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Fate/EXTRA〜もう一人のアーサー王〜

作者:Nelfe
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付きまとう物

 
前書き

どうも久しぶりの更新です。
いやぁ…なかなか時間がとれなくて話が進まないですね…。
ごめんなさい言い訳です。 

 


セイバーと相手のセイバーがぶつかる。ギリギリと剣が火花を散らしてぶつかっている中、違和感を感じた。セイバーが大剣を相手のセイバーに振り下ろしているのだが、相手はどうやってそれを防いでいる?目を頑張って凝らして見るが、どうしても武器らしき物は見えない。しかし、代わりに風が見えた。相手のセイバーが持っている『何か』を覆うように風が流れている。

アレはなんだ?武器の類いなのか…?そんな疑問が沸く中、俺は頭を左右に振った。

(一体何を考えている俺は!今はこの状況を何とかするのが先決だろ!)






白羽のセイバーは脚を前に出し、剣を振り切ろうとする。

「……!」

しかし、レオのセイバーは脚を後ろに出し相手が振り切るのを防ぐ。

「大丈夫ですかアーサー。手を貸しましょうか?」

その時、すぐ近くに立っていたレオが特に焦った素振りもなく自分のアーサーに声をかける。アーサーは顔色一つ変えず、相手を睨みつけながら答えた。

「心配は無用です、レオ。貴方はそこで見ているだけで良い」

「そうですか、無理はしないで下さいね」

レオの言葉を聞くとアーサーは怪訝な顔で白羽のセイバーに向け口を開いた。

「私に何の怨みがあるかは知らないが、貴様も騎士ならマスターの命令なしに動かない方が良い。いつかその行動が貴様のマスターを殺す事になる」


「…ッ!!」

セイバーの手に震えが走った。彼女がアーサーの言葉を聞き、どう感じて震えだしているのかは不明だが、言葉は彼女に届いたのが分かる。剣を通してアーサーもその震えを感じた。まるでその震えがセイバーの全てをアーサーに教えたかのようにアーサーの目が少し見開かれた。

「貴様、まさか……」


アーサーがそう言いかけた時だった。

「そこまでにしてもらおうか」

突然の声に全員がその声に視線を集中させる。声の主は戦闘の間を割って入る言峰神父がいた。

「二度も校舎を壊されるのはこちらとしても本望ではない。それに、有望なマスター達をすぐに失格にするのは気が引けるのでな」

しばらくの沈黙の後、セイバーはゆっくりと剣を収め、霊体化して消えた。







俺はセイバーが自分から剣を引いて消えていく所を黙って見ていた。言葉なんて見つからない。未だにどういう事なのかもよく分からない始末でどう声をかけたら良いのか分からないでいた。

その時だ。

「すみません、これ落としましたよ」

レオと呼ばれる男子生徒が俺に物を渡してきてくれた。それは携帯端末機。ポケットに慌てて手を突っ込むがない。ポケットの中に入れていた端末機が何かの弾みで落ちたんだろう。

そして、それを届けに俺に声を掛けていた所セイバーがアーサーと呼ばれるサーヴァントに攻撃を仕掛けた、と言うのが妥当だろう。こんな良い人に対して酷いことしたなぁ…。俺はその男子生徒から端末機を受け取ると深々と頭を下げた。

「あ、ありがとう!それとごめんな…俺のサーヴァントが迷惑かけて!」

すると、その動きにフッと相手は微笑んだ。

「いいえ、気にしてませんよ。では、僕はこれで」

レオは俺に背を向けると、ゆっくりと歩き出した。後ろに立っていたアーサーもこっちをチラッと見ると霊体化もせずレオの後ろをついて行き始めた。

遠ざかっていくレオの背中を見ながら、俺はこのまま黙って彼を行かせて良いのだろうか?と困惑した。黙っているのは俺自身が許せない。しかし、だからって何を言う。考えろ俺…何でも良い…何か一言…アイツの記憶の片隅でも良いから覚えてもらえるような一言は…。

しかし、考えている間にレオが階段を上ろうとしていた。

「待ってくれ!!」

ついとっさに口が出た。レオは足を止め、こっちに視線を移していた。

「何ですか?まだ何かありますか?」

その問いに少しばかりパニック状態になるが、冷静さを保ちつつ、レオに言いたい事をハッキリと言う。

「俺の名前は白羽 優!!お前の名前は!?」

その言葉にレオは少し口を開けていたがすぐにその口から笑みが零れた。

「僕の名前はレオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ。レオと呼んでくれて構わないですよ」

レオはそう言うと階段を上がって行った。とにかく、これで言いたいことは言えた。後はセイバーだ。あのアーサーと呼ばれるサーヴァントとはどのような関係なのかを知らなくてはならない。そう思いながら彼が階段を上がって行くのを見届けると言峰神父が不快な笑みを浮かべて近寄ってきた。

「この場を執りしきる私としての立場から言うのもなんだが、面白い物を見させてもらった。本戦を勝ち残ればいつかはレオと勝負ができる。その時まで精々頑張りたまえ」




言峰神父はそう言うと、そのまま歩いてどこかへ行ってしまった。残された俺はこれから何をすれば良いか分からないでいた。セイバーの今の精神状態でアリーナに行くのは無理そうだし、部屋に戻ってセイバーが元に戻るのを待つのも時間がかかるし…。

はぁ…と溜め息を吐いて頭を掻いた。

『すまないマスター。オレのせいで……そんなに困ってるんだよな?』

すると、霊体化したセイバーが声をかけた。しかも、彼女の声から察するに意外とさっきの事を反省しているようだ。しかし、反省はしていてもやる動機が知りたい。なぜセイバーがあんな行動に走ったのか。

「なんであんな事したんだ?」

『……言えない』

「お前はアーサーを知ってるのか?」

『……言えない』

あくまで黙秘するか…仕方ない、セイバーが話してくれるまで待つか。後は戦えるかどうかだ。

「分かった。じゃあ質問を変えるぞ。アリーナに行けるか?」

『行けるに決まっている!オレの精神力はダイヤモンドより硬いのだ!そんじょそこらの奴とは訳が違う!』

さっきとはまるで別人のように声に明るさが戻った。とりあえず元の調子のセイバーに戻ってくれたのはこちらとしても嬉しい。

「じゃあ早速行くか!」

『おう!』

セイバーの返事を聞くと、俺はアリーナに向かい始めた。


ーーーーーーーーーーーー


アリーナにて、セイバーは怒涛の勢いで目の前に現れるエネミーを斬り倒していた。さっきのレオとの件もあったが何とか立ち直ってくれたみたいで安心した。しかし、今日に限った事ではないが本当に騎士なのかと思うぐらいの戦い方だ。剣は投げるは、エネミーに対してグーパンチ食らわせるはでまるで荒くれ者みたいだ。


「ふん、大した事のない奴等だ。もう少し骨のある奴はいないのか?」

剣を床に突き刺し、首をコキコキと鳴らすセイバー。余裕があるようだが、油断は禁物だ。どこに敵がいるかも分からない所でそんなのんびりとされたら元も子もない。

「油断するなと言いたいのか?」

俺の表情を見て察したのかセイバーは声をかけた。俺は黙って頭を上下に振り、肯定する。

「心配はいらん。しっかり周りを警戒している」

だが、とセイバーは付け足した。

「奥の方にエネミーとは違う気配がする。恐らくサーヴァントだ」

サーヴァントがいると言うことは、まさか…。あるマスターが脳裏に過った。セイバーも既に相手は誰か理解しているようだ。彼女はふん、と鼻を鳴らし機嫌の悪そうな声で言う。

「朝での借りが返せそうだなァ」

剣を手に取るセイバー。ああ、確かに。ここで朝でのことを返さないと気が済まない。

「行こうセイバー。お前の力をあいつに見せてやれ!」

「勿論だマスター。やられっぱなしはオレも性に合わん!マスターの分もきっちりあの生意気な男に知らしめてやろう!」

セイバーはぶんぶんと片手で大剣を振り回し、構える。それを合図に俺は奥の方へと走っていく。


しばらく進んで行くと、人影が見えてきた。

「なんだ、奇遇だなここで会うなんて!僕に恐れをなして部屋に篭ってるかと思ったよ!」

こっちが来るのをまるで待っていたかのように腰に手を当て、間桐 慎二が立っていた。この人を見下した喋り方は本物に違いない。

そしてその隣にいるのが慎二のサーヴァント。顔にはブラックジャックのような傷があり、髪は燃えるように赤い。体型からして女だと言うことは分かったがそのサーヴァントから発する威圧的な眼差しに押し潰されそうになる。

「慎二ぃ、予定外の戦闘には追加料金が振り込まれるがそこは大丈夫かい?」

「ああ、任せといてよ。とりあえずはこいつらを手早く倒しちゃってよ」

慎二の言葉にサーヴァントは笑みを広げた。どこからか銃を取り出し、俺やセイバーに向ける。が、それで動じる程俺のメンタルもやわじゃない。こっちとしては散々命がけでここまで来たのだ。この程度でビビっているようじゃ生き残れない。

「随分と余裕だなお前。そんな口をたたけるということはさぞオレを楽しませてくれるということだな?」

「ッ!?」

セイバーは自分の放つ言葉に殺意を込めて言い放った。どうやらセイバーも慎二の言葉にくるものをがあったらしい。さすが負けず嫌いといったところか。慎二は身の危険を感じ、顔が若干引きつりながら後ろに一歩引く。

「はっ、安心しな慎二。お前は私の大事な金ズルなんだ!そう簡単には死なせはしないよ!」

慎二のサーヴァントがそう笑いながら、前に出る。今、互いのサーヴァントは臨戦態勢に入った。こっからはどちらが先に動くかで勝負が決まる。少しの静寂の後、すぐに動きがあった。

慎二のサーヴァントが銃を構え、放つ。パン、パンと放たれた銃弾はセイバーに向かって行く。セイバーはそれを避けず、寧ろ突っ込む形で走り出した。確かに鎧はあらゆる攻撃から守ってくれるがそれにも限界はある。剣や弓などは防げても銃は防げない。

がしかし、予想は覆された。セイバーは片手に持っている大剣を横に振り、飛び来る銃弾を弾いた。そして、相手のサーヴァントまで間合いを詰めるとその大剣を振るう。

サーヴァントはしゃがみ込み、攻撃を躱す。そして、そのまま銃をセイバーの腹に向ける。ほとんどゼロにも近い程の距離、これでは避けることもできない。

パンパンパンパン、と銃声が鳴り響いた。銃弾は見事にセイバーに命中する。しかし、セイバーは倒れなかった。むしろ、相手にまた新たな一撃を食らわせようとしている。

「ッ!?」

サーヴァントは後ろに下がり、距離をとろうとする。しかし、サーヴァントが戻ろうとしている時、セイバーは加速した。まるで足にジェットエンジンが付いてるかのように姿が消え、気づいた時にはサーヴァントに追いついていた。

セイバーは剣を持っていない方の手で拳を作ると、サーヴァントの腹めがけて一撃を放った。

「がはっ!」

サーヴァントの体は勢いに任せ、地面を転がった。しかし、それでもサーヴァントだ。ただ殴られたぐらいでは死なない。すぐに起き上がり、腹を押さえながら敵に銃を向ける。

「今のは今朝の無礼な挨拶の分だ。次決めるのは、さっきの非礼だ。心から後悔するが良い、哀れなマスターのサーヴァントよ」


セイバーは冷たく言い放つと、そっと剣を構えた。




 
 

 
後書き

中途半端に終わってしまいましたね…すみません。
次回の投稿は10月の中旬かなぁ…と思っております。
気長に待って頂ければ幸いです。 
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