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子虎迷走記

作者:蒼鈴六花
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第3話 召喚獣の島

 
前書き
何かやや早く話が進んでる気が…… 

 
朝、船首甲板

あーよく寝たー!と体を伸ばす。
レックスは頬にある引っかき傷をさすっている。

朝、苦しさから起きたらレックスがふかふかーと俺の事を寝ぼけて枕にしてたのだ。
このやろう!と怒って爪で引っかいた事から頬に傷が出来ている。

そんな事があったから二人して早く起きてしまったのだ。
でも俺達より早起きな奴がいたらしい。

レックスの服をくわえて引っ張り船から下りる。

船の近くではカイルが朝早くから稽古していた。
師匠みたいな人が朝の澄んだ空気はストラの力を高めるのにいいんだとか。

ストラってなんぞ?と首をかしげると、レックスが気の力を利用した治療法だったはずと教えてくれた。カイルによる追加説明では殴る力や打たれ強さを増す事も可能だとか。

説明してもらった所でフライパンを打ち鳴らすような音が聞こえた。

「アニキー!せんせー!ユエー!朝飯できたよーっ!!」

「ギャウ!(飯!)」

猛スピードで走る。

「あ、ユエ!待ってってば!ウィルを起こさなきゃ!」

う、そうだった!全力で方向転換してウィルの部屋へと走った。

食事は美味しかった。新鮮な海の幸です。

食後、部屋にレックスと戻ったんだが、これからどうすんだよと鳴くと少し考えたレックスは何かをひらめいたようだ。

準備をしてウィルの部屋へ。

勉強会スタート!

生徒は俺とウィル。

「この子も勉強するんですか?」

「うん。ユエが聞きたがってさ」

「ギャウ!」

今日の授業は召喚術の基本について。
俺は前に教えてもらったおさらいだけどさ、聞いておいた方がいいと思ったんだ。

サモナイト石、魔力、呪文を使って異界のものを呼び出す術。

機界ロレイラル、鬼妖界シルターン、幻獣界メイトルパ、霊界サプレス、そして名も無き世界の五つがあり、それぞれの世界から召喚獣を呼び出して力を借りる術。

未契約のサモナイト石に触れると自分の魔力にあう世界の石だけ光るとか。
ウィルは緑色のメイトルパの石が光る。

俺もやってみたい!とウィルの説明が終わった後に触ってみる。

「うわ!」

「え!?全色光ってる!!」

「ギャオー!ギャウギャウー!(まぶしー!目がー目がー!)」

落ち着いた後。

「……ユエは全ての世界と相性がいいんだね。めったにいないんだよって言っても俺もそうだからなぁ……」

「ギャギャウ?(俺も召喚術使える?)」

「多分自分にも召喚術が使えるか聞いてるんだと思うけど、ユエは喋れないから呪文となえらんないでしょ……」

「ギャウ!(ガーン!)」

なんだよ!使えない才能って!!くそう!

そこで授業が終わり、ソノラが部屋に来て今後の事を話すから船長室に集合だと言う。

船長室

カイル達が事情説明をしてくれた。

レックスの持ってた剣とある危険な組織で作られたもので、ヤードはその剣を使った計画阻止のために剣を持ち出すも、色々あって剣は帝国軍の元へ、カイル一家がヤードの事情を知り協力、船を襲う、現在に至る。

ウィルはそれに巻き込まれた事を怒ったが、カイルは坊主の言うとおりだと頭を下げて謝った。

ウィルは責めるのを我慢した。まだ小さい子供なのに、いい子や。

話が終わったのでレックスとウィルの部屋に言ってよく我慢したなと褒めた。俺は喋れないけどさ。

それから船内をレックスと回る。
皆と少し話をして、最後にカイルに会う。

船の損傷はそこまで激しくないけど、人手と材料が足りないようだ。
俺は……手伝えねぇ。子虎だし。

何か手伝える事無いかなとレックスと船内をふらつく、倉庫で釣竿発見。
使ってもいいそうなのでいざ釣りへ!



うーあー離せー!魚が、魚が~!!

「暴れるなよ、ユエ」

またウィルに預けられる俺だった。



船長室

落ち着いた俺はレックスに抱っこされながら話を聞いてる。

だって皆、椅子に座って話してんだぜ?
俺だけ床とか悲しすぎるわ。仕草が見えないから意思疎通も難しいし。

おっと、それで話なんだが、島の探索がてら材料を探しに行こうって話だ。

そこからどこから探すかって話で、カイル達は流れついた時に海から明かりみたいなものが見えたらしい。

明かりは全部で4つ。明かり=人のいる可能性って事。もし、島に人がいたら人でと材料の問題が片付くかもと。

赤、紫、青、緑の光があったようだ。それぞれカイル一家は別々に言い出し、多数決で決めるからレックスが最後の一票入れろって事になった。

「ユエー」

んな顔見んな!ったく。俺が決めてやんよ!
とスカーレルの所に行く。

「あら?これはアタシに一票ってことかしら」

こくこく。

「それはうれしいわね♪」

全員で行くわけにも行かないのでヤードが残る。ウィルも危ないから残る。テコも。

そうして俺達は出発した。

進んでいく最中に、カイル達が呼び捨てにしてくれてかまわねぇっていいはじめ、レックスはカイル達をさん付けで呼ぶのは止めたようだ。

なんかすっかり仲良くなってる。

そして少し進むと、大きな木が見えてきた。

「なあ、あっちに見えてるのってよ、木、だよな?」

などとカイルが驚くぐらい。巨大な木だ。
マジででかい。

スカーレルはあの木を修理用にいただかない?などといい始める。
あの大きさだしさぞいい素材に決まってるとの事。

いや、確かにいい素材取れそうだけどさぁ。
嫌な予感しかしないのはなぜだろう?

カイルはさすがにまずいんじゃと俺と同じ感じだが、スカーレルに押し切られる。
そしてあの木に向かって進む事に……

なんか階段がありますよ。小屋もある。
明らかに何かがいる。

人かもしくは知性を持った何か。

やっぱりまずかったかも?と皆が思い始めたとき、がさがさと葉が動く音がする。

「!」

茂みから獣人達が出てくる。
レックスによると皆メイトルパの召喚獣。

またかよとカイルがぼやく。
はぐれ召喚獣ってこんなにいるもんなの?って思ったけどレックスの表情からして違うらしい。

相手はこちらの事情とか関係なしに近づいてくる。
やるっきゃねぇ!

VSメイトルパの獣人たち

勝利条件:敵全撃破 敗北条件:レックスorユエの戦闘不能

戦闘開始!

ゴーグル付きの帽子かぶったちっちゃな恐竜が頭突きしてくるのをかわして逆に頭突きし返してやる。

獣人は斧で攻撃してくるから避ける。あんなもん当たってたまるか!
くるっと回転して思いっきり尻尾のリングを獣人のすねに当てる。

レックスに一度使った技だ。結構痛いらしいのでやってみたら獣人ちょっと涙目になってた。

その隙に容赦なくスカーレルがトドメをさしてるけど。

そんな感じで戦ってると、ソノラがこれは火薬の匂い!とか言い出す。なんか危なそうな樽がそこらに転がってますね。

てかソノラ。あんた火薬の匂いに反応するとか危険な特性持ってんな。

その後、ソノラは火薬ダルに近づいた敵を片っ端から爆破した。

……爆弾娘だー。

っと!あ、危ねぇ!ソノラに呆然としてたら獣人が斧を振り下ろしてきてたよ!
こんにゃろ!これでもくらえ!

「ガウ!」

岩落とし!(※某モンスターの技ではありません)

ぼこぼこと獣人の上から岩が落ちて獣人を気絶させた。

なんかそいつが最後の一匹だったみたいっす。
獣達が弱弱しい声をあげてます。

戦闘終了。

そんな所に、この場に合わない声が響く。

「みなさぁーん!ケンカするのはダメですよーう!?」

皆、へ?って顔だよ。

出てきたの妖精さんだし!この世界って妖精もいるんだな!
黄緑の髪をツインテールにしたちっちゃな妖精さんだよ!ほわー。

カイルはこいつが化け物の親玉か?って言ってるけど、んな訳あるかぁ!!

なんか白い獣人さんが出てきてそれを否定したしって……親玉でたー!!

ん?何かうるさくて昼寝できんとか言ってるし、怠け者感が漂ってるような?
でも、急にきりっとして何で縄張りに入ってきたか聞いてきたよ。

島に流れついたばかりで何も知らない事を話すと、喚ばれて来た口かってなんか納得してます。よくわかんねぇ。

色々説明してくれるらしいですが、めんどくせぇとか言ってるしやる気なさげ。
妖精さんに説得されて、真面目にやるそうです。ちなみに妖精さんはマルルゥって名前らしい。

そうして俺達は集いの泉ってとこに行く事になった。のだが……

「シマシマさんみたいですぅ!」

妖精さんことマルルゥが突っ込んできました!

「ギャウ!?」

「うわー!ふかふかつやつやですよ♪」

「ギャウウ!」

なんか周りは白い子虎と戯れる妖精さんの図が出来上がっていてほのぼのし始めたよ!
うわー!頬ずりされるとくすぐったいってばー!!

しばらくの間、子虎に乗った妖精さんの図が続いた。



集いの泉

ようやくマルルゥに解放された俺だぜ。

べ、別に途中から楽しくなってほんとに遊び始めたとかないんだからね!!

「どうしたの?ユエ」

「ギャウウ……(なんでもない……)」

そんな会話の後、護人の紹介が始まり、レックスが自分達の事情を話す。

カイルは船さえ直れば出て行く。そのために必要なものを貸してくれないか?と聞くのだが、協力を拒否された。

リィンバウム人間だからという理由で。

島に住むものは召喚獣達だけだという。
はぐれ召喚獣だけの島……

かつて召喚術の実験場だった所。

ここにいる召喚獣は実験のために喚ばれ、島ごと捨てられた。
召喚師は皆死に絶え、召喚獣は還る術を失った。

だからここのもの達は人間を信用しない。関わりたくも無い。
お互いに干渉しない事が妥協できる限界。

話はそれで終わった。

護人が帰っていって、俺達は皆暗い雰囲気になる。

そりゃ、そうだよな……
実験場……はぐれ召喚獣……

還れなくなった人達の島だなんて……

皆で船に帰ろうとした時、レックスは先に帰っててくれと言って走っていく。

「ギャウ!(待って!)」

俺はレックスを追いかけた。



レックスは機界のもの達が集うラトリクスの護人のアルディラを呼び止めた。

そして自分の事や皆の事を知ってほしいと言い始めた。
知らないと相手を好きになれないから。

そうだよな……。
話って相手に自分を知ってもらって、相手の事を自分が知るために必要な大事な事だよな。

でも、俺は喋れない。
別の方法を模索するしかない。

でもさ、いつか皆と話したいな。

すぐには無理だろうけど……諦めなけりゃ大丈夫だよな?

そう思ってるとレックスとアルディラの話は終わったみたい。
レックスは嬉しそうにして急いで走っていく。

「あんな人間も、まだいたのね……」

そう呟くアルディラ。

足に少しだけ擦り寄ってから一声なく。

「貴方は彼の護衛獣なのかしら?」

「ギャウ」

「貴方から見て、彼は信じるにたる人間なのかしら」

「ガウ!」

尻尾を振って答える。

「……そう」

複雑そうな顔のアルディラ。
もう一回擦り寄ってから離れて尻尾を振る。

「彼の所に帰るのね」

一声鳴いて答えてから俺はレックスの所に帰った。

「不思議な子ね……」





レックスはカイルに事情を話した後、ウィルの所に行って話す事になった。

甲版でウィルに話をしてると、突如爆発音がした。

「!」

集落の方向からだ!

レックス達と急いで向かうと同じ服を着た人間が集落を襲っていた。
レックス曰く帝国軍らしい。

そこにアルディラが来た。
人間は異分子を嫌う。私達を化け物としか見ないといいレックスにどちらの味方をするのか問う。

レックスの答えは……
俺はレックスを信じてる。まだ出会ってから短いけど、こいつの考えそうな事はわかるさ!

俺達は帝国軍の親玉と思われる奴の前に出る。

そいつはレックスに人間の癖に化け物に味方する気か?とか聞いてきた。

そうじゃない!と叫ぶ。

「ただ、俺は……認めたくない!こんなやり方なんて間違ってる……だから、俺は貴方を止める!!」

「ギャウ!!」

俺もレックスと同じだ!
あの刺青野郎をぼっこぼこにしてやんよ!

そこに狭間の領域の護人達を撤退させたアルディラが敵を森の中に引き込んで集落からできるだけ話すように叫ぶ。

分かったぜ!

VSビジュ率いる帝国部隊

勝利条件:敵の全撃破 敗北条件:レックスor護人orユエの戦闘不能

戦闘開始!

敵は剣を持った奴と槍を持った奴複数。召喚師二人にビジュとか言う刺青野郎だ。

敵はまず剣と槍の奴が来る。その後ろで召喚師の片方が詠唱を始めた。

俺は小さい体と素早さを生かして岩を落とせる範囲まで近づき召喚師に岩を落として詠唱を止めた。

「ナイス!ユエ!それじゃあ私も!」

そう言ってソノラはレックスに毒キノコだと教えてもらった巨大キノコにナイフを当てて敵に毒ガスを食らわせてた。

火薬タルの時と同じ事が起きてるよ……

ともかく召喚師は俺に任せな!召喚なんぞさせねぇよ!

俺の動きを見て察したレックスが皆に伝える。

「ユエが召喚師を封じてくれてる間に他の兵士を倒そう!」

「わかったわ!」

そう言ってアルディラがドリトルって奴を召喚して敵を倒してた。

ドリルかっけー!いいなロボって!
そう思いつつ敵に体当たりしたり岩落としたりする。

そして刺青野郎を追い詰めた。

奴は召喚しようとした瞬間、俺はジャンプしながら回転して尻尾のリングで頬を殴ってやった。

その隙に後ろで詠唱していたアルディラが、俺が離れた瞬間に召喚術を使って奴を吹っ飛ばした。

戦闘終了。

ボロボロで頬に痣作った奴は逃げて行った。

レックスは複雑な表情してる……まったくお人よしだな。

そこにアルディラが話しかけてくる。
レックスの言葉がその場限りの嘘ではなかったと、レックスを信じるって。

こうして俺達は島に迎えてもらえた。





定位置となりつつある枕の横、ベットの隅に丸くなる。
レックスはねっころがってボーっとしてる。

「ギャウ?」

「ちょっとね……ユエが話せたらいいのになって思ってたんだ」

「……」

「ずっとユエも話したがってるのも知ってるよ……」

「ガウ」

「今は、色んな出来事が多すぎてユエを元の姿に戻す方法を探せないけど……でも、きっと見つけるよ」

静かに頭を撫でてくる。

「話せる時が来たらたくさん話そう。いろんな事を……たくさん」

「ガウ」

それから俺達は寝た。



いつか……

その願いが現実になる事を祈って……





 
 

 
後書き
ユエ 召喚ランク 機B 鬼B 獣B 霊B  
全Bとかなり高め。でも使えない(泣)無駄に才能だけがあります。(サモンアシストも不可)

装備や召喚が出来ないためステータスは高め。
主人公専用の特殊能力があってもいいかもしれない……

抜剣覚醒とは違った形で、何かしらの強化用能力追加かな。
 
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