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ZIGZAGセブンティーン

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第二章


第二章

「なあ、御前さ」
「さっき彼女と喧嘩してたよな」
 適当にだべって隠れて持って来た漫画雑誌なんかを開きながらそのうえで話をしていた。その中で俺に言ってきたっけわけだ。
「そうだよな」
「廊下で」
「ああ」
 俺はその言葉にうんざりとした口調で応えた。
「そうだよ」
「まただよな」
「最近毎日みたいに喧嘩してるよな」
「御前等大丈夫か?」
「そんなに毎日喧嘩して」
「ほっといてくれよ」
 俺はこう言い返した。
「そんなの御前等に関係ないだろ」
「まあな。それはな」
「俺達には直接関係ないさ」
「ただな」
「喧嘩を続けてたらな」
 どうかというのだった。それでだった。今度はだ。
 俺からだ。こうツレ達に話した。
「いいだろ?別にな」
「いいっていうのかよ」
「じゃあ今もかよ」
「喧嘩してもか」
「それでもいいっていうのかよ」
「そうだよ。そんなの俺の勝手だろ」
 これが俺の言葉だった。
「別にな」
「まあそうだけれどな」
「御前の話で俺達には関係ないさ」
 それは周りも認めることだった。言うまでもないことだった。
「けれどな。何かしょっちゅう喧嘩してるだろ」
「そういうの見てたらな」
「心配になるんだよ」
「心配か」
 俺は学校の売店で売っている牛乳を飲む手を止めてその言葉に反応した。三角の紙コップでストローで飲むやつだ。俺はこれが好きだ。
「俺達がかよ」
「そうだよ。別れるなよ」
「折角付き合ってるんだからな」
「それはな」
「わかってるさ」
 そのつもりはないだからはっきりと答えた。
「そんなことはな」
「まあな。本当にうまくやれよ」
「仲良くしにくくてもな」
「別れるな」
 またこの言葉を告げられた。
「喧嘩別れなんて最悪だぞ」
「だからそれはなるなよ」
 こう周りからも言われる俺達だった。とにかく何か顔を見合わせればその時の程の差こそあれ言い争いになる。それはデートの時でもだった。
 映画館で話題の映画を観た帰りだ。向こうから言ってきた。
「あのね、さっきね」
「何だよ」
 道を歩きながらだ。俺に言ってきた。
「擦れ違った人だけれど」
「擦れ違った?」
「そうよ、奇麗な人」
 こんなことを言ってきた。
「見てたでしょ」
「誰だよ、それ」
「あの大学生みたいな。髪の長い」
 そんな話を続けてくる。
「ミニスカートの。その人よ」
「そんな人いたか?」
「さっき擦れ違ったじゃない」
「そうか?」
「そうよ。見てたでしょ」
 ここでは目を顰めさせて俺に言ってくる。本当に面白くなさそうに。
「その人」
「あのな。いちいちそんなの覚えてるか」
 俺は怒った顔になってこう言い返した。
 
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