転生者の珍妙な冒険
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同窓会とかあったら、久しぶりに会っても中々話せないもんだよな。 まぁ同窓会行ったことないけど。
前書き
第二部が始まってから何話経ったことか・・・。
今回、やっと1年前の時のメンバーが登場します。
あ、後書きのステータスは、文字数の関係でスキルだけにします。
「ジ・・・・・ジーク・・・・・。」
クソッ、滅茶苦茶痛てぇ・・・。
あの糞師匠、思いっきりやりやがったな・・・・。
「ったく、よく見ろよお前のそのネックレスをよ。」
俺に大怪我(まぁ波紋の呼吸法である程度までは治せるけど)をさせた当の本人は謝罪もせず、俺が吹っ飛んだことでスタンドが消えて元に戻った時計のネックレスを拾い上げた。
「チェーンしか切れてねぇじゃんよ。本体を攻撃された訳でもねぇのに、何をキレて暴れてんだ阿呆。」
そう言って俺の頭を小突く。
「いて・・・・、俺怪我人なんだけど・・・?」
「自業自得だ。それよりお前、頭冷やせたなら早く治療して挨拶してこい。」
俺の苦情も全く意に介さずそう言うジーク。その指さされた先には・・・・・・
「私の仲間に手を出すのは勘弁してもらえませんか? それと、お久しぶりです、ヨシュアさん。」
そう言って微笑む黒髪の美女。
1年前までジェリアの街で受付嬢をやり、その後アーチャーとして俺のパーティーに入ってきたネーナ・チュミンさんだ。
とするとやっぱり、あの魔導弓の矢はこの人が射ったんだな。
「いや、悪い悪い。キレたら後先考えずに暴れる癖を何とかせんとな。」
そう言って傷を止血し、塞ぎながら立ち上がる。
目の前の久しぶりの仲間に手を差し伸べる為だ。
「久しぶり、強くなったんだなネーナさん・・・っと?」
俺が差し伸べた手は無視された。
つっても、別にほっといて先に行かれたとかじゃない。
俺は、ネーナさんに抱き締められてた。
「ね、ネーナ・・・さん・・・?」
困惑しながら名前を呼んでも一切反応しない。
周囲の視線(特にジークのニヤケた視線とセーナの嫉妬のような視線)に耐えられず、離そうとしたその時。
「良かった・・・・。」
そう、ネーナさんは言った。
「良かった、貴方が無事で、こうして会えて・・・・・・。本当に良かった・・・・!!」
そう言って俺の目を真っ直ぐ見て、目に涙を溜めながら微笑む彼女は、とてもじゃないが俺の羞恥心なんて気にしてられない程キレイだった。
同時に、泣かせてしまった自分への罪悪感が半端ない。
「ご、ごめんな? その・・・・心配かけちまって。」
「大丈夫です。もう既にジークさんの言っていた事、ディノや貴方の出自の事もみんな知ってますから。」
「そ、そうか・・・。」
何か、こーゆー系の小説だと異世界から来たとかそーゆーのはメッチャ隠そうとしてると思うんだが・・・・、一瞬で露見したな・・・。
そんな事を考えながら、何故か未だに離れないネーナさんを離す(残念そうな顔してたけど、弓用の軽装だからか矢鱈とハッキリ分かる双児山がリアルに感じられて俺のメンタルがヤバイ)。
恐らくこの状況を楽しんでやがったのであろうジークはニヤニヤしながら俺らに近づいてきた。
「さ、ちょっと大胆な感動の再会は終わったな? じゃあ、次のタルタスさんの方に行くぞ。」
そう言ってサッサと歩き出すジーク。ってもう居場所分かったのかよ!?
「ん~、めっちゃ目立ってたからな~。」
「心読むな!!!」
ったく、読心術とかイヤらしいわ・・・。
「で、その場所ってど「ん、着いたぞ。」あ、そう。って・・・・・・・・え?」
目の前に聳えていたのは、高く、堅牢そうな壁に中から聞こえてくる剣戟音。
極めつけは壁に沿って聞こえる怒号だ。
つーか最初の見た目で分かる。
「ここ、コロッセオだよな・・・?」
「そうだ。どことなく甲子園に似てるだろ?」
「似てねぇよ!!」
色がまるで違うし、ツタだってねぇじゃねぇか!!
って、今はそんな事どーでもいい。
「何でコロッセオなんだ? オッサンはココに住んでるのか?」
そう尋ねると、ジークは呆れたような、どこか馬鹿なガキを見るような目で俺を見た。
「お前さぁ・・・、この街で人探しするのにデカイ施設と催し物に目ぇ通してなかったの・・・?」
「あぁ・・・それもそうだな、悪い。で、ここで何があるんだ?」
言い方は腹立ったが、ジークの言ってる事は正論だし、ここで怒っても意味がない。
そう自分を言い聞かせて質問すると、隣で(何故か)ずっと俺の腕を組んでいるネーナさんが答えてくれた。
「ここで年に1回の武闘大会が開かれるんですよ。私は弓術専門なので出れませんが、タルタスさんは前回の大会にも出場して準決勝まで行かれました。」
成程、つまり今回もこの大会にオッサンが出るって訳か。
「ありがとうネーナさん。じゃあ俺らはここでオッサンに会えばいいんだな?」
そう聞くと、ジークが「そうだ」と言う前に、ネーナさんとは逆隣の腕を(こっちはある程度予想出来た)組んでいるセーナがキョトンとした顔で口を挟んできた。
「え、兄ちゃん出ねぇの? 俺もビリオンも出るんだぜ?」
「え、出ないとダメか?」
正直言って、態々避けられる戦いに身を投じたくはない。しかもコロッセオとかだったら絶対いるのはむさ苦しい筋肉ダルマだけだろう。オッサンみたいな。
そんなのと戦うとか悪夢でしかない。
「ん~・・・会うだけというのはちょっと難しいかも知れませんね~。ここの方にヨシュアさんは顔を知られていませんし、いくら顔見知りの私達が一緒に行ったとしても有力選手のスパイに思われてしまうかもしれません。」
そうネーナさんが言う。
まぁ、分からなくはないな。確かにスパイに情報を取られたくはないし、見知らぬ顔は入れてくれないだろう。
つまり俺もジークも門前払いな可能性が高そうだ。
ジークもそれが理解できたらしく、嫌そうな顔をしながらも提案を変えた。
「よし、じゃあ俺と聖斗も出るか。」
その頃、王都の一角で。
「申し訳ありません、この建物はロビンソンのパーティーハウスとなっていますので許可なき立ち入りはご遠慮願います。」
とある建物の前で、リーダーのネーナから留守を任されたメンバーである魔法使いがそう言って訪問者に辞去を願う。
そう言われている男は、身長180cmほどの少しヒョロッとした男でこの国では珍しい黒い袴姿で、同じく黒い羽織を羽織っていた。
倭国の人間らしく腰に刀を差しているが、そのひょろ長い体躯ではマトモに振るえそうでもない。
「あ~・・・、そう。そっか、なら仕方ないね~・・・。」
どこか眠そうな声でそう言って踵を返す男、魔術師はそれを見送りながら面倒事にならずにすんだ事にホッと息を漏らした。
次の瞬間である。
ザシュッ・・・・・
魔術師の目には、男が一瞬ブレたように見えた。
そして、徐々に元あった視界からズレていくのを感じつつ、意識を手放した。
一刀のもとに胴と脚を分けられた魔術師は一瞬でそのまま絶命したのであった。
一拍おいて切断面から迸る血。
それを浴びつつ、血の吹き出る音に中にいた者が得物を手に集まってくるのを眺めながら斬り捨てた男はやはり眠そうにため息を吐いた。
「あ~あ、せめて入るくらいは穏やかに行きたかったんだけどなぁ・・・、まぁいいや。」
「貴様っ、一体何の目的でココに来た!!!」
気怠そうに頭を掻く男に向けて槍を構えながら油断なく詰問するランサー。
恐らくロビンソンの幹部的な位置にいる男なのだろう、老練な兵である彼の激に一切動揺することなく、男はこともなげに答える。
「何って、こんなことしてたら目的は1つだけっしょ? 殺しよ、殺し。」
その余裕すら感じられる言動により一層ランサーが警戒を強めるが、そんな彼の視界から男が消え去った。
「なっ、一体ど「ギャアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」ッ!!」
己の声を遮る程の絶叫に慌てて振り返ると、喉を一閃されて絶命する仲間と、その横で頭を掻く男がいた。
「あ~あ~、一瞬で殺すつもりだったのに無駄に体捻るから瞬殺出来なかったじゃ~ん。」
「貴様ァァァァァァァァァァァ!!!!!」
ランサーのその怒りの叫びと共に、唖然として固まっていた一同も一瞬にして色めき立ち襲いかかった。
槍が、斧が、剣が、あらゆる方向から一斉に男に向かう。
血しぶきが舞った。
「やぁ、皆さん元気ね~。」
その血しぶきは、男以外の血であったが・・・。
男は瞬速の太刀で全員を斬り捨てながら上へ跳び上がり、天井にへばりついていた。
「じゃ、次は俺からだ。」
そう言うや否や、一瞬で視界から消え、また1人斬り捨てる。
間の悪いことに、現在このパーティーハウスにいるのはランクがCから高くてBまでの冒険者。彼らに男の太刀を見切るのは不可能だった。
こうして、数瞬の後に立っているのは男と、唯一その動きが見えていたランクA-の冒険者であるランサーだけになった。
「やぁ、やっぱりアンタは凌いだか~。『堅牢』のゾルディック。『魔弓姫』ネーナの射撃をより確実な物に変える不動の城壁さ~ん。」
「私が誰かをそこまで詳しく知っていて、それで尚ここに来たのは愚行としか思えんな。私の盾はあの『千刃覇王』タルタス殿の大剣を3度受けても倒れんのだぞ? 速度重視の剣術では破れん。」
そう語るゾルディックの声には絶対の自信が込められていた。
事実、『騎士』の派生であるジョブの『ディフェンダー』を得ている彼の防御力は大きく、ドラゴンに踏まれてもビクともしないものだった。
だが、その情報もしっかり知っているだろうに、男はニヤリと笑うだけ。
「そうだな~、確かに破れんだろうし、アンタの必殺の一点突きでもカウンターに喰らえば土手っ腹に穴開きそうだね~。」
だけど、とニンマリ笑ったまま男は続ける。
「俺の『スタンド』の前では、無力。」
「スタンドだと? ッ!!?」
疑問に思ったが、問い質す暇もない、恐ろしい速度で突っ込んでくる男の居合を防ぐべく、彼は腰を落とした。
『ディフェンダー』のジョブスキル「一点突き」。
盾と槍の双方に魔力を注ぐことにより、大型攻撃魔法を数発食らっても崩れない防御力と巨大な岩すら穴を開ける究極の攻撃力を得る。
これによるカウンターで彼は幾度となく危機を乗り越え、今のランクを得ているのだ。
だからこそ、これには自信があった。
故に驚いただろう。
男の刃が、自分の両脚を切断した瞬間は・・・・。
「ぐあっ!!?」
呻き声をあげ、崩れるゾルディック。彼の耳に男の声が入る。
「はっは~、残念だったね『堅牢』。俺のスタンド、エジプトの墓守の神アヌビスの暗示する『アヌビス神』は斬ると決めた物以外を通り抜けてその物を斬る能力があるのさ~。」
「くっ・・・・、つまりはどんなに盾が硬くても無駄、というわけか・・・・!!」
「そ~だね~、俺がアンタを斬ると決めた瞬間から射程内にいる間は絶対に斬られるね~。」
ケラケラと笑いながらゾルディックに返答する男。そのニヤケ面のまま彼に近づき、言葉を続けた。
「安心しなよ、アンタは殺さない。強者は『試す』ってウチのボスも行ってたしね~。連れて帰るよ~。」
ニヤニヤと笑いながら手を伸ばす男。
ゾルディックは出血で霞む意識の中で、咄嗟に反応した。
(この男に捕まってはいけない!!!)
「ウルアァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
「なっ!!?」
ギィィィィン!!!
死力を使い放った「一点突き」。
反撃されるとは思ってもみなかった男が取ったのは、刀使いとしては最悪の対処。
刀で受ける。
剣とは違い衝撃に弱い刀は防御に向かない。
加えて幾人もの血脂を1度に浴び、骨を斬った刀身はかなり脆くなっていた。
結果、待っていたのは・・・・・、
パキンッ・・・・・
「・・・・・・・ッ!」
折れた自分の愛刀を見、初めて顔から余裕そうな雰囲気が消えた男。
(い、今のうちに・・・・・!!)
益々霞んでいく意識を必死に保ち、地面を這ってその場を逃げるゾルディック。
(何とか・・・・この事態をせめてリーダーに伝えるだけでも・・・・・・!!!!)
「テメェ・・・・何してくれてんだよ・・・・!!」
必死に這うゾルディックの耳に届いた男の呟き。
気にせず這い続ける彼の腕が、落ちた。
「ッ、アアァァァァァァァァァァアアァァァァァァァァァァァアァァァァァァァァァァァ!!!!」
(ば、馬鹿なっ、有り得ない!! 奴の刀は折れた筈だッ!!)
痛みに絶叫しながらも、何とか残った理性で必死に考える。
男が持っていた刀は1本、それは折れている。
何故、自分の腕は斬られた・・・・・?
(い、いや・・・・今はそれよりも・・・・「逃がすかよ・・・!」ッ!!)
疑問は、そう言ってゾルディックの前に現れた男を見た瞬間に、解決した。
「あの刀、好きだったのによぉ・・・・。ふざけやがってよぉ・・・・・。なぁ、オイ!」
そう激する男の両腕から生えた、刃。
人体として有り得ない筈のそれは、建物の明かりを受けてキラキラと光っていた。
「お前は生かして連れて帰るように『DInO』さんに言われたたけど、ヤメだ。お前は俺の『輝彩滑刀』でぶっ殺す。」
「き・・・・さい・・・・・? それに貴様、その男の、名は・・・・!!」
「死んでいく奴に何教えても無駄だろ? じゃ、『獅子王 輝』を怒らせた事をあの世で反省しな。」
この後、「ロビンソン」のリーダー、ネーナ・チュミンが細切れにまでバラバラにされたゾルディックを始めとするグループメンバーの死体を発見し、聖斗と同じように敵への憎しみを抱く事になるが、それはもう少し先のお話。
「ん~・・・、失敗だな~。『堅牢』は殺しちまったし、俺らの所からトンズラした成功例の女も居なかったし、『夜集阿の仲間』を殺す事も居なかったし無理だった。まぁ、コロッセオに行ったアイツに任すかねぇ・・・・・。」
後書き
夜集阿 聖斗:『格闘家』『奇術師』:ランクA+
・波紋の呼吸法【レベル2】
波紋ズームパンチ
波紋疾走
波紋カッター
仙道・波紋疾走
銀色の波紋疾走
生命磁気の波紋疾走
山吹色の波紋疾走
稲妻十字空烈刃
クラッカーボレイ
我流・冷酷な怒りの波紋疾走
深仙脈疾走
・スタンド「タロット大アルカナ」【レベル2】【現在固定:星の白金】
0番『愚者』の暗示する「愚者」
1番『魔術師』の暗示する「魔術師の赤」
4番『皇帝』の暗示する「皇帝」
6番『恋人』の暗示する「恋人」
7番『戦車』の暗示する「銀の戦車」
8番『正義』の暗示する「正義」
9番『隠者』の暗示する「隠者の紫」
10番『運命の車輪』の暗示する「運命の車輪」
17番『星』の暗示する「星の白金」
21番『世界』の暗示する「世界」
レオパルド・ジーク(神風 零弥):『格闘家』:ランクS-
・神砂嵐の流法【レベルMAX】
真空竜巻
闘技・神砂嵐
・漢武夷流柔術【初期レベルMAX】
神砂の拳
セーナ・フォクス:『格闘家』:ランクB
・イヌ科の嗅覚【初期レベルMAX】
・イヌ科の聴覚【初期レベルMAX】
・波紋の呼吸法
ネーナ・チュミン:『アーチャー』『補助魔術師』:ランクA
・魔導弓【レベル2】
回復型
威力型
速度型
(上から順に使用頻度の高さ順)
・補助魔法
ヒール(極小回復)
ホイミヒール(小回復)
ケンロ(防御小アップ)
ムッキ(攻撃力小アップ)
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