Element Magic Trinity
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戦友
恐怖がないと言えば嘘になる。引っ込んでいてもいいのなら誰よりも後ろにいたい。
そんな思いを強制的に踏みつけて、ティアは真っ直ぐに前を睨んだ。佇むシャロンは、幼い頃によく向けられた冷ややかな目を向けている。
(やっぱり苦手かな、あの目は)
ふぅ、と息を吐く。
昔からあの、見たもの全てを凍らせるビームを放っているかのような冷たい目が苦手だった。厳しい口調に変わらない表情も相俟って、当時は何よりも怖い存在だったのを覚えている。あの顔を見るくらいなら飛竜と戦った方がマシだ、と思っていたくらいだから相当だ。
それは今でも変わらなくて、すぐにでも目を逸らしたくなる。何もかも投げ捨てて全てを他の奴等に任せたくもなってしまう。
(けど、やるしかない…か)
だけど、それを他に任せて見ないフリをする事が出来ないのがティアである。相手が誰であれ、自分がどんな境遇であれ、任せていい事とそうでない事の区別はハッキリとつけて、自分の事に誰かの手を煩わせてはいけないと思う。
誰かに頼る事を誰からも拒まれたティアだからこそ、そう思うのかもしれない。ただ頼るだけでは根本が何も変わらないと気づいているから、後ろに下がる選択肢を早々に消した。
きっと彼等は、ここまで来た彼等なら、ティアの代わりくらい笑って引き受けるだろうけど。
(戦って、勝つ。今までと何も変わってない。だから、大丈夫)
自分に言い聞かせる事で、頭の中を空っぽにする。1度目を閉じてゆっくりと開けば、一気に視界が開けた気がした。吸った息を、静かに吐く。
頭から氷水を被ったように全身が冷え、感覚が一気に研ぎ澄まされる。流されそうな感情を投げるように捨てれば、戦闘準備は整った。
あとは、動き出す為のスイッチ代わりになる覚悟だけ。
(この戦いで勝てば、カトレーンの名は地に落ちる。負ければ、私が明日生きているのかさえ解らない)
水の剣を、右手に握りしめた。この感覚はもう幼い頃から慣れたもので、密かに安心する。
どちらにもメリットとデメリットがあって、でもそれは当然で、ティアは冷静に思考を整理する。
(だったら何なの?)
追い込むように囁いて。決断を無理強いするように呟いて。
ティアの足が、音1つ立てず地を蹴った。
(戦うと決めて来たんだから、恐れているようじゃ戦わないのと同等でしょうが!)
跳んで、握りしめる水の剣を振るった彼女の背中を、ナツ達は目で追っていた。
着替えたのか、その服装はよく見るワンピースで、おろした青い髪が動きに合わせて揺れる。トレードマークともいえる、小さい頭の上に乗せられた大きめの白い帽子が髪の青を引き立てる。
無駄のない動きで振り下ろされた剣をシャロンが避け、金色の光を纏った拳をティアが首を傾げるような動作で流す。
「うぐっ」
表情を歪めたシャロンの腹に、躊躇いなく膝蹴りを叩き込む。
細い脚のどこにそんな力があるのかと尋ねたくなるような重い一撃に、ゆらりとシャロンがよろめいた。当然その隙を逃すなんて馬鹿な真似はせず、持ち前のスピードで一気に駆け、さらに勢いよく回し蹴りを炸裂させた。
「凄い…」
聞こえるか否かのギリギリの声でルーシィが呟く。ティアの動きは攻撃も回避もスピードがあって目で追うのは疲れるが、それでも彼女の凄さは全員が解っていた。
1つ1つの動作に無駄がない。ストイックなまでに特訓を積み、自分が納得しない限りはいつまでも同じ動作を繰り返して、プライドが高いからなかなか納得出来なくて繰り返し続けた結果だろう。
怒りも苛立ちも、幼い頃から抱えてきた苦しみも、その全てを力へと変換し、顔に感情を出さない分魔法に感情を出す。痛みに眉を顰める程度にしか変わらない表情はどこか不気味で、それでも彼女らしい。
「こうなりゃオレ達も……って言いたいトコだけど、今は邪魔にしかならないよな」
「ああ」
「つか、アレのどこに入っていけって言うんだよ」
苦笑いを浮かべて見つめた先。同じ色の髪と瞳を持ち、同じ“星竜の巫女”である2人。それでも立つ場所は真逆で、同じ巫女だし仲良くしましょうなんて事は最初から不可能で。
1人は竜をも滅する金色の光を操る、魔法都市の名家に君臨する女当主。
1人は攻撃する為だけに存在する魔法を駆使する、ギルド最強の女問題児。
こんな2人の戦いに入る隙なんてなくて、とりあえずは眺める側に徹する。
「今は入っていっちゃダメだよ」
「ルー?」
ポツリとルーが呟いた。
首を傾げるハッピーには目を向けず、彼はただただあの背中を焼き付けるように目で追いかける。
他人であるはずなのに助けてくれて、防御を重視する魔法でも使える攻撃魔法を叩き込んでくれて、いつだって遠くに立っていて、ずっと追いかけ続けてきた彼女の背中を、一心不乱に目で追いかけ続ける。
憧れ続けて、いつかあんな風になりたいと思い続けたからこそ、言える。
「ティアは頑張ってる。頑張って頑張ろうとしてるから、その頑張りに僕達はいらないよ」
「女帝の業火!」
ヴィーテルシアお得意の炎魔法が、デバイス・アームズの群れを一瞬にして呑み込んだ。くるりと回した杖の先を再度向ければ、再び炎が機械を壊す。
その気になればこれ以外の魔法だって使えるのだが、やはりこれが1番慣れている。それに、女帝の業火は女姿でしか使えない。もっと戦闘に特化した姿に変身する事だって可能だが、それを考えると多少使いにくくても女姿であるのが得策だろう。
「グラビティメイク “三又矛”!」
その横では、重力の矛を振り回すパラゴーネが押し潰すようにデバイス・アームズを壊していた。本来なら突く事を得意とするであろう矛だが、重力で造られているという点のおかげで叩きつけるだけでも機械程度ならお陀仏だ。
更に得意の重力変化で動力源そのものを壊していく。血塗れの欲望に所属する彼女がデバイス・アームズの動力源や作りを知らない訳がない。
戦闘不能のエストを任されたミラはいないが、相手は単調な動きを繰り返すだけの機械。いくら数が多くても、作りや動力源、動きのパターンさえ知ってしまえばその時々に応じて動けるこっちが有利なのは言うまでもない。
更に言えば、ヴィーテルシアはティアに付き添ってS級クエストに行く事があるからある程度危険な事にも対応出来る。パラゴーネも、彼女は彼女でギルドマスター直属部隊を担う程の実力者だ。初対面で連携らしい連携もないとはいえ、少し戦っていればすぐに慣れる。
「パラゴーネ」
「何だ?リーシェ・クインリード」
「私はヴィーテルシアだ!……そんな事より、奴等の数が減っていないか?」
「む、それは的確だ。私達が駆逐しているからではないな」
「じゃあ誰が?ミラ…ではないし」
ふと目を向ければ、ミラはちゃんとエストの傍にいる。塔の前で戦うスバル達かとも思ったが、彼等は彼等で戦っているからそれは難しいだろう。
2人が顔を見合わせていると、かなり前の方で大きめの爆発音が響いた。
「!」
「何事だ!?」
ハッとして目を向ける。
と、1つの人影がデバイス・アームズを破壊しつつこちらに向かってきた。咄嗟に身構えるが、相手は2人には何もせず、ただデバイス・アームズを時に殴り、時に何やら広範囲の攻撃をしていく。
砂煙の奥から飛び出すように現れた人物は、ヴィーテルシアとパラゴーネを見て桃色の目を見開いた。
「え!?ヴィーテルシアさんもパラゴーネさんも…何で僕相手に身構えてるんですか!?」
「アラン!」
明るく、それでいて派手すぎない暖色の装束に灰色の髪。両拳に黒い光を纏うアランは戸惑うように声を震わせた。
え、え?と状況が呑み込めないらしいアランだったが、すぐに何かを思い出したように口を開く。
「そうだ!2人に伝えないといけない事が……」
「どうした?悪いがこの状態で聞く事になる」
「いえ、お構いなく!」
杖の先から炎を放ちつつ、目はアランに向ける。パラゴーネもすぐさま矛を構え直し、「やあっ!」とどこか可愛らしい声を上げつつ矛を振り下ろした。
こちらもデバイス・アームズを壊しながら、アランが騒音に負けないよう大声で叫ぶ。
「僕、奴等が出て来る為の出入り口を見つけたんです!」
「本当か!?」
「はい!ぞろぞろ出て来てたんで間違いないです!」
目を見開いたヴィーテルシアに、アランは大きく頷いて見せる。
それを聞きヴィーテルシアは暫し考え込むと、杖を振るいつつ前を見据えた。
「ならば、まずはそこを潰すか」
「その必要はないですよ」
「は?」
大きく開けた口から黒い光の怒号を放ったアランは、そのままニッコリと微笑む。その笑みがとても似合わない状況だからか、それとも一気に数十体のデバイス・アームズを壊したその威力からか、僅かに寒気がした。
「放っておく理由もないかなーと思って、壊してきました」
ナツ達には、ティアが優勢に見えていた。
確かに彼女はシャロンの攻撃を紙一重で避け、持ち前のスピードで駆け、強力な一撃を叩き込み、見た目だけならシャロンの方が傷は多い。確かに優勢に見えるだろう。
―――――が、実際のところ、優勢なのはティアであっても有利なのはシャロンだった。
「星竜の咆哮!」
放たれた金色の咆哮を右に避ける。
戦闘経験も一撃の威力もスピードもティアの方が勝っているし、戦い自体にも慣れている。ゼレフ書の悪魔からギルド間の抗争、聖十大魔道に闇ギルドのマスターと多くの強者と戦ってきた戦歴もある。
けれど今ティアは、誰が何と言おうと不利な状況にあった。
「大海一閃!」
「星竜の翼撃!」
握りしめる水の剣を振り下ろそうとして、突然薙ぎ払われた金色の光を纏う両腕に過敏に反応する。咄嗟に動きを止めて力強く後ろへと跳んだティアはもう1度向かっていくが、距離を詰めるよりも早くシャロンの一撃が放たれ、表情を歪めつつそれを避ける事を重視した。
タン、と地面に降り立ったティアは再び剣を構えるが、シャロンはそれを見て笑みを零す。
「…何がおかしいの」
「勝てもしないのに足掻くなんて、貴女も随分人間らしくなったものね。ま…いくら取り繕っても、貴女は人間にはなれやしないけれど」
「人間である事で何が変わるの?どうせ同じように生きられるなら、人間に限定する理由なんてないわ」
シャロンの声は、ティアのそれよりも僅かに低い。2人とも淡々とした、冷たくて鋭い声だけど、やはり明確な違いがある。
ティアの声は確かに鋭い。が、鋭くなりきれていない部分がある。放っておけばいいのに放っておけなくて、他人だと突っぱねるのに手を伸ばす、不器用で歪な彼女の優しさが声に出てしまっているのだ。
反対に、シャロンの声は本当に鋭い。聞いただけで全身を斬りつけられるような、凍らされてしまうような声。優しさなんてどこかに捨ててきてしまったようで、そもそも最初からそんなもの持っていなかったかのようで。
「でも勝てないのは本当でしょう?貴女は竜人で、半分とはいえ竜の血が流れている。私の滅竜魔法は、かなりの脅威なのではないかしら?」
敢えて何も言わなかった。何を言ってもそれはそれを肯定してしまうと思ったから。
そう―――――ティアが先ほどから何よりも回避を重視する理由はそれだ。
数々の伝説で語られる通り、竜は強い。人間なんかとは比べ物にならない程に強い竜には、人間が操る至って普通の魔法など通用しないのは当然の事。だから、人間の中には竜を神として祀る者や逆に恐れる者がいる。
そしてそんな伝説上の生き物だと思う者も多い竜にとっての唯一とも呼べる脅威―――――それが、竜を滅する為の魔法である、滅竜魔法。
竜の血の身をもつ竜にとっての脅威は、人と竜の混血であるティアの竜の血にとっても脅威でしかなかった。
「貴女のギルドには4人…いえ、彼はもういないと聞いたから3人かしら。滅竜魔導士が所属している。けれど、自分と同等かそれ以上の実力を持つ滅竜魔導士と戦った事が、貴女にあるの?」
ぎゅっと拳を握りしめ、唇を痛いほどに噛みしめる。
ティアが知る滅竜魔導士は4人。火竜のナツに、鉄竜のガジル、天竜のウェンディと、魔水晶を埋め込んだラクサス。
脅威と呼べる存在がギルドに多くいたにも拘らず、その脅威に向き合わざるを得なかった事は1度もなかった。
ナツにはよく勝負を挑まれるが、蹴りの一発でも直撃すれば相手はKO出来る。ガジルとは抗争の際に少し戦い危険な面もあったが、直接喰らう事はなかった。ウェンディはまだ攻撃用の魔法が少ししか使えないし、戦いたがる性格でもない。ラクサスはよくいがみ合う仲ではあったが、彼が滅竜魔導士だと知ったのはBOFの時であったし、そもそも魔法を直接ぶつけ合うような事は(マカロフに“街を壊す気か!”と長時間説教されるので)しなかった為、戦う事もなかった。
つまり、ティアに取ってシャロンが初めて“脅威”と呼べる相手なのである。
「その顔を見る限り、そんな戦歴はないようね。天下の妖精の尻尾のギルド最強の女問題児なんて呼ばれているけれど、私からすれば一族に邪魔な出来損ないでしかないわ」
何も言わない。言ったら負けだと必死に自分に言い聞かせる。
後ろで見守るナツ達は、そんな彼女が押し殺す怒りや殺気を強く感じていた。
「……もう諦めなさい。貴女では私に勝てない。いい加減、その現実を認めなさい」
そんな事ない、と叫ぼうとしたルーをアルカが抑えた。振り返ったルーに、首を横に振ってみせる。
本当はアルカだって言ってやりたい。“ティアの事マトモに見てこなかった奴に何が解るんだよ!”と怒鳴りたい。大勢の悪意をその華奢な身体1つで受け止めてきたティアの隣に立って共に戦えるなら、何が待っていようとアルカは迷わずそれを選ぶだろう。たとえ結果としてミラに会えなくなるとしても、アルカにとってティアは、相手がそう思っていなくても大切な友達だから。
けど、それが自分の役目ではない事も、彼は解っている。いくら同じ元素を司る魔法を使っているとしても、いくらギルドの中では親しい方であるとしても、今ここで自分がすべき事は違うと気づいている。
(落ち着け、オレ……。大丈夫だ。きっとティアは、オレ達が何も言わなくても、十分に歯向かう)
相棒を助ける事を願っていたヴィーテルシアが、ここまで来なかったように。
仲間を信じ、ティアを信じているからこそ、アルカは何もしない。
「……そうね」
その気持ちを知ってか知らずか。
ポツリとティアが呟いた。
「もう、諦めるとするわ」
ナツ達が、耳を疑う一言を。
彼等が目を見開き、シャロンは口角を上げる。その感情に比例するように、拳に纏う金色の光が強くなった。
「だから、力を貸しなさい。バカナツ」
そして、序でと言わんばかりにもう一言呟いた。
余りにもサラリと言われたものだから、全員が1度は聞き流す。
「……は?」
どうにかその言葉の意味を理解したナツが、ポカンと口を開けた。そりゃそうだろう。今自分で“諦める”と言った人が、“力を貸しなさい”と言うなんて矛盾している。
シャロンも驚いているようで、目を見開いて震える声でようやく言葉を紡ぐ。
「あ…貴女、今」
「え?……ああ、主語が足りなかったわね。私的には“1人で戦うのを諦める”って意味だったんだけど、これで御理解頂けたかしら」
足りないなんてもんじゃない。1番抜けてはいけない箇所だ。
言った本人はといえば、不思議そうに小首を傾げている。
「ほら、さっさと立ちなさいよ」
「おう……って何で?」
「はあ?」
言われたとおりに立ち上がりながらも、ナツの中で疑問は消えない。
魔法の相性は最悪で、ティアからすれば滅竜魔法が2つという状況になってしまう。いくらナツが味方だとはいえ、攻撃の余波がティアに飛ばないとは言い切れない。そうなれば、ティアにとっては更に追い込まれる状況になる。
が、そんな問いに対してティアは眉を顰めると、あっけらかんとした様子で言い放った。
「助けてくれるんでしょ?」
―――――解った!絶対助けてやる!
自分が言った言葉を思い出す。
驚きつつティアの顔を見ると、無愛想なくせに作られたように整った見慣れた顔があった。ピクリとも笑わない表情もいつも通りで、相変わらずのポーカーフェイスを保っている。
「もう1度言うわ。力を貸しなさい」
深く被った、白色の帽子の奥で。
―――――――青い瞳が、悪戯っぽく煌めいた。
ここでナツは、大きな勘違いに気づく。
いつぞやにティアと喧嘩した時、“ティアの事が好きなのか”と尋ねられた。
確かにナツがティアに対して抱くそれはルーシィやハッピーに向けるものとは何かが違う気がして、それを所謂“恋”と言うのかと思い慌てたのを思い出す。
ナツは愛やら恋やら、とりあえず色恋沙汰全般に疎い。
だからその分、少し他と違うような何かを抱く相手であるティアが、よくギルドでルーシィやレビィがきゃあきゃあと騒いでいる“好きな相手”という奴なのか、と考えた。
それからしばらくもよく解らないままで、“単なる仲間”と片付けるには多すぎて、かといってそれが愛だの恋だのの類かと言われるとそれには足りない気がして。
―――――が、今ここで、それが何かが解った。
それはナツも知っているものの1つで、それでも違う、何やら複雑なモノだった。
“信頼”。
たったこれだけの文字に納めるには溢れすぎる。
チームメイトのルーシィよりも、相棒のハッピーよりも、誰よりも信じている相手。コイツに背中を任せておけば安心だ、と何の根拠もなく思ってしまうような。
今までここまで信じた相手は少なくて、だからこそ抱くそれはナツの中では異質で、だからよく解らない“恋”という部類に半ば適当に分けたような感じだ。
でも、違う。
絶対的な信頼。かつても今も、あの人間じゃない育ての親に抱いたのと同じような、どこか憧れを含んだそれはとても眩しくて、何故か懐かしかった。
これが、ティアに対する感情の変化の実際。
「……解った。燃えてくるじゃねーか」
ニッと口角を上げる。
いつだって、守られて終わるような奴ではなかった。助けをただ待つだけの悲劇のヒロインにはなれない奴だった。
だったら、そうなのならば。
―――――魔王に挑む女戦士と共に戦う、助っ人にくらいなろうじゃないか。
「よし」
ボスッ、と左掌に右拳を打ちつける。
それを見たティアは短く息を吐いて水の剣を握りしめ、前を見据える。
「行くぞ、戦友!」
「足引っ張らないでよ、戦友」
そして2人は、お互いの拳を合わせた。
互いを鼓舞するように。
スイッチを、入れ替えるように。
後書き
こんにちは、緋色の空です。
時間がかかった…戦闘シーン苦手。特にこういうラスボス戦苦手。だから次回も遅れます、きっと。妄想得意な私も、戦闘シーンだけは浮かばねえよ……。
……まあ、最近知ったカゲロウプロジェクトの楽曲を聞いていた、ってのも遅れた理由でしょうけど。
ええはい、“イオリ・スーゼウィンド”の回は我が黒歴史です。後にあの2人の件を発表した際に「ああああああああああああっ!?」ってなりました。
で、ずっとどこかでどうにかしなきゃと思ってて、こうなった。ちゃんと理由になってるかなあ。
なんとなく書き直すにはもったいなくて手をつけてないんですが……。
感想・批評、お待ちしてます。
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