【IS】例えばこんな生活は。
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例えばこんな仕返しもしても許されると思うな
前書き
S.A.
↓逆転してしてちょっと加工
ニヤニヤ(・∀・)乙
みたいな。
※この頃まだゴールデン・ドーンがどんな機能を持ったISか分かってなかったので装備とかは独自設定です。
10月10日
スコールの操るIS「ゴールデン・ドーン」には、衝撃拡散空間位相障壁・・・コクーンシェルと呼ばれる防壁を発生させる第三世代兵器が搭載されている。この非実体シールドの強度は、並の攻撃では歯牙にもかけない程に堅牢で強固。さらに衝撃拡散機能を反転させて格闘戦にも転用でき、非実体弾の発射機構も相まってゴールデン・ドーンの死角を潰している。
そして操縦者であるスコールはIS工作部隊の指揮官という非常に高い位置にある。作戦指揮官兼指導者であるトップを除けば、現場で最も権限を持っているのが彼女である。すなわち彼女は名実ともに亡国機業という組織で非常に高い地位にあると言えるだろう。
そんな彼女が今回、60機近い無人機と機業のパイロット数名を引き連れてIS学園へ襲撃したのは、上からの命令でも自棄になったわけでもなかった。学園側に本拠地を知られた時点で既に本拠地を破棄することは決定されていた。
いくら合計で100機近いISがあったとしても、もしIS委員会に本気で仕掛けられれば機業には勝ち目が無い。何故なら単騎でもで無人機10機以上を相手取れる「S.A.」の存在があったし、委員会の招集ならば多くのIS戦力を基地へ終結させることが出来る。だから迎え撃つのは勝算が低かった。
何より基地を発見したあの巨大ISの存在があった。迎撃に出た数機のISを玩具のように吹き飛ばしたあれが突っ込んで来ればそれだけでも大損害だ。よって基地にいくらかの戦力を残して囮にし、残る戦力でIS学園に電撃戦を仕掛けることになった。
ではなぜ攻める事になったのか?基地なら後で別のものを作ればいい。機業はそれだけの力を持っている。予備の基地もある。そこで確実に勝てる戦力を集めて、改めて「目的」とやらを達成すればいい、とトップは考えるだろう。
トップはIS委員会の一人だった。そして、今までずっとS.A.指導者のヒポクリットの目を躱しながらおのれの野望を叶えるための玩具を作ってきた。スコールも、コアエミュレータを作った少年も、エムも。皆、そのトップによって玩具にされたものばかりだ。
だが、そのトップが今日未明に国際犯罪に手を染めた疑いで拘束された。
ヒポクリットに正体が露呈していたのだ。化かし合いに負けたらしい。本拠地が発見されるタイミングを計っていたのだろう。気付いていたうえで証拠も集めて泳がせていたとは、大したタヌキだ。
同時に、極秘に機業傘下として活動していた会社がダミーも含めて9割、一斉に摘発された。
デュノア社の諜報課が更識と組んで裏で嗅ぎまわっていたらしい。あの社長もとんだダークホースだった。まさか最初から社内に潜り込ませていた企業の密偵を「全員懐柔していた」とは、世界シェア1位はあの男の化物染みた手腕あっての事だと思い知らされた。娘に手を出されたのが余程腹立たしかったのかもしれない。
更に予備の基地や補給経路として世界各地に置かれていた施設が「正体不明の敵」によってすべて制圧された。篠ノ之束か、ゾルダークがとうとう動いたか、そのどちらかだろう。
これで最高指導者、資金と行動力、物資の流通ルートの全てを一斉に潰された。ファントムタスクは事実上壊滅したのだ。結果、スコールは実質的な最高司令官となった。
しかしスコールには組織の存亡など興味はない。企業の理念にも興味はない。ただ最後に残されたのは戦う事だけだった。オータムを捕えた憎きS.A.の連中だけでも吠え面をかかせなければ気が済まない。オータム救出を邪魔したあの生意気な小娘だけでも殺さなければ気が済まない。その為にオータムは一計を案じた。
まず、本部を囮に隠し通路を使って半分以上の戦力を脱出させる。ある程度戦力を残すことでまだ主戦力が基地にいると思わせて少しでも多くの戦力を引き寄せておく。そして機を見て学園を急襲、制圧する。制圧後のことなど考える必要はない。既に彼女たちは負けている。ただ最後に自分たちを追い詰めた連中が悔しい顔をするのが見たいだけだった。
結果。本部、ゴエモンインパクト(演説)と僅か数機のISで制圧。
しかもヒポクリットに先読みされて学園に戦力集中。
= 大 ☆ 爆 ☆ 死
見事に勝利の女神から尻に敷かれたスコールだった。
しかも彼女の不幸は終わらない。
「カーテンシールド展開・・・エル・デ・リュミエール、フルドライブ!エンゲェェェジッ!!!」
『貴方は・・・許しません!!』
コクーンシェルの防御越しに、縦横無尽の衝撃が走る。超高速機動でジグザグに飛行しながらシャルのラファール・エクシードが突貫を仕掛けてきているのだ。
右に飛んだと思ったら左に回り込み、上へ行ったと思ったら射撃武器で激しく揺らされる。迎撃しようにも機動が速すぎて反応速度が全く追い付いていない。絶え間ない波状攻撃の所為でコクーンシェルを解除して攻撃に移ることも出来ない。
人殺しにまで手を染めながらも、ISの腕前だけは誇れる領域に達していると彼女は思っていた。視線を潜り抜けた彼女にとって、競技などという温い世界でしかISを動かしていない連中など赤子同然だと思っていた。その自身が崩されていく。今までを否定されてゆく。
「嘘・・・っ、何なのこの速度は!?二次移行!?唯一仕様能力の発現!?機体のアップデート!?こんな短期間でそれをモノにしているとでもいうの!?」
薄緑の美しい残像を残してスコールを徹底的に打ちのめさんとするその姿は完全に狩人。前に戦った時のしつこいだけの娘とは何もかも違う。
攻撃に迷いが無い。
躊躇いが無い。
気迫が違う。
まるでこの空の全てを支配しているかのように自在に動き回り、決してその姿を捕えるとこも倒すことも叶わない。
もはや存在そのものが風。
人の身でありながら至ってしまった領域。
風の神格化。風を超える存在。
だから、風天。風神。
何人も止める事の許されない猛突風は、獲物を食い尽くすかのように獰猛に何度も何度も強烈な突進を繰り返す。普通ならパイロットが対応しきれないほどの超速度。でも、シャルはそれに耐えることが出来ていた。
何故なら、いまシャルとファリンは――半ば思考が融合しているから。
「その硬い殻も、これの火力ならぁぁぁッ!!」
突如ガーデンカーテンの展開を解除したシャルは、リュミエールの速度を一切落とさないまま咆哮した。その両手にラピッドスイッチで装備したのは――世界初の90口径パイルバンカー「竜屠者」。世界中のパイルバンカー愛好家が待ち望んだ最新モデルにして、汎用IS装備で歴史上最高の威力を誇ることがギネスに認められた化物IS兵装。その両方の先端がコクーンシェルと接触して不吉な火花を散らす。トリガー。
鼓膜を粉砕するほどの爆音と共に、「竜屠者」が殻を突き破った。
反動でエクシードも両腕が弾かれてパイルバンカーが宙を舞うが、元々「竜屠者」は使い捨ての装備なので投げ出されても問題ない。シャルは構わず連撃に移る。
「――1ッ!」
「竜屠者」の衝撃でまだ立ち直っていないゴールデン・ドーンに、急加速したエクシードのエル・デ・リュミエールが直撃して吹き飛ばす。翼が腹に命中したスコールはくの字に体を折り曲げて紙屑のように吹き飛んだ。
「――2ッ!」
吹き飛んだ相手に、ラピッドスイッチで展開したアサルトカノンの火力を集中させながら追い込む。二重の攻撃に重ねられた三枚目に、スコールは最早為す術がなく唯の的となる。
「――3ッ!!」
エクシードのマニュミレータがゴールデン・ドーンの尾の様なパーツを鷲掴みにして、出鱈目な推力に物を言わせて上方へ投げ飛ばした。
「そしてこれで――終 幕ッ!!」
そして、ここに至って沈黙を保っていたもう一つの武器「フレシュ・デ・リュミエール」が目を覚ました。背部よりせり上がって腰だめに構えられた2門の翼型長砲門。その銃口には既に溢れ出んばかりに迸るエネルギーが充填されている。そのエネルギーが、満を持して、最高のタイミングで舞台に躍り出る。
「この光の鏃は、貴方にリベンジするために用意した特製品だよ・・・まさか嫌とは言うまいね?」
『シャルを傷付けた罪、学園を襲った罪、今までに犯したすべての罪を・・・贖いなさい!!』
「『――空の星になってしまえぇぇぇぇーーーーーッ!!!』」
目も眩むような閃光と共に、エクシードから発射された2条の巨大な光弓は、シャルとファリンの怒りを乗せて空を駆けスコールとゴールデン・ドーンに吸い込まれるように飛来。絶対回避不可能の状況での致命的な一撃に、スコールは捨て台詞を吐きだす時間さえ与えられないないままに圧倒的な運動エネルギーの暴力に飲み込まれた瞬間、光の鏃は目も眩む閃光を残した大爆発を以てその使命を全うした。
言うまでもなく、最早スコールは戦闘不能である。
「・・・ふぅ、すっきりした!ザマーミロって感じだね!」
『凄くさわやかな気分です!まるでピッカピカに装甲を磨かれた正月元旦のように!』
――学園の、それもゴエモンと近しかったISコアは、既に通常では考えられない精度でパートナーと意思疎通を図っている。いわばもう完全に2人で1人の戦士となったのだ。
それに対し一人で戦っているスコールが勝てる筈も無かった。
後書き
うおっ・・・久しぶりに戦闘シーンで1話潰してしまった。
戦闘は重要でないがゆえに勢いだけですがご容赦を。
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