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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Myth10-B嵐の前の安穏~魔神の剣槍


†††Sideオーディン†††

聖王家の治める国アウストラシアの王女であるオリヴィエの治療をするために週二でシュトゥラ王都ヴィレハイムへと赴く事となってから、今日で早5回目の診察日。今日も上級治癒術式エイルを使って、オリヴィエの両腕の障害を治している。回数を重ねるごとに確実に快復に向かっていて(エイルを使用しているから当たり前だが)、あと1回の治療で完治しそうだ。

「私のお願いを聞いて下さっているおかげで、もう完治まで僅かですよ、オリヴィエ王女殿下」

「はいっ。毎日、オーディン先生の仰ったリハビリのメニューをこなしていますし。それに、オーディン先生が下さったこのアルムバントのおかげで、両腕を動かすのがとても楽になりましたから、苦もなく出来ました♪」

オリヴィエはニコッと可愛らしい笑顔を見せ、「失礼します」と椅子より立ち上がった。何をするつもりなのか、と思っていると、出逢った頃より確実に動きまくっている両腕で、ジャブ→ストレート→アッパーのコンビネーションを披露した。
私と一緒にオリヴィエを見守っていたリサが「オリヴィエ様~」と感極まって泣き笑いなんだが、私としてはまさかコンビネーションとは思いもしなかった。聖王オリヴィエ。魔導と武技に於いて最強と謳われたのは知ってはいたのだが、もう少し女の子らしい仕草を見せてくれると想像していたため、「プフ」つい吹き出してしまった。

「え? どうかなさいましたか?」

「いえ。なんと言いましょうか・・・」

「仰ってください、気になりますっ」

「・・・その、予想できなかった事を、オリヴィエ王女殿下がなさったので、つい」

そう言うと、オリヴィエは「は、はしたなかったですか?」と頬を少し赤らめて動揺する。そんな彼女を可愛らしく思い、「いえ。よく思えば、貴女らしいと言うべきでしょうね」と笑みを返す。リサも「オリヴィエ様は元気いっぱいに動き回る方が良いですッ!」と私に同意する。
しかしオリヴィエは「リサ。それではまるで私が小動物みたいではないですか」僅かに頬を膨らませ、納得できないと言った風だ。リサの顔から血の気が引くのが目に見えて判る。そして「も、ももももも」動揺しまくりだ。

「「桃?」」

オリヴィエと2人して小首を傾げたところで、「申し訳ありませんッ! かくなる上は!」と土下座した後に“キルシュブリューテ”(神器ではなくデバイス)を起動し、なんと首に宛がった。これには私もオリヴィエも「ちょっ・・・!」慌てる。刃が完全に頸動脈付近に当たってる。ちょい刃を引いただけで終わる、リサの人生が。「この命で償いますッ」などと言うリサ。
捕縛系術式で止めようとした時、シュタッと目にも留まらない速さでリサの背後を取ったオリヴィエ。速いな。魔力無しでの技能だ。身体強化を行えば、おそらく今以上の速度で移動できるだろうな。そんなオリヴィエは“キルシュブリューテ”の刀身を掴んで、リサの自殺行為を阻止。

「待ちなさい、リサ。少しからかっただけだから、命のやり取り級にまで考えないで」

「オ゛リ゛ヴィエ゛様゛~~~、ぐす(涙)」

「ごめんなさい、リサ」

「はい゛~」

まぁ一件落着ということで。さて、改めて、今日の治療の仕上げと行こうか。オリヴィエにもう一度椅子に座ってもらい、両手を取る。使用術式を選定。クラスは中級、効果は補助・治癒。

――傷つきし者に(コード)汝の癒しを(ラファエル)――

「ん・・・・」

オリヴィエが小さく息を漏らす。両腕を包み込むサファイアブルーの魔力。治癒効果のあるブレスレット型自作神器・妖精の神薬(ファルマコ・ネライダ)の能力を強化し、最後となるであろう次の治療の布石とする。時間を掛け、丁寧に強化を行う。強化を終え、オリヴィエの手を壊れモノのように大事に扱ってそっと膝の上に戻し、「本日はこれにて終了です」と告げる。

「ありがとうございました、オーディン先生」

「本当にありがとうございます、オーディンさん。オリヴィエ様をお助け下さって、何とお礼を言っていいのか」

深々と礼のお辞儀をする2人に、「自らの信念の下に行動するのが、私ですから」と応えておく。さて。用事も終わったことでそろそろお暇しようかとした時、扉がノックされた。リサがオリヴィエに応対してもいいか、という視線を向け、オリヴィエは頷き応えると、リサは扉に向かう。
リサが「はい。何用でしょうか?」そう尋ねると、「失礼します。クラウス殿下がオーディン様に御話があるとの事を、オーディン様にお伝えに参りました」と、若い女性の声が返ってきた。

「判りました。部屋の外で伺いますからお待ちください」

「承知しました」

「ではオリヴィエ王女殿下、リサ。私はこれで失礼します」

オリヴィエに一礼してから、リサと入れ替わるように扉の前に立つ。2人に見送られながらオリヴィエの私室を後にし、少し離れた場所で待っていてくれた二十代前半くらいのメイドへと歩む寄って行く。「お待たせしました」と言うと、そのメイドは「いえ。ではこちらへ」無表情かつ感情の籠っていないかのような声で応じ、オリヴィエの私室のある離宮ではなく、本宮に在るクラウスの私室へと案内し始めた。

「「・・・・・・」」

本宮に入ってからも変わらず互いに無言。しかしすれ違う騎士には、武器を胸に掲げての礼の姿勢を取る者が大半。中には先の戦で見知った者も居た。私相手に緊張しているのか動きが硬かった気がする。で、他のメイドともすれ違い、私に微笑みながら僅かに手を振って挨拶をしてくれる。

「段差がありますので、ご注意ください」

(やはり素っ気ないな・・・・)

主ではない私に様付けをする事に抵抗があるのか、それとも元より好かれていないのか、どちらにしてもあまり良く思われていないようで、ちょっとヘコむ。無言のまま案内されたクラウスの私室。彼女は扉をノックし、「殿下。オーディン様をお連れいたしました」と告げる。
室内から「ありがとう。入って頂いてくれ」と、クラウスからの返答。彼女が扉を開ける。思っていたより小さな部屋(オリヴィエの部屋より少し小さく質素か)の中、クラウスが私を出迎えてくれた。

「お待ちしていました。どうぞ、お座りください」

「ありがとう。それにしても、一国の王子を待たせるとは、私も偉くなってしまったな」

「元とは言えオーディンさんは一国の王だった方。実際に偉いではないですか」

「今は流れ者だぞ」

クラウスに倣って部屋の中央にある2つの肘掛椅子に腰かける。「では、私はこれにて失礼いたします」と一礼して去って行くメイド(何故か駆け足)。つい「私はあまり好かれていないのだろうか?」と尋ねてしまった。
するとクラウスからは「そのような事はないはずですよ」との返答。むぅ。扉へと向かい、僅かに開けて聞き耳を立ててみると、「きゃあああっ、オーディン様とお話ししちゃったぁぁああっ」さっきのメイドの声だった。

「やったじゃないっ」

「聞いて聞いてっ。オーディン様って、以前は一国の王様だったんですって♪」

「王族っ!? 通りで気品のある方だと思ったわ♪」

「あ、でもどうしよう。緊張してた所為で、冷たく思われたかも」

「あとで笑顔で御声を掛けてみればいいじゃない」

他のメイド達と話しているのが遠くの方から聞こえていた。嫌われているわけではなくて良かった。パタンと扉を閉め、席に着き、改めてクラウスと挨拶を交わした後、彼は私との間にある丸テーブルにアタッシュケースを置いた。

「ご所望の品ですよ、オーディンさん。武装に必要な部品、ようやく揃える事が出来ました」

「おおっ! ありがとうクラウスっ」

カートリッジシステム搭載のアームドデバイスの製作に必要な部品を、クラウスが用意してくれるという事で待っていたが、ようやく頂けるんだな。クラウスがケースを開け、中身を見せてくれた。デバイスの頭脳とも言うべきコア。
そしてカートリッジを装填するためのパーツ。フェイトの“バルディッシュ・アサルト”と同じ六連式リボルバー×2だ。「手に取っても?」と尋ねると、クラウスは「もちろんです」と快く許してくれた。
やはりコアは新品じゃないとな。それに、六連式リボルバー。このパーツは、どの上位騎士のデバイスからも手に入らなかった。だから注文したんだが・・・「良い品だな。期待以上だ」パーツを作ってくれた者には心底脱帽、そして感謝する。

「貴方にそこまで喜んでいただければ、技術部のみなも大変喜ぶでしょう」

クラウスの用事であったデバイスの部品を受け取った私は、ようやくデバイスを完成させる事が出来る喜びに興奮しながらアムルへ帰還した。ちなみにここまで案内してくれたメイドは別の仕事があったらしく、会えずじまいだった。アムルの街路を歩いてシュテルンベルク邸に向かう中、手に下げたケースに何度も目が行く。

(早速デバイス作成の続きといきたいな)

屋敷の正門から玄関へと続く道を歩いている中、屋敷の窓から庭を眺めていたエリーゼと目が合ったため「ただいま、エリーゼ」と挨拶すると、エリーゼは「あ、お、お帰りなさいオーディンさん」と挨拶を返してくれたが、すぐに顔を赤くして気まずそうに姿を消した。
昨日の事が原因だ。ターニャの謀略(子供に何をさせているんだか)によって、私の前で下着姿を晒す羽目になったエリーゼ。奥の部屋に連れ込まれた後、男が聞いてはいけない内容の話し声が漏れてきたために、私は2人の声限定で聴覚封印を行った。私に用事が出来れば、体に触れて教えてくれると思っていたから、2人の声を封じても問題ないと思ったんだ。

(しかしまぁそれが仇になるとは・・・・)

今朝も何度か声を掛けようと努力していたようで、だったら私は待とうと考えた。結局、軽い挨拶程度なら交わせたが、長話となると駄目だった。こちらから歩み寄って逃げられてはこちらが参るし、時間が解決してくれる事を祈るだけだ。さっきまでのテンションが嘘のようにトボトボと作業室(私室とは別に用意された部屋だ)へ向かう。その途中に通り過ぎる事になる自室。その自室の扉が開いて、アギトが出てきた。

「あ、マイスター。お帰りなさいっ♪」

「ああ。ただいま、アギト。留守中、急患はなかったか?」

「えっと、シグナムの一撃を受けて脳震盪を起こした人が2人」

「そうか、いつも通りだな」

「うん、いつも通り」

熱心で本気なのはいいが、少しやり過ぎ感が否めない。まぁ脳震盪を起こしているのは基本的にシグナムのファンだ。木刀を振るうシグナムに見惚れている間に頭に一撃もらう。同性異性関係なく、だ。それでも騎士教室をやめることなく、何度打ちのめされようとも通い続けている。

「アギト。少し作業室に籠る。午後の診察回りは、すまないがシャマル達に任せたい」

「え? あ、うん。あたしから伝えておくよ」

「ありがとう。あとで直接シャマル達に謝らないとな」

「その方が良いと思う。じゃあマイスター。大事な用事みたいだから、その、頑張って」

「ありがとう」

礼を言い、私はアギトと別れて作業室へとまた歩き出す。作業室の奥に設けられた作業台の上に置かれている製作途中のデバイスに掛けた布を捲る。私の神器“神槍グングニル”と同じデザインのソレ。30cmほどの柄の上下に1mほどの穂がある。2つの穂の付け根に、リボルバーを設置する部位がある。

「さぁて・・・・すぐに完成させてやるからな。エヴェストルム」

デバイスの名を告げつつ、穂をそっと撫でる。“水銀”・“万能薬”・“賢者の石”・あらゆる物事の始めから終わりを司る象徴として用いられる“アルファとオメガ”や“アレフとタウ”・“巨大な力を解放する引き金”。様々な意を持つ“エヴェストルム”を、私はデバイスの名称として付けた。少し大げさな気もするが、妙な名前よりかはマシだろう。

「よっしっ! やるかッ!」

†††Sideオーディン⇒アギト†††

マイスターは王都より帰って来てからずっと作業室に籠りっぱなし。一度だけ顔を出して、自分の代わりに医務仕事をしてくれたシャマルやモニカ達に、任せっぱなしにした事を謝っていたけど、でもすぐにまた籠った。そして今、あたしとシャマルとシュリエルは、夕ご飯をトレイに乗せて作業室の前にまで来てる。で、誰が扉をノックするか決めかねてる状況だったりする。だって・・・・

「むぅ・・・声を掛け辛い空気が扉の向こうからひしひしと・・・」

「う、うん。・・・シャマルかシュリエル、やってくれる?」

「え? 私? えっと・・・ちょっと遠慮したいかなぁ~」

「確かに・・・それで叱られると思うと、少し気が引けるんだが・・・」

「あたしだってそうだよ・・・」

ポツンと扉の前で佇む中、シュリエルが「料理が冷めてしまうな」急かすような事を言ってくる。あたしは「ここはやっぱりシュリエルが」って押しつける。すると「いや、ここはやはり先輩であるアギトかシャマルが」シュリエルもあたしかシャマルに押しつけようとしてきて、シャマルも「ここはやっぱり大先輩のアギトちゃんが」あたしに押しつけようとしてきた。このままだと料理も冷めちゃうし。でもマイスターの邪魔をしたって事で叱られるのも嫌だし。

「「「う~~~ん・・・・」」」

3人で唸っていると、「なんだ、まだオーディンに夕飯を届けていなかったのか」背中に掛けられた、ちょっと呆れたような声。振り返ってみると、そこにはシグナムとヴィータが居た。ヴィータも「冷めちまうだろうが」ってシュリエルが手に持つトレイに乗った夕ご飯を見る。

「だって。なんて言うか邪魔しづらい空気が扉から伝わって来るのよ?」

「オーディンが根を詰め過ぎているといけないから、医者のお前をアギトとシュリエルについて行かせたのだろうが。役に立たん奴だな」

「藪医者か?」

「酷いっ! そこまで言う事ないじゃないっ、シグナムっ、ヴィータちゃんっ(泣)」

シャマルがガックリ廊下に四つん這いになって項垂れた。藪医者は言い過ぎだよ。代わるようにシグナムが「私がお呼びする」って扉の前に立ったけど、「む、これは・・・」ノックする体勢で硬直。そして小さく「た、確かにこれは少しやり辛いな」って漏らした。
今度はヴィータが「シグナムまで何やってんだよ、たく」って扉の前に立って、「おーい、オーディン。晩飯できたけど、食う?」なんの躊躇もなくコンコン扉をノック。あまりにアッサリとノックしたから、戸惑ってたあたし達は無言でヴィータの背中を見詰める。シュリエルが「返事が無い、な・・・」って言うと、またヴィータが「おーいっ」連続ドンドンノック。ゆ、勇者がここに居る。

「なっ? おい、ヴィータっ、さすがにそれはオーディンの気を悪くさせてしまうやもしれんっ」

「そ、そうよヴィータちゃんっ。コンコンくらいならまだいいとして、ドンドンはまずいわっ」

「だって返事ないし、しゃあねぇじゃんか」

シャマルがヴィータを退かして、扉に耳を当てて室内の様子を窺う。とその時、ガチャッとドアノブが回って扉が内側に向かって開いた。シャマルは扉に耳を当てていた体勢のまま硬直。あたし達も硬直して、薄暗い部屋を背にしてるマイスターを見詰める。
俯いて一言も喋らないマイスターに、さすがのヴィータも若干後ずさりながら「えっと、オーディン・・・? 晩飯、なんだけど・・・食う、よな?」そう訊いた。で、夕ご飯の載ったトレイを持ったシュリエルはと言うと、顔は見えないけど明らかに不機嫌そうなオーディンの雰囲気に縮こまってる感じで硬直。

「マ、マイスター? これは、その、みんな、マイスターの事を心配して・・・・」

何も言わないで居るより、ちょっとでもこうなった状況の説明をしてマイスターの機嫌をどうにかしないと。だからそう言ってみたんだけど、マイスターは変わらず無言。あたしは泣きそうになる。ここでシャマルが立ち上がって、マイスターと正面から向き合う。で、「え? まさか、立ったまま眠ってる?」マイスターの顔を覗き込んでそう言った。あたし達は揃って「え?」って訊き返して、マイスターの元に集まって様子を窺う。

「ち、違うわっ。眠ってるんじゃなくて気を失ってるわっ!」

シャマルがそう訂正した後、マイスターがうわ言のように「目が死ぬ・・・」って言った後、シャマルにもたれ掛かるように倒れた。マイスターを抱き止めたシャマルは「きゃぁぁぁっ!? オーディンさん、しっかり!」って叫んで、「うおおおおっ!? オーディンがぶっ倒れたッ!?」ヴィータは慌てふためいて、シグナムは「い、医者だッ、医者を呼べッ!」目の前にシャマルっていう医者が居るのにそんなこと言ってるし。シュリエルは「シャマルっ、オーディンの容体を調べろッ」冷静のようだけど、トレイを手放した所為で夕ご飯は床に落下、もう食べられない。

「い、急いでマイスターの部屋にッ!」

そしてあたしは、こんなこと言うのもなんだけどマイスターが倒れるのを何度か見てるから慣れて、それに倒れた原因が記憶障害っぽくないから冷静で居られたから、マイスターを部屋に運ぶようにシグナム達に言えた。シグナムとシュリエルがマイスターの両側から肩を貸して、マイスターを運んで行った。で、シャマルの診断の結果、やっぱり過労だった。マイスター、一体どんな無茶したんだろう?

†††Sideアギト⇒シュリエルリート†††

翌日。「おはよう、みんな」といつもと変わらない調子のオーディンとアギトが食堂に入って来た。普段であれば我々は挨拶を返すところなのだが、まずエリーゼ卿が「オーディンさん、お話しがあります」と告げた。
食堂の空気が重くなるのが判る。しかしオーディンは「昨夜は迷惑を掛けてすまなかった」とエリーゼ卿が説教をする前に、私たちの前で頭を下げた。心の底からの謝罪であると理解できるほどに真摯なもので、許そうという空気が生まれる。

「わ、判って頂いているならいいんです、はい」

「エリーゼ。謝ったって許さない、って言っていたような――」

「そんなこと言ったっけ?」

「まぁ別にいいのだけど・・・・」

アンナからそう言われたエリーゼ卿がとぼける。私も先程そういう風に聞いていたが、ここは流すのが良いのだと察し、無言を貫く事にした。シグナム達もそのようだ。エリーゼ卿から視線を逸らし、明後日の方を見ている。

「アギトから話は聞いたよ。シグナム、シュリエル。部屋にまで運んでくれたそうだな。ありがとう。アギト、シャマル。看病してくれて、ありがとう。ザフィーラ。私が休んでいる間、アムルの周囲警戒をしてくれて、ありがとう。そしてヴィータ」

「おうっ」

「何もしていない君に、特に礼は無い」

「だと思ったよ。あたしも、あーなんもやってねぇな~、って思ってたし」

「そのうえヴィータって、マイスターの夕飯後の為のデザートもこっそり食べたよね」

「ああ、美味かった♪」

オーディンとエリーゼ卿、アギトとヴィータとシャマルの笑い声が、食堂に響く。それから朝食を終え、話は昨夜までは無かった、オーディンの左手の中指にはめられている蒼銀の指環へと移る。エリーゼ卿が「オーディンさん。ソレが、オーディンさんの製作した武装、ですか?」と尋ねる。
食後のコーヒーを飲み一息吐いているオーディンが「ん? ああ。エヴェストルムだ」と立ち上がって答え、おもむろに「起動」と告げ、指環を武装へと変形させた。ソレは槍のようで剣のようでもある武装だった。柄の上下に長い刃が付いている。
見た目からしてかなりの重量であると思われる“エヴェストルム”を軽々と片手で回し、構えた。エリーゼ卿とアギトとシャマルが「おお」と感嘆を漏らす。

「それって、オーディンさんが魔導でよく見せるものと同じ形ですよね」

「そうだな。私は槍使いだから、魔導も槍の形にしているんだ」

確かにオーディンが魔力で様々な槍を構成していた。いや、それより槍だったのか。よかった、剣、と口にしなくて。

「エヴェストルムを使えば魔力消費も抑えられるし、敵から武器を奪わないでよくなる。そう思うと、すぐにでも完成させたくなって――」

「作業室に籠って、無茶な作業を続けて過労で倒れた、と」

アンナがそう睨みを効かせて確認すると、「・・・その通りだ」とオーディンはしゅんと肩を落とした。オーディンは、何故かアンナを相手にすると若干弱くなる気がする。私たち“闇の書”がオーディンの元に来るまでに、アンナと一体何があったのか気になっていたりする。

「えっと、それはともかくとして。オーディンさんの記憶障害に陥る回数が減ると言うのなら、わたしはすごく嬉しいです」

「そ、そうだよね。マイスターの大事な記憶を守れる事になるなら、1日くらいの過労なんてどうでもいいよねッ♪」

「どうでもいいって事はないと思うけれど。けど、そうね。オーディンさんがエリーゼや私たちの事を忘れてしまうような事態が無くなったと思えば、心配させた罪も和らぐかしら」

「あの、アンナ。オーディンさんは一応年上だし、もうちょっと・・・ね?」

オーディンは“エヴェストルム”を指輪に戻して席に着き、「いいよ、エリーゼ。今さらアンナにかしこまられた態度を取られると、かえって気が滅入る」と言い、残りのコーヒーを飲むのを再開。アンナは「だそうよ?」とエリーゼ卿に微笑み、「オーディンさんがそう言うなら、いいんですけど・・・」とエリーゼ卿は少し納得がいかないような風だが、この場は引いた。

「あ、そうだ。アンナ、昼食は外で頂くから、弁当を作ってもらってもいいか?」

「お弁当、ですか? 構いませんが・・・はい、判りました」

「あの、オーディンさん。お昼はどこかへ行かれるのですか?」

「ああ。エヴェストルムの機能試験を行わないと。いざ実戦で機能不全を起こして窮地に陥る、なんて事は御免被りたいからな」

エリーゼ卿は「そう、ですか・・・」と寂しそうに呟いたのが聞こえた。話はこれで終わり、この場は解散となった。
朝食後は午前での仕事となる。オーディンはモニカとルファ、そしてアギトとシャマルと共に医務院での仕事を普段通りこなしている。その様子を窓から眺める事が出来た。ちなみに私は使用人服を着て、アンナやシグナムとヴィータ、ザフィーラと共に屋敷内の清掃に勤しんでいる。
自分が掃除した事で綺麗になると、「うむ。ホコリ一つとない」とても気分が良くなるものだ。汚れた雑巾を洗って絞り、「ふぅ。良い仕事をした」黒くなったバケツの水を捨てに行く。裏庭の草に水を捨て終え井戸の湧水で手を洗っているところに、「シュリエルさん。お疲れ様です」と裏口からアンナが覗いていて、そう労いの言葉を掛けてくれた。

「お疲れ様です、アンナ。一階の窓の拭き掃除、終わりました」

「ありがとうございます。今日は人手がありましたから助かりました」

アンナは年相応に可愛らしい微笑みを浮かべ、中庭と二階へと視線を移した。中庭の花壇の水やりに草抜きをやっているであろうヴィータとザフィーラ、二階の清掃を任されているシグナム、共に今日は騎士教室が休みなため屋敷の仕事の手伝いだ。

「シュリエルさん。オーディンさんの昼食のバスケットです。私はまだ水回りの掃除があるので、あなたが届けてください」

「はい、判りました。ありがとうございます」

バスケットを受け取ると、アンナは「皆さんの分も作りましたので、どうぞオーディンさんとご一緒してください」と言って、屋敷内に戻って行った。それから屋敷清掃班の私たちは合流し、医院での仕事を終え休憩に入ろうとしていたオーディン達と合流。

「それじゃあモニカ、ルファ。午後からも頼むな」

「はいっ♪ でもでもオーディン先生、練習のし過ぎでまたぶっ倒れないでくださいね♪」

「オーディン先生。モニカの言う通り、午後からの診察もありますから無茶はしないでくださいよ?」

「あはは、了解。しかし私がいなくても、シャマルが居て、2人もシャマル直伝の癒しの風を習得しているから安心しているんだが・・・」

「ダメですよ、オーディンさん。安心だから居なくてもいいだなんて。キッチリ仕事を頑張ってもらいますっ」

シャマルにそう言われ、オーディンは「了解です、シャマル先生。無茶しません。仕事も頑張りますっ」と片手を上げ宣誓、シャマルも「よろしいっ♪」と満足そうに笑う。オーディンを“闇の書”の主としてから騎士たちはよく笑うようになった。今のシャマルの笑顔も、私が憶えている限り今までの転生の中では見た事が無い。

「そうだぞ、オーディン。無茶はダメだ」

「そうだな。またオーディンの食事を、食い意地の張ったヴィータが食べてしまう」

「うっせぇな。残すくらいなら食べた方がいいじゃんか。捨てるなんて勿体ないほどに美味いし」

そんなシグナムとヴィータのやり取りも、今までなら考えられない。ヴィータも私相手に怒鳴ることが無くなった。それがとても嬉しいのだ。私とて今まで騎士たちの事を二つ名で呼んでいた。烈火の将、紅の鉄騎、風の癒し手、蒼き狼、と。
しかしオーディンから、皆を二つ名ではなく名前で呼ぶようにお願い(命令ではなく、だ)され、期待に添えられるように努めた。最初は苦労したが、今では言い間違える事なく名前を呼べるようになった。それは本当の家族になったように思え、嬉しかったものだ。

「――さて。アンナはみんなの分も用意してくれたんだよな。じゃあ一緒に行くか」

「「うんっ」」「「「「はい」」」」

そして私たちは、実戦が行えるようアムルの外れにまで向かう事になった。

†††Sideシュリエルリート⇒シグナム†††

アムルより出て、我らは隣街ヴレデンとの間に広がるヴュルセルン平原を訪れた。街道から遠く離れているため、アムルとヴレデンを往来する人には迷惑は掛からないはず、というのがオーディンの言だ。周囲の確認を終えたオーディンは「エヴェストルム、起動」と告げ、指環を槍へと変え、騎士甲冑姿へと変身した。
ここで私は「試すのであれば、相手が必要ではないですか?」と尋ねる。単独で“エヴェストルム”の機能試験を行うより、やはり相手が居た方が良いと判断したからだ。それに「一度オーディンと剣を交えてみたいですし」という、もう一つの理由を告げる。魔導だけにおいては私はまず相手にならないだろう。しかし斬り合いならば、おそらく良い線までいけるはずだ。

「う~ん、そうだな・・・じゃあ頼めるか? シグナム」

「はい。喜んで。レヴァンティン、行くぞ」

首から提げていた“レヴァンティン”を起動し、騎士甲冑姿へと変身する。

「それじゃあ陸戦限定での試合。私は広域・射砲撃の魔導は使用せず、シグナムは普段通りでいい」

「判りました」

“レヴァンティン”を正眼に構え、オーディンは“エヴェストルム”を水平に構えた。槍の構え方ではない。こう言ってはなんだが、元より槍としての形ではなかった。ゆえに、槍の唯一の攻撃法である刺突にだけ注意すればいいというわけにはいかず、斬撃にも警戒しなければ。互いにジリジリと僅かだが確実に距離を詰め始める。先手で行くべきか、後手に回って迎撃か。

「では、最初の機能試験を始める。エヴェストルム、カートリッジロード」

≪Explosion≫

――集い纏え(コード)汝の火炎槍(フロガゼルエル)――

――集い纏え(コード)汝の雷電槍(ブロンテーゼルエル)――

2つある装填部が回転し、それぞれ一発ずつカートリッジをロードすると、片方の穂に蒼い炎、もう片方には蒼い雷が付加された。魔力付加。オーディンは魔力を直接槍の形に構成、固定して、攻撃手段としていた。魔力消費量で言えば、確かに武装に付加する方が低いだろう。

「レヴァンティン、カートリッジロード・・・!」

“レヴァンティン”のカートリッジを一発ロードし、刀身に火炎を発生させる。そして、互いに同時に動く。

「はぁぁぁぁッ!!」

「紫電・・・一閃!」

横薙ぎに振るわれる“エヴェストルム”。私は振り下ろしの一閃。互いにほぼ全力での炎の斬撃が衝突。鍔迫り合いの如く拮抗し、互いの火炎が爆発する臨界点間近というところで、

≪Zwillingen Schwert form≫

“エヴェストルム”の柄が半ばで分離し、槍から二刀一対の双剣となった。オーディンが「よし、上手く行ったな」と蒼雷が付加されている片方の穂を振りかぶる。振るわれる前に、鍔迫り合いしていた“エヴェストルム”と“レヴァンティン”の炎が爆発、爆炎と爆風によって強制的に距離を取ることになった。

「へ~、エヴェストルム、分離して武器が2つになるのかぁ~」

離れた場所で観ているヴィータから漏れる感嘆の声を聞きながら、煙幕の向こう側に居るであろうオーディンに警戒し続ける。煙幕が晴れていき、双剣形態のままの“エヴェストルム”をダラリと下げた状態で佇むオーディンが視界に入る。

「よし。次だ」

≪Zwillingen Lanze form≫

また形態変化。柄がグッと伸び、双剣から二槍一対の双槍と化した。

≪Explosion≫

――集い纏え(コード)汝の閃光槍(ポースゼルエル)――

右の“エヴェストルム”がカートリッジをロードし、穂に蒼い光が付加される。そしてオーディンは右の“エヴェストルム”を私に向かって投擲。あまりに一直線過ぎる一撃。罠か?と疑ってしまうが、ここは下手に防御をせずに回避を取る。左手に持っている“エヴェストルム”の柄頭を、投擲したばかりの“エヴェストルム”に向け「パイチェフォルム」と一言。この間、一切オーディンから視線を外さなかった。だからこそ見えてしまった。

≪Peitsche form≫

柄頭から高速で伸びる蒼い魔力の縄が、私の背後に突き刺さった“エヴェストルム”の柄頭からも伸びた魔力縄と繋がった。(パイチェ)とはそういう事かと理解する事となった。魔力縄が鞭となり、先端にある柄が短くなって再び剣と化した“エヴェストルム”で刺突と斬撃を行う。
そしてオーディンの手元にもまた槍形態の“エヴェストルム”がある。接近してきた相手を迎撃するためのモノだろう。実際、私が先端の“エヴェストルム”を弾き飛ばし、オーディンの懐に飛び込もうとした時に迎撃されてしまった。何度か間合いに入って斬り合いになるが、長柄の槍を武器としているのに斬り返しが速く、なかなかオーディンに掠り傷すら負わす事が出来ない。

(魔導だけでなく槍術ももはや達人級、か・・・・!)

それだけでなく押し切れると思えたところで、槍の“エヴェストルム”の柄頭から伸びている鞭と、先端の剣“エヴェストルム”が妨害して来て距離を取らざるを得なくなる。

(離れては鞭による打撃と先端の剣形態エヴェストルムによる斬撃・刺突。接近すればオーディン自ら槍形態のエヴェストルムによる迎撃。これは・・・厄介だな。こちらも連結刃形態シュランゲフォルムで対抗するのが吉か・・・?)

対“エヴェストルム”の戦術を組み立てているところで、「あ、すまないシグナム。今日はこれまでにしてくれ」とオーディンが告げた。理由は、魔力縄が突然消えてしまったからだ。オーディンが解除したわけではなく、何かしらの問題が発生しての事だ。
不完全燃焼だが、元より戦いが目的ではなく、“エヴェストルム”の機能試験を行うのが本来の目的だ。ゆえに「判りました」と“レヴァンティン”を鞘に収め、待機形態の首飾りにし、服装も戻す。

「むぅ、エラーが出たな。プログラミングに問題があったか?」

そう1人思案に耽るオーディン。そんな彼を見ていると、「お疲れ、シグナム」とシャマルが労いの言葉と共に、タオルを差し出してきた。受け取って顔の汗を拭いながら「ああ」と返す。今度はシュリエルが「水だ」と水の注がれたコップを渡してくれた。「すまないな、シュリエル」喉の渇きを水で潤し、一息吐く。

「それで、どうだったの? オーディンさんとの一戦は・・・?」

「・・・魔導だけでなく槍術もすごかった。あの防御を切り崩すのは相当骨が折れそうだ」

「それってつまり全力で行けば、オーディンさんを倒せるって事?」

「いや、それは無理だな。今の試合のように制限があれば一撃くらいは与えられそうだが、先の戦で見た魔導がそれに加われば手に負えない」

魔力の槍を雨のように降らせるような魔導に、強大な威力の同時多数砲撃、戦船を掴んだ巨大な腕による拳打。それらが補助としてオーディンの戦術に加われば、もはや実力がどうのこうのという次元ではなくなる。判っていた事だが、オーディンはもう人間の限界を超えている・・・。

「アムルに帰って詳しく調べないといけないな」

「なあなあオーディン。ちょっといいか?」

「どうした? ヴィータ」

オーディンが“エヴェストルム”を連結して槍に戻し待機形態の指環に変えたところで、ヴィータがオーディンに歩み寄って行った。

「オーディンって、色んな魔力変換が出来て付加する事が出来るよな。炎熱や電撃とか」

「まあな。それが?」

「それって、他の奴にも付加できたりするのか?」

「たとえば?」

「あたしのアイゼンとか、シグナムのレヴァンティンとか、ザフィーラの拳とか」

「出来るぞ。試しにやってみるか?」

「うんっ!」

ヴィータは嬉しそうに元気良く頷き、「よっしゃっ!」と“グラーフアイゼン”を起動した。オーディンは「手始めにグラーフアイゼンのヘッドな」と言った後、指を鳴らした。すると“グラーフアイゼン”のヘッドに蒼雷が付加された。オーディンの左手に魔力で構築された槍が一振り生まれ、「とりあえずその状態で私に攻撃してみろ」と告げる。

「え? いいのかよ。あたしの一撃って結構重いぜ?」

「大丈夫だ。構わずやってみろ」

「お、おうっ!」

騎士甲冑へと変身したヴィータは、蒼雷を纏う“グラーフアイゼン”を振りかぶり、オーディンへ向け振り下ろす。魔力槍と“グラーフアイゼン”が衝突したと同時、雷光が炸裂する。ヴィータが「電撃の一撃かぁ。ブリッツ・シュラーク、がいいな」と勝手に名付けていた。オーディンも「いいんじゃないか、ブリッツ・シュラーク。判り易くて」と同意している。

「なんか面白くなってきた。なぁオーディン、もうちょっと試したい事があるんだけど」

それからというものヴィータは様々な属性を付加された魔導を試し打ち。シュワルベフリーゲンに炎熱を付加させたシュワルベフリーゲン・フランメ、電撃のシュワルベフリーゲン・ドンナー、氷結のシュワルベフリーゲン・アイスなどなど。
ちなみに、「シグナムやザフィーラ、シャマル、シュリエルもやってみるか?」とオーディンが仰せだったので、少しばかり、な。
私とは連携の紫電十字閃、紫電嵐閃など。ザフィーラは拳打に電撃、蹴打に炎熱と分けられての炎蹴雷打、オーディンとの連携技・狼王塵砕牙など。シュリエルはデアボリック・エミッションをオーディンと同時に(驚くべき事にオーディンは見ただけで他者の魔導を憶える能力があるとの事だ)複数発動するデアボリック・エミッション・ヘクサ、ブルーティガー・ドルヒに様々な属性付加させたエレメンテン・ドルヒなど。

「――しかし、シャマルはよく考えると攻性の魔導が少ないよな」

「はい。私は治癒と補助が本領ですから」

「シャマルはいいじゃん。前線じゃないんだし、後ろで回復をやらせておけば」

「なんか酷い言い方な気が・・・」

ヴィータにぞんざいに扱われたシャマルがガックリ肩を落とす。そこに、アギトから「そろそろアムルに帰らないとダメかも」と告げられたオーディンが「しまった」と焦り始める。結局、アンナに用意してもらったサンドイッチは帰路の途中で食べ歩きという事に。アムルに帰ってオーディンとシャマルと別れ、屋敷に戻ると・・・

「お帰りなさい、みなさん」

アンナがエントランスホールで仁王立ちしていた。結構な威圧感を放っている。なるほどオーディンも飲まれてしまっても仕方がないな、これは。

「ただいま帰りました。アンナ、何かありましたか?」

「ええ、ありました。随分と派手に練習をしていたようですね。アムルへ訪れた方々が騒いでいました。ヴュルセルン平原で魔導戦が行われている、と。悪い事だとは言いませんが、一般の方に不安を与えるような事はしないでくださいね」

おかしい。迷惑が掛からないように街道より遠く離れて行っていたのだ。ふと、我らの視線は1人に向けられる。シュリエルだ。シュリエル自身も騒ぎの原因の片方であると理解しているためか、すまなさそうにしている。おそらく一般の者を騒がせた魔導というのは、デアボリック・エミッション・ヘクサだろう。たださえ強大かつ巨大な魔導だ。それが空に7つも発動されたとなれば、否応なく人目に着くだろう。
この後、仕事より帰ってきたオーディンもアンナの説教を受けた。オーディンがアンナを苦手とする原因を垣間見た瞬間だった。

「どうもすいませんでしたッ!!」



 
 

 
後書き
ザオ・シャンハオ、ニー・ハオ、ワン・シャンハオ。
ようやくオーディンのアームドデバイス・剣槍エヴェストルムが登場。
意味は、本編参照。本来の名は、アゾース又はアゾート。
錬金術師パラケルススが、アゾースをエヴェストルムと呼んでいたそうです。
待機形態の指環、通常のランツェフォルム、双剣のツヴィリンゲン・シュベーアト、双槍のツヴィリンゲン・ランツェ、鞭のパイチェの4つ。
外見はAUSUR当時から変わらず、ヴァルキリープロファイルのグングニルです。
神器・神槍グングニルもまた同じデザイン。どちらも穂の幅はあれほど広くなく、半分くらいでしょうか。
 
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