聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士
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第十八話 闇闘士の塔!女闇闘士の挑戦!!
「ここか・・・虎の奴がいるのは」
風が吹き荒れる風魔の里への道を歩く岩鉄。海闘士の身でありながら牡羊座の貴鬼の元を堂々と訪れ大河の聖衣を修復させるとそれを届けるべく別行動中の澪に大河の居場所を聞いたのだった。
「それにしても・・・人っ子一人いねえな・・・お~い!虎~!!どこだ~?」
誰も居ない最中叫ぶと何かの気配を感じ取り振り返る岩鉄の前に立っていたのは学ランに帽子姿の少年だった。
「誰だ?おめえ?」
「俺は虎じゃねえって!風魔の虎次郎だ!!くせ者!」
「い!!」
木刀を構えた虎次郎に飛び掛かられる岩鉄だった。
第十八話 闇闘士の塔!女闇闘士の挑戦!!
風魔の里
「は!りゃ!!」
「ほい!ほい!っと!!」
木刀で訓練をする大河と小次郎。あれから3カ月の時が過ぎ剣術のイロハをやっと覚えてきた大河は小次郎に一本入れる訓練に明け暮れた。
その横では
「二人ともタフですねもう5時間以上休み無しでやってます」
二人が訓練している隣の家を掃除している霧也の姿もあった。あの後竜魔に案内された霧也は、しばらくの間、風魔の里に身を置くことになり寝泊りの場所の面倒を自分ですることになった。
大河と小次郎の訓練を観察していると霧也背後からひょっこりと小桃が現れた。
「甘いよ霧ちゃんあれ位でビビッてちゃ忍びなんて出来ないよ?」
「ビビってませんよ!小桃さん」
「もう霧ちゃん。記憶ないとはいえ友達なんだから小桃で良いよ。それにしても霧ちゃんにこんな事するなんて許せない!」
そう言って腕を組んで唸る小桃だった。
霧也自身も友人がいる事を覚えていない・・・だが直感的な懐かしさを感じてはいた。
(懐かしい気がする・・・けど・・・思い出せない・・・けど・・・私の身体に吹くこの風を知っている)
訓練を終え霧也の様子を見た小次郎が肩に手を置いた。
「小次郎さん?」
「焦るなって・・・時間はある」
「そう・・・ですね・・・」
小次郎に懐かしさを感じていながらもどこか遣る瀬無い霧也だった。
一方
「ふん!」
小次郎達から離れると軽く流してみる事にした大河。左ジャブをやる分には痛みは無い。
だがブーメランフックを放つと・・・
「ぐ!」
左腕に激痛が走り完治していない事を実感させる。今の自分はライブラの剣に頼るしかないと思った。
その時凄まじい気配を感じ取った大河。
「高嶺大河ですね」
「誰だ!?」
大河が振り返ると闇聖衣に身を包んだものが立っていた。
だが普通の闇闘士ではない。
その顔に仮面をつけた・・・女性だった。
「あ・・・あんたは・・・」
「ふふ・・・おかしくはないでしょう・・・あなた達にだって女性は居ますね・・・それに・・・要件は分かっているはずです!!」
女闇闘士が大河に詰め寄るとボディに拳を放った。
突然の奇襲を左腕で防ぐ大河は大きく吹き飛ばされるが受け身を取ると立ち上がった。
ファイティングポーズをとる大河に女闇闘士が襲い掛かったその時だった。
「風魔の里で好き勝手させねえぜ!」
気配を感じ取り大河の前に入った小次郎が木刀で女闇闘士の拳を防いだ。
「く!伝説の忍・・・風魔の小次郎・・・あなたが居るとなると少々分が悪いようですね」
そう判断する女闇闘士は一歩下がり要件をいう事にした。
騒ぎを聞きつけた小桃と霧也が並び立つ中、女闇闘士はある物を取り出し大河に投げつけた。
それは・・・
「これは・・・ミヨの服!?」
相棒でもある澪の服だった。
「てめら・・・澪を・・・どうした・・・応えろ!!」
猛虎の覇気をたぎらせながら叫ぶ大河に女闇闘士は答えた。
「ふふふ・・・彼女はあなたの女と見ました・・・その理由はあなたの為に・・・いえ・・・それは無粋なので言わないでおきましょう・・・彼女を助けたければ私たちの挑戦を受ける事です・・・その服は挑戦状代わりです」
「いいぜ・・・受けて立ってやる!」
「おっと・・・ここでやると言っていません」
拳を握り締める大河は・・・
「案内しろよ!!」
受けて立つべく女闇闘士に着いていこうとするが、小桃が止めた。
「待った!これもってき」
「え?」
小桃が大河に渡したのは着物だった。
「小桃」
「寒いよ?・・・私のお古だけど」
「ありがとう・・・小桃」
小桃に礼を言うと大河は再び女闇闘士に着いていくのであった。
女闇闘士についていく大河を見送る小次郎に思わず小桃が叫んだ。
「あんちゃん!良いの?虎二行っちゃうよ!」
途轍もなく不利な状況の大河の身を案じる小桃に小次郎は拳を握り締めて答えた。
「安心しろ小桃・・・俺は誰の命もとりこぼさねぇ・・・絶対にあいつを死なせねぇ」
そう言うと小次郎は小桃に背を向け歩み始める。
「あんちゃん?何処に?」
「ちょいと『あれ』を取ってくる」
「あんちゃん・・・もう一度『あれ』を?」
小次郎の行動に驚愕する小桃。だがその背は強い意志をはなっていたのだ。
すると入れ替わりに・・・
「あんだって!!澪ちゃんが奴らに捕まって虎が助けに行ったって!?」
誤解が解けたのか虎次郎に案内されて風魔の里を訪れた岩鉄はすぐさま助けに行こうとするのだが・・・
「ちょっと待て!落ち着けって冷静になれって!今のお前が行っても話がややこしくなるだけだって!!」
「うるへえ!俺が行かねえで誰が虎と澪ちゃんを助けるってんだよ!こんの!!」
「ぐへ!」
押さえつけていた虎次郎の溝を殴り落として闇闘士が向かったであろう方向へ駆け抜ける岩鉄。
「待ってろよ虎!澪ちゃん!!今行くからな!!」
直してもらった聖衣の箱を背負ってハイテンションな岩鉄の背をキョトンとした表情で見送る事が出来ない小桃であった。
大河は闇闘士に案内されて辿り着いたのは岩壁の前に立つ5階建の塔。
「・・・・・」
何も言わずに拳にバンテージを巻きライブラの剣を持ち上げる大河は案内してきた闇闘士に向かって言った。
「・・・澪の身体にかすり傷一つ付けてみろ・・・てめえら全員生かして帰さねえからな!!」
「ぐ・・・だがこの闇闘士の塔に居るのは我ら女闇闘士の猛者・・・そしておまけが一人・・・貴様一人では半分も行くまい・・・そして・・・カイザーナックルは我らが貰う!!」
「くそ・・・待ってろよ・・・澪!」
大河の身体の数倍はあるであろう扉を両手で開けると暗い空間だけが広がっている。
大河はその空間に足を踏み入れると同時に大きな音を立てて扉が締まり周囲に立てられていた無数のロウソクに火が灯り始め一定の光をもたらすと中心に立っている仮面を付けた女闇闘士の姿が・・・
「ようこそ・・・高嶺大河。わたしはレイル」
「貴様・・・」
ライブラの剣を構えた大河に女レイルは答えた。
「我が主・・・アマテラス様の為に・・・貰いますよ!!カイザーナックル!!」
レイルは自身の闇聖衣に装着されていたと思われるチャクラムで大河に飛び掛かった。
突然の事で大河はライブラの剣を構えて防ぐがあまりに重い一撃で後ずさってしまう。
レイルのスピード自体がマッハを超えているのかその特性を利用し二撃・三撃と大河に襲い掛かる。
防ぐのが精いっぱいの大河にレイルはある物に気付いた。
「動きが鈍いですね・・・その重たそうなリストバンドを外したらどうですか?」
「な!」
ドラゴンリストを見抜かれた大河。その理由をレイルは言った。
「あなた・・・私が女だからためらっているのですか?」
「な!」
「フェミニストなんですね・・・だが、私も曲がりなりにも闇闘士・・・それは私達に対する侮辱だ!!」
小宇宙でチャクラムが輝き大河に向かって放った。
「ウインドスラッシャー!!」
レイルの技が大河に襲い掛かろうとしたその時脳裏に澪の姿が浮かび上がった。
(澪・・・確かに奴らは闇闘士・・・そして澪をさらいやがった・・・なら・・・澪を助けるために俺は・・・鬼になる!!)
ライブラの剣を地面に突き刺し腕のドラゴンリストを外し上へ投げた。
するといつの間にか天井に居た霧也がそれを受け止めると余りの重量に驚いていた。
「何と言う重さ・・・並の人間なら動くことすらままならない・・・それを常につけていたなんて・・・」
霧也に気付かない大河はそのままライブラの剣を引き抜き雄大な構えをとった。
真っ向から来るレイルの技を真正面から薙ぎ払った。チャクラムはレイルの元に戻ると再び技の体制に入った。
「それがあなたの本来の実力・・・だがいくらライブラの剣とはいえ、にわか仕込みの使い手があなたではナマクラ以下です!!」
レイルの技が再び大河に襲い掛かろうとしたその時・・・
風が吹いた
「風魔烈風剣!!」
ライブラの剣から放たれた一閃はレイルの技を押し返しチャクラムを粉々に砕いた。同時にレイルも吹き飛ばされるがフィニッシュブローの領域に達していない剣では倒すことは出来ない。
レイルは再び飛び掛かろうとするが剣を持っていない大河が潜り込む方が早かった。
「ブーメランフック!!」
大河の左拳から放たれるブーメランフックがレイルの身体を捕え大きく吹き飛ばした。
「がは!ああ・・・」
地面に倒れ込むレイルは小宇宙を維持できなくなり消滅を始めるが・・・大河の左腕に激痛が走った。
「く・・・う・・・」
完治していない左腕はフィニッシュブローの反動に耐え切る事が出来ないのか・・・だが大河は立ち止まるわけにはいかずライブラの剣を拾い上げ先に進もうとすると苦し紛れにレイルが話した。
「ふ・・・ふふ・・・最後にもうひとつ教えてあげましょう・・・私たちの目的はカイザーナックル・・・そしてあなたの左腕です」
大河の最大の武器にして弱点でもある左腕・・・その左腕が再起不能になってしまえば大河は戦う術を失ってしまう。
だがそんな事には構っていられない大河は次の階へと足を運ぶと同時に消滅するレイルだった。
一方
「開ーけーろ!たのもー!!」
ガンガンガンガンガン!と闇闘士の塔の扉をたたき続ける岩鉄の姿があった。
「ちきしょ!こん中に入れなかったら虎に聖衣を渡せねぇじゃねぇか!!」
あまりに大きな音を出して扉を叩いていると一つの影が舞い降りた。
「・・・うるさいな・・・全く招待されていないのに来るなんて無粋だね」
舞い降りたのは金髪のボブカットの女闇闘士だった。
「おめえ!いったい何もんだ!?」
「ボク?・・・ボクはアマテラス4姉妹が一人・・・」
女闇闘士の一人称を聞いた岩鉄は・・・
「『ボク』だと・・・それにその身体・・・お前!オカマか!」
その瞬間稲妻が落ちた。
「・・・お・・・オカマ・・・君全国のボクっこに喧嘩を売ったね・・・良いよ君はボクが殺してあげるよ・・・アマテラス4姉妹が一人サクヤ・・・が相手だ!このチビ!!」
「おう!やれるもんならやってみやがれオカマ野郎!!」
大河の聖衣の箱を置き、鱗衣を装着しサクヤに飛び掛かる岩鉄。
後書き
大河
「次の階に進んだ俺は拳で戦う事を強いられた。ライブラの剣を使えない俺の左腕は徐々に悲鳴を上げていく!そして俺は!自分自身の意思でそれを呼んだ!
聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士 新生聖衣!そして!!
」
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