刃物語 プロローグ
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刃物語 参話
前書き
女の子が苦手系男子の過ごし方
幻覚・・・・・なのだろうか・・・だが間違いなく一点だけオレのやるべき事はわかっていた、それは
気絶、である
「!?、あわわわ・・・・!ご、ご主人様ああああああ!!」
ご主人様ねぇ・・・・・・女性耐性が付いたら呼ばれてみたいもんだ
目を開ける、瞬間
「目覚めましたか?ご主人様?」
即横転&ベットに飛び込み身を潜める
なぜなら目を開けた瞬間子顔のかわいい瞳や顔が映されたからである
? ? ? ? ? ?
何だこの状況?なんで女の子がこんな所に?そしてなぜ銀髪で青目なんだ?
コスプレみたいな格好だがなぜか不思議と不自然さが取り払われている
そして何より・・・・・・・・何でオレの部屋にいるんだ!?
なに?なぜ?どうして?どういうこと?ホワイ?
即刻この場から逃げたいけどなぜか彼女とは何かの引力の様に離れられない
右腕に鎖が絡み付いている様な感覚、まさかこの子は・・・・・・・・・
「夢の・・・・女の子?」
すると満面の笑みで少女は自己紹介を始めた
「初めまして、私はカレン・ルシア・ソード。ご主人様の右腕になっていた
ご主人様の能力です!」
・・・・・・・・・のう、りょく・・・・・・
あの時は実感が湧かなかったけど・・・・あのギロチンは間違いなく・・・・
「君だったんだね、オレを助けてくれたのは」
死を覚悟した直前に覚醒した力、夢の中で唯一現れなかった刃物
断頭台の刃物であり切り落とす事だけに特化した刃
すると少女は再びニコッと笑みを浮かべこう言った
「いえ、助けて頂いたのはこちらです。あの夢の中、刃物に切り刻まれながらも
私に触れてくれた貴方様には感謝しきれません」
「大げさだよ・・・・・・」
苦笑いを浮かべオレは言った
そして距離を置いてあり布団に包まりながらもある違和感を抱いた
どうしてこの子と普通に話せるんだ?普通ならまともに顔も見れないのに
オレの顔を見て判断したのか少女は胸に手を当て答えた
「私は見た目は少女の姿でもれっきとした『刃物』です。ですのでご主人様は私に対する嫌悪感を感じないのでしょう」
・・・・・・そうだ、彼女は確か『ギロチン』だ
嫌悪感を感じないのは彼女をギロチンだと知っているからだ
でも・・・・・やっぱり近寄りがたい・・・・・・・・・・
なぜなら彼女、カレンって呼んだ方が良いのかな?カレンはオレが今まで見た事無いくらいの美人でかわいい姿だ。豊満なボディ、ある意味ギロチンより凶器なその体はギロチンと認識してもやはりオレは『カレン』という一人の女性として認識してしまう
見れない事も無いが触れるのは無理、直感らしき何かが本能がそう語っている
しかし、何でこんなかわいい子なんだ?最近のラノベかコレ?
ギロチンの力は認めよう、しかしなぜ女の子の姿なんだ?
傷つけるかもしれないが疑問を言わなければいけなかった、この疑問は最大の問題だ。なぜ女の子の姿なのか、それを尋ねた
「あのさ、どうして女の子の姿なの?」
すると少しカレンは首を傾げ、その後こう言った
「多分、陰と陽の関係でしょうか。光は闇がなければ成り立たない様に
ご主人様の一番好きなものの具現化と共に影の様なものが現れて
それが私、カレンの存在を作りだしたのかもしれません・・・・」
すぐに納得がいった、なぜならカレンの姿は今のオレの状態では悩殺レベルの美女だ
最強の刃物と最高の美女、オレじゃなかったらこんな能力に歓喜していただろう
だけどオレは戦う気もないしこんな能力は必要ない
戦う相手もいないし殺しや刃物で斬る趣味はない、だからカレンに言った
「・・・・カレンって呼んで良いかな?外国人の名前みたいなの良くわかんないけど、とりあえずオレの腕に戻ったら良いと思うんだ」
するとカレンは落ち込む様に顔を伏せた。・・・・女の子の扱いわからないんです
そしてカレンはこう言った、『オレの想定していた最悪の言葉を』
「すみません、実はギロチンの姿の状態や一度外に出た場合
しばらく『戻れないんです』」
・・・・・・・・・・・・・・・え?
「し、しばらくってどのくらい?」
おそるおそるオレは尋ねた、するとカレンは嬉しそうに答えた
「力を使えば使うほどこの状態になってしまいます、私は凄く嬉しいんですけど。
一晩は元に戻れないと思います」
・・・・・・・つまり、今日は、オレん家で、泊まるって事か・・・・・
今はようやく日が沈んだ時、つまりどうすれば良いか分からない
この子はギロチンで女の子で食べ物を食べるのか
お風呂に入りたいとか思うのか
・・・・・・・・・・・死にたい
何でオレはこんな目に遭うんだ・・・・・・
平凡でキモい趣味を持っていつか女性耐性を付けて普通の暮らしをする
それがオレの夢だった。だが所詮夢想だった、現実離れした現実がオレを捕らえた
その態度に不安そうな目でカレンはオレを見ている、暗いのも何なのでとりあえず
明かりを付ける事にした
カレンは食事を取らなければならないらしい、そしてお風呂にも入りたいという想像もしたくない現実はやはりオレを捕らえて放してくれない
まずはご飯だ、自炊は年月を重ねているけど所詮自分を満たすだけの料理
カレンの口に合うかかなり心配だった
カレンの好みを聞いたところ甘いものが好きらしい、女の子だこの子・・・・
とりあえず調理の仕度に入ったがなぜかカレンが近くにいる
じー、と調理現場を眺めている。オレの調理なんて見ても何も面白くないよ・・・
正直緊張して顔も赤くなってギロチンだと思っていたオレのわからない心は
余計な事にカレンを女の子と認識したらしい
取っ払うなんて事は出来ない、調理に神経を研ぎ澄ませキャベツを微塵切りにした
材料は両親が送ってくれるので困る事はない。キモいと思われても家族なんだなと実感すると
「ご主人様、そんなに自分を責めないで下さい・・・・・」
右腕と共有しているのかオレの意思を読み取れるらしい。しまったな・・・・・・
いつもの自虐癖が出てしまった。オレの認識は『嫌われ者』だと思いこんでいたからである
ジュウジュウとコロッケが揚げ上がり器に移す
それを見たカレンは嬉しそうに匂いを嗅ぐ、その仕草を見て
「味見してみるか?食べるの初めてなんだっけ?」
甘いものが好きとはカレンは言ったが実際に何かを食べた事は無いらしい
揚げたのは甘いカボチャコロッケ、アツアツなのでフウフウと冷ましながら
カレンはコロッケを食べて「おいしい」と言ってくれた
・・・・・・女の子と暮らすのも悪くない、そう思えた
前言撤回、「一緒にお風呂に入りましょう」と顔を赤らめながらそう言った
恥ずかしさはあるのになぜ一緒にお風呂なのか理論を説明してほしい
理由は『誰とも一緒にお風呂に入った事が無いので』である
知識はオレから取り入れているハズだけどなぜ一緒にお風呂・・・・・・?
当たり前だが即却下しお風呂は一人で入ってもらう事にしてもらった
してもらったという表現はおかしいが一緒にお風呂は間違いなく即死
例えタオルを巻いていたとしても即死
そして、オレは気付いてしまった。風呂に入れば必ず『服を脱ぐ』
じゃあ洗濯は誰がする?カレンか?・・・・・・・・オレだろうな・・・・
バスルーム前からおそるおそる覗きに来た訳じゃない様に壁を背にし声をかけた
そしてすっごくオレは顔を赤くしながら意を決して言った
「あの~カレンさん、洗濯できます?」
ビクンッと水しぶきを上げて身を震わせる音が聞こえた。覗きだと思われたんだな
そしてしばらくの沈黙の後見なくてもわかるほど恥ずかしがる声で
「お、お願いします・・・・・・・」
最悪の返答が来た。教えようにも結局はその・・・・・カレンの服を見なければいけない・・・・事に・・・・・・・
男ものの服しかなかったのでそれを着てもらった
当たり前だがもはや見る事すら敵わない、そして最悪の敵との戦いである
洗濯機の近くにカレンの服がある、もちろん下着も
漫画じゃあるまいしと思いながらもあらかじめ鼻血が出ない様にマスクを五重にして手袋を付けその敵と対峙する
・・・・・・・うわ~、女の子の服ってこんなに綺麗なんだな・・・・・
なんて考えずに即洗濯機に放り投げ洗剤を入れふたを閉めスイッチを入れた
色々見えたがまあ気絶に陥らなかったのが奇跡だ、マジで死ぬかと思った
マスクや手袋を放り捨て洗濯場を後にする
さて、最後の問題。カレンの寝る場所である
オレの寝る場所は既に確保してあるがカレンの寝る場所は既にオレの部屋に指定し
オレは別の場所で寝る事にした
カレンはばつが悪そうな顔をしていたが一緒の布団で寝るのは死に直結するので
千億倍こっちの方がマシだ
ていうかさっきから修羅場潜りまくりだなオレと感心しながらもこの夜を乗り切る事だけを考えた
朝、オレの部屋を訪ねたらカレンはいつのまにかオレの腕に入っていた
いつも通りの朝が、オレの前に現れた
後書き
ありがとうございました
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