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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第二章 地球編 アジア ロシア
  第7話 寒い国といえばロシアだけど冬のアメリカもかなり寒い

 
前書き
どうも蛹です。
言い忘れていましたが、アスラたちはアメリカの西の沿岸部に来ています。
6話のドアってどこかで見たことありますよね?
まぁ、それは読んでみたら分かります!
※が付いたものの説明は後書きを見てください!
それでは第7話 始まります!!
 

 
折れた肋骨の痛みも忘れてオレは叫んだ。

「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

迅はあっさり答えた。

「嘘じゃないよ。本当さ」
「いや嘘つけ!これただのドアの縁じゃねぇか!」
「いや本当だって。すごいんだよこれ」
「いや絶対嘘だろ!」
「いや本当」

このやり取りが10回以上続いた。

「で、どうやってロシアに行くの?」

マリーは迅に質問した。 迅はその問いにすぐに答えた。

「くぐるのさ。スイッチを押した後にね」

そして、ドアの近くに歩み寄って行った。

「えっと‥‥‥おっ、あったあった」

そこには家で電気を消す時によく見るものに似たものが付いていた。
そのカバーを上にあげてスイッチを押した。

  カチッ    ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!

突然、唸るように起動音を上げながらドアの表面に光のラインが走っていった。
そして、ドアから海の向こうへと光が伸びていった。

「なっ‥‥‥なんじゃこりゃーーーーー!!」

アスラはまた叫んだ。そのせいで肋骨の痛みがよみがえってきた。

「いでッ!肋骨折れてるんだった‥‥‥‥迅ッ!何なんだこれは!?」

アスラの問いに対して、迅はわかるようにゆっくりと言った。

「これは“ドア型 高エネルギー空間歪曲装置”、通称“ここだけドア”さ」
「何そのすごいネーミング!?」

説明しよう! “ここだけドア”とは!
ドアの周辺にある“自然エネルギー吸収パネル”にエネルギーが少しずつ
蓄えられており、それをドアに送って装置を起動して
ドアの間の空間を歪曲、つまり捻じ曲げて光の向こう側にあるドアと
接続することで、短時間の長距離移動を可能にするのである!
だが圧倒的に短くなっただけで少し歩かなければならない。

分かりやすく例えるなら、某有名ロボットが取り出す道具の1つの
行ける場所が決められたバージョンと言えるだろう。

「こんなすごいヤツならなんで早く教えてくれなかったんだよ」
「いや、アスラが驚くところが見たかったのさ♪」

最近、迅まで子供っぽくなってる気がする‥‥‥。

「光がずーーっと向こうまで伸びてるぅ。すご~~い♪」
「何度見てもなれないな‥‥」
「そうね‥‥」




『‥‥‥ん?オレのセリフは?』

ホークアイの質問に私は答えた。

    ないww

『何でだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ちゃんと用意しろよッ!』 ビシッ

さて、話を元に戻しますか‥‥

『オレにもセリフをよこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』




「少し歩くけど みんな大丈夫かい?」
「迅さん、アスラが苦しそう‥‥」
「‥‥うぐ‥‥うぅ‥‥」

さっきから叫びまくるからだ。

「ほら、早く背中に乗って」

ハロルドはアスラの前にかがみながら言った。
アスラはハロルドの背中にもたれかかった。

「ご‥‥ごめんおじさん‥‥‥」
「いくら"鎧人"でも重傷なんだからあんまり無理するなよ」
「ホント大丈夫なの? あなたにはみんな期待してるんだからね」

期待されてる奴がこうで大丈夫なのだろうか?


6人はドアをくぐり光の上に立った。 光は思った以上に硬かった。
まるで、アスファルトの上に立ったような感じだった。

「下が透けて見えるのが慣れないんだよなぁ」
「そうなのよねぇ~。何回も使ってるのにねぇ」

この2人の会話から、これについてはすでに知っていたのだろう。
しかし、これを知らない3人は‥‥‥

「下が透けて見えるぅ~!すごぉ~~い!」
「一歩で何kmも進むから怖えぇぇーーー!」
「‥‥〇×△‥‥□※×☆〇‥‥‥」
         

とても驚いていた(!?)

「何だ寝てるのか、アスラ」

アスラはハロルドの背中で寝ていた。
少し顔が笑っている。きっと楽しい夢を見ているのだろう。

「人類の希望って言ってもこう見るとやっぱり子供ねぇ」
「あっアスラよだれ垂らしてる!赤ちゃんみたいでかわい~い♡」

光のトンネルの中に5人の笑い声が響いていった。



    **********



 ーロシア 巨大基地ー
「“ここだけドア”は正常に機能しているか?」

隊長は隊員に訊いた。 隊員は機械に目を向けたまま答えた。

「数値は全て正常、機能も良好です」
「後は彼らが来るだけか‥‥。今どこにいる?」

装置の画面を見ながら、別の隊員は答えた。

「現在、太平洋を通過。あと5分程で到着すると思われます」

隊長は視線を上へ向けた。そこには真っ黒な天井があるだった。
そのまま隊長は黙り込んでしまった。

「あと1分で来るようです隊長」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
 
隊長は黙ったまま動かない。

「‥‥‥‥‥‥隊長‥‥‥‥?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

まだ動かない。 仕方ないので、隊員は隊長の元へ駆け寄り
少し大きめの声で言った。

「隊長ッ!あと30秒で着くそうですよ!!」
「ハッ!‥‥‥‥ゴメン寝てた。えっ もう着く!?」

また立ったまま寝ていたらしい。相変わらず すごいバランス力だ。

「‥‥あっ‥‥‥‥来たみたいですよ」

トンネルの中から話し声が聞こえ始めた。

「あっ出口だ!」
「やっと着いたのかロシア!」

女の子と男の子の声が聞こえた。

「2人とも、あんまり急ぐとこけるわよー」
「あとアスラを置いてくなー」

これは多分あの夫婦の声だろう。

「マリー、ホークアイ、みんなで一緒に出るぞ」

この声の主は彼だろう。
そしてトンネルの中から1つの家族が出てきた。

「着いたぁ~~~~~~~~!」
「うわっすげぇ!でっかい基地の中じゃん!」

マリーとホークアイは言った。
その2人の元へ誰かが駆け寄った。

「ようこそロシアへ!」

その男は2人に挨拶をした。

「私の名前はアーロン。ここの隊の副隊長をしているものです」

彼は軍服を着ていた。外なら暖かそうだが
基地の中は適温なので少し暑そうだ。
ちなみに彼は立ったまま寝ている隊長を起こす係でもある。

「アーロン!?久しぶりねぇ!」

クレアとハロルドはアーロンに歩み寄った。

「まぁこんなに大きくなって~~小さい頃が懐かしいわ」 

少し照れくさそうにアーロンは答えた。

「はい!ここでの訓練のおかけで強くなったと自負しています!
 ‥‥‥ところであのお二人は?」

アーロンは目線を向こうの2人に向けた。

「あぁ あの2人は親が見つからないから
 私たちが家族として育ててきた子たちよ」

アーロンは納得した顔をした。

「どうりで。お二人のお子さんにしては大きいなと思いまして」

ハロルドはクレアの話に付け加えをした。

「ちなみにこいつもさ」

ハロルドは背中のアスラは見えるように後ろに体をひねった。
とたんにアーロンの表情が変わった。

「彼が‥‥‥“あの人”の子供‥‥‥ですか」

アーロンの質問にクレアが答えた。

「そうよ。この子が“あの人”の残した人類の希望よ」

アーロンはアスラの顔を見て言った。

「本当に“あの人”にそっくりですね。瓜二つだ。
 ん?‥‥‥何だか苦しそうにしてますが‥‥‥‥?」
「そりゃあ 肋骨が何本か折れてるからな」

アーロンはそれを聞いて目を見開いた。
ハロルドの背からアスラを降ろして、アーロンが背負いながら言った。

「それを早く言ってください!ここには治療用の装置が
 何台もありますから そこまで私が連れていきます!」

アーロンはすぐさまそこへ向かおうとしたが一度立ち止まって言った。

「みんなもついてきてください! ついでに
 ロシアの医療技術のすごさをお見せしましょう!」

それを聞いた5人はアーロンの後をついていった。




 ーロシア基地 医療室内ー 
 
 

ガチャッ

「先程は隣の部屋で、彼から血液を採取していました」

ここに来てから約10分後にアーロンとアスラは入って来た。そして‥‥。

ドボォォォォン! 

服を脱がされたアスラが水槽(?)の中に入れられた。
緑色の水が入った円柱状の水槽の中にパンツ一丁のアスラが浮かんでいる。

「こんなことしてアスラは溺れないの?」

マリーはアーロンに誰もが訊きたい質問をした。
アーロンはすぐに答えた。

「大丈夫ですよ、マリーさん。あの液体はアスラくんの
 肺の中で液体によるガス交換を行えるようにするものですから」

年下に対しても敬語は忘れない。アーロンは話を続けた。

「更に、あの液体内には沢山のナノマシンが漂っているんです」

マリーとホークアイの頭上に?が浮かんでいるのを見た彼は
すぐに説明を加えた。

「ナノマシンというのはですね、分かりやすくいうと
 ものすごく小さい医療マシンのことです。」

2人の表情の変わりようから、おそらく理解したのだろう。
アーロンは治療過程の説明を始めた。

「ナノマシンはアスラくんの体表から血管の中に入り込み 治療を開始します。
 体内を外側からではなく、内側から治療をするのです。
 アスラくんの場合は骨折部分の砕けた骨を分解し、それを再利用して 
 骨の生成を促します。 砕けた骨の欠片がどこかを傷つけていたら
 その部分を初期細胞※で修復していきます」
「へ~~~~~~‥‥‥‥‥」

5人はもうこれ以外の言葉が思いつかなかった。
爪の先の上で4列横隊に集合して集団行動ができる程の大きさなんて聞いたら
もう何も言えなくなった。

「つまり、そのすごぉ~~~く小っちゃいマシンがアスラを治してくれるんだね!」

このくらいが一番わかりやすいだろう。

「レントゲンの結果、この程度の骨折なら2時間もあれば回復するでしょう。
 常人なら丸一日かかるところですが"鎧人"の高い再生能力が
 治療と相まっているので回復が早いですね。」

「よかったね、アスラ」

マリーは水槽の中のアスラに向かってほほ笑んだ。




「俺のこと忘れてるだろ‥‥‥」

医療室のドアの隙間から隊長の顔が覗いていた。

「あっ‥‥‥すっかり忘れてました‥‥‥」
「やっぱりな‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

隊長はゆっくりと医療室に入って来た。
 
 

 
後書き
※ 初期細胞
その生物の細胞を初期化して作られた、現代で言うi〇S細胞。
この世界ではわずか10分で機械が自動的に作製してくれるらしい。
ガンになる可能性は限りなく0%に近いらしい。  詳しくはWEBで(嘘)
(あくまでフィクションなので実際にできるかどうかは無視しています)

忘れ去られていた隊長とは一体何者なのか?
アーロン青年と2人の関係とは?
"鎧人"はこの二人の内どちらなのか!

次回 第8話 チリも積もればゴミとなる お楽しみに!
 
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