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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第八幕その二

「違うじゃない、そこは」
「いやいや、一緒だよ」
「全く変わらないよ」
「同じカワウソさん達だよ」
「本当にね」
「そうなのかな、けれど長老さんにお話があるのなら」
 それならとです、小坊主さんは応えてです。
 先生達にもお顔を向けてこう言いました。
「あの、では先生」
「はい、それでは」
「長老さんのところにご案内します」
「宜しくね」
 こう応えてでした、先生達は小坊主さんにお屋敷の中に入れてもらいました。見れば立派なお屋敷まで結構な距離のお庭があります。
 お庭にはお池があって緑も豊かです、そして四季の花々もあります。そのもの静かですが上品なお庭を見てです。
 先生は加藤さんにこう言いました。
「やはり日本のお庭はいいですね」
「先生もお気に召された様ですね」
「自然をそのままお庭にした」
「それが日本の庭園です」
「素晴らしいです」
 にこにことしてです、先生は答えました。
「イギリスのお庭とまた違ったよさがあります」
「イギリス、いえ欧州のお庭は左右対称ですね」
「そうです、中国もそうですが」
「それは大陸の文化でしょうか」
「そう思います、しかし日本のお庭は左右対称かといいますと」
「こだわらないです」
「自然を重視されていますね」
 その自然をありのままお庭にすることを、というのです。
「切り揃えても」
「そうです、このお庭も」
「自然をそのままお庭にして」
「お気に召されましたね」
「目に優しいですね」
 先生はこうも言いました。
「とても」
「緑が多くて」
「お池もあって、それにしてもこのお庭は」
 小坊主さんに案内してもらいつつ言う先生でした。
「お見事です」
「僕達が毎日手入れしているんです」
 ここで小坊主さんが先生に言ってきました。
「庭師の人もいて」
「その庭師の人も狸なのかな」
「はい、そうです」
 その通りだというのです。
「僕もお手伝いしていますが」
「そうなんだね」
「そうです、それでは」
 ここで、でした。遂にです。 
 先生ご一行はお屋敷の前に来ました、そうして小坊主さんが扉を開けてです。
 中に入ります、すると加藤さんが唸って言いました。
「全て檜とは」
「はい、このお屋敷は全てです」
「檜造りとは」
「長老さんが檜がお好きでして」
 それで、というのです。
「お屋敷も全てなんです」
「檜で出来ていて」
「そうなんです、凄いですよね」
「全く以て」
 また唸る様に言う加藤さんでした。玄関から見える廊下はとても長くてです、そしてそのうえでなのでした。
 廊下の左右のお部屋の襖も見事です、数多くあるその襖のどれも見事な絵が描かれています。そしてです。
 その全てを見てです、加藤さんはまた言いました。
「絵も。これは」
「日本の昔の絵ですね」
 先生が応えました。
「これは」
「そうです、本当に」
「日本画といいましたね」
「狩野派を思わせますね」
「あの安土時代の狩野永徳からはじまる」
「そうした感じですね」
「僕は絵のことはよくわからないですけれど」
 それでもとです、小坊主さんが言ってきました。 
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