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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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平賀才斗の神様転生

「本当に、何から何まで迷惑かけてごめん」

買い物終了。
俺、蒼也、才斗の三人は其々に買った物を手にぶら下げて帰宅していた。

まぁまぁな品物を購入できたことに喜んでくれたものの、
帰宅早々に頭を下げられたら気分的にガクッと来るものがある。

「気にするな。
まぁ暫くはこの町に滞在してやりたいことを探すのが良いだろ」

「そうだね。
僕の場合は暫くすると一年間居なくなるけど」

「やりたいこと……職業とか?」

「別に職に就くだけが人生じゃない。
趣味とか興味を引かれるものに取り組むのも一興ってな」

まぁ自分が何が得意で何が苦手かってのは生きてくなかで確実に見付かる物だし。
好きこそ物の上手なれってね。

「取り敢えず周辺に探索に行ってきて良いか?
まだこの町を見回ってないからさ」

「ん?良いんじゃないか?」

「そうだね。行ってきなよ」

「ああ!行ってくる!」

そう言って外へと再び出掛けていった才斗。
この時はまだ、知らなかったのだ。
才斗に蒼也を着いていかせるべきだったことを。








「が……はぁ……」

撃たれた……撃たれた撃たれた撃たれた撃たれた……!
痛い…!血が……止まらない…!

「いやぁ!離してぇ!」

くそぉ…!あの娘が……目の前で助けを求めてるのに…!
なにも出来ないなんて…!








俺、平賀才斗は向こうの世界で友人となった葵 蒼也の案内の元、この世界へとやって来た。
蒼也に紹介された見た感じ俺と変わらない年の赤志ユウジに出会い、
住む場所を提供してもらった。
しかし信じられないよな。見た目若いのにな俺よりもずっと歳上なんてさ。

その後は俺のために買い物をしてくれたり。
もう本当に頭が上がらないよ。
俺は蒼也達と荷物を置いた後、一人で町の把握をするために出掛けた。

公園、神社と色々と見て回った。
そしてふと、自分のいた世界を思いだし、物思いに更けようと港までやって来ていた。
そこで俺は見てしまったんだ。

俺よりも一つくらい年下で金髪の女の子が黒いスーツを着こんだ大人数人に引っ張られ、
倉庫みたいな場所に連れ込まれそうになっている所を。

俺は思うよりも先に行動してしまった。
そしてーーーー

"パァンッ"

ーーーー撃たれたんだ。

着弾点は俺の心臓。
左胸を貫通したのか、直ぐには気を失わなかった。
その為か女の子が俺を見て泣き叫ぶのを見てしまった。
死にたくない。まだ死ねない。
そう思いながらも動かそうと動かない体を行使している内に、
いつの間にか………。















"ピンポーン" "ドンドンドン!"

誰だ騒がしい。
チャイムがあるんだから扉叩くなよ。サラ金か?

「ゼウスさん!ユウジくん!蒼也君!
お願いだれか!アリサちゃんが!」

どうやら来たのは高町のようだ。

「どうした」

「アリサちゃんが誘拐されちゃったの!
お願い助けて!」

「次から次へと……ホント休みのない世界だな…」

俺はバニングスの気を探知し、探したところで…。

「……マジか」

バニングスのそばで、才斗が死んでいることを知った。

「ユウジ?」

「……準備しろ。今すぐだ!」

「了解!」

蒼也は俺の剣幕に驚いたのか、急いで二階へと走っていった。

「ゼウス!ゼウス!」

「…っ!理解した!こちらで何とかする!
お前は器の修復を頼むぞ!」

ゼウスは現れたと思ったら直ぐに状況を理解して迅速に対応し始める。

「ユウジ!」

「行くぞ!高町は暫くここにいろ!良いな!」

「分かったの!」

俺と蒼也は人目も気にせず、全速力で港へと向かった。











「………ここは…?」

辺り一面真っ白な空間。
上下の感覚が分からないような場所に俺は居た。

「起きたか」

後ろから声を掛けられる。
誰だろうと振り向いた先には金髪で長身。
布生地を身体に巻いただけの格好をした人が居た。

「…あんたは誰だ?」

「俺はゼウス。
人間で言うところの神と呼ばれる存在だ」

「神…だって?」

「そうだ。
お前はさっきまで、何をしていたか覚えているか?」

さっき…………っ!?

「あの子は!俺!……俺、死んだのか…」

「有り体に言えばそうなる」

何だよ……何でこんなに不幸が続くんだよ…!
異世界に呼ばれたと思ったら帰れないって告げられて…
蒼也に送ってもらったらそこにはもう両親もいない!
平穏に生きる事になったと思ったら…

「泣いてる娘1人助けられずに死ぬなんて…!
なぁ!あんたは神様なんだろ!?
頼む!少しの間だけでいい!生き返らせてくれ!
あの娘を救える時間を…俺にください!」

ーーーーーーーその願い、承った。

「……出来たか。
死者、平賀才斗。
お前には一つだけ能力が与えられる。
時間がないため直ぐに考えろ」

「能力…?」

「お前が考える力を一つ、言うだけで良い」

力……アイツに勝手に召喚されて勝手に着いてきた能力…。
あれなら俺でも…ひ弱から強者になれるかも知れない!

「ガンダールヴの力を…もう一度俺に!」

ーーーーーーー瞬間。
俺の左手の甲が目映く光る。
そこまで時間もたっていないはずの光景も懐かしく感じる。
その甲に刻まれた使い魔だった頃のルーン文字。
間違いなく、ガンダールヴの勇者が舞い戻った。












「願は届いた。
後はお前が帰ってくるだけだ」

俺は才斗の身体にできた拳銃による傷を全て消し去り、
ゼウスへと連絡を入れた。

それと同時に才斗の強い願いが聞こえ、
蒼也と同じく、従者契約の魔方陣が発動した。

魔方陣は才斗を包み込み、只の人間を竜属騎士として生まれ変わらせた。
それと同時に才斗の左手の甲が光輝き、ガンダールヴと読める文字(ルーン)が浮かび上がった。

「……ここは…」

「起きろ。お前の仕事は終わってないぞ」

「…ユウジ……っは!?そうだ!」

ガバッと起き上がり、才斗は立ち上がった。

「ほれ、お前の得物だろ」

そう言って俺と初めてあったときに背中にあった片刃の剣を渡してやった。

「ありがとう…。
…デル公、おいデル公」

『…んぁ?おお相棒!力が戻ったのか!』

「話をしている暇はないんだ。
この世界に来て初めての実戦だ!行くぞ!」

『おおよ!』

才斗は倉庫の中へと入っていった。
しかし、先程の文字(ルーン)……あらゆる武器を使える能力か。
そして竜族騎士としての属性と効果。
無属性ながら能力強化…か。
大方あのガンダールヴとかいう力が強化されているのだろうが、使いこなせるのか?

「蒼也。一応加勢に行ってやれ。
後片付けは俺がやっておこう」

「ん、理解」

"ドガァン!" "パリィン!" "パンッパンッパン!"

どうやら中では派手にやっているようだ。
俺はその騒音をBGMに聞きながら、地面に染み込んだ才斗の血を洗い流すのだった。 
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