旧エクリプス(ゼロの使い魔編)
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第39話 宝探し(後編)
ブリミル暦6242年 アンスールの月 エオローの週 エオーの曜日
皇紀2800年 7月19日 トリステイン王国 フォンティーヌ領 伯爵邸
ルイズ一行は昨晩も伯爵邸に泊まった。
朝食の後、宝探しの再開である。
Side ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
「宝の場所は分かっている。後は "宝の鍵は竜の羽衣と共に。" と書かれた鍵だな。竜の羽衣はシエスタの故郷のタルブ村にある。兄さんからクルーザーを借りているから、タルブ村経由で学術研究都市に向おう。」
「賛成。」
司の意見にルイズが賛同する。皆も賛成しているようだ。
「それじゃ出発しよう。」
Sideout
皆がクルーザーに乗り込みタルブ村へ向かって飛び立った。
操縦は勿論、司が行う。1級小型船舶操縦免許を持っている。
クルーザーにはGPSと自動航行装置が搭載されており、タルブ村へは直線で向かう。
ブリミル暦6242年 アンスールの月 エオローの週 エオーの曜日
皇紀2800年 7月19日 トリステイン王国 アストン伯爵領 タルブ村
Side シエスタ
「わっー、空から見るとタルブ村は小さいですね。」
「武雄さんの家はどの辺かな。あっ、あそこか。」
司の指差した所に、一軒の純和風の家があった。その家だけが瓦の屋根をしているのだ。司は思った、凝り性の光輝のことだから、
きっと檜で建ててあるのだろうと。
「あっ、そうです。あれが曽祖父ちゃんの家です。司さん良く分かりましたね。」
「いや、あの家だけが和風建築だからね。武雄さんの故郷の建築様式だ。」
「そうなんですか。そういえば曽祖父ちゃんの家、独特なんです。床に靴を脱いで上がるんです。タタミや紙でできた扉があるんです。」
「そうなんだ・・・。」
司は村の外れにクルーザーを着陸させた。クルーザーには飛行機と同じ様な降着装置が付いている。
村に着いた一行はシエスタの案内で、佐々木武雄邸に案内された。
「おじいちゃん、ただいま。」
「シエスタ、お帰り。」
「この人が光輝さんのお孫さんの司さんよ。学院でお世話になっているの、その後ろの人達が魔法学院の生徒さん達で、皆さん竜の羽衣に用があって来たの。」
『初めまして、一条司です。佐々木武雄さんの話は、祖父から聞いています。』
「綺麗な日本語じゃ。それに面影が光輝さんに似ておる。光輝さんが宝の鍵をゼロ戦の座席の上に置いて行っとるよ。案内しよう。」
「ゼロ戦ってなあに。」
ルイズが司に尋ねる。
「ゼロ戦の正式名称は零式艦上戦闘機って言うんだ。飛行機の一種で、竜の羽衣の事だよ。」
一行は武雄さんに案内されて、博物館へとやって来た。
「ここが博物館じゃて、ゼロ戦もここに展示してあるよ。」
「おじいちゃんがここの博物館の館長なの。」
「立派な建物ね。」
キュルケが3階建ての建物を見て感想を述べる。
「この建物の一、二階が吹き抜けになっておってな、展示スペースになっておる。三階が展望室じゃ。」
「うをっ、タイガー戦車がある。これが実物か。」
司は感嘆な声を発した。
「日本帝国の博物館にあるのは、ここのレプリカじゃ。」
「武雄さんは日本帝国に行った事があるのですか?」
「光輝殿と一緒に何度か連れて行って貰った。」
「そうですか。」
「これがゼロ戦じゃ。座席に宝の鍵が置いてあるよ。」
夢がゼロ戦に掛けてある梯子を登り、一つの小さな鞄を持って降りてきた。司の所まで戻ると、鞄の蓋を開ける。
「うわっ、BRAVE(ブレイブ) DUEL(デュエル)だよ。ルイズちゃん。」
「わぁ、本当だね。夢ちゃん。」
カードデッキケースを見ながら夢とルイズがはしゃいでいる。
二人は知っていた。ブレイブデュエルと言ったら、魔法少女リリカルなのはINNOCENTに出てくる、体感シミュレーションゲームなのだ。
「お姉ちゃん、ブレイブデュエルと言ったら来月発売予定の体感シミュレーションゲームだよね。」
ジョゼの言葉にタバサは頷いた。
「それ、僕も欲しかったんだ。」
「テレビのコマーシャルで流れていたわ。」
ギーシュとモンモランシーも話に加わる。
「これで宝の中身が予想ついたな。多分、VR(バーチャルリアリティ)機だろう。先行発売品だな。今はβ版のテストの最中だ。」
「やった!お兄ちゃん、早く学術研究都市に行こうよ。」
「待てまて、そんなに慌てるな。折角ここに来たんだ、展望室を見て行こう。」
「分かったわ。」
武雄さんの案内で展望室にが上がる。
「わぁ、凄い。飛行場がある。」
「ルイズ、ここは自家用航空機の操縦士免許を取る為の学校が併設されているんだ。」
「お兄ちゃんも持っているよね。」
「あぁ、持っているよ。ここでは学術研究都市の生徒が、自家用操縦士の免許を取りに来るんだ。大型の航空機の操縦士には自家用操縦士の免許が必要だからね。ここで免許を取って、後はシミュレータで訓練するんだ。航空機にも風石機関が搭載されているので、垂直離着陸が可能なんだが、もしもの為に滑空して離着陸の訓練をしているんだ。」
「パイロットになるのも大変なんだ。」
「おじいちゃんも昔、ここの教導官をしていたの、今ではその教え子達が教導官をやっているのよ。弟もおじいちゃんに教えて貰って、自家用操縦士の資格を取っていて、今は航海士の資格を取る為に学校へ行っているわ。」
シエスタが司と夢の話に加わった。
「それじゃ飛行場も見れたし、学術研究都市に行こうか。武雄さん案内ありがとうございました。」
「光輝殿に宜しく。」
Sideout
司達は博物館を出ると、クルーザーに向かった。一行はクルーザーに乗り込み、学術研究都市に移動を開始した。
ブリミル暦6242年 アンスールの月 エオローの週 エオーの曜日
皇紀2800年 7月19日 トリステイン王国沖合い 学術研究都市
Side ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
「凄いわね。近くで見ると迫力満点ね。」
ルイズの感想に、皆がうんうんと答える。
学術研究都市に来たことがあるのは、シエスタと一条家の兄弟だけである。ルイズも初めてであった。学術研究都市は平民の為の学校があり、研究機関の施設と関係者の為の街が有るのみである。一般の貴族はあまり来ない。貴族で来るのはアカデミーの者ぐらいである。
一条家はここに別邸がある。
「約3,000アルペン(1平方キガm)の土地だかれね。」
「3,000アルペン、家の領地より広いわ。それが人工島で空に浮かんでいるんだもの。」
モンモランシーは溜め息をつく。
「トリステイン本国の約1/7の広さだからね。並の伯爵や侯爵の領地より広いのは仕方ないよ。」
「・・・。」
「研究所は一条家の別邸内にあるから、クルーザーは別邸の駐艇場に停泊するよ。」
Sideout
ブリミル暦6242年 アンスールの月 エオローの週 エオーの曜日
皇紀2800年 7月19日 トリステイン王国沖合い 学術研究都市 一条家別邸
Side ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
「別邸がフォンティーヌ伯爵邸より大きいわ。研究所は別邸より更に大きい。」
「ここはお祖父ちゃん専用みたいな物よ、どこか一国に作ると贔屓していると思われるから、別邸は本国とここにしかないわ。
それより早く研究所に行きましょう。」
夢はルイズを急かせる。
夢と司は研究所のIDを持っているので、他の者達を連れて行けるのだ。
「お祖父さんは5階のようだ。」
司が携帯端末を見て案内する。
エレベータに乗り5階へ移動して、目的の部屋に辿り着く。
「おじいちゃん来たよ。」
「夢達か、お帰り。鍵も持っているようじゃな。」
「これはブレイブデュエルのカードデッキだよね。」
「うっほほほ、その通りじゃ。そこのカプセルがカードローダーだ。司が手本を見せなさい。まずカプセル内に立ってそこにカートリッジを差し込みなさい。」
「ここだね。」
「そうだ、そこだ。次にその小さなテーブルの上にデバイスを置いて、年齢と性別を入力しスタートボタンを押すのだ。そうしたらカメラがトレースするから動かないようにな。」
司が光輝の指示通り行う。
「良し、入力完了と。それじゃスタートボタンを押すね。」
司がスタートボタンを押して5秒程でトレースが完了する。
エジェクターから一枚のカードが出て来る。
「それが司のパーソナルカードじゃ。」
「インテリジェントデバイスを持ってない者には、儂が新しいのをやろう。」
各々が同じ様にパーソナルカードを作って行く。
「シエスタや、魔法を使って見たいかね。」
「・・・はい。」
「それじゃ・・・。良し、明日ぐらいには魔法が使えるだろう。」
光輝は無心針の注射を、シエスタの首筋に打った。
遺伝子改変の注射である。大体24時間ぐらいで遺伝子を変えるマイクロマシンが入っている。光輝は大事な事を忘れていた。
太平洋連邦で普通に使っている注射であった為、シエスタは普通の魔法だけでなく、虚無の魔法も使えるようになってしまった。
後で思い出して、司に電脳通信で連絡を入れると、司に怒られたのは別の話。
「ありがとうございます。」
「何のなんの、武雄さんの曾孫だから特別サービスだ。」
「早速やってみたい。」
「ゲーム機本体は3種類あってな、一つはカプセル型でトレーニング服を着て入るのだ。実際に筋肉に電流を流して仮想空間での動きに合わせて同じ様に筋肉を鍛えられる。モード切り替えて普通の遊び方も可能だ。
二つ目は椅子型になっておってな、仮想空間と同じ映像がテーブルに立体表示される。ゲームセンターにはこれを置く予定だ。
三つ目は装着型で首に装着して、椅子に座るかベッドに横になって使う。自宅で楽しむのに使うスタンダードタイプだ。
それでは全員カプセルの中に入って中央に立って、ノーマルモードを体験しよう。皆んな準備はいいかな?」
「はーい、準備万端です。」
「それじゃブレイブシミュレータ、スイッチオン!」
『どおだ、みんな?』
光輝はモニター越しに話し掛ける。
『すごいねっ。こう、ふわっとして・・・。』
『まさかゲームで、無重力体験しちゃうなんて驚きだわ・・・。』
『なんか不思議な感覚・・・。』
『ふっほほほ。すごいのはこれからじゃて。夢や代表してこのウィンドウに入力するのだ。13人プレイで、フリートレーニングで、雲海上空ステージで良いだろう。』
『分かったわ。13人プレイ、フリートレーニング、場所は雲海上空ステージと、押したよー!』
『それじゃ、ブレイブホルダーを胸の前に掲げて、コールするのじゃ。』
『これを・・・。』
『胸の前に掲げて・・・。』
『『・・『ブレイブデュエル、スタンバイ!!』』・・』
『えっちょっ・・。』
『わわっ・・。』
『皆、目を開けるんじゃ。』
『『『な・・。』』』
『『『何これっ!?』』』
『どどどど、どうなってんの!?コレ雲の上じゃない!?』
『わわ、私達うっ、浮いているよ。お姉ちゃん!』
『新鮮な反応ありがとー。司達はおどろいておらんな。』
『リリカルなのはの映像で知っているからな。』
『『私も。』』
『それじゃ、司や夢達が簡単に説明するのじゃ。一通り体験したらお昼にするぞ。仮想時間と実時間が違うからな。実時間で12時なったら切り上げるように。』
『分かった。』
『『分かったわ。』』
Sideout
夢やルイズ達は時間いっぱいに楽しんだ。
司は魔法が初めてのシエスタに付きっきりで教えた。
仮想空間内の時間は、現実時間の最大12倍まで設定出来るが脳の負荷状況により、休憩タイムを挟まないと強制ログアウトされる仕組みになっている。
ブリミル暦6242年 アンスールの月 エオローの週 エオーの曜日
皇紀2800年 7月19日 トリステイン王国沖合い 学術研究都市 一条家別邸 研究所の食堂
Side ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
「夢ちゃん、楽しかったわね。」
「うん、ルイズちゃん。」
「良く出来ていた。五感までしかっり再現されていたな。痛覚はほとんど無かったようだけど、どうなっている?」
「流石に司は、冷静だな。最大の設定で1/10だ。勿論、リミッタ付きだ。あくまでゲーム機だからな。チュートリアルも用意してある。魔法が使えない人の為にもカードを合成や強化でレベルアップ出来る。カードデッキ次第でいくらでも強くなれる。カードバトルゲームが元になっている。また、魔法が使える者はその能力をパーソナルカードに反映してある。だから普段通りに魔法が使えただろう。」
「なるほど、他にはゲームは無いのか?」
「あるぞ、もう一つの目玉はVRMMO "ドラゴンクエスト〜天空の花嫁〜" だ。アンリエッタ姫の婚約記念の作品だ。また、仮想世界も作っているセカンドライフじゃ。こちらは職業体験や電脳図書館など、教育分野にも力を入れておる。」
「確かに学校をシミュレーションすれば、通信教育に役立つな。医療分野でも手術などに使えるし、学校を出ていない大人でも働きながら勉強も出来る。単位制の学校を作っても良いな。」
「そうだろう。」
「流石、おじいちゃん。」
「うっほほほ。儂は天才じゃからな。ちゃんとフォンティーヌと魔法学院の司の研究室には、夏休みが終わるまでにはカプセル型のVR機を増設出来るように手配するからな。それまでは装着型で我慢してくれ。なにしろ各地に8月 1日の発売までに、ホビーショップT&Hを作っているからな。」
「やったー!トレジャー&ホビーが出来るのね。」
「ちなみにテストプレイヤーで一番強いのはだれ?」
「仮面騎士の烈風カリン殿じゃ。」
「ぶっほっ。」
「お兄ちゃん、汚いよ!」
「司お兄さん、知っている人?」
「いやまぁ・・、知っていると言えば知っているかな・・。」
ルイズ、貴方のお母様ですよ。と言えない司であった。
Sideout
番外編
某王宮の王女の部屋
Side ???
「貴方達、早くレベルを上げてね。でもイベントは私のいない時に進ませてはダメよ!」
「アンリエッタ姫、我々には護衛の任務がございます。」
「これは訓練なの。他の者達も交代で訓練してね。」
Sideout
この後、最速でVRMMO "ドラゴンクエスト〜天空の花嫁〜" をクリアした。
ちゃっかりエンディング前にセーブして、何度もエンディングを見るお姫様がいた。
某王宮の護衛達が急に強くなったとか、ならなかっとか。
後書き
宝探し(後編)の話でした。
お宝はVR(バーチャルリアリティ)機でした。
VRMMOで話を作れますね。誰か番外編で書いてくれないかな?
オリジナリティのない作者でした。この作品含めてWikiと同じ著作権です。パクリや3次を作者の許可なく使用することを認めています。
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