いや、と言うか、あの二人は誰だよ……
「彼女達は、キム・ユミ教官と、エリズ・シュミッツ先生。どちらも、元ナンバーズです。」
会長が俺の疑問をくんだように、説明してくれた。
ナンバーズ。全パンドラの中でも、指折りの実力とされる者たちのこと。
あの二人は、過去にはその数人に入っていたのだ。
ならば、あの威圧感も頷ける。
「今のうちに、行きましょう。」
ティシー先輩に肩を貸されながら、俺はその場を後にする。
補足ではあるが、去り際に、サテライザー先輩と、一瞬目が合った。
すぐに逸らされたけど。
****************
「これが、俺の部屋なのか?」
あの後、手当をすると言われたが、その傷は全て綺麗に塞がっていた。
おそらく、シフォン先輩もとい会長さんは、俺の正体に気が付いている。
それ故に、あまり突っ込んだことは聞いてこなかったのだろう。
怖い人と思ったが、もしかしたらいい人かもしれない。
何はともあれ、俺の部屋だ。広すぎる。
と言うか豪華すぎる。下手な高級ホテルよりも豪華だ。
「最悪だ………」
「いやいや、寧ろ最高だろ。」
突然の声に振り返り、拳を構える。
そこには、俺と同い年くらいの男子がいた。
「うわわっ‼︎ちょっと待てよ、俺は敵とかじゃないって!」
「あ、ごめん。えっと……君は誰?」
両手を挙げて降参のポーズを取る彼に、一つ詫びてから、質問すると、彼は普通に答えてくれた。
「初めまして、隣の部屋の、アーサー・クリプトンだ。よろしくな。」
「ああ。俺は、アオイ・カズトだ。」
出された手を何の警戒もせずに取る。
実際、警戒など必要ではなかった。
彼は、この学園に来て、初めての常識人だったのである。
そして、お互いに、アーサー。カズトと名前で呼びあえるようになり、友達になった。
そして、そんなアーサーが、突然、こんなことを言い出したのだ。
「そう言えば、カズト。お前、サテライザー・エル・ブリジットに目つけられてるって、本当なのか?」
「いや、自分でナレーションしておいてアレだけど、本当に突然だな。」
思わずメタ発言しちまったよ。
「別に、あの人に恨まれたりはしても、怨まれたりはしてないと思うけど。」
「そんな字ズラだけの違いを指摘されてもなぁ。それを目つけられてるってことだろ?」
恨みと、怨み。
きっと、意味は同じだ。
だが、その二つは俺にとって大きな違いがある。
前者はまだマシな方だ。字で書いて、並べられた時、物騒なのは、騒々しく、慌ただしいのは、圧倒的に後者だ。
怨みの中には心がある。
他人の心は変えられないし、逆に、自分の心を伝えるのは難しい。
「まあ、目をつけられたかもしれないけど、俺はそんなに脅威とか、恐怖を感じたりはしてないけど…」
「おいおいカズト。あんな人の弟になったら、落第決定だぜ?その点俺の姉さんは美人だし、強いし。」
そこまで言われると、気になるのが男の子だ。
「へぇ。誰なんだよ、一体。」
「ん?聞きたいか?俺の姉さんはなぁ、」
その答えは、あまり聞きたくないものであった。
「この前のカーニバルで優勝した、ガネッサ・ローランド先輩だ!」
最悪である…………
後日談というか、その頃のサテライザーさんは、シャワーを浴びながら、今日会った少年のことを思い出していた。
男であるのに、ボルトウェポンを使い、曲がりなりにも、パンドラであるガネッサ・ローランドと、対等に渡り合っていた彼、アオイ・カズトのことだ。
だが、強さなど関係ない。
ただ一つ。彼女が気になっていたのは…
「誰かに触られたのに……あの感触が蘇ってこなかった……」
後書き
サテライザー先輩の無双……これが書きたかった。フリージングで好きなシーンは、先輩がデレるとこでも、カズヤと分かりあうとこでもなく、先輩やラナの無双シーンだったりする作者です。
では、また次回
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