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遊戯王ARCーⅤ 〜波瀾万丈、HERO使い少女の転生記〜

作者:ざびー
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八話 お見舞いです。

「へー、祐希は結局、遊勝塾に入ったの……」

「ま、私の意思より、弟の意思を尊重させた結果だけどねー。」

ますみんは私が遊勝塾へと入ったと聞き、少し残念そうである。

徹は仲のいい友達が居る方が良いらしく、私達はLDSではなく、遊勝塾へ入る事を決めた。

「まぁ、デュエルならいつでもできるし、学校でも会えるんだからそう落ち込まないでよ〜」

「ば、バカ⁉︎落ち込んでなんかないわよ!それと頭を撫でるな‼︎」

ますみんの艶のある黒髪を撫でていた手を叩き落とされる。

意外とツンデレなのかね?

「ところで、ますみん、何か最近あった?」

「っ⁉︎…………急にどうしたのよ?」

ますみんの表情がほんの一瞬強張る。だが、その一瞬で何かあると確信するには十分。

「なんか以前より、表情が曇ってるなーと思ってカマかけたら……見事にね〜。で、何があったの?」

「はぁ、まさか祐希にひっかけられるとは……。まぁ、話さないといつまでも聞いてきそうだから話すわ。その代わりあまり口外しないでね」

「オーケーオーケー。大丈夫、口は硬い方だから」

「本当かしら……」

疑っているのか、ジト目で見てくるますみん。それはそれで傷つくよ……。

「先日ね、沢渡が覆面被った不審者に襲われたのよ。」

不審者ね……。口笛吹きつつ登場する数字狩り(No.ハンター)、羽が生えた筋肉隆々の異世界人(バリアン)、いきなりライディングデュエルを仕掛けてくるアンドロイド…………。なんだ、遊戯王の世界って不審者多くね?意外と普通なのかな?

「ネオ?沢渡だっけ。あの人、色んな人から反感かってそうな気がするんだけど……。ただの怨恨じゃないの?」

うん……あの上から目線なら相当恨みをかってそうである。特にパシリにされている三人組からとか……?

「違うのよ。それが沢渡自身が榊 遊矢に襲われたって言ってるのよ。しかも、アクションデュエルでもないのに、ダメージの際の衝撃が実際にあって、怪我したとかなんとか。」

「へー………………。ダメージが実体化ね〜。……闇のデュエル?面白そうだね」

「ん?なんて?」

「なんでもないよ、ますみん」

ぶんぶんと手を顔の前で振って急いで否定する。

後半は聞こえてなくてよかった。ネオ沢渡と遊矢には色々あったとますみんから聞いてたけど、その怨恨絡みじゃないのか……?いや、ここは本人から聞けばいいか。

「今度お見舞いでも、行こうかな?どこに入院してんの?」

「また物好きね、祐希も。沢渡は舞網市立病院に入院してるわよ」

なぜかため息を吐かれる。お見舞いくらい人として当たり前だと思うのだが……。

「ありがとね〜。じゃあ、何か手土産でも持って行きますか。じゃあね〜」

それだけ言うとさっさと家へと帰る。

◆◇◆

「しかし、ダメージが実体化ね〜。本当に闇のデュエルなのかな……」

家へと帰る道中、沢渡が負傷した事に関して、考えているが全くわからない。

って!そうじゃん、こんな時こそ、精霊じゃん!!

「そーゆーわけで、デスガイドはどう思う?」

『…………ようやく出番ですか。全く、寂しくて祐希さんを襲おうかと思いましたよ。割とマジで。』

出番が少なくて精霊が病んでた⁉︎てか、襲うとか、本気で勘弁してほしい。

『…………冗談ですよ。……7割わ。』

「残り3割が怖いんだよ!!それより、どう思う?さっきの件」

「そーですね。大抵、多かれ少なかれ精霊を従えているものはそういった事ができるんです。なので、その沢渡っていう人を襲った人もそういった力を有してる可能性もありますね。ちなみに闇のデュエルなら、負けた方の命は失われるので除外して大丈夫ですよ」

あっさりと闇のデュエルを否定する。まぁ、一番心配なのが除外されてよかったけどね。

そんな事をしているといつの間にか、家の前に。無我夢中って、すごい



◆◇◆

「さて、沢渡への手土産どーしよ。おっ!アレは……」

ますみんから沢渡襲撃の話を聞いた週の休日、彼へお見舞いもとい、事情聴取に行こうお思い、その際の手土産は何にしようかとアーケード街を散策していると、見知った人物が……。

沢渡の取り巻きの一人、大伴がちょうど居た。

え?誰だ、そいつ?茶髪、以上!!

「おーい、大伴君や〜い!」

「っ⁉︎あ、あんたはこの前、LDSに見学に来ていた人!なんかようすか?てか、なぜ俺の名前、知ってるんすか?」

怪訝そうな表情を浮かべて、こちらを見てくる。

「あんたの所のボスが呼んでたのを聞いたから。あと、沢渡を締めあ……お見舞いに行こう思ってるだけど、好きなものとか知ってる?」

あぶねー、うっかり本音が出るとこだった。

「あんたも物好きっね。沢渡さんなら、甘党なんで甘いものならなんでもOKだとおもいますよ。この頃は菓子屋 マドルチェで売ってる【スイートミルクアップルベリーパイ とろけるハニー添え】にはまってますね。」

ますみんもそうだけど物好きって……。沢渡にチクってやろうかな?てか、沢渡の奴、顔に似合わず、甘党とか……。

「ん、ありがとう。じゃ、またねー」

「またねーって……そんな何度も会いたくないっすよ」

なんか私悪い事したかね!?


◆◇◆

大伴と別れた後、話に出てきたスイートミルク・アップルベリーパイ とろけるハニー添えを買った私はその足で沢渡が入院している病院へと行く。

しかし、このパイ、クソ高い。一切れ500円とか、中学生のお財布事情にはなかなか厳しいぞ。

病院に着くと、受け付けのナースさんに部屋番を教えてもらう。なんとあいつ個室で入院しているらしい。ボンボンは違うね〜。

「ちわ〜、沢渡君、元気ーー…………へぇ〜……」

「え⁉︎おまっ!ちょっと⁉︎」

バンっ!と勢いよく扉を開けると慌てふためく沢渡。傍には外されたギプスと食べかけのメロン。

完全に(仮病)だ。さて、どうしてくれようか……。

「お、おまっ……どうして、居るんだよ」

「へー、ますみんからは重症だって、聞いてたけどね〜。どうしてほしい?嘘偽りなく、沢渡……じゃなくて、ネオ沢渡(笑)が襲われた時の事を話すか、マジで動けないほどの重症にしてほしいか。」

全く笑わぬ笑みを浮かべる私に対し、初め余裕の笑みを浮かべていた沢渡はその笑顔を忘れているほど、震えてしまっている。

「あ、もう一つ追加ね。小学生如きに1ダメージすら与えられずに負けたって言いふらしてあげようか?」

「くっ…………」

ここまで来て渋る沢渡。恐らく遊矢を悪者にするために話を盛りに盛ったのだろう。

なら、押して駄目なら、引いてみろってね。

「じゃあ、正直に話してくれたなら、コレあげるよ。」

私が差し出すのは、そう。無駄に名前が長い、スイートミルク・アップルベリーパイ とろけるハニー添え だ。それを見た沢渡の表情が一瞬にして緩む。

北風だけでは、ダメなのだよ。交渉には、太陽も大事なんだ

沢渡の方を向くと予想通りというか、目線はパイに釘付け。だが、最後の一線で踏みとどまっている様子。食欲と理性が争っているらしい。そして、私が悪魔の囁きをかけてやれば、いとも容易く食欲軍が勝利するだろう。

案の定、パイを手渡すとむしゃむしゃと食い始め、ペラペラと勝手に喋ってくれる。そして、その話に私が質問するとNPCのように即答してくれる。
会話内容はこんな感じ……


「いやー、隠れ家にいた時によ、ちょうどパイ食べようとしてきた時に何故か柊 柚子のやつが乗り込んできてよ。それからなし崩し的にデュエルになって、今の今まで食べれずじまいでな。サンキュー」

「え?初めから不審者に襲撃されたわけじゃないの?」

「あぁ、俺が柚子とデュエルしようとすると黒い覆面被った変な男が割り込んで来て、それからそいつとデュエルになったんだ。」

「へーー。で、その覆面男はどんなデッキだったのよ?」

「エクシーズ召喚してきたな。名前は忘れたが、黒色のドラゴンだったのは確かだ。」

どうやら沢渡さんはショックで記憶がとんでるみたいです……。

「エクシーズ召喚って……。それって、エリート君しか知らないんでしょ?」

「ああ、俺らの中じゃ、志島北斗くらいだな。」

あのスネ夫みたいな奴か……。確か、ますみんは『先行プレアデス』とか呼んでたような。

「遊矢って、EMモンスター主体のビートダウンデッキだよね。あいつがEM以外を使うのがまず不自然だし、そもそもあいつ、エクシーズ召喚なんて知らないはずだよ。」

私がこの前、デュエルした時にエクシーズ召喚を使ったらなんじゃそりゃって顔していたから間違いない。

「だがよ、俺は見たんだよ。」

「見たって?幽霊?」

「ちげーよ!覆面男の顔だよ!!まさしく榊 遊矢と同じ顔だったんだよ!」

私がボケると速攻で否定される。もうちょい気を利かしてツッコミを入れろよ。

「同じ顔ってさ…………この世の中には、似たような顔の人が三人は居るっていうじゃん?偶然、その遊矢に似た別人だったりして。それにあんたがデュエルしたのって、暗い倉庫の中だったよね?そんな状況でよく顔が視認できたね〜?」

佐渡の証言のウィークポイント……見間違いという点をやんわりと指摘するとうげっと表情を歪める。

「柊 柚子の奴もよ、覆面男の顔を見たときに遊矢って言ってたんだよ。」

「えぇ〜、柚子が?まさかーー」

そんなわけないと言おうとした時、ピピピと電子音がなる。弟からのメールだ。なんて間の悪い!

『奇抜なピンクのハートみたいな髪のしたおばさんがLDS生を引き連れて、乗り込んできた。なんか遊勝塾をかけてデュエルすることになった。早く来て。』

はぁ? なんじゃそりゃ⁉︎ っ!まさか……ピンク髪って

「ねぇ、ピンク色の髪の毛でハート型の髪型したおばさんって知ってる?」

「は?ピンクのハートの髪型?そんな奇抜で派手なおばさん…………居たな。うちの塾の理事長だな。それがどうかしたのか?」

『自分で理事長のこと、奇抜で派手なくそババアとか言っちゃいましたよ……」

デスガイド⁉︎って、そんなクソババアとか言ってない言ってない!!

「そーいえば……理事長が俺の見舞いに来てくれた時になんか私に任してください的な事を言ってたな。」

なるほど……。沢渡襲撃事件で榊 遊矢を犯人に仕立てて、それを理由に遊勝塾を乗っ取ろうとかいう魂胆か……。それでついでに遊矢のもつペンデュラムカードも奪おうという気かね?いや、寧ろ逆か。狙いはペンデュラム、塾はついでだろうね。しかし、入ったばっかだけど、自分の居場所が奪われるのはごめんだ。そして、何よりも塾をかけたデュエルというそんな楽しそうなイベントに呼ばれないとか!!

「んじや、話聞かせてくれてあんがとね〜」

「お、おう。今度、会った時はデュエルでお前を負かしてやるからな!」

「あっそ。楽しみにしとるわ〜」

佐渡を軽くスルーすると、さっさと病院を後にし、遊勝塾へと向かって走る。だが、舞網市立病院から遊勝塾まで中々の距離があり、どれだけ急いだところで一時間ほどかかってしまう。

「くっ……これでは、私が着いた時には既に終わってしまう!?事件は現場でおこってるんじゃない!塾で起こってるんだ!!」

走りながらも叫びを上げる。すると、ちょんちょんと肩を突かれる。

『お力……貸してあげましょうか?』

「え?どゆこと?」

その言葉に思わず、走る足が止まってしまう。

『優希さん、貸し一ですからね!』

デスガイドは私にニッコリと笑みを向ける。そして、キョロキョロと辺りを見回し、人気のない場所へと連れて行かれる。

な、なんかイヤ〜な予感が……

『じゃあ、行きますね♪空間連結術発動!ゲートオープン!』

厨二患者が喜びそうな台詞を恥ずかしげもなく叫ぶとデスガイドの足元に黒い渦が現れる。アレ……なんか見たことある……。

『はい、ご想像通り……ファントム・オブ・カオスさんですよ。ささ、遠慮なんて要らないんでどーぞ?』

黒い渦もといファントム・オブ・カオスは私を急かすように黒い漆黒の渦が揺れる。

エェイ!こうなったら、ヤケクソだぁ!!

ドブンと黒い渦へと飛び込む。






 
 

 
後書き
《小ネタ集》

デスガイド「私と優希さんでオーバーレイ!エクシーズ召喚!!愛と平和の使者、ZEAL!!」

優希「絶対ヤダ!!」



ようやく投稿できました。次回はもー少し早く投稿できるといいなーと思ってます。ちなみについにTFSPの配信日が決まりましたね。待ち遠しいです。

ついでに、呟きの方で簡単なアンケートやっているので、コメント入れてくれると嬉しいです。そのついでに、お気に入りボタンも押してくれたりしたら、更新速度が上がります。(1.1倍ほど……)

デスガイド「……解せぬ」



 
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