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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十三章 幕間劇
  長尾勢×美空と散歩

俺は躑躅ヶ崎館に戻る前に、神界から呼ばれたので長尾勢とは別行動をしていた。大天使化となり、神界に行った。そしたら護法五神に武田の精霊と、さっきまで敵同士だったのが、今は一緒にいたのだった。今回呼ばれたのは、今回長尾と武田の戦の最後になって夜叉が出たからだ。あれは俺いや我の指示だったからな。

「創造神様のおな~り~」

部屋に入ったら全員頭を下げていた。で、一番偉い席というか上座の席に座った我であった。

「全員、表を挙げよ」

「挙げたところで、今回招集されたのは長尾と武田の戦に夜叉が出たことです。それについての説明をと思いまして」

「そんなの決まっているだろうよ。我は今回の戦は両軍の戦闘を止めるべく、夜叉の力を借りたまで。我が直接出向くと、いくら護法五神でも武田の精霊でもその場で停まるだろう?それをしないために夜叉たちにやってもらったまで」

「なるほど。創造神様の口から説明をしてくれなければ、この場は荒れていた事となりましょう。全員納得されたので、これからの事を考えましょう」

と帝釈天がそう言ってから、この外史の壊滅まであともう少しなので我々はどうするのかについて考えていた。まあここにいる神仏も保護はできるけど、新たな外史が生まれたときに神仏がいないとなと思った。なので、神界と冥界を繋ぐ扉を創ることにした。そしたら、いつでも呼べるしお家流も使えるからな。あとは召喚するときは、それぞれのところだけど。そしてこの会議が終えたところで、我は地上に戻る事にしたが長尾のとこには我の分身体がちょうど秋子と喋っていたところだった。

「そういえば、長尾勢は今どこに?」

「本隊はひとまず、北条と斎藤に任せて海津城に。私たち武将格だけがこちらに招かれました」

「海津城というと、真田家の家でしたよね」

「ええ。真田の一徳斎殿の城です」

まあ恐らくは海津城は色々思う所はあるんだろう。秋子の口調は、喜んでいるようであってもいつも通り困っている様子ではない。

「けれど、ここが音に聞こえた躑躅ヶ崎館なんですね」

最たるものは、その一言だった。

「ああ。そうだ」

「この間まで、どうやってここに攻め入ろうか考えていたのに・・・・。今はこうして客人として見上げているなんて、不思議な気分です」

「まあそうでしょうね」

とそこに神界から俺の本体が、上から見上げていたのだった。会議が終わったそうで。それにしても、秋子の言う通りだが俺も数日前まではどうやって美空たちを抑えようかはいくつか手があった。まあ今はこうして秋子と一緒に平和に躑躅ヶ崎館の門を見上げていた。

「一真にとってはそう珍しいものでもないでしょ。越後に来た時だってそんな事言ってたじゃない」

「御大将・・・・」

「昨日の敵は今日は友ってか?」

「別に友になった覚えはないわよ、あんなヤツ」

「それは別にいいが、今日の友を明日の敵にだけはすんなよ?」

せっかく和平をしたんだから、これ以上人間同士の争いはもうこりごりだ。こちらの身にもなって欲しいし、護法五神も武田の精霊もそう言っている。

「それは光璃次第でしょ。少なくとも、私からあいつに喧嘩売るつもりはないわよ。・・・・今のところね」

「はぁ・・・・御大将」

なんだかんだ言っている美空ではあるが、約束は守る子なのだから。光璃との和睦もたぶん心配はいらんだろうよ。たぶん。

「やあやあ、こんな所にいやがりましたか」

「・・・・出たわね典厩」

「久しぶりでやがりますね、美空様。春日山以来でやがりますか」

「躑躅ヶ崎館を見上げるよりも、あんたと味方同士で顔を合わせる事の方がよっぽど違和感があるわ」

「そんなに褒めやがるなですよー」

「別に褒めてないし!・・・・で、何?光璃が川中島の続きでもしようって?」

「何を言っているんだか・・・・。美空よ」

「もう。御大将はすぐそういう事を・・・・」

「姉上は戦後の処理で忙しいでやがりますよ。なので、しばらくは夕霧が美空様たち長尾勢のお世話を・・・・」

「却下!」

おいおい、即チェンジかよ。

「な、なんですいおー!」

「あんたのその口調で世話されるなんてまっぴらだわ。もうちょっとマシなのはいないの?」

「ゆ、夕霧が美空様達を一番知っているだろうからという姉上の指示だったのでやがりますが・・・・」

「それって一番因縁があるって事の裏返しでしょ。確かに水に流すとは言ったけど、すぐにはいそうですかと仲良くするつもりはないわよ」

「お、御大将・・・・」

美空の奴は夕霧に会ってからすぐに全開になるが、ホントに大丈夫なのか?ホントに。

「むぅ・・・・ならば・・・・」

「人当りが良いのであれば、心とか薫とかはどうなんだ?」

と上から声が聞こえたので、上を見上げるとそこには6対12枚の翼をした金色の衣と髪をした創造神が浮かんでいた。もちろん地上にいる俺と見比べていたけど。

「兄上がもう一人!・・・・ということはこっちにいるのは分身体の方でやがりますか!」

「まあそう言う事だ。俺本体は神界に呼ばれたのでな。さてと、俺は本体に戻りますかね」

と言ってから降りてきた本体に吸い込まれるようにして、大天使化を解いた一真がいたけど。で、話を戻すとあの二人も俺だから気にならないだけであって、本当は言う時は結構言うそうだ。詩乃や雫のいじりも乗っかってたし。色々知っている心ならまだしも、薫は人見知りだからな。面識があまりない美空の相手は務まらないな。多分。

「それに薫は、一真隊の世話をさせたいでやがります」

「まあそうだろうな。・・・・あとは春日辺りか?」

「春日も軍周りの仕事で忙しいでやがりますよ」

そういえばそうだったな、四天王で一番偉いのは春日だし。他に適役がいないのであれば、やはり夕霧がベストなのだろう。

「そういえば、典厩殿」

「何でやがりますか?」

「飛び加藤が甲斐で世話になっていると聞きましたが、まだ元気ですか?」

「・・・・あいつがここにいんの?」

飛び加藤って、美空が怪しいからって理由だけで追い出された優秀過ぎる忍者だったか。あいつが光璃のところにいたなんて初耳だぜ。

「ああ。加藤ならとっくに春日が追い出したでやがりますよ?」

「・・・・あら。そうなの?」

「あれは優秀すぎたでやがりますよ。そこまでは良かったでやがりますが、その百倍は怪しかったでやがりますから・・・・」

「ああ分かる分かる。あいつ妖しいわよね・・・・」

「まったくもって。我が国の将の十人中十人が『あいつは裏切りやがる』と断言しやがりましたからね」

越後だけでなく、甲斐もそんな扱いになっているとは。そういえば、どこかで服を仕立てる店をやっているらしいな。別の外史にいる管理者から聞いたことだ。別外史=別の作者が書いた作品でな、あいつはどこかの国というかなぜか近くにいるらしいと聞いた。

「どんだけ怪しいだか、その飛び加藤という奴は」

「そうでやがりますね・・・・。兄上を見て、我が国の将の十人中十人が『あいつはいい部下思いでやがる』って断言するのと同じくらい怪しい感じでやがりますかね」

「そう断言されているのなら、嬉しいのやら分からんな。まあ俺の部下もそう言うと思うが、で、夕霧は世話係の挨拶だけではないのだろう?」

「そうでやがる。部屋の支度が出来たでやがりますよ。付いてきやがれです」

「秋子、聞いておいて」

「何ですよ?」

「私、ちょっと散歩してくる」

「ちょっと、御大将!?」

「いくら賓客とはいえ、この状況でお一人での外出は許可出来んでやがりますよ!?」

それはそうだろう、和平が成り立ったと言ってもそこまではまだ無理だってぇの。

「だったら一真がいるでしょ。一真は甲斐の棟梁の恋人なんだから、一真がお目付け役なら文句ないわよね?」

「むぅ・・・・・・・兄上に何をする気でやがりますか」

「別に何もしやしないわよ。一真は私の恋人でもあるんだから。・・・・行くわよ、一真」

「阿呆。ここが越後ならそれでもいいのかもしれんが、ここは甲斐だぞ。しかも武田家の領土だ、いくらなんでもそれはワガママすぎはしないんじゃねえの?」

とハリセン一発叩いたけど、勝手に行ってしまった美空。たく、我が儘な子だな。

「夕霧に秋子・・・・」

「御大将はああなったら聞きませんよ、一真さんのハリセンを喰らっても曲げないのもいつもの事ですし」

「むぅ・・・・仕方ないでやがりませんね。兄上。あんまり変な所には連れていかないで欲しいでやがります」

「ああ分かったよ。気が済むまで、散歩してくるから」

「すみません。お願いします、一真さん」

「では、行ってくる」

って、美空の奴はもうあんなところまで行っていた。俺は走り出したけど、秋子も大変でやがりますねと同情はしていた。夕霧たちと別れたあと、美空について行く俺だった。俺達が足を踏み入れたのは、甲斐の目抜き通りらしい場所であった。

「相変わらずだな、美空」

「少し城下を見て回りたかったのだから、ちょっとぐらいいいでしょう」

「まあな。俺がついて来たんだからありがたく思え、護法五神をあまり困らせるなよ」

秋子たちにはああ言ったが、美空だって躑躅ヶ崎館は色々と思う所があるのだろう。気持ちの整理しに町歩きなら、最初から言えといいたいくらいだ。それと護法五神が困っている事は本当だ。美空やここにいる城下の人々には見えないけど、俺の周りにはいるのだから。

「一真は甲府の城下は?」

「何度か歩いたことはあるけど、それに城下を知るのも情報の一つだ」

「やっぱり一真がお目付け役でよかったわ」

「で、どこへ行きたいんだ?」

「どこでもいいわよ。少し歩きたかった訳だし」

「じゃあ、適当に歩くとしよか。迷子にならないように手を握れ」

「え!・・・・いいの?」

「おいおい。俺を誰だと思っているんだ?恋人で未来の妻になるんだから、夫婦だったらそれが自然だと思うぞ」

と言いながら、手を出したら顔を赤くなりながらも手を出してくれたのだった。それで手を握ってから話をしたら、俺が来てからの春日山は相変わらずのようだ。春日山の手勢が残っていたからか、もう一度集めるよりかは早いと言っていた。あと空は春日山で留守番だ。会いたかったけど、それが正しいと思ったからだ。

「愛菜も相変わらずなのか?」

「ええ。一真が甲斐に行っちゃってからは、止める側であった一真がいないからなのか。一真と会う前の秋子が頭を抱えていたわ」

「そりゃそうか。俺が散々これで叩いたからな、頭抱えるのも分かる気がする。まあ俺がここに来てからは、随分と長く会っていないと思ったな」

「色々ありすぎたのよ。春日山を取り戻したのより、時間が掛かりすぎなのよ」

「そういえば、こうして手を握って一緒に歩くってのは初めてだよな?」

「そ、そうね。一緒に歩くならまだしも、手を握ってというのは」

越後に着いてからは、ずっと陣働きだった気がするし。春日山攻めでは美空と基本的に別行動だった。春日山の街を調査したときも美空はいなかったし、将来の良人になってからもすぐに甲斐に行くはめになったからな。

「よりにもよって、初めての町歩きが武田のお膝元とはね・・・・。本当に不思議」

「躑躅ヶ崎館に入らなかったのもそれが原因か?」

「戦後の春日山に堂々と入って来られる誰かさんほど図太くはないつもりよ」

ああ、夕霧のことか。確かに春日山を取り返した後に堂々と来たんだから。それを言ったら何か言われるから黙っていたけど。

「・・・・そういえば、ここってどこなの?」

「ここか?ちょっと待ってな・・・・。ここは町の中心的なところだな」

スマホを取り出してから、地図アプリを起動させたらここは中心的なところだと分かった。

「それって、一真たちの技術の一つ?」

「ん?ああそうだ。この町全部を把握させてから、俺らが今どこにいるかを示している」

「へぇー、結構便利なのよね。そういえば、京での一葉様もまともに案内してくれたわよ」

「一応聞くが、どこ案内されたんだ?」

美空も忍んで来たと聞いたときから、嫌な予感しかしなかったけど。一葉と三日三晩京都を暴れ回ったと、幽が愚痴ってたのを思い出す。

「えーと、確か一葉様オススメの・・・・」

「・・・・金を巻き上げても文句言われない、ゴロツキのたまり場とかか?」

「あら。一真も行ったの?」

「行ってはいないが、逆に追い返しただけだ」

「追い返すって、何で追い返したのよ?」

追い返した時の話をすると、俺らの鉄砲に興味を持った美空だった。一撃で大男を吹っ飛ばせるショットガンとか、連射可能なアサルトライフルとか。まああのときは久遠や一葉に抱きかかえながらだったけど。それについては黙っておく方がよさそうだ。ここに将来の妻になる女の前で他の女の話をするのはバチが当たるからな。あとはホントに無茶苦茶な将軍だったのか、通りで気が合っていると言う感じではあった。まあお仕置きとして俺が一葉のある部分に触れると・・・・。と、この話は随分前に話したから分かる奴はいるだろう。

「随分と呆れているけど、どっちもあなたの良人なんだから」

「・・・・聞いたらなおの事呆れているんだよ」

久遠も近所気分で京や堺に行くくらいのお気楽だからなのか、俺の妾の内国主や将軍のは、そんなんばっかだ。まともな妾は全て一真隊とか、それぞれの部下たち。

「あれ、お兄ちゃん。美空様」

そう考えていると俺達に声掛けてきたのは、道向こうからの声だった。

「あれ・・・・・光璃じゃないわよね」

「光璃の妹の薫だ。知ってんだろ?」

「どうしたの、お兄ちゃん」

「薫こそ、どうしたんだよ?」

「ちょっと買い物に来たんだけど・・・・美空様とお出かけ?」

「甲府の街を案内中、まあ甲斐の秘密とかは案内していないよ。例えば、金山とかな」

「ギクっ!よく分かったわね。察しの通り、甲州の金がよく採れるようになったって噂を聞いたのよ。新しい鉱脈を見つけたのか、それとももっと金を効率よく取る方法があるのか・・・・って思ってね」

「金山なら、美空様のところでも鳴海の経営は順調だと聞いていますけど・・・・?」

鳴海・・・・?ってどこなんだろうと地図アプリで越後の金山辺りを検索してみる。佐渡ではないのかなと。

「・・・・何で知ってるのよ。あんた」

「それはまあ、足長娘の妹ですから。という訳で、金山はありますけど秘密の場所なのでそこはお姉ちゃんの許可がないと案内出来ません。ごめんなさい」

「そんなの分かっているわよ。『じゃあ言うなよな』何であなたまで知っているのか疑問に思いたいところよ」

「そりゃ心の声を聞こえたんだから、しょうがねえだろ」

薫もそう思ったそうで。言ってから、薫はニコニコを笑っているので素早く写真を撮る俺だった。こういう笑顔が出たときは、瞬時に撮影するようにしているけど本人の許可は一度も取っていないけど。美空と正面からやり合うとは、さすがというか度胸があるなと思った。

「・・・・食えない奴。確かにあの光璃の妹なだけあるわね」

「薫。そこって・・・・」

「たぶん、お兄ちゃんなら調べられると思うけど。私も名前しか聞いていないし、どこにあるのか教えてもらっていないんだ」

ほう、随分とセキュリティーが頑丈なんだな。実の妹にも教えないとは、まあ駿河を誰が乗っ取られたときも俺が言うまで知らなかったんだしな。

「そういえば、美空様。夕霧ちゃんから、長尾家のお世話をするように言われたんですけど・・・・。お夕飯のご希望とかありますか?」

「ちょ・・・・・あなたが!?」

「薫は確か一真隊の世話だと聞いているが、大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ。こういうお仕事は得意だし、心も手伝ってくれるから」

「・・・・勘弁して。あんたや内藤に世話されるくらいだったら、まだあのでやがりますの方がマシだわ」

「そうですか・・・・?じゃ、夕霧ちゃんにそう伝えておきますね」

「よろしく」

「それじゃ、お兄ちゃん。もし行くんだったらこの道をまっすぐ行ったら御勅使川に出るから、そこに行ってみたら?」

「ああ・・・・。あと今日の夕食は俺一人で作ってやるからと、心に伝えてくれないか。まあ拒否されても、俺が勝手に作るだけだがな」

「うん、分かった。お兄ちゃんの料理、楽しみにしているから。暗くなる前に戻ってきてね!」

そう言い残して、薫は元気よく去った。俺の料理は、一真隊以外の者にはあまり知らされていないのか警戒する事なく了承してくれた薫だった。

「・・・・あれが光璃の影武者なのね」

「まあな」

「なかなかの食わせ物ね。・・・・それに、光璃と同じ顔でああ振る舞われると何だか調子が狂って仕方ないわ」

「そりゃ、最初は驚くもんさ」

美空が薫が世話係になるのを断ったのもそこらへんなのだろう。まあ同じ顔だけど性格と髪の色が違うだけだし。

「さてと、引き続き歩こうや」

と言って再び手を握って歩き出した俺達。薫が出てきたときに、手を放していたからな。

「この辺りも市なのね」

「ああ。春日山とは違うだろ?」

「そうね。あの時とは随分と活気があるって感じよ」

「それに甲府の街は、春日山や京に堺とも違う」

「尾張や近江とも?」

「うーん。多分そうだと思うよ、山国っていうのがあるからなのか」

「京や近江は山国でしょ」

「まあそうなんだけど。近江は淡海があるし、京は独特な感じだし」

「そういえばそうね・・・・。塩もあんまり売っていないのね」

「そりゃそうだろう。同盟を組んだ駿河はあんなのだし、越後だって今まで仲悪かったんだろ?」

信州を越えれば美濃だが、久遠たちが信州ルートで甲斐に塩を流通させてたという話は聞いたことがない。隣国で海に面しているところだと、北条だけらしい。笹子峠も難所と聞いたことがあると美空は言ってた。

「塩は甲斐にとっては貴重なんだよ、何だったら越後から甲斐に塩を送ればいいんじゃねえの?」

「塩なんていくらでもあるけど・・・・そうね。光璃に直接お願いしますって言わせたいわね・・・・」

「おいおい、冗談は程々にな」

「冗談に決まっているわよ。一真の頼みなら聞いてあげるけど、タダじゃ嫌ね。一真にも、それなりに誠意を見せてもらって・・・・」

「おい、俺が神だということを忘れているわけじゃないだろうな?いくら一国の主でも、神相手にそれは無いと思うが?それに神が人間に頭を下げるなんてことしたら、バチでも当たりそうなんだが」

「冗談よ、冗談。いくら毘沙門天の加護をもらっている私でも、創造神相手にそうさせないわよ」

とそう話していたら、小腹が空いたのでお茶屋で一服していた。塩の事は、とりあえず保留となったが考えてくれるだろうな。まあこの外史に破滅がなかったらの話になるがな。まあ無理だろうけど、拠点に戻ったら越後や甲斐に尾張、その先はどうなったとかを教えなければならない。まあその辺りは光璃は知っていてそうなんだけど、まあその話はいいやと思いながら休憩をしたあとに御勅使川に着いたのだった。ここは大きな川の合流点だしな。

「川か・・・・」

「こっちは釜無川だな」

御勅使川と合流する、甲府を流れるもう一つの大河。

「ふぅん。・・・・面倒な川みたいね」

「分かるようだな」

「越後も似たような感じだからかね。潟も多いし、洪水だって珍しくない。平地は多いから、治水が上手く行けば米ももっと作れると思うけど・・・・今のままじゃね」

「・・・・そうだな」

事実上、今から四百年後になれば全国でもトップレベルの米所になるわけだし。それも、美空の時代から更に前からの、長い水との戦いとなるわけだが。

「調査は色々とさせているけど・・・・どうにかなるのは、たぶん空たちの世代でしょうね」

「どこもそうなんだな」

三河でもそんな話を聞いたし、尾張にも木曽川を筆頭に多くの川がある。この先の未来を考えているのなら、美空の世代ではなく次の世代なのだろうと考えているとは思う。

「治水は政を司る者の義務だしね。面倒だけど、放っておく訳にはいかないわ」

「それで、出家するんだな」

「うるさいわね。人柱にしちゃいましょうか」

「まあこの治水なんて、俺らからしてみれば何とかなる方だ。別に人柱にならなくても、何とかできる技術を俺らが持っていると言ったら?」

「そうよね。・・・・ねえ、覚えている?私たちが初めて会ったのも川だったって事」

「ああ。九頭竜川な、あん時は大天使化してたからよく覚えているよ」

川岸に腰を下ろしていた美空がそう言うから、俺も美空の傍で腰を下ろす。まあ別に美空に出会っても人質にはならなかったし、そんで俺達は金ヶ崎から俺の意志で越後に行ったんだったな。

「ええ。川中島であなたを光璃と取り合って・・・・今はこうして、川を見ながらあなたと話している」

「川という言葉に、まるで縁があるかのようだな」

「この後も、また川で戦でもあるのかしらね」

「さあな。いい思い出にはしておきたいが」

「戦も楽しいわよ」

「人間同士の戦は、俺と関係があるのならもう懲り懲りにしてもらいたいな」

「さあ、それは一真次第じゃないの?」

鬼退治をしたあとに、人間同士の戦があるとでも思っているのかな?美空は。まあこの外史が終幕に向かっているのは護法五神も知っていることだし、知らないのはこの外史の住人である久遠達だ。まあ主要人物は保護するという名目ではあるけど。

「・・・・責任重大だと普通は思うが、そんなのは俺にとっては軽いもんだ。それに裏切る事はないし」

「そういえば聞いたけど、私は何番目でもないんでしょ?」

「何の事だ?」

「信長と連絡を取ったら、そう言われたのよ。私は何番目とかはない妾何だって」

「そう言う事か」

「普通は信長とか一葉様とか私や光璃が正室のはずなのに、愛妾だって思っても序列は無いと言われたわ。正室はいるし、側室も埋まっていると聞いたからあとは愛妾でしかも序列とかも決まっていないとか。普通は国持ちが正室のはずなのに」

「それは前に説明したろ」

立場に応じて、正室・側室・愛妾という区分けがあるが、区分けの基準は正室が本来は久遠、一葉、美空、光璃となるはずだった。けど、俺の立場的には神であって俺の正室は奏だけと決めているからだ。奏は半分神で半分悪魔だからだ、あとは本妻というのは奏だけであとは妻だけど子供は作らないという約束をしている。作ってしまうとどうなるかは前にも話した通り。

「一真からも一葉様からも聞いてはいたけど、改めて書状で見たらびっくりするわよ。何?序列のない愛妾って?」

「意味はそのままだと思うが」

「・・・・あなた自身の中では、私は何番目って事を」

「順番は関係ない。俺は同等の愛を注いでいるつもりだが」

「なら、証拠を見せなさいよ」

「証拠?」

「一真が、大事にするって・・・・証拠」

「ほう・・・・。いいんだな?」

「い・・・いいって。・・・・やれるもんなら、やってみなさいよ」

「じゃあやるけど」

寄せてきた美空に俺は手を伸ばし、強めに肩を抱く。細い肩がひくりと震えた気がするけど、俺はあえて気付かないフリをする。

「え・・・・。ちょっと。近すぎ・・・・」

「そうか?近くなんてないぞ」

ぐいっと寄せた美空は、そう言いながらも俺の腕も、寄せた唇も・・・・本気で振りほどこうとはしなかった。まあ振りほどこうとしても、無駄だけど。

「ん・・・・・っ。・・・・こんな、外で・・・・・」

「外だろうが、関係ない。やる気があるんなら、これくらいは出来る」

と言いながらも、唇は重なったのだった。抱いているのは、小さな肩だけであって顔を背けたりはしないでいた。ふむ、よく見ると胸はいつ見ても大きいな。何やっているのよと言われながらもキスをしてから、俺は外から見えない様に結界を張った。そして中では行為を開始させた、久しぶりの美空の身体は最高だったな。まあいくら神でも欲求はあるし、神界に行ったらここにいる護法五神とシたと言えば半殺しされるかもしれないが。そして双方とも服は着ていたが、それもいいかと思ったけど。着衣プレイっていうのも悪くはない。そして前戯をたっぷりと楽しんでから挿入した。あの時ぶりだったけど美空は気持ちよさそうにしていたな。そして出したあとに、浄化の力で匂いも液体も無かったことにした。行為終了後に何か知らんが、機嫌が悪くなっていた美空。

「機嫌悪くなるのも、当たり前でしょ。久しぶりに会ったのに、こんなところで無理矢理口を吸われるだけじゃなくて行為もすんのよ?」

「あんなに気持ちよさそうだったのに?それに男にはそういう欲求もあるんだよ」

「だったら、せめて時と場所を考えなさいよ!今は夜じゃないんだから」

「へぇー・・・・。時と場所を考えたら、やってよかったんだ?」

「やっぱり吊るっ!」

と立ち上がろうとしたが、まだ感じているのか立ち上がろうとはしなかった。それにもし美空も母乳が出たら最高に美味いんじゃないかと考えるが、それはそれでお仕置きで考えておこう。時々俺を迎えて良かったのか、本気で思ったらしい。

「今更だな、後悔してんのか?」

「・・・・・して・・・・ないけど」

「ん?何言ってるか聞こえないから、もう一度言ってくれ」

「うるさいっ!やっぱ吊るす!人柱ではなく、生贄にしてやるわ!」

「ほう、俺を生贄にね。逆にそちらが生贄になりそうだけど。まあ次も期待してるぜ」

と言ったら、今世初じゃないかっていうくらい顔を赤く染まった。まあ俺と話していると疲れると言うが、それが本当なのかは知らない。俺にとっては話していると楽しく思える。距離を取ってもいいし、一人で躑躅ヶ崎館まで戻ってもいいのに美空はそれをしようとはしなかった。

「それと・・・・・おかえりなさい」

「春日山から行く時に行ってくると言ったんだったな。ただいまだ、美空」

「でもそれだと、私が甲府に来ているからお帰りはおかしいのかしら」

「別にいいんじゃねえの?気持ちの問題だ。こうやってまた美空と会えたし、美空の所に戻ってこれたということだから意味的には同じだと思う」

「そう・・・・。なら、お帰りなさい、一真」

「ただいま、美空」

と言いながらまたキスをしてから、躑躅ヶ崎館に戻ったのだった。もちろん美空と外で行為したなんて事は知れていないはずだからか、今まで通りに接してくる長尾勢と武田勢だった。あと一葉を部屋に呼んだら、顔を赤くなってから胸が張っていると自らの口でそう言ったので再び結界を張ってから母乳を吸い出して情事をしたのだった。ちなみに乳が張るのは、俺が呪いをしたからである。 
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