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東方大冒録

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十六夜咲夜、紅美鈴。

 
前書き
さぁ、もうわかってるでしょ?(笑)
なんてことは言いません。みんなのヒロイン十六夜咲夜さんのご登場です。
そして美鈴は今回からは本物です。 

 
暗基は、あまりにもきれいにナイフが刺さっていて、むしろ感心した。

「一種の芸術だよなぁ、ここまできれいにナイフがぶっ刺さってると」

ふと思ったことを口に出してしまう暗基。すると、

「誉め言葉と受け取っておきましょう」
「うおぁ!?」

後ろから声が聞こえた。後ろを振り返ってみると、そこには銀髪で三つ編みのメイドが立っていた。よくみるとそのメイドの脚には、ナイフのホルダーが装備されている。これはもう決まりだ。

「……、あんたは、十六夜咲夜だな?」
「えぇ、その通りよ」

紅魔館のメイド長、十六夜咲夜(いざよいさくや)。東方紅魔郷では5面ボスをつとめている女だ。こうして改めてみると、やっぱりカッコいい。見た目は。
ただ、暗基の能力は、咲夜の霊力はなかなかひん曲がっている性格をしていると言っている。

(ん? まてよ?)

固有の霊力を感じ取れたということは、咲夜はマガイモノではないということになる。そうなると、紫、藍以外でマガイモノになっていない者を見るのは初めてということになる。確認のため、目の前の咲夜に聞いてみる。

「あんた、本物か……?」
「……!? あなた、マガイモノのことを知っているの!?」

この反応をしたということは、咲夜もマガイモノに手を焼いているということになる。咲夜が完璧に白であると判断できたので、安心して話すことが出来る。

「ああ。一応な。さて、これからおれの仕事をしなきゃな」

そういいながら暗基は紫からもらった封印の御札をとりだし、

「札に宿る霊力よ、その力を解放し、偽りの物を封印せよ!」

決め台詞を叫ぶ。と同時に、そこに倒れていた美鈴のマガイモノが御札に吸収されていく。

「よし、封印終わり、と。それにしても助かった。咲夜が来なかったら、きっとここで死んでいただろうな」
「気にすることはないわ。私だって、門が騒がしかったから、きっと余計なことを美鈴のマガイモノがやったのかと思って来ただけだから。ところで、あなたの名は?」
「おぉそうだった。おれは暗基零。名字でわかるだろうが、暗基優理亜の弟だよ」
「暗基……!! 排除するのみ!!」

咲夜は暗基の名前を聞くと同時に、ナイフで暗基に切りつけてきた。

「うおぁ!? なんだってんだよ!?」

暗基はぎりぎりそれをかわしつつ、咲夜に問いかける。

「確かにおれは優理亜の弟だけど、おれは今回の異変には関係してない! むしろ霊夢たちの代わりに解決するために来たんだ! 信じてくれ!!」
「あなたの言うことは信用できない。私に信じてもらいたいなら、私に絶対的な力の差を見せてみなさい!!」

そして咲夜はスペルを放つ。

「メイド秘技「殺人ドール」!!」

すると咲夜が、えげつない量のナイフを投げてきた。それに対して暗基はお構いなしといった感じで、

「はぁ、めんどくせぇなぁ……」

こうつぶやいた。

「なにも理解することなく、死ぬがいいわ!!」

そう叫び、咲夜は時間を止め、さらにナイフを操り、あらゆる方向へとナイフを飛ばす。そして逃げ場を無くし、暗基を始末する。

「そして、時は動き出す!!」

はずだった。

「はいつかまえた」
「えっ!!?」

咲夜の目の前で確かに止まっていた暗基に、時間停止を解除したと同時に後ろから抱きつかれた。

「なぜ!? ちゃんと時間は止まっていたはず!!?」
「あぁ、それね。おれには効かないよ」
「効かない……? どういうこと?」
「それは、おれがもつ能力「ありとあらゆるものを普通とみなす程度の能力」の影響だ。簡単にいうと、時を止められようがおれはなんの影響も受けない」
「でも、あなたの時は確かに止まっていたはずよ!」
「それもおれの能力。どうやらおれの能力は人を騙す能力のようでな。相手には「自分の能力に侵された」ように見せるんだ」





ここでしっかりと説明をしておこう。



暗基零の能力「ありとあらゆるものを普通とみなす程度の能力」は、文字通り、暗基に対するありとあらゆる「能力による現象」を、暗基にとって普通とみなす。分かりやすくいうなら、十六夜咲夜に時を止められようが、ミスティアに目を見えなくさせられようが、フランドール・スカーレットに能力によって破壊行為をされようが、暗基にはなんの影響もない。しかし、相手には「暗基が自分の能力の影響を見事に受けている」と幻覚を見せる。

つまるところ、暗基はほぼ無敵なのだ。

「さぁ、おれのこと信じてくれる?」
「……、はぁ、お手上げね……」

どうやら咲夜は暗基を信じることにしたようだ。

「よかった……。改めて、おれは暗基零。よろしくな」
「一応。私は十六夜咲夜。よろしくお願いするわ、零」
「あぁ。さて、時間もたったし、そろそろ美鈴が復活するはずなんだが……。あいつのなんかアクセサリーみたいなものは……」

と暗基が辺りを見回すと、門の前に美鈴のマガイモノがかぶっていたと思われる帽子があった。

「おぉ、あったあった」

それを暗基がとろうとしたら、その帽子が光りだした。

「おっ、美鈴復活だな」

暗基のその声と同時に、さっき戦っていた、紅美鈴が現れた。

「…………、う、私はいったい……?」
「め、美鈴……!?」
「あ、あれ、咲夜さん……? はっ!? 居眠りはしてませんよ!!?」
「美鈴……、ぐすっ、よかった……!!」
「わっ!?」

咲夜は美鈴に思いっきり抱きついてしまった。

「咲夜さんどうしたんですかちょっと……!?」
「よかった……! あなたが無事で……、本当によかった……!!」
「……、咲夜さん……。紅美鈴、ただいま戻りました!」

…………、

………………。

うわー、めーさく発動したぁー……。

って言うかここでめーさく発動されても困るんですけども……。ですけどもじゃねぇ困るから!

「あの~、空気読めとか言うかもしれませんけども、ちょっとお取り込みのところ申し訳ありませんがこちらのほうに戻ってきていただけませんかね?」
「うえっ!?」
「……、はっ!?」

うん、この反応。自覚なかったみたい。







































「そうだったんですか!! いやぁ助かりましたホント!! ありがとうございました!!」
「私からも礼を言わせてもらうわ。ありがとう」
「あぁ、気にしなくてもいいよ。おれのお仕事みたいなもんだからね。ところでなんだけど……」

美鈴に精一杯説明をした暗基は、改めて美鈴と咲夜に感謝される。そして暗基は美鈴と咲夜に提案をする。

「どうしました?」
「どうしたの?」
「感謝してくれたことありがたいんだけど……、おれ限界だから寝る」
「えっ、どういう……?」
「あっ!!? ちょっと!!? 暗基さん!!?」

寝るといったと同時に、暗基は意識を手放し、深い闇の中へと沈んでいった。 
 

 
後書き
はい。咲夜さんは本物でした。

次回は、紅魔館に突入します。 
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