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美しき異形達

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第二十五話 幻と現実その六

 だが、だ。今の横浜はというと。
「多少はな」
「勝ってるわね」
「前よりはな」
「だからスタープラチナの店員さんも」
「確かあの娘あたし達と同じ学年だよな」
 薊は店員の娘の話もした。
「高校二年だよな」
「ええ、そうよ」
 菫が薊の今の問いに答えた。
「同じ歳よ」
「だよな、それであの娘神奈川の生まれって聞いたけれど」
「いえ、生まれはこっちよ」
 神戸だというのだ。
「何代か前に引っ越してきたらしいのよ」
「そうだったんだな」
「それでも実家はあっちの方にあってね」
 つまり神奈川にというのだ。
「時々帰ってるみたいよ」
「へえ、神奈川の方に」
「それで応援している球団はね」
「横浜なんだな」
「そうなの、そのチームを応援してるのよ」
「それでサッカーは横浜マリノスなんだな」
 サッカーはそちらになるとだ、薊は半分条件反射で答えた。
「あのチームだよな」
「多分そうだと思うわ」
「神奈川はいいところだよ」
 ここはというのだ。
「本当にさ」
「薊ちゃん神奈川好きよね」
「大好きだよ」
 笑顔のままだ、裕香にも返す。
「何時か皆に案内したいよ」
「横須賀とか横浜とかを」
「あと厚木もいい場所なんだよ」
「厚木もなの」
「あそこも海自さんの基地があってさ」
 こちらは航空部隊の基地だ、海上自衛隊最大の航空基地と言っていい。
「相模原市になるけれどさ」
「いい場所なのね」
「相模原の駅前とか楽しいんだよ」
「そうなの」
「横須賀の商店街、横浜の中華街とかもいいけれどさ」
 その相模原の駅前もだというのだ。
「ああしたところもいいから」
「ううん、神奈川ねえ」
「裕香ちゃん行ったことは」
「ないから」
 それで、と返す裕香だった。
「前にも言ったと思うけれど」
「だよな、じゃあ本当に」
「一回行ってみたいわ。うちの学校って東には行かないのよ」
「修学旅行でもかよ」
「修学旅行は沖縄だから」
 そこに行くというのだ。
「あと広島によく行くわね」
「そうそう、うちの学校昔から海軍と縁があるからね」
 菊が笑って言って来た。
「八条グループが財閥だった頃に海軍の兵器とか作ってたから」
「その縁でね」
「今も海自さんと縁があるのよね」
「それで江田島にもよく行くから」
「江田島なあ」
 江田島と聞いてだ、薊は腕を組んでこう言った。 
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