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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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追憶編
  基地見学×組手

バカンス3日目は、朝から荒れ模様だった。空はどんより曇っていて強い風が吹いている。東の海上から、熱帯性低気圧が接近しているそうだ。台風一歩手前だそうだけど、俺は天候を操る事も可能だからか台風にはならないようにした。

MS部隊からの報告があったが、一応佐渡島に配置させたら予想通り新ソビエト連邦が日本の佐渡海に侵攻した。ソレスタルビーイングによる介入のお蔭で撤退。日本の防衛軍は、今回俺らの予想で配置をした事であるし、俺らが住んでいるこの国が他からの攻撃を受けるなら俺達は武力介入して殲滅させる。

日本国の軍達は俺らと敵にならない事を拙に願う。とメッセージで送信後、俺らがいる沖縄海中にいるトレミーに帰還した。ここには2週間の滞在予定だが今日はどうしようかな。

「今日のご予定はどうされます?」

朝食を食べながら俺らに言ってきた穂波さん。焼き立てのパンを、俺ら護衛の者に渡しながら考えていた深夜。

「こんな日にショッピングもちょっと、ねぇ・・・・」

チョコンと首を傾げて独り言のように呟く深夜。たまにだが、そういう仕草をされると可愛くてしょうがない。俺らの護衛も若いが、深夜達も若い事は知っているさ。

「どうしようかしら?」

逆に質問されて穂波さんも手を止める。俺も手を止めてスマホを取り出して、検索をしていると穂波さんも壁にかかったディスプレイのスイッチを入れる。

「琉球舞踊の観覧というのはどうだ?」

「それいいわね。穂波」

無言で頷いて、手元のコントローラーを操作して俺と同じようなサイトを開く。

「衣装を着けて体験もできるそうですよ」

「面白そうね。深雪さんはどう思いますか?」

「私もそう思いますが、お父様は何か残念そうな顔をしていますが」

「サイトをよく見たら、この公演は女性限定だそうだ。俺と蒼太は行けないな」

よく見たらそう書いてあったので、深夜や深雪は残念そうにしていた。今回車を手配するが、俺や蒼太無しだとつまらないだろうな。

「では私はお父様と行ってきますわ。お母様と穂波さんと桜花さん達で行ってきて下さい。お父様は、風間大尉に基地へお呼ばれされたので」

「そうしようかしら。衣装を着けた姿を一真さんに見せたかったけど、まあそれはカメラで撮ればいい事。それに私達には桜花さんと沙紀さんもいますし」

「お気を付けを。一真さん」

朝食をしてから準備をした。朝食の間にドライグ達を外に出して食べさせた。ドライグとサマエルとペルペルは生肉でティアはヒト型だから俺らと同じメニューをな。食後に元に戻ったドライグ達。そして俺らは満腹後、それぞれ準備をしてから移動を開始。

俺らのはゼロで、深夜達は手配した車での移動を。俺の代わりに、話相手をしてくれる桜花と沙紀がいるから大丈夫だろう。俺と深雪は興味津々で、軍の魔法師はどのくらい強いのかをね。俺達はバカンス中だが相手は軍人。

深雪は露出少なめの半袖ワンピースと紫外線防止のシースルーカーディアン、俺は柄がついた半袖シャツにジーンズ。車で来たら警備員に警戒をされたが、俺らが風間大尉の知り合いと知ると通してくれたようだ。駐車場に車を停めて基地を訪れた。

「防衛陸軍兵器開発部の真田です『織斑少将、お久しぶりです。深雪さんも』」

基地で出迎えてくれたのは、予想通りの人物だった。真田繁留中尉で記憶共有者の一人。前回は俺の元部下だった。

「なるほど。士官の方に案内をしてくれるとは思っていなかった。ここは空軍基地だと聞いたが『名前で呼んでくれると嬉しいな。俺は少将ではない』」

「軍の事に詳しいようですが『今はソレスタルビーイングでしたか。それに階級がないと聞きましたが本当だとは』」

「俺のとこに軍属に詳しい伝手がいるんでな『階級はあるが、今は名前で呼んでいるからな』」

「そう言う事ですか。空軍基地に陸軍の技術士官がいるのは、本官の専門が少々特殊で人材が不足しているからですよ。案内を下士官に任せなかったのは・・・・風間大尉の知り合いと言う事ですから」

そう言って真田中尉は、人好きのする笑みを浮かべた。深雪と話していないが、脳量子波で会話していた。面識があるから。真田中尉に案内されたのは体育館。本当だったら別の呼称があると思うが、5階建てはある高さの天井にロープが何本かぶら下がっていた。

兵達が大勢、ロープを登っては天井近くから飛び降りる。それを繰り返しだったが、素人から見れば何をしているかは不明だがパラシュートを背負ってないから、あの高さだと骨折レベルの怪我で済むな。何しているかと言うと、加速系魔法・減速術式のようだ。

五十人程度だが、ここにいるのは全員魔法師。レベルは低いが、これだけ数の魔法師がここに揃うのは流石は国境最前線とでも言おうか。例の不良兵士であるアイツも魔法師のようだな。風間大尉は俺達を待っていた。

「早速来て頂くとは光栄だよ。軍に興味を持って頂いたと解釈してよろしいか?」

「まあそう言う事ですよ。俺らの護衛であるコイツも興味がありますから『こいつは俺の部下だ。面識はあると思うが』

「その歳で興味があるのは実にいいですが、そうですか。護衛の者も興味がお有りとは『蒼太か。久しぶりとでも言っておこうか』」

そこからは脳量子波での会話になったが、蒼太とは同期のはずなのに今回は違う役だからな。いつの間にかロープ登りでもしてみないか?と誘われたが、俺らが魔法師だと分かったかと質問をしてみた。まあ脳量子波で知っているはずだが、あえて質問してみた。俺は愛用CADを持ってないし、深夜と深雪に穂波さんには最新型のCADを持たせている。

「まあ何百人見ていますからな。何となくではありますが」

「なるほど。雰囲気で分かると、そう解釈してよろしいか」

そう言ったら頷いた。深雪も訓練した事あるから見学をしていたが、ロープでの訓練は終わった。その次は組手のようだ。近接格闘技は色々あるが、深雪にも護身術を教えている。空手と拳法の区別を知っている深雪は、興味がありそうな目で見ていた。

「一真さん、見ているだけではつまらんだろう。組手に参加してみないか?」

「折角ですからどの程度なのか、見させてもらいましょうか。蒼太は深雪から離れるなよ?」

風間大尉からの誘いに乗った。俺の相手は、二十代後半くらいの中肉中背の軍曹だった。蒼太は俺の代わりに深雪の傍にいる。

「一真さん、遠慮はいらないですよ。渡久地軍曹は学生時代、ボクシングで国体に出た実力者だ」

魔法抜きでもその程度の実力者か。普通なら強そうだと思うが、俺らはその程度と呼ぶ程だ。確か沖縄には、何らかの流派があると聞いたような気がする。試合が始まるとすぐに終わらせた。

渡久地軍曹から見たら、いつの間にか懐に飛び込まれて右手を鳩尾に突き刺したという感じだ。軍曹は声も出さずに崩れ落ちたが、両膝をついてそれ以上倒れるのを免れている。

「渡久地!」

見物していた軍人が慌てて駆け寄って、脂汗を流す軍曹に応急処置を始めた。俺は最初の位置に下がり一礼。深雪から見てもその姿は倒した相手に対して敬意を示すような感じだった。

「これはこれは・・・・『相変わらず凄いね。織斑少将は』」

深雪の隣でそう言った風間大尉だったが、途中から無言になった。深雪と蒼太と脳量子波で会話中なのだろう。真田中尉も表では目を丸くして絶句しているように見えたが、裏では流石ですとか思っているのかなと。

「南風原伍長!」

「ハッ!」

大尉の声に、二十代半ばの軍人が威勢良く進み出た。先程の軍曹よりかは痩せているが、ひ弱な印象はない。刃物のようなイメージがある者だな。指名をされたとなると先程のより強いのかな?

「手加減など考えるな。全力で行け!」

「ハッ!」

答えると同時にこちらに来る伍長ではあるが、俺にはゆっくりと見える。俺は、伍長の猛攻を紙一重で躱している。周りにいるギャラリーは「ほぅ」と感嘆のため息があちこちから聞こえる。実際やっている伍長も焦っている。繰り出されているパンチとキックを躱している。少し余裕を持っていた。

「実戦的ですね、彼は。相手が暗器を持っている可能性を想定した間合いの取り方です『織斑少将の組手は久々ですが相変わらずのようですね』」

「そうだな『流石と言っていい程だな』」

大尉と中尉の会話を聞いていた深雪と蒼太も分かっていた。それに裏会話も聞いていた事も。伍長には先程までの余裕がないが、躱すのも飽きたから反撃をしよう。軽くして、それを躱しながらカウンターを使ってきた伍長だったが、それを余裕でカウンター返しをして踏み込んだ時には終わっていた。

俺の右肘が突き刺さったからだ。『ぐぁっ』と呻き声を上げて二歩、三歩とよろめく伍長。大尉からの『そこまで!」』がなかったらトドメをさしていた。手当を受けた南風原伍長と俺が握手してから、蒼太から受け取った飲み物を飲む俺。周りには手荒い称賛を受けるから、握手したと同時に深雪がいる所にな。

「お見事としか言いようがありませんな。彼はこの隊でも指折りの実力者なのですよ」

「まさかここまでとは。何か特殊な訓練でも受けているのですかな?」

上から中尉と大尉が、蒼太から渡された飲み物を飲んでいる最中だった。俺の実力は知っているが、周りにはこの外史の住人だからあえてその質問をしてきた大尉。

「特殊な事ですか?特に何も。織斑家と大きな伝手があるくらいですよ」

「ほぅ・・・・」

伝手というより、俺が半世紀前に軍人だったという事は言えない。半世紀前、人間だったらこんなに若くない。大尉は表では納得していないが、裏では納得しているだろうな。

「しかしこのままでは恩納空挺隊の面目は丸潰れですな・・・・もう一手、お付き合い願えませんか」

表での詮索はしない代わりに、大尉はそう言ってきた。まあ俺だったらそう言うかもな。部下が一般人にやられると『面目が立たない』だし。誰だろうなと思ったらある者が大きな声を上げて言ってきた。

「自分にやらせてください!」

そいつは桧垣上等兵だった。俺に一度負けたから、報復のつもりか?そしたら上等兵は雪辱とか言っていたが同じじゃん。まあいいが、相手は魔法を使ってくるはずだ。

「ふむ・・・・一真さん。本人はこう言っているが、付き合ってもらえないだろうか?桧垣上等兵は若いながら、南風原に劣らぬ猛者だ」

「まあいいでしょう。あの時みたいに瞬殺されなければいいのですが、お相手しましょうか。蒼太、これを持っていろ」

俺が飲んでいたドリンクを蒼太は持った。桧垣上等兵は、腰を落として両手を前に掲げて俺を窺い見るようにしていた。腰を落としている相手であるが、俺は自然体として立っていた。そして挑発をした。手を突き出してこっちへ来いという挑発を。上等兵の身体が膨れ上がったと思ったら、一個の砲弾のようにこちらへ来たので軽く躱してやった。タックルを躱して距離を取った。

「桧垣、気を引き締めて行け!」

どうやら俺の空気が変わった事に気付いたようだ。辺り一面が暗くなったと思うが、これは俺が相手にプレッシャーを放っている。俺は左腕を掌を相手に向けた。桧垣上等兵の全身筋肉が、再度膨れ上がったと同時に俺は魔法を使った。

周りから見るとサイオンの波動が、桧垣上等兵の身体を通り抜けて突進が減速した。術式解体と同時に俺は更に魔法ではない事をした。相手が減速したと同時に風術を使った。風の竜巻を光線のように放ち、そのまま風に押されて上へと上昇と同時に落下してくる上等兵。それを念力を使い、上等兵をゆっくり床に降ろした。俺は上等兵に近づくと自力で起き上がった上等兵。

「・・・・負けたぜ。完敗だ。一昨日のが、油断の所為ではないと良く分かったよ」

ゆっくりと起き上がる上等兵。

「改めて自己紹介させてもらうぜ。俺は国防空軍沖縄・先島防空隊、恩納空挺隊所属、桧垣ジョセフ上等兵だ。よかったら、名前を聞かせてもらえないか?」

「俺の名は織斑一真。一応言っておくが君より年上だという事を見知り置け。呼び捨てでも構わんが」

「オーケー、一真。俺の事はジョーと呼んでくれ。沖縄にはまだしばらくいるんだろ?退屈したら声を掛けてくれよ。こう見えても俺はこの辺りじゃ色々顔が利くんだ」

「そこまでだ、ジョー。今は訓練中だぞ。それと基地内では一真さんと呼べ」

俺は蒼太の所に戻り、風間大尉は笑いながら声をかけたら感電したかのように姿勢を正しくした。愛称で呼ぶ部下なら、信頼されているようだけどああ言うのは苦手だな。深雪もだけど。

「無理を言って申し訳ない。お陰で部下のわだかまりも取れたようだ。少しあちらでお茶でも付き合って頂けませんかな?先程の魔法について知りたい所ですな」

先程の魔法とは恐らくアレだろう。俺がしたのは、無系統魔法の術式解体と風術による竜巻でジョーの身体を浮かせたからな。周りから見ると魔法かと思う程だし、お茶でもとか言っていたがコーヒーだった。休憩室に通された後にコーヒーを出された。深雪も一口飲んで、俺はこの部屋全体に防音結界を。 
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