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姉を慕い

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第四章


第四章

「何度来ても」
「それならまた来ますか?」
「はい、二人で」
 正大は笑顔で話した。
「来ましょう」
「わかりました、それならまた」
「他にも場所はありますが」
 彼はその過去を見る目でまた話す。
「それでも。よかったら」
「はい、それなら」
「行きましょう」
 こうして様々な場所を二人で巡る。だが彼は常にそこには彼女を見ていた。実は彼女を見ていたのだ。神名もそれに気付いてはいた。しかしやはりそれは言わずにだ。ただ話を聞き共に行くだけだった。
 だがそうした場所を一通り行ったと思った時にだ。ふと彼に言うのであった。
「あの」
「はい?」
「今度ですけれど」
 こう彼に話すのであった。
「いいですか?」
「何でしょうか」
「行きたい場所があります」
 自分から言ってみせたのである。
「少し」
「行きたい場所ですか」
「はい、実はですね」
 そしてだ。言う言葉はだ。
「御二人の場所に」
「御二人の?」
「はい、御二人のです」
 こう彼に言うのである。
「そこに行きませんか」
「御二人というと」
 正大はそう言われてもだ。首を傾げさせるだけであった。一体どういったことなのか全くわからなかったからだ。彼女が何を言っているかをである。
「それは一体」
「つまりです」
「はい、つまり」
 ここで一旦一呼吸置いてからだった。
「お家にお邪魔して宜しいですか?」
「僕の家に」
「はい、それでいいでしょうか」
 彼に対して尋ねる。
「一度お家に」
「わかりました」
 正大はその言葉に頷いた。
「それじゃあ。家に来て下さい」
「いいですね、それで」
「はい」
 正大は今は首を傾げさせずに素直に頷いた。
「それじゃあ」
「御願いします」
 こうしてであった。神名は正大の家に来ることになった。彼からそれを聞いた両親はだ。まずは顔を見合わせてその上で話すのだった。
「いいな」
「そうね」
 まずはここからだった。
「これは正大にとってな」
「とてもね」
 そしてだ。あらためて彼に言うのだった。
「是非来てもらえ」
「お家にね」
「それでいいんだね」
 正大は両親の言葉にまずは問い返した。
「来てもらっても」
「ああ、いい」
「是非ね」
 両親の返答は変わらない。
 
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