転生とらぶる
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マブラヴ
0825話
最初に皆が集まっていた演習場へと戻ってきてサラマンダーから降りると、それを出迎えたのはリトラスやジョンを始めとする軍上層部の者達の唖然とした表情だった。
チラリ、とサラマンダーへと視線を向けて思わず納得する。
機体色は赤で、ペイント弾も赤だから、もし命中していたとしても一見判別はしにくいだろうが、俺の機体の赤とペイント弾の赤は微妙に色合いが異なるので、その判別はそう難しく無い。
そして、今俺の背後にあるサラマンダーは演習が始まる前と全く変わらぬ赤、深紅一色だった。
即ち、72機の戦術機と1機で戦いながら1発も被弾が無かったという事の証明でもある。
「さて、これで質で量を覆すのは可能だと判断してもらえたか?」
「……うむ。さすがにこの結果を見せられては、どんな言い訳も出来ん。我々の完敗だ」
そう呟くリトラスの後ろでは、会議室にいた軍人達のうちの何人かが悔しげに顔を背けていた。
やはり自分の所属している軍だけに、プライドがあったのだろう。
「そこで、だ。実は君に隠していた事が1つある」
「隠していた事?」
唐突に口を開いたリトラスの言葉に首を傾げる。
今の言い分からして、軍事機密とかそういう類では無いのだろう。
そんな俺の内心の言葉に同意するかのように小さく頷き、視線が向けられた先にあったのは1台の車。ただし普通の車では無い。大きめのアンテナが付いていたり、機銃の類もついているのを見ると、いわゆる移動指揮車といった類の車だ。
「あの車がどうかしたのか? CPが乗ってた車っぽいが」
「うむ。確かにあの中でCPが状況を君に知らせていたが、他にも数名程の人数がいたのだよ」
その言葉を待っていたかのように……いや、恐らくは実際に外部マイクか何かで聞いていたのだろう。ともあれ、扉が開いて3人の人間が降りてくる。
2人が男、1人が女の3人だ。男は40代と60代で、女は40代といったところか。
そして、3人の顔に浮かんでいるのは抑えきれない程の興奮。
それでも自らを律しているのはなかなか出来る事では無い。
……なるほど。
一瞥しただけで、指揮車から降りてきた3人がどのような人物なのかは大体想像がついた。
まず第1に軍人では無い。40代程の男の方には身体の動きに微かに鍛えられた痕跡が残っているようにも思えるが、それもかなり前の事なのだろう。今は鈍っているのが見ただけで分かる。
残り2人の方は言うまでも無い。身体を動かしているとしても、健康に生活を送る程度の代物の筈だ。
そして、軍人ではない人種がここにいるとしたら、考えられる最大の理由は……
「政治家」
俺の口から出たそんな言葉に、リトラスが小さく笑みを浮かべて頷く。
「そうだ。悪いが、シャドウミラーの件を直接話しただけではとても信じて貰えそうに無かったのでね。直接その目で見て貰う事にした。……紹介しよう、オーストラリア政府の上院議員のミタノス・フィールド議員、ソーラ・ポリシーア議員。そして外務省のクリメナ・バソールト副長官だ」
40代の男がミタノス、同じく40代の女がソーラ、そして60代の男がクリメナか。
上院議員ってのもそれなりに大物だとは思うが、それでも外務省の副長官を出してくるとは驚いたな。
いや、シャドウミラーの特異性を考えると、出てきた人物の地位が低いと見るべきか?
ともあれ紹介され、まずはミタノスが1歩前に出る。
「初めまして、ミタノス・フィールドだ。今の戦いは実際にあったものなのかどうか、正直な話この目で直接見ても信じられないよ。君達の国とは良い関係を築く事が出来ればいいと思う」
握手をしながらそう告げてくるが、その目に宿っているのは油断の無い光。
とは言っても、別に俺を騙し討ちでどうこうしようという類のものではなく、シャドウミラーという存在をどう自国の利益にしようかと考えている目だ。
次に前に出たのは3人の中で唯一の女でもあるソーラ。
「初めまして、ソーラ・ポリシーアよ。まさか異世界の人物に出会えるとは……BETAに対しての神が授けてくれた聖剣の如き存在になってくれる事を期待したいと思います」
同じく握手をしながらそう告げてくるが、その目に宿っている光はどこか狂信的とすら言ってもいいような色を感じさせる。
そして最後に前に出たのは、60代の初老の男。
「クリメナ・バソールトだ。君達シャドウミラーという存在は、この世界の救世主となるのか、あるいは世界の終焉を告げる使者になるのか。……どちらにしろ、出来るのなら長い付き合いにして欲しいものだ」
差し出された手を握る。
なるほど。最年長なだけあって、見た感じではドッシリと落ち着いている印象を抱かせるな。
その手を握り、3人を一瞥してから口を開く。
「シャドウミラー代表のアクセル・アルマーだ。この出会いがどのような結果を生む事になるのかは分からないが、よろしく頼む」
俺の言葉に全員が頷き、3人の議員がリトラスへと視線を向ける。
それを受けたリトラスは、分かっているとでもいうように頷き口を開く。
「先程私達とアクセル代表が顔を合わせた会議室を用意してあるので、そちらに向かいましょう。私達オーストラリアとシャドウミラーの未来を話す為に」
その言葉に3人が頷く。
……未来を話す云々というのはともかく、現状で俺はこの世界に魅力を感じてはいないんだけどな。
敢えて言えばBETAの生け捕りか? バジュラから重量子ビーム砲を開発したように何か得るものがあればいいんだが。
現状で有力そうなのは、やはり光線級だろう。威力はともかく、その射程は驚くべきものがある。この射程をシャドウミラーの機体に活かす事が出来れば、それなりに有益そうな感じがしないでもない。
だが、それ以外のBETAは物理攻撃一辺倒であり、BETAの中でも最も硬いとされている戦車級の装甲にしても、シャドウミラーの機体の装甲に参考になるかと言われれば、正直微妙だ。
ああ、要塞級の酸があるか。……酸とかがあっても何の役に立つのかは微妙だが。
はてさて、オーストラリアは俺達シャドウミラーに対して、どのような見返りを与える事が出来るのやら。
そんな風に考えつつ、車で先程の会議室へと向かう。
「さて、ここでなら外に話が漏れる事は無いので、好きなように話してくれて構わない」
リトラスの言葉に、俺を含めてこの場にいる全員が頷く。
まず最初に口を開いたのは、政治家達3人の中で最も高い地位にいるクリメナ。
「では率直に聞かせて貰おう。君達シャドウミラーは、我が国へと援助をする予定はあると考えてもいいのかな?」
「バソールト副長官! 彼等は神が与えたもうた救いの使徒ですよ! それを疑うような真似は……」
クリメナの言葉を遮るようにしてソーラが大声でそう叫ぶ。
……狂信者か? 厄介な。
「ポリーシア議員、落ち着きなさい。彼の要求も聞かず、こちらの要求だけを突きつける。それは相手が誰であっても失礼ではないかね? 第一、彼が神の使徒であると名乗っている訳でも無いのだから」
そもそも、俺はアークエネミー、大敵というコードネームを名乗っていたんだがな。どこをどう考えれば、俺が神の使徒になるのやら。
「BETAはやはり人類に対する神の試練だったのです。それを覆す力を持った彼こそが、神の使徒で間違いありません」
「無茶を言うな」
ソーラの言葉に思わず突っ込む。
このまま黙って聞いていると、本気で俺を神の使徒とやらにしそうだったからな。さすがにそれは遠慮させて欲しいので、口を挟む。
そう告げながら、ふと思った。マクロス世界ではプロトカルチャーに神の如く崇められる事になったバジュラと戦い、OGs世界では実際に幾つもの世界を滅ぼしてきたダークブレインを倒している。更に、ネギま世界では鬼神を吸収してすらいるのを思えば、ある意味では神と認識されてもおかしくはない……のか?
いや、まさかな。
「まぁ、神云々と言うのは置いといてだ」
そう告げるとソーラが何かを言っているが、そっちはスルーしてクリメナへと声を掛ける。
「俺達が助ける予定、か。この類の取引をするとすれば、基本的にはお互いに利益になるからこそだというのは分かるな?」
「無論だ。数十年も政治の世界で生きてきたのだ。君のような若者に念を押されるまでも無い」
確かにな。俺が生きてきた年数を考えても、目の前にいるクリメナの方が年上なのは事実だろう。
魔法球の中で過ごした年月を入れても尚、だ。
「それを分かっているならいい。……さて、では尋ねよう。俺達がこの世界に……そしてお前達オーストラリアという国へと援助したとしよう。食料、技術、いざという時の避難場所。色々とそちらが欲しているものはあるだろう。だが、それらをお前達に援助したとして、シャドウミラーにどのような利益がある? 技術的に見ても俺達にしてみればかなりの後進国、いや後進世界で、特産となるべき資源の類も存在しないこの世界に」
「そんな、神の使徒が私達を見捨てると言うのですか!?」
「いい加減黙れ」
尚も神が云々と告げてくるソーラへと向かい、殺気の籠もった視線を向ける。
それが向こうの許容量を超えたのだろう。次の瞬間には自ら意識をシャットダウンして気を失う。
そんなソーラを見ても他の3人が特に何も言わず、寧ろほっとしているのを見れば、ソーラがどんな扱いだったのかが理解出来る。
「そもそも、何故こんな奴を連れてきたんだ? どう見ても足を引っ張ってるようにしか見えないが」
「この人は見ての通り宗教関係で色々と問題があるけど、その分そっちの方に伝手が広くてね。その伝手で今回もどこかから話を聞きつけたのか、こうしてやってきた訳だ」
なるほど。リトラスが呼んだわけじゃなく、自分からやって来たのか。
「この女についてはいい。それで、話を戻すが……どうだ? 俺達がこの世界へと援助するというのは、何か利益があるのか? 勿論人間を見捨てない為とかの感情論は抜きにしてな」
そもそも、俺の場合は既に人間ですら無いし。それでも人間に対する愛情が無い訳でも無いが、それを一方的に甘受する為に無条件で手を貸せと言われて頷く程に寛容な訳でもない。
一応、アインストと戦った身としては同情心が無い訳でもないんだが……な。
「では、戦術機についての情報はどうですか? シャドウミラーは私達よりも高い技術を持っているのは分かりますが、戦術機はこの世界で独自に発展してきた兵器です。多少はそちらでも興味があるのでは?」
ミタノスの言葉に多少は考えるが、すぐに首を横に振る。
戦ってみて感じたが、正直な話戦術機はリオンと比べても圧倒的に性能が下だ。射撃性能でも武器の差でリオンには及ばないし、機動力に関しては自由に空を飛べるリオンの方が圧倒的に上だ。
……まぁ、この世界でリオンが空を飛んでいれば、BETAのレーザーでダメージを受けるのは間違いないだろうが。
近接攻撃ならまだF-15CやF-18に勝ち目が……いや、リオンはリオンでもタイプFやタイプVなら普通に近接武器を装備出来るからこっちもリオンの方が上だな。
どうしても戦術機に利点を見つけるとすれば、コレクション的な意味合いか?
後は技術班の資料的な意味で取りあえず1機ずつ程度あれば十分だろう。
いや、その辺の判断は技術班にして貰った方がいいか。俺では理解出来ないところもあるしな。
「そうだな。非常に低いが、可能性は無い訳でも無い……といったところか。その辺に関しては、シャドウミラーの技術班に直接話を聞かないといけないしな」
「その、話を聞くというのはどうすれば? アクセル代表は1人でこの世界に来たのでは?」
「どこかにある程度のスペースさえ用意して貰えれば、ゲートというシャドウミラーの本拠地と行き来する為の転移装置を設置する事は出来る。……が、これを設置したからと言っても、必ずしも俺達シャドウミラーがこの世界に手を貸す訳ではないというのは、前もって言っておくぞ」
ゲートを設置したのは、この世界に対する手を差し伸べる為だ。そんな風に解釈されたりしたら、堪ったもんじゃないしな。
「君が代表だというのに、国の方針をこの場で決める事は出来ないのかね?」
クリメナの挑発するような言葉に、小さく肩を竦める。
「別に俺がこの場で即断即決しても問題は無いだろうが、その場合俺はこのままこの世界に去る事になるぞ? 俺の目から見て、交流する価値は非常に低いとしか思えないからな。だが、技術班ならもしかして戦術機に興味を抱くかもしれないが……どうする?」
「……分かった。そのゲートというのを設置するのはどの程度の広さが必要なのかを教えて貰えるかな?」
「ゲート自体はそれ程の大きさじゃない。だが、向こうの世界と行き来するというのを考えると、それなりの広さは必要だろうな。それと、迂闊に一般人が迷い込んでこないような場所が望ましい。……まぁ、警備に関しては向こうと繋がればこっちで何とか出来るが」
当然警備を行うのは量産型Wだが、この世界の技術力だとその辺は完全に未知の技術だろうから、正式に交流をどうするかが決まるまでは口には出さない方がいいか。
「ふむ、なるほど。だがオーストラリアでも、最近はアジアの各国の要請により臨時政府を受け入れているし、何よりも全世界に食料を輸出する為に可能な限り農地を広げている。それを考えるとそうそう貸し出せる土地は……」
「そうか、別に無理にとは言わない。何度も言うようだが、こちらとしてもこの世界はそれ程魅力があるって訳じゃないからな」
駆け引きをするつもりは無い、と席を立ち上がろうとした瞬間。クリメナが口を開く。
「待って欲しい。……分かった。こちらの方で手を回して何とかしよう。だから、もう少し猶予を貰えないだろうか」
「……そうだな、なら取りあえず明日までは待ってやる。それでどうするかどうかを決めてくれ」
「分かった」
「それと、そこにいるような奴は次から同席させないように頼む」
気を失っているソーラへと視線を向けてそう告げると、向こうも同意だというように頷くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
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撃墜数:1114
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