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逆説ロミオとジュリエット

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2部分:第二章


第二章

「ですが今度の舞踏会においてです」
「舞踏会で?」
「相手を見つけられてはどうでしょうか」
「相手をかい。僕自身で」
「左様です。確かに然るべきお相手でなければなりません」
 ロミオにこのことを告げた。
「そうでなければです」
「それは僕もわかっているつもりだ」
「モンテッキィ家のただ一人の方なのですから」
「モンテッキィ家の嫡流は僕一人だからね」
「左様です、ですから然るべきお相手でないと」
「だからそれはわかってるんだ」
 ロミオはそれは確かだと話した。
「父上と母上には子供は僕しかいない。だから本当に然るべき相手と」
「そしてそのうえで、です」
「カプレーティ家と対さないとね」
「左様です」
 ここでまた言うロレンツォであった。
「ですから本当に然るべき相手と」88
「わかっている。その相手を見つける為にも」
「そうです」
「舞踏会にね」
 こうしてであった。ロミオはその舞踏会に出た。それは領主が主催しその屋敷で行われるのだった。その華やかな場所にいたのは。
 栗色の髪に緑の目をした楚々とした外見の少女であった。髪はふらりとした波になっている。白い顔は透き通り眩いばかりだ。
 ドレスは水色だ。その少女が来てだ。そうして言うのだった。
「あの、お兄様」
「お兄様は止めてくれないかな」
 微笑んで言うロベルドだった。彼も少女と共にいる。
「それは」
「けれど私にとっては」
「お兄様だっていうのかい?」
「はい、私は他に兄弟はいませんし」
「そうだね。カプレーティ家の一人娘」
「はい」
「ジュリエット、しかし」
 ここでだ。ロベルドはさらに話すのだった。
「僕は君の従兄だから」
「お兄様ではないというのですね」
「うん、そうだよ」
 その通りだというのだ。
「だからそうした呼び方はね」
「いけませんか」
「そう、よくはないよ」
 また言うのであった。
「だから止めておいてくれ」
「ですが」
「まあジュリエットの好きにしたらいいよ」
 ロベルドもここで折れたのだった。
「ただ」
「ただ?」
「まあ大丈夫だとは思うけれど」
 こんなことも言うのであった。
「それでも悪い奴には注意するんだよ」
「誘惑してくる相手ね」
「そう、そういう相手にはね」
 こう従妹に言うのだった。
「絶対にね。声をかけられてもついて行かないこと」
「幾ら何でもそれはないわ」
 ジュリエットは笑って従妹のその言葉を否定した。
「私だってもう子供じゃないから」
「わかっているけれどね。それでもね」
「注意しろっていうのね」
「そう、それはくれぐれもね」
「わかったわ。じゃあ」
「そうそう」
 ロベルドは立ち去ろうとしたところでふと足を止めてそのうえでまた従妹に告げた。
「いい場所があるよ」
「いい場所って?」
「うん、バルコニーに行くといいよ」
 お勧めの場所を紹介したのであった。
 
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