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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第11話 カップ麺は3分では食べられない

 
前書き
どうも蛹です。
今回でリオさんの"超技術"が分かります!
そして大体のことが分かります!
まぁとにかく読んでみればわかります!
それでは第11話 始まります!! 

 
「最初に説明しておこうか」

リオさんは水の入ったコップを持ち上げてに言った。

「俺の"超技術"は自分がふれている物質の温度を下げる能力
 "物質冷却《クライオキネシス》"さ」

 パキパキパキパキパキ

コップに入った水だけが凍り付いた。
マリーはコップを見て訊いた。

「‥‥水だけしか凍らないの?」

リオさんは補足をした。

「これはパワーを調節したからこうなってるのさ」

リオさんは空のコップを取り出した。

「じゃあ本気でやってあげよう‥‥‥ふんッ!」

 バキィィィィィィィン!!

コップはトゲトゲに凍っていた。空だったはずの中にも
氷がたくさんできている。

「ふーっ 本気を出せば、空気中の水分も簡単に氷にできるけど
 温度を下げるパワーを出しすぎると疲れるからめったにしないんだ」

3人の子供の目がキラキラ輝いていた。

「すげぇーーーーッ!」
「かっこいいーーー!」
「これが"超技術"かぁ~~」

リオさんは少し照れた。

「いやぁ~~それほどでもないよ。マリーちゃんに比べたら
 あまり攻撃力のある方じゃないしね」

マリーはリオさんに訊いた。

「私はどんな能力なの?あのスパ~~ンってなったのは」

リオさんは困った顔で答えた。

「それは本人じゃないとわからないよ。今やってみたら?」
「それもそうだね」

マリーは目をつぶりコップに向かって念じた。

『切れろ~切れろ~切れろ~切れろぉ~~~ッ!』

全員はマリーとコップを見守った。
しかし変化はなかった。

「ぷはぁ~~ッ!ダメだ‥‥‥‥切れないや」

マリーは少ししょんぼりした。
アーロンはマリーの肩を叩きながら言った。

「多分やり方が間違っているんだと思います。私の目の前でしたときは
 右腕だけ"鎧人"になってましたから」

マリーは右手を見ながら気合いを入れた。

「えいっ!!」

 ガシャシャン!

マリーの右腕に"鎧骨格"が換装された。

「できたぁ!」

 ガシャシャン!

アーロンとリオさんも右手を換装して言った。

「"鎧人"は部分的になら換装することが出来るんです」
「まぁ、全身を換装する時には起動装置に触れなきゃいけないけどな」

 ガシャシャン!

「意外と簡単にできるんもんなんだな‥‥‥」

アスラも右手を換装してから言った。

「しかし"鎧人"が4人もいるとすごい光景だな‥‥‥」

ハロルドが放った一言にアーロンは訂正した。

「私は腕だけですけどね」
「あ、そうでした」

ハロルドは頭の横をかいた。

「じゃあ今度こそいくよ!」

マリーは右手をコップの前に出した。

「えいっ!」

 ブンッ 

右手の口器がコップの前の空間を横切った。

 パカッ

コップが斜めに切れた。

 パカッ

その向こうの机の端と観賞用の木が斜めに切れた。(!?)

 パカッ

更に向こうのドアが斜めに切れた。(!!?)

「きゃーーーーーーーーーッ!!ご、ごめんなさい!!」

マリーが後ろに振り向いて半泣きで謝った。
リオさんとアーロンは少しあわあわしながら言った。

「い、いやいやいや誰もケガしてないから大丈夫だよ!」
「そうですよ、別に誰も気にしてませんから!」

レイラは慌てている2人の横から歩み寄って
マリーの頭をなでてあげた。

「大丈夫よ。このくらいならすぐに直せるから」

マリーは目をこすりながら言った。

「ぐすっ‥‥本当‥‥‥?」
「ほら、涙を拭いて」

レイラはハンカチでマリーの目を拭いてあげた。

「美人さんが台無しよ」
「う‥‥うん‥‥‥」

さすがは大人の女性。

「私の出番、なかったわね‥‥」
「まぁ泣き止んでよかったけどね」

クレアとハロルドは2人を見ながら言った。



    **********



 ー巨大基地 休憩室2ー

 ウィ―――ン

「レイラは隣を直すから少し席を外すらしい」

リオさんは部屋に入りながら言った。

「本当にごめんなさい‥‥」

マリーはまだしょんぼりしている。

「だから、誰も怒ってないって」

アスラがマリーに言ってあげた。 

「じゃあ話の続きをするぞ。おそらく、マリーちゃんの"超技術"は―――」
「"空間切断《スペースカッター》"‥‥‥」
「‥‥‥え?」

マリーはつぶやいた。

「さっき使うときに頭の中によぎった名前‥‥」

リオさんは驚いた。

「能力名がよぎったのかい?」
「うん‥‥‥」

リオさんは少し考えてから言った。

「"超技術"は目覚めた人の脳裏に名前がよぎるものなんだ。
 多分さっきまでの現象との能力名からわかるように、彼女の"超技術"は
 口器を振ったところの延長線上にある物の空間を切る能力だろうと
 俺は判断しているよ。
 ちなみに、この4人の中で目覚めてないのはアスラくんだけさ」

それを聞いてアスラはアーロンに訊いた。

「じゃあ、アーロンさんも"超技術"が使えるの?」

アーロンは少し間をおいて答えた。

「‥‥あぁ、そうだよ」

リオさんはアーロンに言った。

「出来たらみんなに見せてあげてくれないか?」

 ガシャシャシャン

アーロンは両腕を換装して言った。

「分かりました」

アーロンは少し広いところに立ち構えた。

「いいですよ、隊長」

リオさんはタンスに置かれていた5個のコップをつかんだ。

「ほいほいっと」

 ポイポイポイッ

そしてアーロンに向かって山なりに投げた。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

アーロンはしばらく昆虫のガラス玉みたいな目で見ていたが―――

 バババッ!!

突然、アーロンの手足が消えた。 

「えっ!?」

いつの間にか5個のコップをキャッチしていた。
両手で2個、突き出した右足の上に3個。

 パチパチパチパチパチパチ

みんなは拍手をした。

「すご~~~~い!」

マリーは機嫌を直したようだ。
アーロンは顔を赤くしていった。

「前からこういう注目されるのは苦手なんですよね‥‥‥」

リオさんは説明した。

「アーロンの"超技術"は肉体の発揮できる力のリミッターを
 緩ませることが出来る能力、"戦闘状態《バトルスタイル》"さ」

説明しよう!
人間は通常、肉体にリミッターをかけており20~30%程の力しか使っていない。
なぜなら、100%で活動し続けると筋肉の損傷に再生力が追いつかないからである。
しかし、アーロンはその脳がかけているリミッターを一時的に外すことができ、
それにより"鎧虫"、"侵略虫"と張り合えるパワーが発揮できるのである。
だが、さっき言った通り活動しすぎると筋肉が損傷しすぎて動けなくなるのだ。

「ちなみに私はカミキリムシの"鎧人"です」

確かに、所どころカミキリムシの面影が見える。
そして、言い忘れていたが"鎧骨格"の色は白である。

「へーー、腕についてる大顎みたいなのがカッコイイ~♪」

マリーにそう言われて、アーロンはまた照れた。

「いえ、別にそんなこと‥‥‥」

アスラはリオさんに訊いた。

「さっきから気になってたけど、リオさんは何の虫の"鎧人"なんだ?」

この質問に対してリオさんが口を開こうとしたその瞬間―――

 ウィ―――ン

隊員がまた入って来た。

「隊長!中にまだ"侵略虫"がいたようです!隊員が数名軽傷を負いました!」

リオさんはキレた。

「何なんだよ!しつけぇ奴らだな!!」

リオさんは急いで外へと駆けていった。
みんなもそのあとをついて行った。

 

    **********



 ー巨大基地 配管室ー
「この配管を壊しちまえばしばらく空調がダウンして大変だろうなぁ」

ガガンボ(でかい蚊)型の"侵略虫"が配管をつつきながらつぶやいた。

「やらせるかぁーーーーー!」

 ダダダダダダンッ!

隊員たちが銃を撃ちまくった。しかし‥‥。

「そんなモン当たるかよ」

 バチチチチチチッ

指から生えた口器を使い弾丸をはじいていた。

「推進力のあるものほど横からの力に弱いのさ。場合によっては
 葉っぱ一枚で軌道が逸れることまであるらしいぞ?」

つまりこいつは、弾丸を自分に当たる前に横から弾いて逸らしているのだ。

"侵略虫"の動体視力はとてつもないもので
弾丸もピッチングマシンの投球ぐらいで見えているらしい。
つまり、見えないことはないということだ。
(それでも、野球ボールよりはるかに小さい弾丸をはじくのは至難の業)

 バチチチチチチッ  

「ハハハハッ!当たんねぇなぁ!」

ガガンボ型は嘲笑った。

「じゃあこれならどう?」

突如、後ろに女が現れた。

『なっ、いつの間に!?』

 バッ!

ガガンボ型は口器を後ろの女に向かって突き出した。

 バシッ!

女はあっさりと口器を掴んだ。
隊員たちは女の人を見て叫んだ。

「レイラさんだ!これでもう大丈夫だ!」

レイラは隊員たちに言った。

「離れてなさい」

ガガンボ型はこれを余裕と受け取ったらしく眉間にしわを寄せて言った。

「そこのお姉さん、邪魔しないでくれるかな?」

レイラは鼻で笑った。

「そんなこと言われておとなしく下がると思ってるの?」

ガガンボ型は掴まれた口器を引き抜いて言った。

「じゃあここで死ぬんだな、お姉さん」

レイラはガガンボ型の向こうを見て言った。

「やっぱり前言撤回。下がらせてもらうわ」

 スタスタ‥‥

『何だ、この女‥‥?』

ガガンボ型は思った。

レイラはガガンボ型の右側に避けながら教えてあげた。

「私の仕事は足止めだから」

 バシュゥゥゥゥゥッ!!

ジェット噴射のような音が聞こえたので、ガガンボ型は急いでその方向を見た。

「おらぁぁぁーーーーーーーーーーーッ!!」

リオさんが猛スピードで飛んで来ていた。

「うおおおっ!?」

ガガンボ型はとんでもない声を上げた。
リオさんは飛びかかりながら叫んだ。

「いつになったら俺の詳細が言えんだぁぁぁーーーーーーーーーッ!!!」
「知るかあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!」

ガガンボ型が大声でツッコんだ。

「何だおm―――――」

 ボンッッ!!

あの推進力のままの膝蹴りでガガンボ型の顔面をはね飛ばした。

 ズザァァァァァァァーーーーーーッ!!

リオさんが地面に着地した。そして、ガガンボ型に足を置きつつ言い放った。

「てめぇらここで俺の説明の邪魔をする以外に仕事はないのか?」

 グチャッ!

ガガンボ型にとどめを刺した。
レイラさんがリオさんの言ったことを訂正させた。

「そいつだけが悪いわけじゃないでしょ」

リオさんはそれを聞いてリオさんも納得した。

「あ、確かに‥‥‥‥そこに関してはごめん」

リオさんはガガンボ型の死体に謝った。
そこに全員が駆け寄って来た。
マリーがアスラの後ろに隠れたまま半泣きで訊いた。

「リオさん、まだ怒ってる?」

リオさんは顔の前で手を横に振った。

「いや、もう怒ってないよ」

アスラはさっきリオさんがしたように話題を与えた。

「ところで、リオさんは一体何の虫の"鎧人"なんだ?
 結局、言わずじまいだったから気になって」

リオさんはすぐに答えた。

「俺はメダカハネカクシの"鎧人"なのさ」

アスラは首をかしげた。

「メダカハネカクシ?」

説明しよう!(今回2回目)
メダカハネカクシという昆虫の仲間は敵が来ると
ガスを勢いよく噴射して高速で飛んで逃げる。
それは自重の150倍の距離を1秒で移動すると言われ
そのスピードを人間サイズにすると時速945kmだという。
(多分、噴射時間は数秒が限界と思われる)

しかし、リオさんはそれを一気に噴射せずに調節しているので
長時間の滞空と高速飛行を可能にしている。

「すご~~いリオさん!」

マリーはすっかり泣き止んだようだ。

「よ~~し、今から少しだけ飛んでやろう!」

 バシュゥゥゥゥゥゥ!

マリーをお姫様だっこしてリオさんは飛びあがった。

「きゃ~~~~~~ッ!!」

 バシュゥゥゥゥゥゥ!

空中で円を描きながら飛んでいる。

「アスラ‥‥‥‥」
 
迅が突然アスラに話しかけて来た。

「どうしたんだ迅?」

迅は少し悲しそうな顔をして言った。

「オレはここに来るの楽しみにしてたのに、全然話せてない‥‥‥‥‥」
「あはははははははははははははははははははははは!!!!!!」

配管室内にアスラの笑い声が広がっていった。 
 

 
後書き
そういえば迅さん忘れてましたね。
ロシアに来てから迅さんが話したのは8話とこの話の一言だけ。
(実は忘れてたなんて言えない言えない‥‥‥‥‥あ)
次の話はまたプロフィールを書きたいと思います。
めんどくさくても見てほしいです。

次回 第11.5話 俺はリディニ―ク、リディと呼んでくれ お楽しみに! 
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