こんなのもアリ!?
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第一章
第一章
こんなのもアリ!?
高松直人は今日十八歳になった。とりあえず高校三年生で受験勉強で忙しい時だった。だからこの日も受験のことばかり考えて自分のクラスで参考書を開いていた。
その彼のところにセーラー服の女の子がやって来た。スカートは膝よりかなり上で長い黒髪をツインテールにしている。胸はあまりないがスカートが短いせいかそれがやけに目立つ。そしてスタイルも全体は確かにいい感じであった。
顔は童顔で目がはっきりとしている。唇は薄くにこにことした感じだ。顔はにこにことしていて顔は白く可愛らしい感じだ。この女の子の名前を暁知世という。
その彼女が彼の前にやって来た。そうして彼に声をかけてきたのであった。
「ねえ高松君」
「暁さん?」
「うん。ちょっと御願いがあるんだけれど」
そのにこにことした笑顔で彼に声をかけてきたのだった。
「ちょっと。いいかな」
「うん、いいよ」
参考書、それも志望大学の赤本に目を通しながら彼女の言葉に頷いた。
「別にね」
「書いて欲しいんだけれど」
「書けばいいの?」
「そうよ」
こう直人に答えてきた。
「書けばね」
「ふうん、書くだけでいいんだ」
応えながら目は赤本だ。そこの傾向と対策を熱心に読んでいる。
「そうなんだ。ここ最近の傾向はそんな感じで」
「それでね」
「うん」
「この紙なんだけれど」
「ああ、これね」
ちらっと見ただけで内容には全然お構いなしである。
「これにサインすればいいんだよね」
「うん。ここね」
その紙のあるポイントをにこにことしながら指差してきた。
「ここにね。サインしてね」
「わかったよ。鉛筆?」
「ボールペン」
知世は指摘してきた。
「それも黒ね」
「じゃあ」
この期に及んでもずっと赤本を読んでいる。関心はそこにばかりいっている。
「黒いボールペンで」
「ええ」
「書けばいいんだよね」
「名前。一文字も間違えたら嫌よ」
「名前なんて間違えないよ」
こうは答えるがやはりそちらの紙は一瞥だにしていなかった。
「そんなの」
「じゃあ。書いてね」
「うん。高松直人っと」
実際にその名前を書いたのだった。
「これでいいかな」
「あとよかったらね」
「まだ何かあるの?」
やはりここでも紙を一瞥だにしていないのだった。
「今度は何かな」
「印鑑あるかしら」
「印鑑!?」
「そうよ、高松君の」
何故かここで声が笑っていた。
「印鑑。あるかしら」
「まああるけれど」
赤本を見ながらここで少し変に思うのだった。
「それはね」
「あるのね」
「一応ね」
こう答えはする。少し変に思っていることは思っているがそれでも関心はずっと赤本に向けていた。赤本に向けている割合が九割五分でその変に感じるのは後の五分だった。
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