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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十二章
  小波からの報告

一方躑躅ヶ崎館にいる詩乃たちはというと。ちょうど小波からの報告を聞いていた。

「・・・・とのことです」

「なるほど。昨日聞かれましたので委細は承知しておりましたが、沙紀さんがいるとは」

「薫ちゃんも詳細は教えてくれましたから、その辺りは把握していましたが・・・・」

「沙紀様曰く明日の夕方頃に帰るからと。あとはいつもの件をただいま攻撃中とのこと」

「心配しないで、じゃないんだ?」

「そう仰るようなお方ではありませんし、先ほども言いましたが昨日の寝る前に知りましたので。小波さん。いずれも件も相分かり候とお伝えください。薫さん、川沿いの地図を見せていただけますか?」

「うん。心ちゃんに言えば、出してもらえると思うよ」

「後は・・・・そうですね。何か美味しいお土産があると良いですね」

「それもお伝えしておきます」

「だったら、夕霧ちゃんも帰ってくるのは明日かぁ」

「恐らくは」

「・・・・ねえねえ」

「はい?」

「あなたも、お兄ちゃんの妾なんだよね?」

「あ・・・・はい、あの、一応そのつもりです・・・・」

「だったら、小波ちゃんって呼んで良い?」

「・・・・・・は?」

「薫ちゃんは、年の近いご友人がいないそうなんです。周りは武田家の家臣ばかりですし・・・・。一真様の側室の方もですが」

「はぁ・・・・」

「それでね、詩乃ちゃんと雫ちゃんはお友達になってくれるって言ってくれたの。だから、小波ちゃんも・・・・ダメ、かな?」

「じ、自分は・・・・」

「小波さんも光璃様と同じく一真様の妾、恋人ですよね?だとしたら、薫ちゃんとも、義理の姉妹のようなものですよね」

「ま、まあ、理屈で言えばそうかもしれませんが・・・・」

「じゃあ・・・・・!」

「じ・・・・自分の事は好きに呼んで頂いて結構です。ですが、自分は・・・・」

「薫って呼んでくれないかな?」

「・・・・そ、そういう事に・・・・慣れていませんので」

「お友達は?」

「お・・・・お望みとあらば」

「やった!じゃあ、お望みするから、小波ちゃんともお友達だね!」

「うぅぅ・・・・・・。では失礼いたしますっ!」

「・・・・・行ってしまいましたね」

「・・・・・・・・・嫌われちゃったかな?」

「小波さんは恥ずかしがり屋なだけですよ。もともと自分を草だと戒めている所がありますから、そういった付き合いに慣れていないだけです」

「そういえば、一真様の愛妾だと自分から名乗ったのもこの間が初めてでしたね」

「そうなんだ・・・・。ねえねえ、一真隊のお話、もっと聞かせてもらっていい?」

「薫ちゃん。それもいいですけど、お昼からは心さんと陣中食の研究をする予定だったのでは?」

「あ、そうだった!・・・・ね、二人とも」

「はい。一真様はともかくあの二人も好きに出歩いているのです。我々も少しくらい楽しい事をしてもバチは当たらないでしょう」

『そうですね。隊長もですが、あなた達も好きな事をやればいいのでは?』

「この声は・・・・。桜花さんですか?いったいどちらに」

「ここですよ」

と言ったら光学迷彩を解除したISを展開解除した桜花だった。

「いつの間に!」

「私や沙紀、それに結衣は一真隊の仲良しですからね。それに私と雫に詩乃と一緒に行っても構わないでしょうか?」

「それは構わないけど・・・・どちらさんですか?」

「薫ちゃん。この方は一真様の妻の一人です。側室といった方が分かりやすいと思いますが、名前は桜花さんと言います」

「ええーっ!側室ってことはお姉ちゃんより上って事!」

「まあそういうことです。ですが、私たちとの話し相手をよくしてくれる方ですよ」

「はい。歳は違いますが、気軽に桜花と呼んでください。隊長もですが、私や結衣、沙紀も料理は得意ですし、陣中食の研究なら役に立つかと」

「あ、はい!もちろんです!」

とまあ躑躅ヶ崎館での会話だったけどね。ちなみに桜花と沙紀は戦闘前に指示を出していたので。結衣は俺らと一緒に戦っている。一方私たちは相変わらず甲斐の山々を眺めながら進む街道の途中。私の時計でいえばお昼なので、夕霧さんたちは薫さんの弁当を食べていました。私も本当なら作ってくるはずでしたが、急だったので量子化して持たせたおにぎりとお茶を。

「あのですね・・・・沙紀さん」

「何ですか?」

「一つ聞きたい事があるでやがりますが・・・・。本当なら兄上に聞きたかったでやがるが、兄上の奥方様なら知ってると思うでやがるから」

「どうぞ。私でよければ質問していいですよ。それに隊長は答えられない状況におりますが、会話は聞いているので」

「兄上の事で、姉上の事や夕霧の事を・・・・その、恨んでやがりますか?」

「それはなぜですか?」

「なぜって・・・・改めて考えてみれば、あの時期を狙っての長尾への一撃は我ながらひどいでやがるな・・・・と」

「そういうことですか・・・・」

内乱が終わり一息付いたところでのあの一撃は、えげつないというより見事という方ではありますが・・・・王手飛車取りの完璧な一撃ではありました。

「確かに夕霧は姉上の意思に従ったでやがりますし、それを間違ったとは思ってやがりませんが・・・・こうやって兄上とも仲良くなってから考えたら、悪い事をしたな・・・・・と」

「ふむふむ。隊長の言葉を言いますが、あれが仕方のない事です」

「でやがりますか?」

「あの時の光璃様も夕霧も、出来る事を考えた上での策ではありました。・・・・意趣返しそのものに関しましては、隊長の発言は出来ませんが」

意趣返しについては、当事者ではありませんから、発現するのもおかしな話です。

「面目次第もないでやがりますよ」

「でも一真様は、あの時は好機だって言ってたです」

「好機、でやがりますか?」

「はい。鬼退治のために武田を味方にする好機だと。まあ私たちもですが、いきなり味方を通り越して祝言を挙げるのはさすがに驚きましたけど。そういう意味では、隊長も武田を利用した、と言えなくもありません」

「それはお互い様でやがりますよ」

「そうですよね?ならそんなもんですよ。・・・・隊長曰く鬼退治は協力してくれるんだよな?と」

「兄上の望むような協力体制は姉上次第でやがりますが・・・・。少なくとも、長尾とのいがみ合いよりも日の本を蝕む鬼を倒す方が優先だと、夕霧は考えてやがりますよ」

「その答えを聞いて十分ですよ。そこの説得は隊長の役目ですから」

「私たちも金ヶ崎の退き口で鬼の力を目の当たりにしていますからね。・・・・一真様直属部隊もですが、越後に加えて武田が力を貸してくれるなら心強いです」

「あいつら、一匹一匹は大したことないですけど、たくさん集まると厄介です。だからこっちもみんなで力を合わせて、鬼達全部殺ってやるですよ!」

「良くいいやがりました!一緒に殺ってやりやがりましょうぞー!」

「おー!殺ってやるですー!」

「全く、この二人は・・・・」

高らかに鬨の声を上げる夕霧と綾那を、歌夜は苦笑いしながらも優しそうに見守っていますが。一つ訂正がありますね。まあこんな呑気な時間を過ごしている地上はいいですけど、空中ではまだ戦闘中だとか。訂正というのはドウターです。鬼とドウターが結託すれば余計厄介ですから。それに綾那の武器は効かなくて私たちの武器なら効果があるということを。そんな楽しい会話をしながらの昼休みも終わりまして、私たちは再び馬上の人となりました。 
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